あやし小児科医院 第2ホームページ

あやし小児科医院第1ホームページに載せきれなかった情報、横道にそれた話題をランダムに掲載します。

肺炎球菌とプレべナーに関するQ&A

2010-03-20 22:30:14 | Weblog
■肺炎球菌ってなに?

肺炎球菌というのは、子どもの感染症の二大原因のうちのひとつの細菌です。
まわりを莢膜(きょうまく)という堅い殻におおわれた菌で、人間の免疫が攻撃しにくい構造をしています。なかでも小さい子ども、特に赤ちゃんのうちは、まだこの細菌に対する抵抗力がありません。このため、細菌性髄膜炎など症状の重い病気をおこしたりします。
風邪やインフルエンザにかかった後に、肺炎をおこしたり、中耳炎にかかりやすくなることはありませんか? このようなときも肺炎球菌が悪さをしていることがあります。





■かかりやすい年齢は?

肺炎球菌による感染症にかかりやすいのは、特に免疫力の弱い小さな子どもやお年寄りです。この傾向は世界で共通してみられるもので、このため世界的には子どもやお年寄りに肺炎球菌のワクチンを接種して、肺炎球菌による感染症の予防をしています。





■肺炎球菌による子どもの病気は?

肺炎球菌は文字どおり、肺炎の原因になる細菌です。でもそれだけではありません。ほかにも、細菌性髄膜炎、菌血症、中耳炎といった病気をおこします。
肺炎球菌というのはじつはそこら中にいる菌で、子どもの多くが鼻の奥や気道に保菌しています。保菌しているだけでは問題ありませんが、残念ながら小さな子どもは肺炎球菌に対する抵抗力をもっていませんので、比較的簡単に肺炎球菌に感染してしまいます。

カゼをひくと中耳炎になることがありませんか? これは風邪によって粘膜の抵抗力が落ちると、耳で感染症をおこすためです。

このように、肺炎球菌は、耳で感染症をおこすと「中耳炎」に、肺に入りこんで「肺炎」に、血の中に入りこんで「菌血症」に、脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入りこんで「細菌性髄膜炎」を発症します。





■ 肺炎球菌によるおもな子どもの病気は?

これらの病気は、もちろんほかの細菌やウイルスが原因でおこることもありますが、肺炎球菌が主要原因であることがほとんどで、菌血症では80%(1番目)、肺炎の場合は30%(1番目)、細菌性髄膜炎では20-30%(2番目)、細菌性の中耳炎の場合は30%(2番目)が肺炎球菌が原因となっています。


■肺炎球菌感染症-どうしたらいいの?

子どもの肺炎球菌感染症は、子ども用の肺炎球菌ワクチンで予防できます。子ども用の肺炎球菌ワクチンは2009年現在100カ国近くで使われていて、定期接種をしている国では細菌性髄膜炎などの重い感染症の発症率が98%下がりました。


■定期接種開始前と開始後の発症率の比較(アメリカ)




2007年に、WHO(世界保健機関)は子ども用の肺炎球菌ワクチンを世界中で定期接種とするように推奨を出しました。それだけ先進国・発展途上国を問わず各国で肺炎球菌による病気の被害が多いためです。

小さな子どもは肺炎球菌に対して抵抗力をもっていませんが、子ども用の肺炎球菌ワクチンを接種すると抵抗力ができるようになるので、一番この病気にかかりやすい年齢の間、肺炎球菌からお子さんを守ってあげることができます。

プレべナーは図のような多くの国で既に導入されています。
予防接種に関しては、日本がいかに後進国であるかが分かります。
先月まではアフリカ、中東と同じレベルでした。




(このスレッドに関しては、ワイス社の資料を参考にしました。)