あやし小児科医院 第2ホームページ

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小児科ワン・ポイント 「小児の心雑音」

2004-06-25 00:02:23 | Weblog
 
風邪をひいて医師の診察をうけたときとか、健診のときに心雑音を指摘される子どもは決して少なくありません。

子どもの心雑音には先天性心疾患等の心臓病が原因で聞かれる病的なものと、機能性心雑音といって心臓になにも異常がないのに聞こえるものがありますが、子どもを診察する時に聞こえるのは機能性心雑音であることが多いのです。

機能性心雑音は貧血等の心臓病以外の病気が原因で聞こえるものもありますが、全く病気がないのに聞こえることもあり、こうした心雑音は無害性心雑音と呼ばれています。

無害性心雑音は大人でも聞こえることがありますが、子どもは大人に比べて胸の壁が薄いためこの心雑音が聞こえる頻度が多いようです。

一方、心雑音を指摘された子どもの中には時々、ほんとうの心臓病の患者さんがまじっていることもあります。特に心房中隔欠損症といって心臓の、上のへやを隔てている壁に穴があいている場合に聞かれる心雑音は無害性心雑音との区別がつきにくく、またその音も比較的小さいので、学校に入るまで、あるいはおとなになるまで病気が見逃されいることも少なくありません。

また、軽症の肺動脈弁狭窄症や大動脈弁狭窄症などで聞こえる心雑音も、無害性心雑音との区別がつきにくいことがあります。

こうした病気では聴診器で音を聞くだけでなく胸部レントゲン撮影や心電図検査、心臓超音波検査を併せて行うことによりはじめて診断がつくものも少なくありません。

このように心雑音には、聴診のみでおおよそ心臓病を否定できるものとそうでないものがありますので、心雑音があるといわれて心臓の精密検査を勧められた場合にはたとえお子さんが現在元気にしておられても検査を受けることをお勧めします。

心雑音があり、しかも泣くと唇の色が紫色になるとか、不整脈がみられるとか、疲れやすく少し運動をすると息切れがするとかの症状がみられる場合には重症の心疾患の疑いもありますので、早急に専門医の診察を受けることが必要です。