■ 大知一成の公式「ブログ 保険・かわら版 」■=「間違いだらけの生命保険選び」=

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■「日本の生保業界の真実」=第117回=■

2008年10月13日 | 保険
10月12日(日)

■ 「大和生命破綻」は他人事か?これだけの危惧!

● やたらと今回の金融危機と大和生命破綻とは全く関係ない別物、という解説が跋扈している。しかし、大和生命も株価がここまで下がらずしかも投資商品がここまで下落しなかったらあるいは”好業績”と吹聴できたかも知れない。この意味では間違いなく金融危機に翻弄された生命保険会社であることは間違いない事実だ。

● 過日「生保の株式保有」について少し触れたが、その後を解説したい。繰り返すが「株式保有が多い=経営が危ない」とはならない。問題は保有する株価の中身の問題だ。そこで最も簡単にそれがはかれるのが「有価証券評価損益」だ。    この中の「株式の評価損益」を見れば、そん時点での評価損益が分かる仕組みだがその時に気をつけたいのは、「有価証券に占める株式保有占率」だ。

● 例えば「アリコジャパン」を例に取ると、19年度末では「25億円の評価損」となっている。ところが、有価証券全体の評価損は1,570億円である。つまり、「株式保有による評価損の影響は株式は少ない」ということが出来るのだ。そして「株式の帳簿価額と時価」を見ると「560億円と535億円」である。有価証券全体の帳簿価額が5兆3,021億円ということからすると、アリコジャパンの株式保有は取るに足らない金額と言うことが出来るのである。

● さて、前回4社の株式保有が比較邸多い生保を指摘した。(18年度末現在)既にその中の1社だった「大和生命」は破綻した。これまでは年度末決算かあるいは上半期業績報告で各生保の財務内容等は把握できたが、今期から四半期ごとの業績報告がほとんどの生保で開示されるようになった。
 結果、4社のトップだった生命保険会社A社は、19年度中に株式保有を激減させそのリスクから辛うじて逃げ切れた感が強い。ところがB社だった「大和生命は破綻」したが、C社とD社の株式保有は第1四半期の時点で大きな変動(減少)はない。もちろんこのままの株式下落が続くようだと9月末はもちろん年度決算にも悪影響を及ぼす事は間違いない。
 

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10月11日(土)

■ 「金融庁検査」で「大和生命はS・M比率200%割れ」を指摘される!

● このブログにある「金融庁の検査日程」を見ると「大和生命」は、9月3日から始まっている。そして8月18日から始まった「ソニー生命」、8月21日から始まった「朝日生命」は、現在もまだ検査が継続中だ。気になるところは両社とも株式保有がそこそこ少なくない点だ。

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10月10日(金)

■ 「大和生命」の破綻に追随する生保は?!

● まず「大和生命」についてだが、格付け会社「R&I」が、10月1日付けで「BB- → B」へと2ノッチの格下げを行った。「保険・かわら版」の購読者の方には、本日「保険・かわら版」に同封した「格付け一覧表」(生保・損保対象とした「S&P・ムーディーズ・フィッチ・R&I」を記載。)を見て頂だくと分かりやすい。

● 実は「大和生命」が極めて厳しい状況であったことは、「ミニ保険かわら版=第18号=20年5月1日号」を見て頂くとその理由が読み取れるはずだ。そこには「意外な株式保有が多い生保4社の見方!」として生保4社の実名を記してある。その2番目に書かれた生保が「大和生命」だった。
 もちろん、株式保有が多いことが破綻に直結するとは限らないが、しかし、ここまで急に株価が下落すると、他の運用手法と相まって相当のストレスを生保の経営体力に与えることは避けられない。その意味ではなるべくしてなった生保破綻ということも出来る。

● 問題は「次の生保破綻」があるかどうかだが、「株価・為替を含んだ運用手法」により、全く安全圏といえない生保が複数社あるのも事実だ。実は先ほどの「ミニ保険かわら版=第18号=」は、「読売ウィークリー」の20年5月4日号の「生命保険ここを見直せ」の中の私が担当した「コラム=日生ーかんぽ最強連合時代の生命保険選び=」の記事がベースになっている。
 一般の読者が生保の安全性を見極めるポイントとして4項目を挙げた。その一つが「保有株式の含み益がゼロになる日経平均」の一覧だ。

● あえて生保名はここには書かないが、記載した生保の中には日経平均が10,000円以上で含み益が消える生保が3社、9,000円以上が別に3社ある。<続く>


■ 世界同時株安が止まらない!

● 昨日のNY市場は、678.91㌦安の8,579.19ドルで終えた。気になる「AIG」株だが、ここ3日連続の安値引けで、昨日は「2.39㌦」で安値引けだ。9月17日に付けた最安値2.05ドルにあと一息というところまで迫っている。
 850億㌦の融資が決まったころ、大々的な招待パーティーが開催されていたことやFRBの追加融資などがネガティブな材料だ。さらには売却資産の進展が見られないことも嫌気材料だ。

● また、東京市場でも、安値が切り下げられる展開が続き1,000円安の8,000円割れも視野に入る展開だ。当然のことだが金融株の多くはまだ値がついていない。

● 日経平均が1時間半経過して、大幅下げに変わりがないが少しずつ上げ基調の雰囲気が出てきた。ところで「AIG」の株式は、9月17日に付けた最安値を切り下げて250円前後で推移している。これだと時価総額は7,370億円となる。


■「大和生命」が破綻!更生特例法の申請!

● 「大和生命、更生特例法の適用申請」

 経営不振に陥っていた中堅生保の大和生命保険(東京・千代田)が自力再建を断念し10日午前、更生特例法の適用を申請した。米金融危機による市場の混乱で株式など有価証券の損失が拡大、過小資本に陥ることが避けられない情勢になった。生保の破綻は2001年の東京生命保険(現・T&Dフィナンシャル生命保険)以来7年ぶりで、戦後8社目。保険契約者の受け取る保険金や年金は貯蓄性の高い商品を中心に一定割合で削減される可能性がある。
 大和生命は08年3月末の総資産が2831億円で、生保業界で33位。08年3月期の保険料収入は356億円。女性の営業職員による販売のほか、地方銀行窓口での販売もてがける。破綻生保で再建型の更生特例法を申請するのは4社目となる。
 同社は有価証券の運用損失が経営を圧迫。08年3月期決算では112億円の含み損に陥っていた。さらに米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融危機の影響で外貨建て有価証券を中心に損失が拡大したもよう。 (「ニッケイネットニュース」09:09)


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10月9日(木)

■「アリコジャパン」の経営内容について!

● コメントでご質問があった件について、やや気は重いが出来るだけ簡単に説明したい。ややもすると今回の件は「AIGの子会社」がやったことで「アリコ」は健全だ、という論調が多いが、少なくともここ数年ほど前からはいろいろな業績に違和感があった。

● 直近では、第1四半期の業績報告で「持込資本の評価損」が明らかになったが、例えば16年度と17年度の有価証券評価損は、続けて評価損を計上している。もちろんその要因は「外国証券」なのだが、19年度はこの評価損が▼(-)1,570億円となるが、「外国証券」が▼1,739億円となっている。     もちろんこれらについては、あくまでも「評価損」であり、「実損」ではないとする捉え方も出来なくはないが、外国証券保有占率がかなり高い「アリコジャパン」とすると、米国の経済環境や為替の変動など相当気になるところだ。

● また、これらの前提と考えられる「証券化商品等への投資」内容を見ると、19年度末時点で「商業用不動産担保証券(CMBS)の米国分」を時価で6,042億円保有し、既に「608億円の含み損」を計上している。また「住宅ローン債権担保証券(RMBS)の米国分」も時価で1,081億円保有し、87億円の含み損の状態だ。

● この辺を時系列的に並べると、確かに「アリコジャパン」が自ら積極的に投資したとは考えにくいものの、結果としてそのような運用がされていたことは事実である以上、このような状況になるとやはり賢明な運用とはいえまい。
 もちろん、買収検討の考えがある保険会社が一応に口を揃える「資産内容がどうなっているか」という点は、余程の責任ある証明がない限り、買収側の保険会社単独で現在価値を計算するのは極めて困難だ。しかも短期間でとなるとますます手も足も出ないと考えられる。

● いわゆるオーソドックスな業績でも生保経営上ではバランスに疑問符が付くところもあり、やはり買収する側としては慎重に構えたいところだ。まだ細部についての疑問点もあるが、その辺については当然のことながら買収側と売却側の問題と考えるところからここでは説明は省略したい。
 もちろん、この背景には「子会社でその支店」という立場もあったとは思うが、少なくとも”健全な生保”と太鼓判を押すには相当抵抗がある資産運用の中身であることは間違いないと考える。買収する保険会社はこの辺のリスクをきれいにすることで文字どおり健全生保となる可能性はあることから、買収条件が気になるところだ。


■「AIG」にFRBが追加支援、の怪!

● 「米FRB、AIGに最大378億ドルの追加支援」のニュースがロイターから流れた。担保は投資適格級の証券となっているが、FRBはAIGの経営破たんを回避するため、AIGに850億ドルの融資を設定していたが、今回の追加支援措置はAIGがカウンターパーティとの決済を継続できるように行ったもの。」とした今回の追加支援は、実質的な850億㌦の上乗せ支援とみてよい。

● つまり、格下げを防ぐ意味では資金投入が不可欠であり、ところが850億㌦では対応が困難になったことからこのような処理をFRBとAIGはしたものと思われる。
 ところで、「米アリコ、AIGエジソン、AIGスター」の入札については、積極的に検討している保険会社の話がとんと聞こえてこない。特にマスコミではもっとも魅力的な言われ方をしていた「米アリコ」(アリコジャパン)については、逆に話が消えているという情報もある。何か不気味な感じだ。


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10月8日(水)

【個人的意見】WBCの監督に原監督が適任と考える!

● 今「巨人VS阪神」が実況中だ。とにかくあの位置からの優勝争いは感動ものだ。個人的には優勝でも準優勝でもWBC監督は原監督でいいのではないだろうか!
 
● ノーベル賞4人には、凄いなあとは思っても感動はあまりない。しかし、3年前の王監督の優勝シーンは感動ものだった。ところで、緒方拳氏の訃報はやはりショックだ。


■ 米ゴールドマンが、日本3社の生保売却に必死なわけ?!

● 下院監視・政府改革委員会の公聴会で、2008年6月から9月中旬までAIGのCEOを務めた、ウィルムスタッド前最高経営責任者(CEO)は7日、米ゴールドマン・サックスが、同社から過去に200億ドル相当のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プロテクションを買っており、AIGにとってゴールドマンは「大きな取引相手」だったと証言した、とロイターが伝えた。

● 現在のところ、AIGが保有する総額44兆円といわれる「CDS」の対応については不透明なままであり、もしGS(ゴールドマンサックス)がそのまま200億㌦のCDSを保有しているとした場合、出来るだけ早急にしかも出来るだけ高くAIGに資金提供できる算段をするのは当然の成り行きとも言える。      ニューヨーク・タイムズ紙が先月、ゴールドマンがAIG最大の取引相手であり、AIGへのエクスポージャーは200億ドルに達すると報じたことに対し、ゴールドマンは「極めて誤解を招く報道」と反論していたが、前AIGのCEOの証言でこの反論は覆されたことになる。


■ 日本の保険会社は「AIGエジソンとAIGスター」買収が賢明な策だ!

● ややもすると保険料等収入第5位の「(米)アリコ」への触手が伸びるかのような記事が多いが、少なくとも日本の保険会社は「AIGエジソン生命とAIGスター生命」買収に軸足を固定する方がリスクが少ない。否、買収先のブランドによっては大きくプラスに貢献する可能性もある。

● そもそも「アリコジャパン」がここまで急成長したのは「銀行窓販による一時払い保険商品」の貢献度が大きい。例えば「一時払い個人年金保険料」は、18年度が6,073億円、19年度が5,171億円だ。保険料収入のほぼ4割前後を占める。説明するまでもなく現在銀行窓販では実質売り止め状態が続くことから20年度のここからの保険料収入は期待薄だ。
 当然のことながら、このことは「総資産」にも直結してくる。そして問題は資産運用だ。少なくとも10年前の「アリコジャパン」は良かった。おそらくあのままの営業を地道に実行していたらこのような憂き目にもあわなかったかも知れない。やはり奢りが高じると周囲が見えなくなったのか、極めて残念なことだ?!


● NY株式508㌦安の9,447㌦!日本市場も大暴落か?!

● あれだけNY市場が暴落すると、このような見出しを素人は付けたがる。ということでこのような見出しにしたのだが、すると市場はあまのじゃくで”常識的な読み”に対してギャクブレすることが少なくない。
 いずれにしても昨日のNY市場での「AIG」株は、最高値の4.22㌦で始まり、最安値の3.51㌦で終えた。どうも850億㌦の返済の目処がスッキリしない。


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