6月1日(日)
■ 生保決算特集=その3= 「再保険収入」により「保険料等収入」が急増した生保・ジブラルタ生命」の立場! ■
● まず、生保の業績表だが、このような表で編集の段階でもっとも気にするのが「順位」だ。基本的な「順位表」作成の段階で、新聞各紙は間違いを犯している。そもそも生保の順位が何によるものかの記載が「日本経済新聞・読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・産経新聞・東京新聞」ともないのだ。
● ところがここでもう一つややこしいことが生じる。単体生保順かグループ生保順かだ。例えば「日本経済新聞」で説明しよう。
・大きく2段に分け「大手9社計」と「その他の生保」とにして業績表が作成されている。もちろん順位は「保険料等収入」順だ。ところがしかし、ここで中途半端なことが生じている。少なくとも経済専門紙としては、その専門性を疑うような業績表なのだ。
【単体生保かグループ生保順かが不透明】この肝心なところが、注意書きにもないため、業績数字がちぐはぐになっているのだ。具体的に説明すると、もし「単体生保順」とすれば、「保険料等収入約8,253億円・ハートフォード生命」の記載が無いのはおかしい。金額からは「アクサ生命の上」にランクされる金額だ。
また、「グループ毎」の業績順位だとすると「アクサ生命の6,645億円」はこれまたおかしい。「アクサフィナンシャル生命の1,010億円」の記載がない。言うまでもないがこの生保は「アクサGの100%子会社」だ。
更に言えば「富国生命」にも80%の株式を保有する「フコクしんらい生命」がいる。保険料等収入154億円だ。
これらの基本的部分を業績表を作成する前提で統一していないとこのようなミスは生じる。
【”大手9社”】という表示は既に場違いだ。何を持って”大手9社”と呼ぶのかは不明だが、既に「保険料等収入」でも「総資産」でも”大手”と呼ぶには似つかわしい業績になっているにもかかわらず、いつまでも”大手”と呼ぶのは妥当ではない。むしろ「国内主要生保」とする方がスッキリもする。
またこのようにちぐはぐになってきた”順位表”なら、「総資産順」にした方がわかりやすい。実際、最近の生保業績を見ていると、「保険料等収入よりも総資産」の順位が生保の規模面の実態を表してもいる。
● さて、ところで「日本経済新聞」が、ややちぐはぐなところはあるにしても「その他の生保」では、グループ分けでランク付けをしたがために、唯一「ジブラルタ生命の保険料等収入」が掲載されている。もし、「日本経済新聞」以外の新聞しか見ない読者の場合は「ジブラルタ生命の6,495億円」という、「保険料等収入」の功績を知らないままということになる。
実はここに昨日付で書いた「ジブラルタ生命がソニー生命を陵駕?!」の証拠があるのだ。もちろん「総資産」でもジブラルタ生命がソニー生命を抜いているのだが、その理由は、これまでくどいように指摘してきた「保険料等収入の中の再保険収入」なのだ。昨年度の約88億円から約2,402億円に急増したのである。確かにこれは該当年度だけの特殊要因とはいえ、これも間違いなく生保業績であることは間違いないのだ。
● さて、このように分析してくると、もっとも理屈が通るのは「毎日新聞」だ。グループ毎の順位表としているが、「AIG」には「アリコ・AIGエジソン・AIGスター」の業績が、「T&D」には「太陽・大同・T&DF」の業績、「プルデンシャル」には「プルデンシャル・ジブラルタ」の業績がちゃんと集計されている。もちろん「アクサ」も「アクサ・アクサフィナンシャル」の業績数字が加算されている。強いて言えば「富国生命」だが、これは「フコクしんらい生命」の株式保有が100%ではないことから外したとすれば説明が付く。
● 一方もっとも酷かったのが「朝日新聞」だ。単体生保順とグループ生保順が混在していて、表の意味が不透明きわまる順位だ。そもそも「保険料収入」という表示からして誤り(「保険料等収入」が正しい。)なのだが、もし個社順とするなら、やはり「アリコジャパン」と「アメリカンファミリー」は住友生命と大同生命の間に持ってくるべきだろうし、逆にグループ順にするなら「T&DG・AIG・アクサG」というように誰にでも説明が付く業績順位表にするべきだ。
<近々「保険・かわら版」で「新聞生保決算記事の不可解さ!」(仮称)として特集を発行する。>
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5月31日(土)
■ 生保決算特集=その2= 「新聞報道の基本的知識の欠落点!」■
● 昨日の生保各社の決算発表を受けて、今日の新聞各紙には生保決算記事が掲載されている。ところで、この生保決算と並んで大きく取り扱われていたのが「日本郵政の決算」だった。更にもう一つ見逃せないのが「保険法の成立」だ。● 時間がタイトなので、まず1点だけ解説しておくと「日本経済新聞」を評価したい。このように書くと「何か異変でも?」と思われるかも知れないが、事実は事実として評価したいからだ。
実は、各紙ともいくつかの業績を表にして掲載している。これらの数字を読者は生保決算の要の項目であり且つ数字であると捉えて見ることになるが、当然のことながらそこには「正しい記載」が大前提となる。
ところが、最近では「総資産」の評価よりも「保険料」の増減が生保の優位性を評価する雰囲気がある。そのため、「保険料等収入」を、柱にする業績表が多いのだが。問題は「保険料収入」と「保険料等収入」の違いだ。
● この「保険料等収入と保険料収入」とでは、損益計算書上からも全く異なる金額を提示することになる。つまり、「保険料等収入=保険料+再保険収入」を差し、一方「保険料収入」は文字通り単なる”保険料収入”を意味することになる。結果、「保険料収入」と表記した場合は「保険料等収入」②含まれる「再保険収入」の金額はどういう扱いをされたのか不明確になるのだ。
ところが昨年(まで)の「日本経済新聞」では。この表記が「保険料収入」となっており、そのことについて、このブログや「保険・かわら版」などでも幾度もなく指摘してきた。
やはり経済専門紙という専門性から言えば、他の全国紙とは異なる「正確な表記」を期待したからでもある。
● ところが、今日の生保決算業績表では「保険料等収入」と書かれており、文字通り経済専門紙躍如というところだ。このことは素直に「日本経済新聞の経済部」の取組方に拍手したい。
ちなみにこの「保険料等収入」という記載をしている新聞は「日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞」の3紙だけで「読売新聞、朝日新聞、東京新聞」は「保険料収入」となっている。
● そのため、「保険料等収入・順」に掲載した「朝日新聞と読売新聞と東京新聞」は、掲載生保がおかしなことになってしまっているのだ。<続く>
■ 生保決算特集=その1= 「ジブラルタ生命がソニー生命を陵駕?!」■
● 今日までに大方の生保決算が出そろった。”主要業績”に関しては明日の新聞報道で羅列されることになると思われるので、ここではトピックス的な決算情報をお知らせしていきたい。くどいようだが、最近の全国紙が「生保決算で取り上げる主要業績」は意味不明のものが少なくない。もちろん明日の報道を元にした「保険・かわら版」で特集をする予定だ。
● さて、第1弾は「総資産」の異変だ。確かに「住友生命」以外の国内生保上位8社は軒並み「総資産減」となった。唯一ベスト10位の6位にランクされている「アリコジャパン・6兆6,134億円」も0.4%増とその増加率は「住友生命・23兆3,825億円」と同じだが、5位の「三井生命・7兆8,215億円」とはかなり差があるため、当分は6位の座を維持と言うことになりそうだ。
ちなみに「アリコ」は、18年度決算で「太陽、大同、朝日、富国生命」をごぼう抜きし、10位から一気に6位にランクアップしている。
● さて、19年度決算「総資産」のランクで異変(?)が起きた。これまで”好調生保の代名詞”に使われてきた「ソニー生命」が「総資産順位」で「ジブラルタ生命」に抜かれる、という事態が起きたのである。
18年度末では14位だった「ソニー生命」が、15位の「ジブラルタ生命」に今回の19年度末では逆転され、順位が入れ替わったのだ。「ソニー生命・3兆6,597億円」に対し「ジブラルタ生命・3兆6,661億円」とその差わずか63億円あまりだが、数字は厳粛だ。
もちろん、これには特殊事情があるのだが、それでも「総資産順位入れ替わりの事実」には変わりはない。ちなみに「保険料等収入」も「ソニー生命をジブラルタ生命」が上回っているが、ここに実は今回の異変(?)の原因があるのだが、このことはいずれまた。
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5月30日(金)
■ 遂に「日本生命の定期保険EX」が、6月2日から「三菱東京UFJ銀行」でも発売される!■
● 5月19日から「日本生命の定期保険EX」を「三井住友銀行」で販売することについては、「三井住友銀行が三菱東京UFJ銀行より一歩も2歩も先を行く」と解説した。ところが同型の「日本生命の定期保険EX」を、「三菱東京UFJ銀行」も6月2日から発売すると発表した。
● ところが、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行の「日本生命のニュースリリース」は微妙に異なる。しかも「定期保険EX」の商品説明は「日本生命のHP」へ飛ぶようにできているのだが、これをみても一般の顧客には意味不明だ。というより大枠しか表記が無く細部が全くわからない商品説明になっているのだ。
● 一般的に保険商品説明ともなると、加入出来る年齢や加入期間の商品説明それに簡単な保険料例などが掲載されているのが一般的だ。ところが、具体的なことには何ら触れていない保険商品説明なのだ。ここから推測できることは、両行の取扱規程が異なることだ。これだと、HPに両行バージョンを作成する必要があり、且つその両方を比較することで長短がはっきりするようでは、「日本生命と銀行」との関係が怪しくなりかねない。結果、関心のある顧客は直接日本生命に資料請求するか、あるいは直接銀行窓口に行くようにし向けられたと思われる。
● とかく「定期保険EX」というと、企業経営者向けと捉えられがちだが、今回の銀行窓販の場合は「一般顧客対象」がポイントであることから、文字通り先に説明した「60歳・65歳・70歳満期」などの定期保険がラインナップされることになると、かなり手強い相手が「銀行窓販」に現れたことになる。
● とはいえ、「解約返戻金有り・定期保険」の販売力が銀行窓販ですぐに徹底出来るとは思えない。が、ここまで来た以上あとは時間との戦いだ。
もっとも、下記のPB(プライベートブックス)は、「定期付き終身保険」を題材に解説した本だが、これを読めば「定期保険のカラクリ」も同時に理解できる内容になっている。読んでみて損はない2冊である。但し、専門用語をそのまま使用しているため、銀行・証券などの保険業界関係者外の方には少々難解かも知れない。
↓
http://blog.goo.ne.jp/daichi2--6/e/e358bd31d8fbf614cce778fb79fdfa9f
■ 自民の「高齢者対策最終案」に潜む皆保険制度崩壊の危機!■
● 5月27日(火)のところに、その日の「朝日新聞」の記事を元に「第二の人生の基盤作り」と称して、「医療、介護、年金の3保険を統合した民間保険導入」というものが記載されていた。もちろん、これはとんでもないことで、何でも民間にという考え方は、国民皆保険制度を無くして、まさに民間保険で医療保険制度から介護、年金まで賄う、という考え方だが、実際「医療保険制度」がほぼ民間任せになっている米国の実態は、ムーア監督の「シッコ」の通りだ。
● とりわけ「シッコ」の中で悪質な米国の保険会社例は、保険会社の承諾がないままの手術は保険金が貰えない可能性が高いという点だ。現在の日本の医療保険の仕組みは「1日入院につき日額いくら、手術に関しては定められた手術であればいくら」とあらかじめ決められている保険金ということから余程のことがない限りは”支払われない”という事態は避けられるが、しかし、今後「実費対応型医療保険」や今の米国型医療保険が普及するようなことになってくると、現在の医療保険の仕組みが守られるかどうかは実に不透明だ。
● ところで、今日の問題点は、5月27日に「朝日新聞」が掲載した「高齢者のための緊急措置」の内容が、今日の「日本経済新聞」に”最終案”として掲載されているのだが、7項目の中の5番目にある「安心な長寿生活のための資産の活用」のところに、「医療、介護、年金の3保険を統合した民間保険導入」の記載が無いのである。
果たして、「要旨」とあることから、記載されなかったのか、あるいは最終案そのものに記載が無かったのかは不明だが、もし最終案にあって「日本経済新聞」の記事に無かったとしたらこれは由々しきことだ。
● もちろん、既に27日にも書いたように、このような目先の手練手管に高齢者の多くが簡単に乗せられるとは到底思えないが、しかし、その裏にはとんでもない民間保険会社に高齢者の命を含めた財産までをも委託させようとする動きがあることだけは注視しておく必要がある。
■ 「保険・かわら版=第19号=」に「AIGに今何が起きているのか?AAAからの陥落!」
● かの不正経理がきっかけになったことを受けた「保険・かわら版」特集だったのだが、・・・<続く>
【メモ】三井生命の前期、2期ぶり赤字 サブプライム損失200億円
三井生命保険の2008年3月期決算は、数十億円の最終赤字になったもようだ。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡み、証券化商品の損失が200億円超に膨らんだことが主因。同社は今夏以降に東京証券取引所第一部への上場を目指しているが、上場時期などに影響が出る可能性がある。
三井生命の最終赤字は06年3月期以来、2期ぶりになる。07年3月期は258億円の黒字だった。
07年9月中間決算ではサブプライム関連の債務担保証券(CDO)で16億円の損失を計上。その後の市場混乱で証券化商品の損失が拡大した。株式相場の下落で保有する国内株式でも損失が発生し、最終赤字に転落する見通しになった。(ニッケイネットニュース 29日 23:02)
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5月29日(木)
■ 熱くなった”ネガチィブ感情”を別世界にしばし!■
● かの「GyAO」で、6月1日迄、下記の映画をやっている。題名は「すべてはビートルズから始まった!」というものだが、これまで最後まで観ると1時間半は時間が取られると敬遠していたのだが、深夜スクラップの整理をしながら、何となくクリックしたら、何とも懐かしいメンバーがてんこ盛り!
● 政治と社会面だけを毎日気にしていると、これは確かに体に悪い。それに仕事柄最近の保険会社の実態を知れば知るほど、余計ネガチィブ情報が毒素のように体内に沈殿し、イライラ感だけが募ることになりかねない。
もし、そのような時にはこんな映像で少々は癒されるのでは?
↓
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0057248/
■ 旧東邦生命契約に契約者配当金実施に! ■
● 時の経つのは早いもので、「旧東邦生命→旧GEエジソン生命→AIGエジソン生命」と推移し、08年3月末には、累損損失を解消し「早期解約控除」(早期の解約に対するペナルティ)も終了した。
そして、約16万件の東邦生命保険契約について「契約者配当」を実施するという。今回の配当原資は約1億5千万円という額からすると、1件当たりの配当金額は決して大きな金額ではないが、しかし、それでもこれまで継続してきた契約者からすると一段落という感は強いのではないか。
● ところで、最近の「AIGエジソン生命」の営業現場の評判がすこぶる良い。これは偶然かも知れないが、保険の営業現場の3グループから耳にした話だ。その中にいた、国内生保S(電機メーカー)社の某氏は、「以前は、『ソニー、プルデンシャル、アリコ』と評価されたが、最近は『ソニー、プルデンシャル、AIGエジソン』」とまで言い切ったが、確かに最近の「アリコ」は元気が感じられない。
● とはいえ、「アリコ」が「かんぽ生命」の法人向け定期保険に「逓増定期保険と長期平準定期保険」を投入してきた。さらに、「無配当平準定期保険」の販売も予定しているという。
どうやら、かんぽ生命、銀行窓販ともに「定期保険商品」の取扱を巡って混沌とした状況が生まれているが、少なくとも個人顧客には「契約できる主な定期保険商品」をしっかり説明してから保険設計をしてほしいものだ。
● 6月1日発行の「保険・かわら版」では、「収入(生活)保障保険の税金」について解説したが、「10%の源泉徴収の説明がない」とか、「死亡保険金年金からの税金負担に対する説明がない」というようでは、やはりこれは説明不足の指摘は避けられない。
また、「日本生命」が「三井住友銀行」の窓販保険商品に100歳満期の長期定期保険を取りそろえたが、もしこれに「三井住友銀行」が「60歳・65歳・70歳満期」というような「解約返戻金あり定期保険」まで取りそろえるとなると、かなり定期保険商品のラインナップは充実することになる。
■ 生保決算特集=その3= 「再保険収入」により「保険料等収入」が急増した生保・ジブラルタ生命」の立場! ■
● まず、生保の業績表だが、このような表で編集の段階でもっとも気にするのが「順位」だ。基本的な「順位表」作成の段階で、新聞各紙は間違いを犯している。そもそも生保の順位が何によるものかの記載が「日本経済新聞・読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・産経新聞・東京新聞」ともないのだ。
● ところがここでもう一つややこしいことが生じる。単体生保順かグループ生保順かだ。例えば「日本経済新聞」で説明しよう。
・大きく2段に分け「大手9社計」と「その他の生保」とにして業績表が作成されている。もちろん順位は「保険料等収入」順だ。ところがしかし、ここで中途半端なことが生じている。少なくとも経済専門紙としては、その専門性を疑うような業績表なのだ。
【単体生保かグループ生保順かが不透明】この肝心なところが、注意書きにもないため、業績数字がちぐはぐになっているのだ。具体的に説明すると、もし「単体生保順」とすれば、「保険料等収入約8,253億円・ハートフォード生命」の記載が無いのはおかしい。金額からは「アクサ生命の上」にランクされる金額だ。
また、「グループ毎」の業績順位だとすると「アクサ生命の6,645億円」はこれまたおかしい。「アクサフィナンシャル生命の1,010億円」の記載がない。言うまでもないがこの生保は「アクサGの100%子会社」だ。
更に言えば「富国生命」にも80%の株式を保有する「フコクしんらい生命」がいる。保険料等収入154億円だ。
これらの基本的部分を業績表を作成する前提で統一していないとこのようなミスは生じる。
【”大手9社”】という表示は既に場違いだ。何を持って”大手9社”と呼ぶのかは不明だが、既に「保険料等収入」でも「総資産」でも”大手”と呼ぶには似つかわしい業績になっているにもかかわらず、いつまでも”大手”と呼ぶのは妥当ではない。むしろ「国内主要生保」とする方がスッキリもする。
またこのようにちぐはぐになってきた”順位表”なら、「総資産順」にした方がわかりやすい。実際、最近の生保業績を見ていると、「保険料等収入よりも総資産」の順位が生保の規模面の実態を表してもいる。
● さて、ところで「日本経済新聞」が、ややちぐはぐなところはあるにしても「その他の生保」では、グループ分けでランク付けをしたがために、唯一「ジブラルタ生命の保険料等収入」が掲載されている。もし、「日本経済新聞」以外の新聞しか見ない読者の場合は「ジブラルタ生命の6,495億円」という、「保険料等収入」の功績を知らないままということになる。
実はここに昨日付で書いた「ジブラルタ生命がソニー生命を陵駕?!」の証拠があるのだ。もちろん「総資産」でもジブラルタ生命がソニー生命を抜いているのだが、その理由は、これまでくどいように指摘してきた「保険料等収入の中の再保険収入」なのだ。昨年度の約88億円から約2,402億円に急増したのである。確かにこれは該当年度だけの特殊要因とはいえ、これも間違いなく生保業績であることは間違いないのだ。
● さて、このように分析してくると、もっとも理屈が通るのは「毎日新聞」だ。グループ毎の順位表としているが、「AIG」には「アリコ・AIGエジソン・AIGスター」の業績が、「T&D」には「太陽・大同・T&DF」の業績、「プルデンシャル」には「プルデンシャル・ジブラルタ」の業績がちゃんと集計されている。もちろん「アクサ」も「アクサ・アクサフィナンシャル」の業績数字が加算されている。強いて言えば「富国生命」だが、これは「フコクしんらい生命」の株式保有が100%ではないことから外したとすれば説明が付く。
● 一方もっとも酷かったのが「朝日新聞」だ。単体生保順とグループ生保順が混在していて、表の意味が不透明きわまる順位だ。そもそも「保険料収入」という表示からして誤り(「保険料等収入」が正しい。)なのだが、もし個社順とするなら、やはり「アリコジャパン」と「アメリカンファミリー」は住友生命と大同生命の間に持ってくるべきだろうし、逆にグループ順にするなら「T&DG・AIG・アクサG」というように誰にでも説明が付く業績順位表にするべきだ。
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5月31日(土)
■ 生保決算特集=その2= 「新聞報道の基本的知識の欠落点!」■
● 昨日の生保各社の決算発表を受けて、今日の新聞各紙には生保決算記事が掲載されている。ところで、この生保決算と並んで大きく取り扱われていたのが「日本郵政の決算」だった。更にもう一つ見逃せないのが「保険法の成立」だ。● 時間がタイトなので、まず1点だけ解説しておくと「日本経済新聞」を評価したい。このように書くと「何か異変でも?」と思われるかも知れないが、事実は事実として評価したいからだ。
実は、各紙ともいくつかの業績を表にして掲載している。これらの数字を読者は生保決算の要の項目であり且つ数字であると捉えて見ることになるが、当然のことながらそこには「正しい記載」が大前提となる。
ところが、最近では「総資産」の評価よりも「保険料」の増減が生保の優位性を評価する雰囲気がある。そのため、「保険料等収入」を、柱にする業績表が多いのだが。問題は「保険料収入」と「保険料等収入」の違いだ。
● この「保険料等収入と保険料収入」とでは、損益計算書上からも全く異なる金額を提示することになる。つまり、「保険料等収入=保険料+再保険収入」を差し、一方「保険料収入」は文字通り単なる”保険料収入”を意味することになる。結果、「保険料収入」と表記した場合は「保険料等収入」②含まれる「再保険収入」の金額はどういう扱いをされたのか不明確になるのだ。
ところが昨年(まで)の「日本経済新聞」では。この表記が「保険料収入」となっており、そのことについて、このブログや「保険・かわら版」などでも幾度もなく指摘してきた。
やはり経済専門紙という専門性から言えば、他の全国紙とは異なる「正確な表記」を期待したからでもある。
● ところが、今日の生保決算業績表では「保険料等収入」と書かれており、文字通り経済専門紙躍如というところだ。このことは素直に「日本経済新聞の経済部」の取組方に拍手したい。
ちなみにこの「保険料等収入」という記載をしている新聞は「日本経済新聞、毎日新聞、産経新聞」の3紙だけで「読売新聞、朝日新聞、東京新聞」は「保険料収入」となっている。
● そのため、「保険料等収入・順」に掲載した「朝日新聞と読売新聞と東京新聞」は、掲載生保がおかしなことになってしまっているのだ。<続く>
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● 今日までに大方の生保決算が出そろった。”主要業績”に関しては明日の新聞報道で羅列されることになると思われるので、ここではトピックス的な決算情報をお知らせしていきたい。くどいようだが、最近の全国紙が「生保決算で取り上げる主要業績」は意味不明のものが少なくない。もちろん明日の報道を元にした「保険・かわら版」で特集をする予定だ。
● さて、第1弾は「総資産」の異変だ。確かに「住友生命」以外の国内生保上位8社は軒並み「総資産減」となった。唯一ベスト10位の6位にランクされている「アリコジャパン・6兆6,134億円」も0.4%増とその増加率は「住友生命・23兆3,825億円」と同じだが、5位の「三井生命・7兆8,215億円」とはかなり差があるため、当分は6位の座を維持と言うことになりそうだ。
ちなみに「アリコ」は、18年度決算で「太陽、大同、朝日、富国生命」をごぼう抜きし、10位から一気に6位にランクアップしている。
● さて、19年度決算「総資産」のランクで異変(?)が起きた。これまで”好調生保の代名詞”に使われてきた「ソニー生命」が「総資産順位」で「ジブラルタ生命」に抜かれる、という事態が起きたのである。
18年度末では14位だった「ソニー生命」が、15位の「ジブラルタ生命」に今回の19年度末では逆転され、順位が入れ替わったのだ。「ソニー生命・3兆6,597億円」に対し「ジブラルタ生命・3兆6,661億円」とその差わずか63億円あまりだが、数字は厳粛だ。
もちろん、これには特殊事情があるのだが、それでも「総資産順位入れ替わりの事実」には変わりはない。ちなみに「保険料等収入」も「ソニー生命をジブラルタ生命」が上回っているが、ここに実は今回の異変(?)の原因があるのだが、このことはいずれまた。
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5月30日(金)
■ 遂に「日本生命の定期保険EX」が、6月2日から「三菱東京UFJ銀行」でも発売される!■
● 5月19日から「日本生命の定期保険EX」を「三井住友銀行」で販売することについては、「三井住友銀行が三菱東京UFJ銀行より一歩も2歩も先を行く」と解説した。ところが同型の「日本生命の定期保険EX」を、「三菱東京UFJ銀行」も6月2日から発売すると発表した。
● ところが、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行の「日本生命のニュースリリース」は微妙に異なる。しかも「定期保険EX」の商品説明は「日本生命のHP」へ飛ぶようにできているのだが、これをみても一般の顧客には意味不明だ。というより大枠しか表記が無く細部が全くわからない商品説明になっているのだ。
● 一般的に保険商品説明ともなると、加入出来る年齢や加入期間の商品説明それに簡単な保険料例などが掲載されているのが一般的だ。ところが、具体的なことには何ら触れていない保険商品説明なのだ。ここから推測できることは、両行の取扱規程が異なることだ。これだと、HPに両行バージョンを作成する必要があり、且つその両方を比較することで長短がはっきりするようでは、「日本生命と銀行」との関係が怪しくなりかねない。結果、関心のある顧客は直接日本生命に資料請求するか、あるいは直接銀行窓口に行くようにし向けられたと思われる。
● とかく「定期保険EX」というと、企業経営者向けと捉えられがちだが、今回の銀行窓販の場合は「一般顧客対象」がポイントであることから、文字通り先に説明した「60歳・65歳・70歳満期」などの定期保険がラインナップされることになると、かなり手強い相手が「銀行窓販」に現れたことになる。
● とはいえ、「解約返戻金有り・定期保険」の販売力が銀行窓販ですぐに徹底出来るとは思えない。が、ここまで来た以上あとは時間との戦いだ。
もっとも、下記のPB(プライベートブックス)は、「定期付き終身保険」を題材に解説した本だが、これを読めば「定期保険のカラクリ」も同時に理解できる内容になっている。読んでみて損はない2冊である。但し、専門用語をそのまま使用しているため、銀行・証券などの保険業界関係者外の方には少々難解かも知れない。
↓
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■ 自民の「高齢者対策最終案」に潜む皆保険制度崩壊の危機!■
● 5月27日(火)のところに、その日の「朝日新聞」の記事を元に「第二の人生の基盤作り」と称して、「医療、介護、年金の3保険を統合した民間保険導入」というものが記載されていた。もちろん、これはとんでもないことで、何でも民間にという考え方は、国民皆保険制度を無くして、まさに民間保険で医療保険制度から介護、年金まで賄う、という考え方だが、実際「医療保険制度」がほぼ民間任せになっている米国の実態は、ムーア監督の「シッコ」の通りだ。
● とりわけ「シッコ」の中で悪質な米国の保険会社例は、保険会社の承諾がないままの手術は保険金が貰えない可能性が高いという点だ。現在の日本の医療保険の仕組みは「1日入院につき日額いくら、手術に関しては定められた手術であればいくら」とあらかじめ決められている保険金ということから余程のことがない限りは”支払われない”という事態は避けられるが、しかし、今後「実費対応型医療保険」や今の米国型医療保険が普及するようなことになってくると、現在の医療保険の仕組みが守られるかどうかは実に不透明だ。
● ところで、今日の問題点は、5月27日に「朝日新聞」が掲載した「高齢者のための緊急措置」の内容が、今日の「日本経済新聞」に”最終案”として掲載されているのだが、7項目の中の5番目にある「安心な長寿生活のための資産の活用」のところに、「医療、介護、年金の3保険を統合した民間保険導入」の記載が無いのである。
果たして、「要旨」とあることから、記載されなかったのか、あるいは最終案そのものに記載が無かったのかは不明だが、もし最終案にあって「日本経済新聞」の記事に無かったとしたらこれは由々しきことだ。
● もちろん、既に27日にも書いたように、このような目先の手練手管に高齢者の多くが簡単に乗せられるとは到底思えないが、しかし、その裏にはとんでもない民間保険会社に高齢者の命を含めた財産までをも委託させようとする動きがあることだけは注視しておく必要がある。
■ 「保険・かわら版=第19号=」に「AIGに今何が起きているのか?AAAからの陥落!」
● かの不正経理がきっかけになったことを受けた「保険・かわら版」特集だったのだが、・・・<続く>
【メモ】三井生命の前期、2期ぶり赤字 サブプライム損失200億円
三井生命保険の2008年3月期決算は、数十億円の最終赤字になったもようだ。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡み、証券化商品の損失が200億円超に膨らんだことが主因。同社は今夏以降に東京証券取引所第一部への上場を目指しているが、上場時期などに影響が出る可能性がある。
三井生命の最終赤字は06年3月期以来、2期ぶりになる。07年3月期は258億円の黒字だった。
07年9月中間決算ではサブプライム関連の債務担保証券(CDO)で16億円の損失を計上。その後の市場混乱で証券化商品の損失が拡大した。株式相場の下落で保有する国内株式でも損失が発生し、最終赤字に転落する見通しになった。(ニッケイネットニュース 29日 23:02)
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5月29日(木)
■ 熱くなった”ネガチィブ感情”を別世界にしばし!■
● かの「GyAO」で、6月1日迄、下記の映画をやっている。題名は「すべてはビートルズから始まった!」というものだが、これまで最後まで観ると1時間半は時間が取られると敬遠していたのだが、深夜スクラップの整理をしながら、何となくクリックしたら、何とも懐かしいメンバーがてんこ盛り!
● 政治と社会面だけを毎日気にしていると、これは確かに体に悪い。それに仕事柄最近の保険会社の実態を知れば知るほど、余計ネガチィブ情報が毒素のように体内に沈殿し、イライラ感だけが募ることになりかねない。
もし、そのような時にはこんな映像で少々は癒されるのでは?
↓
http://www.gyao.jp/sityou/catedetail/contents_id/cnt0057248/
■ 旧東邦生命契約に契約者配当金実施に! ■
● 時の経つのは早いもので、「旧東邦生命→旧GEエジソン生命→AIGエジソン生命」と推移し、08年3月末には、累損損失を解消し「早期解約控除」(早期の解約に対するペナルティ)も終了した。
そして、約16万件の東邦生命保険契約について「契約者配当」を実施するという。今回の配当原資は約1億5千万円という額からすると、1件当たりの配当金額は決して大きな金額ではないが、しかし、それでもこれまで継続してきた契約者からすると一段落という感は強いのではないか。
● ところで、最近の「AIGエジソン生命」の営業現場の評判がすこぶる良い。これは偶然かも知れないが、保険の営業現場の3グループから耳にした話だ。その中にいた、国内生保S(電機メーカー)社の某氏は、「以前は、『ソニー、プルデンシャル、アリコ』と評価されたが、最近は『ソニー、プルデンシャル、AIGエジソン』」とまで言い切ったが、確かに最近の「アリコ」は元気が感じられない。
● とはいえ、「アリコ」が「かんぽ生命」の法人向け定期保険に「逓増定期保険と長期平準定期保険」を投入してきた。さらに、「無配当平準定期保険」の販売も予定しているという。
どうやら、かんぽ生命、銀行窓販ともに「定期保険商品」の取扱を巡って混沌とした状況が生まれているが、少なくとも個人顧客には「契約できる主な定期保険商品」をしっかり説明してから保険設計をしてほしいものだ。
● 6月1日発行の「保険・かわら版」では、「収入(生活)保障保険の税金」について解説したが、「10%の源泉徴収の説明がない」とか、「死亡保険金年金からの税金負担に対する説明がない」というようでは、やはりこれは説明不足の指摘は避けられない。
また、「日本生命」が「三井住友銀行」の窓販保険商品に100歳満期の長期定期保険を取りそろえたが、もしこれに「三井住友銀行」が「60歳・65歳・70歳満期」というような「解約返戻金あり定期保険」まで取りそろえるとなると、かなり定期保険商品のラインナップは充実することになる。