Danchoのお気楽Diary

高校3年間応援団だった「応援団バカ」の日記。スポーツ観戦や将棋等の趣味の他、日常感じる事を、「ゆるゆる」綴ります。

渡辺 明 竜王が勝ち、「将棋ファン待望」の1勝を返す!/『第21期 竜王戦 第4局』

2008-11-28 14:15:12 | 将棋
昨日の東京・千駄ヶ谷の将棋会館の解説会…凄く勉強になりました。

日付が変わった午前2時を回ったころに、実家に戻ってきました。振り返ります。

戦型は、今春の名人戦でも良く指されていた「相掛かり」に…。
そこから先手の羽生名人から角を交換(29手目▲2二角成)し、6手かけて右の銀が6七の位置まで動いた「銀矢倉」に…。
もうこの時点で、ファン歴が浅い小生は見た事がない将棋に…。

一方の渡辺竜王は、右の銀を△7二~△7三~△6四と、先手の羽生名人の右の銀を▲4五から▲5六に引いたのを見て、左の銀も2二の位置から△3三~△4四と前進。「中住まいカニカニ銀「とでも名付けたくなるような囲いを完成させました。

1日目の封じ手の局面では、後手の駒が前に進出し、先手の駒はじっと後退して陣形が整った形となり、後手の渡辺竜王が攻め、これを先手の羽生名人がどう受けるか…が注目される形に…。

封じ手は、小生は第一感として△5五銀左と、当然ながら攻める手を予想しましたが…結果は△7六歩と、ぶつかったまま放置されていた歩をここで取り込みました。

繰り返しになりますが、この局面はとにかく渡辺竜王は攻めるほかない局面でしたので、他に△9五歩とか、小生の予想の△5五銀左とか、△4五桂等が考えられるわけですが、とにかく渡辺竜王が攻める態度を示した手であることには違いありません。

先手ながら構えから「受ける」側の羽生名人も▲7六同銀右~▲7五歩と積極的な指し回しを披露。
3局終わって3局とも制している余裕からかもしれないですし、もっと奥深く考えての着手かもしれませんが、この将棋は「渡辺竜王に攻めさせて自分がどこまで持つか…」という羽生名人自身の挑戦的な意味合いが含まれているようにも、入門者ながら表面上はそのように感じました。

それを強く感じたのが、渡辺竜王が84分考慮して決断した端攻めの△9五歩を見た後の53手目▲7四角…。

将来的には「入城」を目指す▲8八玉を放置して、わざわざ狭いところに角を打ち下ろし、プロの棋士をも驚かせたのですから、受けながらの挑戦的な手の様な気がします。

結論を申し上げると、この将棋は、136手までで後手の渡辺 明 竜王が勝って、どちらが戴冠しても「永世竜王」の称号獲得となるシリーズで、将棋ファンにとっては「待ち望んだ対戦」で、渡辺竜王が「待望」の1勝を返しましたが、羽生名人の敗着となった手を敢えて挙げると、この▲7四角も候補の一つかもしれません。
だって、プロ棋士の皆さんが驚き、おそらく「誰も指せない手」で、しかも、冷静かつ客観的に見ても、好手とは言えないのですから…。
(△9六歩に対して香取りとなる▲9二歩がOK…という意味でしかなさそうですし…。)

それはともかくとして、この▲7四角は、竜王戦という舞台、しかも自身がこの将棋を勝てば、「永世竜王」の称号を手中にできるという大きな意味合いのある対局で着手できる羽生名人の「懐の深さ」がどこまで深いのか…を、改めて考えさせられましたね。
これは、ファンだけでなく、対局している渡辺竜王もひょっとしたら感じていることかもしれません。
(竜王戦が始まる前から、第3局までに、小生なりに感じたことは、また別の機会に記事にしてみようかと思っています。)

この将棋…結論でも申し上げましたが、渡辺竜王が勝ちましたが、おそらく良くなったのは、その直後に△8八歩を着手できたことでしょう。この一着は、渡辺竜王自身の「流れ」を変える(2年前の第3局△7九角程の衝撃はなかったかもしれませんが…)手になりうるかもしれません。

本局以降は、渡辺竜王の底力が如何程かをファンは見ることができる意味で、楽しみなシリーズになりましたが、その底力の片鱗を、この△8八歩に見た気がします。

その後も、渡辺竜王の飛車が、左辺から4筋に転回して竜を作り、その後取った飛車を△2八飛と打ち(96手目)、△7八飛成(98手目)とズバっと王手をかけて踏み込んでから、この将棋の流れが渡辺竜王に傾いて、勝ちに繋がった気がします。

ただ、羽生名人の「らしさ」を感じたのは、後手玉を捕まえ切れない局面(捕まるのですが、「打ち歩詰め」の反則となるんですね…)で、126手目△8九飛(ここで逆転して「渡辺竜王良し」に)を受けた131手目の▲9八香を着手したこと。
この最終盤で着手した▲9八香が、羽生名人の「(シリーズを通じて)ただでは負けない」という意思表示に見えましたね。

いずれにしても、大熱戦となった本局を、渡辺竜王が勝って、将棋ファン待望の1勝を挙げたことで、今後も益々楽しみになりました。

注目の第5局は、次週12月4日,5日の両日に、和歌山県白浜町で行われます。

第4局でその片鱗を見ることができた、渡辺竜王の底力が如何程か…が、依然として楽しみですし、1勝を返されたとはいえ、星勘定の上から、挑戦者ながらも「受けて立つ」側にたった羽生名人が、どんな将棋で対応するのか…も、勿論楽しみですね。


追記

昨日の解説会で、nanaponさんssayさんたいがーさん(たいがーさん自作の素晴らしいDBは、こちら)にお目にかかり、ご挨拶させて頂くことができました。
解説会が終わってからも、皆さんと会食させていただきましたが、山口に普段は住んでいる小生にとっては、お目にかかれること自体が滅多にないことなので、貴重で楽しいひと時でした。
皆さん、ありがとうございました

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