あやし小児科医院 第2ホームページ

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ジェネリック医薬品の供給不足 構造的課題の解消を 1

2024-02-16 20:04:13 | Weblog

いま全国の病院や薬局で、薬が不足しています。

病気の治療や健康を守るための幅広い種類の薬が、入手しづらい状況になっています。
その要因の1つに、ジェネリック=後発医薬品の供給が不足している問題があります。
大きなきっかけとなったのは、製薬会社で相次いだ不正です。
深刻な薬不足の実情と、製薬業界の構造的な課題に目を向け、再発を防ぐために何が必要かを考えます。

【医薬品不足が深刻化】
医薬品には、医師が処方し薬局などで購入する「医療用医薬品」と、処方箋が不要で広く市販されている「一般用医薬品」があります。
いま深刻な供給不足が起きているのは、主に「医療用医薬品」です。
日本医師会が8月から9月にかけて行った緊急調査では、実に90%の医療機関が「入手困難な医療用医薬品がある(院内処方)」と答えています。
また「薬局から在庫不足の連絡を受けたことがある(院外処方)」という医療機関も74%に上りました。
具体的には、咳止めや痰を切る薬、糖尿病の薬や止血剤、それに総合感冒剤や抗うつ薬など、幅広い種類の医薬品が不足し、不安が広がっています。

【ジェネリック医薬品の出荷制限相次ぐ】
この薬不足はなぜ起きるのか。
インフルエンザや新型コロナなどの感染症が拡大し、薬の需要が伸びていることが大きく影響していますが、別の大きな要因もあります。
ジェネリック=後発医薬品で、出荷制限が相次いでいるという点です。
ジェネリックとは、先発医薬品の特許が切れた後に作られる薬で、同じ有効成分を持ちますが、開発費が少ないため、価格が低く抑えられる薬です。
日本製薬団体連合会の調査では、9月の時点で、ジェネリック医薬品の19%、数にして1700余の品目で出荷が限定され、13%・1200余の品目で供給が停止されています。

【メーカーの不正問題】
ではなぜ、出荷の制限や停止が相次ぐのか。
そのきっかけとなったのが、ジェネリックのメーカーで相次いだ「不正問題」です。
3年前、福井県の「小林化工」で、水虫などの薬に睡眠導入剤の成分が混入する問題が起きました。国が承認していない工程で製造を行うなど、悪質な不正が明らかになりました。
社員教育を十分に行わないまま、生産を大きく拡大した事などが要因とされています。
これをきっかけに、大手の「日医工」など、他でも製造工程や品質管理の不正が次々と明らかになりました。業務停止や改善命令を受けた会社は15社にのぼります。
これらの問題で、多くの医薬品の供給がストップしました。
また10月には、大手の「沢井製薬」で胃薬の品質試験に不正が見つかり、自主回収を進めています。
さらに、問題の無かったメーカーにも、影響が広がっています。
出荷停止が相次いだことで、同じ成分の薬を作るメーカーに注文が殺到。
その結果、製造が追いつかなくなり、出荷を制限せざるをえないケースが起きています。
こうした供給不足は、2年以上続いていますが、はっきりとした収束の目途は、まだ立っていません。

【業界の構造的な課題】
このように、メーカーの不正問題が深刻な薬不足をまねいたわけですが、一方で適正に製造を行う会社は多くありますし、問題の大きな原因は、一部の会社のコンプライアンス意識の低さにあります。
ただ、個別の会社の問題として片づけてしまうのではなく、業界が抱える構造的な課題や、背景にも目を向けて、再発を防ぐことが重要だと思います。

続く