■ 大知一成の公式「ブログ 保険・かわら版 」■=「間違いだらけの生命保険選び」=

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★契約者本意の保険プロとFPのための保険情報=35=★

2007年04月28日 | 保険
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4月28日(土)

「かんぽ生命」91兆円の不可解さ!

● 昨日書ききれなかった「かんぽ生命」のことだが、まず民営化4年後の総資産が91兆円というのは、どのような試算から弾き出されたのか極めて疑問だ。骨子としては「主力の学資保険や養老保険に医療保険などの第3分野商品を開発する」とある。そして、中小企業経営者対象に長期平準定期保険を散り扱うとある。
 実は、この陰には「定期付き終身保険」がある。これらの商品ラインアップを考えると、4年後に「総資産が減る」シナリオは極めて考えにくい。

● 少なくとも、4年間でよほど経済環境が悪化しない限り、資産を持つ企業(生保)が有利になることは間違いない。果たして112兆円でスタートを切って4年後に91兆円は、契約を取らず資産も運用悪化して劣化するならないシナリオではないが、これは考えにくい。少なくとも現状維持か増加しているはずだ。(注:本日の「日本経済新聞」の「日本郵政」の記事に誤りがあった。「かんぽ生命」の事業規模を112兆円とあるもこれは総資産の誤り。しかも記事の中の説明は「低金利環境で魅力が薄れている簡易保険に代わる新商品開発をうたった」とあるが、これが説明か貧弱だ。)

● 日銀が「0.5%」からの引き上げをねらっている現状からすると、4年後はこの方向性が逆行することは考えにくい。じわじわと金利上昇局面で「かんぽ生命」が指をくわえて何もしない(仕掛けない)ことはあり得ない。
 だからこそ、対等にあるいは勝つために今民間生保の現場は「定期付き終身保険」に強くなっておく必要があるのだが、どうもまだピンとこない、生保あるいは現場関係者は少なくない。

● このままの放置は、「積立利率変動型」を含む「定期付き終身保険」の既存の大手民間生保群と「かんぽ生命の『定期付き終身保険』」の狭間に立たされた資産規模の小さい生保は打つ手なしとなるのは当然だ。
 少なくとも「知識武装」を一刻も早くして、できるだけ両者が”本気になる前に手を打つ必要がある”と強く考えるが、親方日の丸の企業体質では「その時」になるまで分からないのだろうか。

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4月27日(金)

「かんぽ生命」91兆円の不可解さ!

● 最初に今日はお礼から。ある高名なFPの先生から、現在使用している「書籍注文書」の貼り付け方を教えてもらった。以前からああいうのいいなあ、と思ってはいたが、とにかくやり方が分からない。ところが教えられた通りやってみると「簡単じゃあないか!」という次第。
 ところでしばし考えさせられたところはその「注文書の中にある、メッセージ欄」の対処だった。

● 面倒に感じるかも知れないと思ったり、でも質問などを書くには必要かな、と考えて末尾に残すことにした。ところが最近ではだいたい2,3割の方が何らかのメッセージ(質問含む)の書き込みがある。実際に実行してみて気付いた有効活用だった。

● ということで、少し紹介してみたい。

○ 1月よりブログの更新がなかったので心配しておりました。毎日楽しみにしております。(○○代理店)

○ スゴイ面白いです。業界に身を置く自分としては、これからも内情を暴いて加入者保護に力を注いでいただきたいと願っております。(中略)お客が一番知りたい内容は、どの保険会社も今だに隠そうとしているようです。(後略)

○ 今日の損保系生保の話は耳の痛い内容です。しかし指摘されたことはその通りで毎日がノルマ漬けでとてもこのような本を読む機会(時間)などないというのが本音です。実は以前この本を申し込んでいたので、突然送られてきてびっくりしたのですが、ところが今相談されているお客様への回答(定期付き終身保険の払込満了の取り扱い)がそっくり掲載されていることに驚きました。1件まとまりそうです。(後略)

○ 面白い本があると紹介されブログを見て注文しています。でもこんな本音満載のブログがあったなんて知りませんでした。これからもがんばってください。(後略)

 等々。もちろん、いろいろな方々がいろいろな思いで購入されると思われるが、こういうメッセージを頂戴すると嬉しいものです。とりわけ現在の保険業界のあり方に疑問を持っておられる方が結構いらっしゃることがわかり、やはりこれからも発信し続けねばと改めて決意(やや大げさ?)した次第。

● 3番目の方からは、メッーセージ欄に字数制限で書ききれずに別にメールも頂戴した。どうやらあるグループで資料として使いたいらしいのだが、部数がまとまると割引制度があるかどうかの質問もあった。これはついブログには記載を忘れていたことで、早速、追加記載することにした。

=ここからが、今日の本題ですが・・・=

● さて「郵政民営化」のことを書こうと勢い込んでいたのだが、先にメッセージを紹介している内に少々神経を使い、しばし休憩を。
 要旨は、117兆円とも114兆円とも言われる、スタート時の「総資産」が民営化4年後に「91兆円」にまで減るのか、どうもその根拠がわからない。

<続く>

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4月26日(木)

ソニー生命はどこへ行く? そして損保系生保は・・・?

● 「ソニー、金融子会社(SFH)上場へ・調達3000億円規模」のニュースが流れた。いよいよである。この金融子会社上場については諸説が囃されたが、結局エレクトロニクスのソニーとしては、本業回帰の大きな流れの中で「打ち出の小槌」として資金調達に乗り出した、と見るのが正解だろう。

● もちろん上場後はいかようにも扱えるわけで、M&Aを仕掛けられようがあるいは何もなくとも何とかなる二股をかけた経営戦略が取れる。ただ、生保・損保・銀行の3業務を丸ごと買うメリットはやっかいな気もするが、しかしそこはそのM&A専門企業の手腕だ。

● 昨年だったが、その筋の専門家たちと話をした際、「ソニー生命」の価値について話が進んだが、その評価は真っ二つに分かれた。高い評価をした専門家は、かつてある外資系生保が売りに出されたときの値段1兆円(話はまとまらなかった)を引き合いに出し、7~5000億円と言ったが、一方では「LP」が丸ごと着いてくるならいいが、売却と同時に散らばったのでは価値は下がり、結局箱だけを高い買い物をさせられる、と解説する。

● もっとも、営業員の仕切り直しをした現在では、人的価値は高い評価をしても良いと思われるが、問題は今後のソニー生命の価値の評価だ。かつては「ソニー生命に契約を取られた」となると、他の生保営業員は泣き寝入りが多かったが最近はそうでもなくなった。それほど営業力が落ちてきているとも言えるのである。
 また、「ソニー生命」に大きく立ちふさがるのが「銀行窓販全面解禁」と見られている。

● 果たして、これからの「ソニー生命」はどこに行くのか気にはなるところだが、自らが「買い手」となる可能性がないことから、どこと提携あるいは売却されるかに関心は向くことになる。今なら、「ソニー生命」単体を買いたいとする金融会社はあると思われるが、上場後3社をまとめてとなると、手を出す企業もかなり専門的なファンドが入り込んでくることになる。

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● 「ソニー生命」についてこのように書いたところ、早速「損保系生保はどうなるか」という主旨の質問を頂戴した。まあ、さらさらと回答できるような質問ではないので、明日以降にじっくりとも思ったが、おそらく多くの代理店の方が同様の疑問を抱えていると思われるので、ポイントだけ書き記すことにした。

● 間違いなく「かんぽ生命」誕生で規模の評価が高くなるのは間違いない。つまり、規模が大きくネームバリューがある生保の立場が有利に働く環境ができる。もちろん、「かんぽ生命」は当分の間「半官半民」だ。国民からの信用も高いまま「保障型保険」販売に軸足を置く販売戦略だ。

● つまり、ここまで公になってもぴんと来ない損保系生保があるとしたら、代理店は速やかに軸足を他の生保に移した方が賢明だ。今のところは親会社のネームバリューで持ちこたえているが、競争激化にともない生保業界では相手にされない生保になりかねないからだ。もちろん、生保として経営が成り立たないわけではない。ところが契約を取るとなると、契約者の目は厳しい。

● 決して現在のアリコの販売戦略を是とするわけではないが、かつては「アリコ」と言っても知る人は極めて少なかった。しかしAIGの企業販売戦略で「AIGグループ」としては第6位にまで「総資産」は増大した。
 もちろんまだAIGグループとしては不満だろうが、徐々にその方向性はより鮮明になってくるはずだ。

● これに比べ、損保系生保の戦略は実に寂しい限りだ。早い話が「デフレ対策保険商品」販売に明け暮れたお陰で、金利上昇局面対策保険商品の市場投入が完全に出遅れた。これでは勝てるわけがない。もっとも、ある国内生保がやったように契約を身内だけで建てて数字のタコの足化をしていくなら、表向きは何とか保てるが、そこの代理店はこれではたまらない。文字通り自爆集団になるだけだ。

● やはり、問題があるのは「危機意識の欠如」だ。少なくとも一部の損保系生保が泥舟になっても気がつかない経営陣ではダメだ。あまりにも生命保険を知らなすぎる現状では、他の生保に勝てるわけがない。グラフを見て文字通り「コップの中の戦いに安住」しているようでは、私でなくともダメだと言うのは疑いようがない。

● 「日本の保険業界の真実」の91ページの表を見ていただきたい。そのグループ下位10グループの中に損保系生保が5社もいる。しかもこれからの拡大路線の戦略は全く見えてこないのだ。まさに「ほどよい勤務、ほどよい給料」になってはいまいか。実にもったいない話である。(実際は「共栄火災しんらい生命」も入るが、既に「富国生命」との子会社化が明らかとなったため、富国生命グループにいれた。)

● 今度のGWでは、損保系生保の研修担当者は、2,3時間をかけて「日本の生保業界の真実」を読破しておけば、保障型保険商品の攻略ポイントが分かることから、一皮も二皮もむけると思うのだが、ダメか!


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4月25日(水)

和歌山カレー事件の林眞須美被告とルーシーさん事件、地裁で無罪


● 昨日の東京地裁の判決で「ルーシーさんの準強姦致死について直接証拠がなく、状況証拠の積み重ねによる検察側の立証では犯行を類推できない」として、無罪となった。最近は一般常識からすると実に不可解な判決が目に付くようになったが、この判決も間違いなくその一つだ。
 
● ところで、この裁判長の判断が是だとすると、「和歌山カレー事件の林眞須美被告の死刑判決も無罪」になる理屈だ。ただ、この「和歌山カレー事件」には当時から関わった経緯から「死刑判決」についてはいささか疑問を持つ一人だ。
 つまり、弁護団も同様の主張をしているが、「カレーにヒ素を入れる動機と目的がはっきりしない」点だ。確かに「ヒ素」を使い「保険金詐欺事件」は起こしている。しかし、その手口を見ると、実に「計画された保険金詐欺」であり、「激高して何の利益も生まないカレーにヒ素を入れる」ことは極めて考えにくいのだ。

● しかも証言がころころ変わり誰も「林眞須美被告」がカレーにヒ素を入れたところを目撃しているわけではない。この部分だけを捉え今回のルーシーさん事件と重ね併せると「無罪」となるが、林眞須美被告の場合は、実際これまでヒ素を使用してきた経緯から「ヒ素の使用量」については熟知していたはずである。4人の死者と63人もが急性ヒ素中毒被害に遭う量を投入するメリットは考えられないのだ。

● 事件当時はTV等のマスコミでほぼ2ヶ月間あまり意見や解説をしたが、すればするほど「保険金詐欺事件は確信犯」だが、果たしてかの「カレー事件は犯人か?」の素朴な疑問があった。あまりにも短絡的犯行なのだ。
 果たして、「保険金詐欺」がどのようにして実行されたかを知るために、私自身のPB(プライベートブックス「生保の真実・第2号」1999年8月発行号・絶版)の中に20ページにわたりまとめてある。

● 保険の知識もさることながら、計画から実行まで実に淡々としかも時間を費やして保険金詐欺事件は行われている。普通は「死亡保険金を目的とした詐欺事件」が多いのだが、要は殺さずに且つ保険金を受け取ることを企てているのである。それを示す「保険金詐欺事件」の解説を先の「保険の真実・第2号」でしているのだが、改めてその内容を検証してみたくなった。

● 再掲載という形でもここで取り上げてみたいがどうか。掲載希望の方は下のいずれかあるいは両方をクリックしていただきたい。この20ページは一気に読んでしまうほど、保険関係者には関心がある内容だと思う。実はこれを書きながら、つい開いてしまったら一気に読み込んでしまった。

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4月24日(火)

銀行員が喜びそうな諸利率の話

● ある金融機関(銀行と思われる)に勤務されているからメールを頂戴した。「19年度版・日本の生保業界の真実」の71ページから書かれている内容は本当か、という質問だ。特に72ページの「30年間の5,000万円がなんと”タダ”?!」にはよほど関心を持たれたらしい。
 
● もっともこの内容を読み砕くにはかなりの数字について労力を費やす必要がある。まあ、このブログを見るくらいの方なら、本誌を見ていただければ良いので説明は略すが、「もちろん、前提条件が当てはまればこれは事実です。」とメールで回答をした。

● もちろん「前提条件」が、現在は大きなネックなのだが、どうも日本経済はヒタヒタとその「前提条件」の方向に走りつつある。おそらく、予定利率が3.0%台、4.0%台に復する状況になると、「生命保険の諸利率に強い銀行員」は、我が世の春を謳歌することになりかねない。
 
● ややもすると、「銀行窓販全面解禁」で保障性保険商品販売はコンサルティングが不可欠だから、銀行では無理と思いがちだが、(当初は私もそのように考えていた)しかし、直接銀行関係者と話をすると、保険会社との感覚の違いを痛感させられることが少なくない。
 つまり、「手数料を得るための生命保険販売」がメインであり、そこにはコンサルティングセールスの思想は馴染まないのだ。

● もっとわかりやすく言えば、5,000万円の死亡保障が希望なら、「終身保険+定期保険」で5,000万円のプランを保険関係者は前提で考えるが、しかし、彼らは「終身保険5,000万円でも構わない」という発想なのだ。
 当然のことながら、そこに「生保の諸利率の知識」が役に立つことになる。このように考えていくと、預金残高が相当ある顧客は時間の経過とともに攻略される可能性が高い。
 
● 現にあれだけ不確実な「変額保険や投資信託」でも膨大な量を販売した。もし、「保険料前納率」が2.0%、3.0%、4.0%・・・となってくると、保険料総額比較をするだけで、次から次へと契約の山が築かれていくことになる。
 確かに今は絵空事だが、同誌の73ページで説明してある「保険料前納率6.0%」のケースでは、30年間分の保険料がわずか「12.159年分」で済むことから、文字通り「保険料の無駄はストップ!」という銀行窓販をやられたらこれは既存の直販チャネルとしては死活問題だ。

● とはいえ、そんな「諸利率」にまで達するには相当の年月を要するはず、と「先の話」などと「ぼー」としている内に、別にそこまで高い諸利率でなくとも何らかの魅力ある話法を編み出す可能性はある。
 


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4月23日(月)

景気回復を素直に喜べない損保の憂鬱

● 昨日の最後に「フェース・トゥ・フェースの営業特に生保営業に対しては、やや諦め気味なのがはっきりしてきているのだ」と書いた。特にこのことは「損保系生保」に当てはまる。具体的に説明すると「個人変額年金保険」への思い入れだ。
もちろん「銀行窓販全面解禁」を睨んでの先手を打ったことになる。
 「東京海上日動フィナンシャル・三井住友メットライフ」が好調に業績推移し、さらに「ミレア」はJPモルガンと提携して「変額年金再保険会社」を、また三井住友海上メットライフはアリアンツの変額年金生保に協力するとされる。
 また「共栄火災しんらい」は、実質「富国生命」に売却され、変額年金専門生保に生まれ変わるという。

● 損保系生保はその大半が平成8年のセロからの出発としてはここまでよく健闘してきたといえる。しかし、生保事業としては踊り場にさしかかったとも言える業績実績だ。当然のことながら「売れる保険商品」に着目し、それを積極展開することは企業の論理だ。ただ、見落としがちなのは「個人変額年金」に走る余り代理店チャネルの生保販売はどうなるか、という点だ。

● 少々怖い話をしよう。もし、金利情勢がもう少し上がりいわゆる大手生保の「逆ざや構造解消」に目処が立つと、果たして大手生保は何を仕掛けてくるか。既に報道されているように、まず「配当金競争」だ。当然のことながらこの競争について行けない国内生保は脱落していくしかない。
 
● 次のターゲットは「無配当保険」の問題だ。説明するまでもなく「有配当保険」より予定利率が高いため保険料は安い。が、これはあくまでも右肩下がりの経済下では「保険料が安いメリット」もあった。ところがこれからはこれまでと全く逆のベクトルに生保の価値観が変わるのである。
 
● 「予定利率引き上げ」さらには「配当金競争」がマスコミなどで囃され始めると「保有している無配当保険」に対する疑問は契約者への損得勘定に走りかねない。もちろんここまでは保険募集にミスがあったわけではない。しかし、その時になってもデフレ時代の保険商品スタイルでしか営業ができないとなると、これは代理店としては手も足も出ない状況に追い込まれることになる。

● 少し中身は違うが「損保ジャパン」の提携している「第一生命」の保険商品販売で全国規模で作成契約が発覚し処分を受けた。しかし、「売りたくない保険商品は売れない」のが当たり前なのだ。結局、ノルマのために自爆をしたことになる。保険商品の中身が”更新型”であることを知れば、しかもそれしか選択肢がなければ、間違っても優良顧客に売るわけにはいかない。
 
● つまり、代理店が自信を持って売れる保険商品を提供しないことには、「ノルマだ、売れ売れ」では、このご時世通用しない。少々厳しいことを言えば「一部損保系生保がのめり込んでいる個人変額年金保険」も今後長期間にわたって右肩上がりで売れ続けるわけではない。と言うのも「変額保険である以上運用悪化のリスク」は常につきまとう。運用悪化=売り止め状態、となる可能性はいつでも内包しているのだ。
 実は国内大手生保は、文字通り平成始めに「変額保険」でその悪夢を体験している。現在もその塩漬け状態から脱却できずにいる生保も少なくない。

● 本当に損保系生保は大丈夫なのか。まさか、「かんぽ生命」誕生に埋没していくことはないのか、甚だ心配だ。もっとも賢明な代理店諸氏は乗り合いをしていることでそう心配はしていないと思うが。

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★契約者本意の保険プロとFPのための保険情報=34=★

2007年04月22日 | 保険
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4月22日(日)

最近の生保雑感

● 先日「日本興亜損保」の株価がM&A絡みで上昇した。一気に1000円台となったのだが、今後はこういう動きが損保銘柄では出てくるのは避けられないだろう。損保業界は此までの10年で日本における合従連衡はひとまず落ち着いた。これからの10年は外からの「M&A」対策が不可欠の10年間だ。

● 今更説明するまでもないが、損保株主の外国人保有割合は総じて増加傾向だ。中には国内損保首脳が「友好的関係であくまでも投資目的と聞いている」と、とてもお気軽な発言をしていたが、果たしてそうか。とかく利益率が高いとされる日本の損保をいつまでも外資系保険会社が指をくわえて見ているとは考えにくい。

● そもそも株式上場をしたら「誰にでも株主になる権利」が生じるわけで、その保有が高まれば高まるほどいろいろな制約が企業側には出てくることになる。もちろん株式を購入するたびに「経営には一切関係しません」と言うような念書でも書くならともかく、そんなことはあり得ない以上、今後手のひらを返すようにいろいろな仕掛けが起きる可能性はゼロではないのだ。否、極めて高いとも言い切れる。

● ところで、損保は株式上場しているだけにこの手の話は生臭くなるが、目を転じて「生保業界」となると、混沌としてくる。「19年度版・日本の生保業界の真実」の91ページを見ると分かるように「グループ毎総資産一覧」は既に(図表④ーB)のようになっている。
 つまり「かんぽ生命」が民営化されたら「日本生命の50兆円」の上に「114兆円」と予測される「かんぽ生命」がランクされることになる。当然のことながら「総資産一覧」が流布されるたびに「総資産評価」は高まることになる。

● 当然のことだが、金利上昇局面では「規模の優位性」がはっきりとなる。それが如実になるのが「国内生保では『配当金』」だ。「19年度版・日本の生保業界の真実」でも取り上げたが、マスコミ的には「増配」を吹聴した記事が出たが、実際は生保間格差は明らかに拡大している。
 つまり、同じ保険に契約しても、A社は3万円、B社は0円という状態なのだ。しかももっとも良いはずの生保ですら「配当準備金」が比較的良かった平成5年に比べると、「日本:59%・第一:52%・明治安田:56%」にすぎない。
 3社より経営体力が落ちる「住友:19%・三井:22%・朝日3%」と言うのが実態だ。(「19年度版・日本の生保業界の真実」24ページ「図表⑫」)

● 俗な言い方をすると「持つものが勝つ」のである。となると、改めて91ページの(図表④ーB)を見ていただきたい。5位の●、7位の●、8位の●それに個社としては業績も今は悪くないがこれからの荒波に翻弄させそうな9位の●などは「M&A」の対象になりやすい保険会社だ。
 もちろん、日本の生保の場合は上場しているところが1社のため、友好的M&Aとなる可能性が高いが、経営体力が上位生保に追いつかないところは申し入れを受け入れないわけにはいかない経営環境になる可能性は高い。

● 一方、買い手となると、やはり1番手は「総資産6位のAIG」となるが、かなり株価も安定したことからすると、10年後の某保険会社の超大買収を考えるとここらでもうひとつ日本市場での存在感を強くしておきたいところだ。

 もう一つは「11位のアクサグループ」だ。以前は本国の不振もあり日本市場からの撤退も囃されたが、今は一転して買収側候補の1,2番手だ。もちろんここに至るまでにはいろいろな営業手法に対する批判もあったが、本国の他保険会社買収
さらには日本では「SBIホールディングス」との提携を考えると、じわじわと日本の保険市場(生保だけに限らない)への浸食を始めたと言って間違いない。

● ちなみに「ソニー生命」は「エイゴン」とヨリを戻した格好で「変額年金生保」を、また「アリアンツ」は「三井住友海上メットライフ」の協力で同じく「変額年金生保」を立ち上げる。さらには「ミレア」は、「JPモルガン」と提携して「変額年金再保険会社」を設立する。

● おわかりだろうか。各保険会社のシナリオには、フェース・トゥ・フェースの営業特に生保営業に対しては、やや諦め気味なのがはっきりしてきているのだ。
なぜか?


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4月21日(土)

● 「医療保険広告 不安あおるな」(朝日新聞)

 この見出しで今日の「朝日新聞」一面に囲み記事が出ている。早速「朝日新聞のHP」へ飛んだが、この記事が見あたらない。またよくよく記事を見ると最後に「くらしとマネー取材班」と記載がある。つまり、記事内容が広告などのスポンサーに気兼ねするケースでは、とかくマスコミでは使われる手だ。営業面からのクレーム対策と考えるとわかりやすい。

● 中身は、「厚労省は2月下旬に掲載されたある外資系生命保険会社のがん保険の新聞広告について、一定額以上の医療費を支払った場合に払い戻しを受けられる『高額療養費制度』の説明が一切なかったとして経緯をただした。」と言うものだ。「広告では、がんの平均入院日数と1日当たりの診療費の一覧表を載せ、医療費が計100万円前後掛かるかかることを示唆。その下に『実際は3割程度の自己負担になる』と注釈をつけているため、30万円ほどの負担をまかなうのに保険が必要との印象を与えていた」と、続く。

● この「高額療養費制度」については、以前の「読売ウィークリー」の医療保険特集のコメントでも「(かなり大変な病気でも)毎月の医療費負担は10万円程度で済む」と、書いたことがあったが、今やこの「高額療養費制度」を知らないで、保険プロとかコンサルティングセールスを自称する営業員や代理店はいまい。実際記事にあるように、1ヶ月100万円の医療費でも患者負担は10万円以内で納まるのである。

● しかも、最近の医療機関事情でだらだらと長期入院はさせてくれない。さらに言えば、今年の4月から「高額療養費の支払制度」が変わった。これまではとりあえず医療費負担の3割相当額を窓口で支払い、後で高額療養費との差額を患者サイドが申請すると言う少々面倒な手続きを要した。
 そのために、平成15年度・政府管掌健康保険の「高額療養費制度該当数は約179万件」だったが、還付を受けた人は約110万人で約69万人は還付申請がなかったという。
 ところが、事前に申請は必要も、4月からは3割負担から高額療養費分を差し引いた実費を医療機関窓口で支払えば済むようになったのだ。これで、100万円の医療費でも1ヶ月10万円足らずで医療費負担は済むことになる。 

● この「高額療養費制度」については、保険営業関係者は必ず知っておくべき「常識」と考えて「19年度版・日本の生保業界の真実!」の中でも4ページにわたって(39P~42P)解説した。
 
● 「19年度版・日本の生保業界の真実!」については、発行以来いろいろなメール等を頂戴しているが、何人かの方が見抜かれたように要は「医療保険分析誌」なのである。実は、かなりシビアな「医療保険関係」のものは別途まとめているので今回は表題をややソフトにしたが、指摘されたように一読すると「医療保険解説本」なのである。
 
● 例えば、生命保険の営業現場では今や「医療保険」の話題は必須条件だ。ところが膨大な保険契約がある「定期付き終身保険の80歳までの特約保険料の仕組み」すら知らないでは、話にならない。少なくとも契約者としては安心して任せられるわけがない。アバウトで下手したら100万円単位で損失が出かねない特約の仕組みすら熟知しないのは勉強不足である。
 ところがこれまで「定期付き終身保険の特約の多くが『更新型』だったこともまた80歳までの一括支払いのカラクリ」も丁寧にひもといた出版物は無かった。

● おそらくこの内容では一般書籍として店頭に並べても一般契約者には理解は難しいと思われるが、保険関係者には向こう数年は役に立つ1冊だと自負している。今回はどうにかいろいろな方の協力を得て最低部数発行までこぎ着けたが、完売したら部数的に重版はどうか実に悩ましい。
 と、悲観的になる一方、発行以来注文頂く先が少々変わってきている。税理士事務所と大型代理店からの10部単位の注文だ。もちろん何十カ所からと言うものではないが、全国ばらばらのところから、5部、10部15部というような注文が何カ所かから舞い込んでいる。
 読者対象を保険関係者としているため、税理士事務所の方からのまとまった注文にはやや驚きだが、時代の趨勢なのか。節税保険商品で振り回された税理士さんも少なくないということで、このような硬派の書籍を希望されたのかも知れない。
 
■ ちなみに指摘された広告を掲載した外資系保険会社名は、わたしのHPの「かわら版読者専用室」にその掲載日とともに書いておきました。
 
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4月20日(金)

● 「富国生命の二重契約奨励」問題を剥ぐ!=②=

● 昨日に続き「富国生命の二重契約奨励」の紐解きをしよう。昨日の最後のところにまとめてたが、各紙の記者を含めおそらく一般の読者もあれだけでは意味不明だろう。もう少しかみ砕いて説明しよう。

● 生命保険の営業員・代理店の取扱手数料は、現在加入している自社の生命保険を解約して新たに同じ保険契約をしても手数料は貰えない決まりだ。これを良しとすると取扱者は安易な取り扱いで手数料を稼ぐことが可能になる。もちろん何も知らない契約者にはメリットはない。

● ところで、加入している契約を「解約」して新たに同じ保険に加入し直すのと同じように、「定期延長保険」や「払済」あるいは「自動振替貸付」などに現在加入している生命保険を変更して、同じ保険商品に新たに加入し直した場合も、「解約」と同じように、手数料を支払わない規定にしてある生保がほとんどだ。もっとも規定はあるが、それを実施しているかどうかは各生保により異なる。

● 今回の「富国生命」のケースでは「保有契約高のかさ上げが目的」と言うことからすると「定期延長保険」に加入している保険契約を変更し、それと同じ金額の保険契約をすると、保険契約高はこれまでの金額と新規契約分で、契約者は新規分の保険料しか支払っていないにもかかわらず、契約高は二重に計上することができるのである。

● 「定期延長保険」をここで説明しておく必要があるが、これは、蓄積している解約返戻金を使い、それまでと同じ保険金額の定期保険を一時払いにして変更する保全契約の一つだ。こうすることにより、保険料を払わずに保障だけを確保することが可能だ。
 しかし、問題はこれまで付加されていた「特約」が消滅することと、蓄積している解約返戻金の金額により、その保障金額が満期まで持たないこともあり得ることだ。

● しかし、「富国生命」のケースでは、一時的に「保有契約高のかさ上げが目的」と言うことから、「定期延長保険」が”短期”でも良いことになる。もちろん新規契約にできるだけ多くの保険料を使うためにもこれまでの保険から解約返戻金などを移し替える必要があるため、「契約者貸付」を使い、その残りを「定期延長保険に変更」したものと考えられる。
 こうすることにより、保有契約高は同じ保険料でほぼ倍の保険契約高を計上できるのである。もちろん契約者のデメリットは少なくない。

○ 既契約の継続性を絶たれたデメリットーーー配当金、解約返戻金などの継続することによる得られる契約者メリットが消滅。

○ 新規加入によるデメリットーーー加入年齢による保険料損失(高い保険料に加入)、低い予定利率契約に乗り換え。

● もっとも、新聞紙上ではデメリットだけのように思われるが、唯一メリットもある。それは二重契約中に死亡(高度障害)した場合だ。そのままだと1件の保険からしか保険金は支払われないはずだったが、こうすることにより「延長定期保険の効力がある期間内」の死亡であれば、ダブルで保険金を受け取ることができるのである。もちろん、これは当てつけ的解釈だが。

● 一般的に、既契約を「延長定期保険にして同じ保障額の保険に新規加入させる」ようなことをすると、契約者の損失もさることながら取扱者のモラルも低下する。ただ、保険会社としてはどうかとなると、既契約の加入時によっては大きな損失とはならない。このやり方を毎年やられたのでは、契約の掛かる費用はマイナスとなる。しかし、それでも自然体でも「解約や定期延長保険などへの変更」はあり得るわけでその範疇内と捉えると、単純に「保険契約高のかさ上げ」をしたかったものと思われる。
 もちろん、このようなやり方で契約を計上しても取扱者には手数料が支払われない仕組みの生保がほとんどだが、今回の場合はこのようなことをしても「手数料を支払う」としたところに大きな問題がある。

● やはり問題は「取扱者の家族などに限る推奨」を行った点だ。これでは、「富国生命」の取扱者を家族に持ったら、まさに手数料は、”たこの足状態”となり、延々と保険料を支払い続け、唯一の契約者メリットは早く死ぬことになりかねない。まさか、「共栄火災しんらい生命」を買収したが、このような手で銀行窓販をやられたら契約者はたまらないから注意が必要だ。

● もちろん「富国生命」の問題は、これらの事実を隠蔽したことだ。特に支社長宛に指示ししかもその紙はコピーができないもので後でばれないようにしたかなり悪質な手法だ。ただ気になるのはこのような「手数料引き戻し規定の変更」については、組合との協議事項になっているはずで、果たして「富国生命の組合」は、当時どのような対応をしたのかが気になるところだ。
 単純に取扱者の手数料が増えるなら賛成、としたのであればあまりにもお粗末な決断と糾弾されるべき代物だ。

 これで、金融庁の処分が甘いようなら「契約者を騙してでも保険を取った方が勝ち」というのが生保業界のビジネスモデルになりかねないが、果たして処分はどうなるか!

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4月19日(木)

● 「富国生命の二重契約奨励」問題を剥ぐ!=①=

● 知りうる最初の報道は、18日付けの「読売新聞」で、「富国生命 客に不利な契約を指示」がその見出しだった。同日夕刊で「毎日新聞」が「富国生命、二重契約奨励」と報じ、19日の朝刊で「朝日新聞が顧客に不利な契約変更指示」「日本経済新聞が顧客に不利な保険契約」と見出しを付けて報道した。

● ここまでくると、さすがに「富国生命」からの何らかのメッセージがあるものと同社のHPからニュースリリースを探したが、今朝の段階では一切ない。ということは、03年7月~10月の5,943件に及ぶ「不適切な指示」による内輪の処分と同じく今回も内々にすまそうという魂胆か。

● はっきり言えば、これは今回の「不払い問題」より中身が悪質だ。保険契約の二条契約を会社として推奨したわけで、これはいわゆる「確信犯」である。おそらく記事を読んだ契約者はもちろん、保険業界関係者でも、富国生命が何をどのようにしたのかわかりにくいはずだ。このことは各紙の記事でも明確に説明がなされていない。

● 「読売新聞」によると「加入している契約を解約させそこから生じる解約返戻金を一時払い保険料として解約した保険と同じ保障内容の契約を結ぶ。顧客は一時的に2つの保険に加入することになり、富国生命の契約高はかさ上げされた」とするもの。
 ただ、これは考えにくい。これまでの契約を解約した時点で契約高は消滅するシステムから解約した保険契約高が瞬時たりとも計上されることはない。もしシステムまで解約契約を一時的にせよ計上させることを仕組んだしたらこれは現在の各社の契約業績の信用を失う重大事だ。
 余談だが、せいぜいあるのはどうしても今月の数字が欲しいことから「〆切日のシステムがトラブルを起こし契約の入力作業が物理的にできなくなったことにして締め切り日を1日延長した双方とも有名な国内生保と外資系生保の例」はある。まあ、この手の話は掃いて捨てるほどあるからそう問題ではない。

● 「毎日新聞」の場合は「既存の保険の金額を維持したまま期間を短くすることで契約者の負担を軽くするのと並行して、新しい契約を結ばせていた」とある。しかしこれも意味不明だ。期間を短くすることで保険料負担が大きく軽減されるならともかく、いわゆる契約者は同時に2つの保険契約に加入していただけで、これではそもそも契約の違反とはなりがたい。

● 「朝日新聞」では「既存の契約を『延長保険』として同じ保障内容の短期間の定期保険に変更させる一方で、変更で生じた返戻金などで保障内容を下げた別の保険などを契約させていた」とある。少なくとも単なる「延長保険変更」では、変更で生じた返戻金など生じることはない。

● 「日本経済新聞」は、扱いの分量も他紙より最も少ないが、「同社は保険料を安くしたいという顧客に既存の契約を一定期間残すとともに、同じ保障内容の保険に新たに加入し直すことを勧めていた」とある。

● おそらく各紙の記者は、直接「富国生命の広報」から取材をしてそれをまとめたと思われるが、もっとも肝心なところはどの新聞も掴み切れていない。1紙毎の取材では自ずと「分からないところが分からない」取材になることが多く、よくある記者会見等とは異なり、疑問点が明確になりにくい。

● では一体何が「富国生命」では行われたのか。
 もちろん推測の域は抜けないものの、おそらくこれが本星だろう。少々一般の契約者には分かりづらい話と思われるが、こうだ。

■ これまでに加入していた保険契約がありそこには「解約返戻金と配当積立金」が蓄積している。そのままの継続では「富国生命の保有契約高」はそのままだ。そこで、「解約返戻金から契約者貸付を、配当積立金は引き出し」を行い相当額を契約者は手にする。この解約返戻金等で新規契約の何年か分の保険料に充当し、これまでの保険は「定期延長保険」にする仕掛けだ。

 これを理解するためにはもう少し説明をする必要がある。続く。


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■第1回■「日本の生保業界の真実」(「定期付き終身保険」の秘密!)

2007年04月17日 | 保険
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■第2回■ =60歳や65歳の保険料払済世代が急増する恐怖!②=

● さて、これから何が起きるかをズバリ指摘しておきたい。もし営業員や代理店として「勝ち残る」には、少なくとも「定期付き終身保険」の保険料払込時の60歳や65歳の仕組みに強くなっておくことだ。
 既に「週刊ポスト」(1月26日号)では、60歳や65歳の保険料払済時の「配当積立金」の金額が激減することを説明した。そしてその原因が単に「毎年配当金」にだけあるのではなく、いわゆる「前納金額積立利率」にあることを「19年度版・日本の生保業界の真実」では解説した。

● 問題は、契約者が例えば60歳を迎えたらどうなるかである。契約時の約束では「60歳から80歳までの特約保険料は一括支払い」である。簡単に言えば、年間特約保険料が10万円なら×20年間分でほぼ200万円弱の特約保険料を払い込む必要がある。言うまでもないが、20年間分の特約保険料を支払うことから「全納割引率」が適用され、支払総額は200万円より少なくて済む。

● このような「20年間分一括支払い」を説明すると、「今は年払いでも大丈夫です」と言われる。これで契約者は一部安堵するのだが、何のことはない「より高い保険料負担」を強いられるだけの話である。しかもここには「特約・全期型と更新型のトリック」が隠されている。
 「特約・更新型」の場合は、60歳保険料払済では「60歳の保険料率で再計算された保険料が適用」される。もちろん高い。一方「特約・全期型」なら、「60歳時に適用される保険料年齢は契約時の年齢だ」。どちらが高いか説明するまでもない。その保険料率の20年間分を契約者は支払うのだ。

● と言うことは「年払いでも可」とした保険料の支払い方に「良かった」などと言っている契約者は、20年間分の前納料率分を多く負担させられることになるのだ。しかも「特約・更新型」なら高い保険料率となることから、かなりの保険料総額になる。(参考「19年度版・日本の生保業界の真実」34ページ)

● ここまで説明して「これが保険ビジネスチャンス」とピンと閃かないようでは何とももったいない話だ。もし、60歳の保険料払済を迎え「80歳までの特約保険料」を一括支払い(全期前納)した契約者がいたとしよう。
 このケースでは先ほどの例だと200万円弱の80歳までの特約保険料が払い込まれており、それが1年ごとに保険料として取り崩されていくことになる。もし、2,3年後にこのような契約者と対峙した場合、その保険契約が80歳までそのままで安心かどうかのアドバイスができるのである。

● つまり、200万円弱の保険料が毎年取り崩され、80歳になったら満期となり満期金は0と言うことになる。果たしてこの間の20年間に、200万円弱の給付金等を貰うかどうか、しかも80歳を過ぎたら医療保険の保障はなくなる仕組みだ。
 早い話が、「定期付き終身保険の医療保障の仕組み」を理解せずに、何が何でも自社の医療保険を売り込めでは、あまりにも営業センスが悪すぎる販売戦略だ。

● まあ、これから怒濤のごとく発生する「保険料払済契約」について、「配当積立金・諸利率」の説明すらできないようでは、とても契約者に聞く耳を持たせることなど夢のまた夢だ。
 しかもやや怖い(個人的にはかなりだが)のは、この手の話は「銀行員が好む内容」だ。前にも書いたが、「銀行窓販全面解禁」は、顧客のお金を転がすだけで暴利が得られるのである。

● 早くモデルチェンジをしておかないと、国内生保の「予定利率と諸利率」がもう少し高くなると、「無配当保険」は窮地に立たされるのは「確定」事項だから、とりわけ一部外資系生保と損保系生保は早急にそのための対策を立てておく必要がある。少なくとも専属代理店は、保険会社と契約者から追い込まれることになるから死活問題だ。
まあ、保険業界に限らないが「知識は武器」だ。これらの保険の知識があれば「決め手の一言」が言えるのである。もちろん「知らない」は論外として、「知識に自信がない」ようだと「断言できない」から弱いセールストークになる。


(以下次回・不定期)


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■第1回■ =60歳や65歳の保険料払済世代が急増する恐怖!①=

● 「19年度版・日本の生保業界の真実」の73ページの図が理解できれば、近い将来の銀行窓販が如何に凄まじいものになるか十分に予測可能のはずだ。つまりポイントは「保険料前納率・前納金残金積立利率それに全納割引率」だ。
 もちろん、73ページの図はこれまでの生保業界でもっとも「予定利率が高い」時の数値であることから、今後そうたやすくこんな予定利率の時代が到来するとは考えにくい。
 しかし、その方向に行く過程では「銀行等が販売しやすい保険商品と売り方」が間違いなく出現する。

● 話を振り出しに戻そう。まず取り上げたのが「週刊ポスト(1月26日号)」で取り上げた「団塊世代の生命保険『積立配当金』が半額になる」(本誌9・10・11ページ)の記事解説だ。
 実は、いわゆる団塊世代の60歳が殺到するがこれは「定期付き終身保険」の保険料払済年齢でもある。つまり、18年3月末時点で「1,653万件」もある「定期付き終身保険」の60歳や65歳の「保険料払済年齢」がこれからの数年間毎年怒濤のごとく押し寄せるのである。

● そこで問題となるのが、「ダブル更新型」の問題だ。一つはこれまでにも散々解説してきた(されてきた)「定期保険特約」の部分だが、実はもう一つの「更新型問題」が「医療保険特約や成人病特約、女性疾病特約」等にある。

● もし、保険業界関係者が保険証券を片手に「ここの意味が良く分からないんだよねえ。もう扱い者も辞めてしまって相談するところがない」と言われて、「分かりません」では、あまりにもお粗末な話だ。
 このような書き方をすると「他社の保険契約の解説は誹謗中傷になるのでできない」というもっともらしい”正論”を吐く方がいる。そのような方に限って”コンサルティングセールス”を吹聴している。これはよく考えれば分かることだが、「他社商品解説=『定期付き終身保険・更新型』」をしてもらっては困る、と言うことから始まった”縛り”だ。

● もちろん、外資系や損保系生保の営業管理職の多くも、これを杓子定規に言いたがる。何のことはない。自らが「他社商品(=定期付き終身保険・更新型)」の説明に自信がないからである。とりわけ何でも知っているはずの「損保系生保の営業管理職」の場合は余計ことは深刻だ。

● 断っておくが、外資系生保も損保系生保もその営業管理職がすべてそうだという積もりは毛頭無い。はっきり言えば平成6年頃からのこれまで私のPB(プライベートブックス)を購入して頂いた保険会社のメインは「ソニー生命・プルデンシャル生命・アリコ」(送付先が生保名だけで判断)であることを考えれば、その人脈が拡散している今、確たる信念で営業管理職を担っている方も少なくないのだ。

● もちろん堂々と説明する必要などない。「19年度版・日本の生保業界の真実」で解説した内容が租借できていれば、「確かにおっしゃるように設計書とかなり金額が違いますねえ」とか「あっ、こんなところに書いてありますよ。配当金は約束されたものではありません・・・それに80歳までの特約保険料は60歳の時に一括支払いとなっていますねえ」と、やれば良いわけである。

● 一部損保系生保が「定期付き終身保険・更新型」を腫れ物にでも触れるように逃げたがる図は、その標榜する”コンサルティングセールス”からの逃亡行為だ。大黒柱が加入していた「定期付き終身保険・更新型」の正しい説明・アドバイスもできなくて「コンサルティングセールス」などと言うことは、おこがましい限りだ。

● さて、ではなぜ「60歳時あるいは65歳時などの配当積立金が半額以下」になるのか。もちろん「配当実績が悪化」もあるが、それ以上に大きな影響があるのが諸利率の問題なのだ。
 少し先走りしたい方は、本誌の24・25ページの「国内生保各社の社員(契約者)配当準備金」の一覧表を見ておいて欲しい。この表だけでもおもしろいことが分かる一覧表である。もちろん、説明するまでもなく国内生保間の格差は甚大なのだ。

(以下次回・不定期)


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★契約者本意の保険プロとFPのための保険情報=33=★

2007年04月14日 | 保険
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4月18日(水)

● 生保各社のニュースリリースがどさっと送られてきた。当然中身は「不払いについての状況」だ。最近では各保険会社のHPでほぼ当日の内にニュースリリースをみれるようになったため、便利にはなったが、細部で実際に送付されてくるニュースリリースとは異なることがある。
 もちろん生保全社から送付されてくるわけではないが、基本的に経営内容が厳しいところからは送られてこないから、これだけでも「余り余計なことは知られたくない」のかと、勝手に深読みしてしまう。

● 4月16日の「日経金融新聞」には、「生保38社の不払い件数ランキング」なる票が掲載されていた。第1位は「アメリカンファミリーの1万9004件」だが、朝日新聞をみると「不払いの恐れがあり、今後確認が要る通院特約は38件」とある。どうも単純比較は難しいところだが、アメリカンファミリーにすると”第1位”というランキングはイメージ的にマイナスだ。
 
● 特筆ものは「ソニー生命」だ。169件・1,700万円というのは、保有契約量からしても他の生保よりかなりしっかり管理していたことが分かる。片や「プルデンシャル生命」はどうかとなると、2,494件・2億6,700万円と極めて多いが、ニュースリリースを見ると、その内の7割強が買収した「あおば生命」の契約だとされる。

● ただ気になるのは、「損保系生保の多さ」だ。もちろん件数そのものは他の生保より少ないものの、保有契約件数を考えると、かなり気になる不払い件数だ。どうやら抜本的な販売戦略の練り直しが必要な時期にきたのではないか。
 特に「金利上昇局面」にはそぐわない保険商品販売では、代理店は干上がってしまいかねないから、代理店は早めの対策が不可欠だ。

● にしても「朝日生命と三井生命」は不払い件数上位だ。これ以上のコメントはしたくないが、何とも苦い件数だ。



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4月17日(火)

● 過日の書き込みで「契約者にも1割か2割の責任がある」と書いたところ、何人かの方からメールを頂戴した。まあ、「何人」と言えば、聞こえはよいが3名の方だ。賛成1名・反対1名そしてもう少し詳しい説明が欲しいが1名、と言う中身だ。

● ということで、少し説明を加えておきたい。もちろん、賛成・反対は個々の自由である。ただ、契約者にも少々の責任がある、としたのは「とかく家を買う次に高い買い物」とされる「生命保険選択」をするにあたって、「契約者が100%正しい」とはどうしても言い切れないと考えるからである。
 例えば、マイホームを買うときに業者の話を丸呑みして買うだろうか。少なくとも現場へ赴きいろいろな角度からいろいろなことを検討するはずである。少なくとも出版物を購入し検討もするはずである。

● 片や生命保険はどうか。出版物どころか、営業員の良いなりに「性善説」を原点に契約している例が多くはないだろうか。もちろん、営業員は騙すつもりは無くとも「保険会社が推奨する保険商品」を販売することが、結果的に「契約者損失」につながることが少なくないことを分からないまま販売していることが実は多い。

 その代表例が「定期付き終身保険の”更新型”」問題だ。これについては、できるだけこのブログでも取り上げたいが、もし「定期付き終身保険・更新型」に契約している契約者の方がいたら「19年度版・生保業界の真実」を是非一読して頂きたいものだ。

● もし「医療保険などの特約」までが”更新型”なら、60歳や65歳などの保険料払込時に大変な事態が契約者を待ち受けていることになる。

● ついでに言えば、「アリコの『まもりたい』」についての解説を「19年度版・生保業界の真実」(37・38ページ。「ミニかわら版」の掲載。)にしてある。これを読んで上で契約を決めても損はないと思うが如何か。
 つまり、このような情報も得ずに、後で失敗したと思うのは契約者の勝手である。とかく「生命保険は空気と同じでタダ」と考える契約者なら、先ほどの「1割から2割の自己責任」はあるというのが私の持論だ。

● 言うまでもないが、生保が儲かる保険商品に多くの契約者が加入してくれるから生保は儲かる仕組みができあがっているのである。賢い契約者だけが有利な生命保険選びができるのである。

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4月16日(月)

● 昨日の書き出しである「ブログ2つ」について、昨日は書き損じたので改めて書くと、2つのうち一つはこの「gooブログ」で、もう一つは「ココログ」である。棲み分けは「gooブログ」は文字通り日記風・・・「ココログ」は「保険塾」用としたつもりだが、どうしても「ココログ」は書きにくくしかも見にくい。
 ここ2,3日「保険塾再開!」とばかりにバシバシ書き込むつもりがどうも気合いが入らないのである。

● まあ、緊急性がないといわれればそうなのだが、やはり「三角合併・かんぽ生命・銀行窓販全面解禁」と立て続けに続く07年は、やはり保険業界にとっては激動の始まりになるはずだ。となると、そうのんびりもしていられない。
 
● 今回の「不払い284億円」については、「個人保険の保険金・年金・給付金支払総額7兆5236億円」(17年度)からすると、たいした金額ではないようにも思えるが、ここから「満期保険金と年金」を差し引くと「4兆3036億円」となる。5年間分で284億円ということから、個人保険の保険金・給付金支払額の「0.13%」程度が年間の不払い相当額となる。

● 実は、損保と生保の各社の報告内容が大きく異なる点は、損保はこの割合を強調した。「不払いはわずかこの程度」という本音が垣間見えた。しかも「支払結果」も強調したことで「払えば文句ないだろう」という強かさも感じないことはなかった。もちろんその結果、東京海上日動火災の石原社長は6月の満期まで無事社長の座にいることとなった。当然のことながら他の損保首脳も「居直り」である。めでたし、めでたしである・・・が、これでは処分の重かった「三井住友海上と損保ジャパン」はよほど比較にならないくらい不手際をやったのでは、と思われるが真相はどうか。

● さて、生保に話を戻すと「支払いません!請求があるまでは!」と言うことらしいが、「その請求すべきかどうかが分からない」と言うのだから始末が悪い。そもそも大概の医者の証明書など、字体が崩れて一般人には意味不明な内容が少なくない。
 つまり、保険商品もシンプルな本来の役割に戻す時期ではないのか。

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● 私のHPの「ニュース解説・ニュースヘッドライン」の15日のところにKEN氏がこのような「おまけ」を書いている。
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*おまけ*
      郵貯民営化、銀行窓販売全面解禁で予想されること(仮説)
       (1)最初はノルマがあってもある程度売れる
       (2)ちゃんとしたコンサルに基づく販売でないので一巡後
        あまり売れなくなる
       (3)予算だけは来る
       (4)苦しくなるから現場の営業担当者の退職者が増加する
       (5)管理職の人も予算が達成されず締めつけられ苦しくなり退職
       (6)気がついたらけっこう優秀な人材から先に抜けている
       (7)昔と比べると人材レベルが低下
       (8)企業のレベルが下がるトレンドに
       (9)プロがコンサルして販売していないのでクレーム等
        トラブルが発生し続ける
 
          解決策はいかに?
        こうならない仕組みを考えなければ・・・
        特に死亡保障系の生命保険販売の全面解禁はいかがなもの
        でしょうか?
        すでにそう言う風な現象も一部の銀行では起きていますが・・

● かなり期待値の高い希望的観測と言いたくなる内容なのですが、おそらくこのような展開の実現は不可能・・・と思われるのである。もちろんいろいろな経済状況により紆余曲折はあると思われるが、既に金融機関の金融商品系列販売が絡まっていることを考えると、銀行等は「儲かる保険商品つまり手数料が高い保険商品販売」に軸足を置くはずだ。
 ここで間違ってはいけないことは「儲からない保険商品は売らない」のが銀行等の基本的スタンスということだ。コンサルティングセールスにより顧客本意で利益に薄い保険商品販売などは眼中にない、と言っても過言ではあるまい。

● となると、どのような保険商品を売るかとなるが、いわゆるできるだけパッケージ化した保険商品を生保につくらせ、しかも「保険料は全期前納あるいは一時払い商品」とすれば、何のことはない、売れる保険商品が並べられるのである。
 もちろん、銀行等の狙いは「生保からのプレミアム手数料」だ。まだ金利(運用手段が少ない)が低い現状では考えられない話だが、いずれ金利上昇が明確になってくると「生保間のプレミアム合戦」になる可能性が極めて高くなるからだ。

● 今回発行した「19年度版・日本の生保業界の真実!」の中でも触れたが、かつてそのプレミアムは「4%~2%」と言う時代もあった。もし、1%でもプレミアムが付加されるようなら、早い話が預金をうまく保険契約に移し替えさせれば良いだけのことだ。これで確実に本来の手数料とプレミアムの両方を保険商品のリスク無く手にすることができる。

● 幸か不幸かまだ銀行業界への「19年度版・日本の生保業界の真実!」の浸透度は小さい。しかし、この仕組みを知った銀行等は今年末の全面解禁では積極的に取り組みだしたらこれは笑いが止まらないことになりかねないのだ。
 
● 少なくとも、このような巨富を得る手段を銀行等が見逃す手はない。それだけに先回りして「諸金利に強くなる必要」が生保の営業現場にはある。もちろん、保険会社が先導する目先の保険販売に汲々としていると、優良顧客をごっそり来年は銀行等に持っていかれかねない。

● 少々、期待したいところは、「19年度版・日本の生保業界の真実!」の内容を銀行等に知られるのができるだけ遅いとそれだけ時間稼ぎはできる。当然のことながら早めに優良顧客は囲い込みができてしまえば、一端支払った高額な保険料であることから銀行等から攻略される可能性は少なくなる。

● もっとも話がややこしくなるのは同様のことに「かんぽ生命」が便乗した時だ。予測が極めて難しいことになるが、少なくとも現在の民間生保にするとよほどの余裕資金を持つ生保だけが銀行等とやや対等な立場で営業面の苦労も少なく保険契約を積み上げていくことになる。


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4月15日(日)

● 現在、HPとブログ2つからいろいろな書き込みをしている。HPがもっとも長く確か99年頃の設置だから7年になる。思い返せばこの間にいろいろなことがあった。
 しかし、その間今回発覚した「保険金不払い」が、淡々と行われていたわけで何とも忸怩たる思いがある。

● ところで、14日の全国紙一面にはこの「生保不払い」の記事が横並びで載ったのだが、仕事柄気になるのはその記事の正確さだ。大見出しですぐに気になったのは「38社」と「37社」の違いだ。
 もちろん現在の生保数は38社だ。金融庁への報告は38社がしたはずだが、正確には「カーディフ生命」は不払いはなかった。というよりそもそも調査期間の間はまだ営業を開始してまもなくのことと、他の生保と異なり販売商品が「団体定期保険」と特殊であったことから、不払いが無かったのである。

● そこで各紙を見ると、こうなっている。

【日本経済新聞】「全38社で12万件越す」
【読売新聞】「生保不払い284億円」とあり、微妙に生保数は見出しにはない。
【朝日新聞】「生保38社不払い284億円」
【毎日新聞】「37社、25万件報告」

 このようになっているが、もっとも正確なのは「毎日新聞」だ。「不払い該当生保は37社」であることは間違いなく、該当しない「カーディフ生命」からするとクレームの一つも付けたいところだ。
 実際、当日の各紙朝刊に掲載された「生命保険協会のお詫び」記事でも、生保各社の問い合わせ先に「カーディフ生命」の名はなく、37社となっている。

● だいぶ以前だが、ある大手生保の契約課課長氏と会ったとき「保険金不払い等と言うことは100%無いものですか?」と問いただしたところ、やや不機嫌な顔(と、私には見えたが)、「1件たりともあり得ません」と断言したのを思い出した。

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4月14日(土)

● 久しぶりの書き込み・・・どうも要領を得ないながらもぼちぼちと書いていく。しかし、驚くことに履歴を見るとほぼ毎日100人と迄はいかないものの、多くの方がのモブログにきて頂いたことに素直に感謝!感謝!です。

● さて、前置きはこれくらいにして、早速核心の「生保不払い」についてのコメント。まあ、大概のマスコミの論調は「払わない生保が悪い」でまとまっている。もちろん、「支払う必要などない」等と言おうものなら袋だたきになりかねないから、マスコミはみんなそろって「生保が悪い」で意思統一!

● でも、私は「保険金不払い」の原因の一端は、契約者にも1割か2割くらいはあると考えている。そもそも「内容がわかりにくい生命保険に契約したのは契約者自身」なのだ。もし、”わかりにくい生命保険あるいは特約”に多くの契約者がそっぽを向いたら、販売している生保も売らなくなっただろうし、当然他の生保も追随して販売するようなことはなかったはず。

● 詰まるところ、「こんなに良い保険」と言われて「契約」した契約者にも、1割か2割の責任はあると思うが、如何なものか。ホントは5割くらいの責任・・・と書こうとも思ったけど、実際「保険金(給付金)の請求」をするのは、入院や手術した本人ではなくその家族が申請することが多い。
 つまり、契約時に保険の内容を聞いて理解しているのは、入院している当の本人でその家族はどれほど内容を把握できていたかは疑わしい。結果、「貰えるはずの保険金(給付金)に気付かない」まま、とにかく幾ばくかの保険金(給付金)が送られてくると「1件落着」と思いこんでしまう。

● もちろん、ちゃんとした担当者がいれば、懇切丁寧に書類をチェックしてくれたかも知れないが、それでも「複雑になりすぎた保険商品」に100%を期待することは酷かも知れない。

● そもそも「初日から入院費用が出る」とか、「通院費用も出る」とか、本来の生命保険の枠割りからはやや距離のある特約が多くなっていた点は否めない。果たして入院して4日免責による「損失」はいかほどのものか。またいろいろな条件が付く通院費用など本当に必要か、多いに疑問だ。

● 4月から「高額療養費制度」も変わり、「実費負担金分の支払」で済む。まあ、少々乱暴な言い方をすれば、1ヶ月10万円ほどの支払が可能なら何とか医療費は大丈夫なのである。
 毎月10万円というと、かなりの入院や手術がカバーできる金額だ。

*参考「高額療養費制度」については、「日本の生保業界の真実」(「ブログ保険塾テキスト」・39ページ~42ページ)を読んで頂きたい。いつまでも「入院したら大変なお金が掛かる」等とほざいていると、見込み客からも逃げられる。

● 要は、どのようなときにどのような保障があるかを見極められる保険商品あるいは特約でないと、このような「不払いは無くならない」理屈だ。あえて付け加えると、確かに契約者も1割~2割の責任はあると考えるも、そのような保険商品を「積極販売した大きな責任」は、もちろん、生保にあることは言うまでもない。 


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