■ 大知一成の公式「ブログ 保険・かわら版 」■=「間違いだらけの生命保険選び」=

=保険会社決算分析・保険商品分析・保険販売・保険金詐欺事件等保険業界のウラオモテを知る評論家「大知一成の公式ブログ」!=

■「日本の生保業界の真実」(「定期付き終身保険」の秘密!)=第46回=■

2007年07月25日 | 保険
7月24日(火)

■「深夜のゴルフ三昧」雑感!

● 先週後半は、「全英オープンと宮里藍ちゃんの世界マッチプレー」を同時進行で観た方もすくなくあるまい。もっとも「全英オープン」は、日本人6人が挑戦したにもかかわらず、結果は散々で、昨年の「谷原5位」というような華々しい活躍はなかった。決勝ラウンドでもTVはやたら「タイガーウッズ」を映すが、期待するスコアーは出ず、最終日は、昨年の欧州ツアー賞金王、パドレイグ・ハリントン(35)(アイルランド)が、プレーオフでセルヒオ・ガルシア(スペイン)を破り初優勝、賞金75万ポンド(約1億8750万円)を獲得した、となった。

● もちろん息詰まる最終戦も醍醐味はあったが、それ以上だったのが「宮里藍ちゃん」の大健闘だった。最初は「全英オープン」がメインで「藍ちゃんのマッチプレー」はサブだったのだが、自然にその立場は逆転し、時間の許す限り深夜観て昼間の再放送を観ることになった。もっとも決勝戦まで行くとは思いもしなかったのだ「今日が最後かな?」と思いながら観ていたが、さすがに2ダウンで17番ホールの最後のパットを、李宣和(イ・ソンファ)(韓国)に入れられた時は、頭の中では分かっていても虚脱感が残った。

● しかし、一昔前はこの感動を与える役目を「巨人」が担っていた。確かに最近のプロ野球には「感動」がない。また「感動」が無理なら「面白さ」でも良いのだが、それすらなければ、なかなかプロ野球中継を観ようとはしない。息詰まる熱戦があると思うから深夜でも時間を調整して観ようという気になる。

 
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7月22日(日)

■「9月29日・大阪FPフェアー講座満席御礼!」

● 「大阪のFPフェアー」の講師が決まってから、心配していたのはその集客。実は、何処を見れば満席になったかどうかを知ることができるかどうか知らなかったが、あるFPの方から「早々に満席になりましたね」というメールを頂戴してその見方を教えてもらい、少々は胸をなで下ろした次第。
 もちろんキャパの違いとかは分からないものの、とにもかくにも主催者が用意した席数はクリアーしたようでほっとした。

● そろそろ、もし集客ができていないようなら、このブログでももう少しPRをしようかと考えていただけに、これで当日の資料作りに専念できる。



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7月21日(土)

■「末は生保セールスか銀行員か?!=その2=」

● 銀行の全面解禁について、岡本・日本生命社長は「銀行との責任分担や法令遵守の問題などをきっちり議論しないといけない」と記者会見では言ったものの、既にこの件に対する決定権は銀行側にあることは明らかだ。
 つまり、今賢い銀行サイドは、生保に人材提供を積極的に求めている。いわば、金も出せ、人も出せである。もちろん生保側としては、他社に遅れを取るわけにはいかないことから金も人も出すことになる。

● 問題は「人」だが、生保側としては自社にとって貴重な人材は出したくない、しかしかといって他社に比べ貧弱では契約量に影響する。各社の悩ましいところだ。もちろん社内で大々的に募集するわけにもいかない。苦渋の選択だ。
 その中で要請された人数は確保する必要がある。

● 少々意地悪な言い方をすると、銀行側は販売力も生保にアウトソーシングしてちゃっかり手数料だけは頂戴するという構図が、銀行窓販のビジネスモデルになりかねない。もちろんその中でも銀行に対し忠誠心がある人材は、銀行の本採用にして2,3年の試用期間にダメな人材は生保に戻せばよい。これを数年間繰り返せば100名以上の生保販売部隊が銀行内にでき上げるということにもなる。
 もちろん、持っている基本情報がしっかりしているから、「説明と説得」だけで保険契約が積み上がっていくという仕組みだ。

● 確かに人材を銀行側が本採用していってペイするのかという疑問もあるかも知れないが、これは問題ない。手数料から十分に捻出できる。既に「日本の生保業界の真実」にも書いたが、もう少し運用環境が好転してくれば「前納保険料や一時払い保険料」などからの特別割増手数料も期待できる。
 かのバブルのころは、総保険料の4%(各社によって異なる。それ以前には之よりも高い生保もあったとされる。)などという時代もあったのである。仮に年間保険料の1%がプレミアムになったとしても1,000億円なら10億円だ。これだけでも年間費用2,000万円(給与・福利厚生費等含む)の人材を50人分に相当する。国内大手4社の総保険料は13.6兆円だが、この中には「初年度保険料と2年度以降保険料」が含まれる。もし、一時払いや全納扱いの保険料が3割とすると4兆円程度になる。この内の1%を銀行扱いとしても400億円の巨利が得られる計算だ。(少々、乱暴な計算だが。)

● まだ、このうまみを銀行サイドはほとんど知らないが、金利上昇が続くようだと、利に鋭い銀行が黙っているワケがない。不労所得の山が銀行に積み上げられていく仕掛けだ。もっとも、生保はその上前をはねるほど儲かる仕組みだから、やはり、銀行への食い込みは後手に回りたくない、というところだ。

 まだまだ当分の間「生保と銀行の騙しあいが続く」ことになる。




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7月20日(金)

■「末は生保セールスか銀行員か?!」

● 最近、急に「生保から銀行へ」についての情報が集中している。少なくとも生保数社が絡む情報なのだが、要は「銀行」からの要請で生保から人材を出してほしいというもの。その多くは「店頭販売・社内セミナー講師・同行募集」というような内容だが、詳細な中身については各行ごとにかなり温度差がある。
 
● 某大手生保などは「入社3年前後の営業職を○名」というように、女性セールスレディーに的を絞った内容。ただ、その生保の管理職氏は「4大卒の女性」と暗に言われており、放置すると人材が流出するがかといって銀行側の要請も無視できないと苦渋の選択を余儀なくされている、という。また某外資系生保の場合は、メインは男性なのだが、片道切符で銀行に行くことになり、帰りのアテはほとんど絶望的とこぼす。

● この銀行のニーズに生保を退社して銀行に途中入社する人材も出始めた。もちろんこのケースは生保とは縁が切れるが、問題は、生保に在籍したまま銀行に行くケースだ。要は「銀行での待遇」がどうかだが、かなり各行まちまちだ。
 いずれにしても銀行側の要望は、生命保険が分かる「即戦力がほしい」という点だ。確かに生保営業では花が咲かなくとも、店頭や同行でなら業績を伸ばせる人材はいるかも知れない。もっとも、各大手銀行の採用(生保に在籍のままを含む)枠はまだ少ないため、生保側にすると大きな問題にはなっていないが、ただこの傾向が、地銀や信金などにまで拡大していくとなると、生保の営業戦略に大きな支障を来しかねない。

● 生保の営業チャネルも混沌としてきた。しかし、少なくともまだ当分の間、それも10年、20年という間、少なくとも生命保険に関しては「営業員や代理店などの直販チャネル」が消滅する可能性はない。来店型店舗の設置が昨日の新聞にもあったが、生保直営の来店型店舗が生保契約業績のメインになることはあり得ない。もちろんその生き残りのためには、生保情報に敏になっておく必要と、死亡保障保険がしっかり売れる(説明できる)必要は最低条件だ。
 これから団塊の世代が「定期付き終身保険の保険料払済」となる「60歳や65歳」を迎えるが、このときの適切なアドバイスができないようでは、先が思いやられる。もう、目先の会社主導の「売れ売れ、医療保険」にだけ集中しているような営業センスでは生き残れない。 


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7月18日(水)

■「持病があっても入れます」新型医療保険 参入相次ぐ!=読売新聞=

● 記事には主な新型医療保険として「住友生命・千客万頼、アリコジャパン・まもりたい、太陽生命・既成緩和、損保ジャパンひまわり・限定告知型医療保険、アメリカンファミリー・やさしいEVER」(他1社)が表にしてあり、その保険商品の発売時期が記載されている。
 
● とかくこれまでは健康面から医療保険に加入できなかった人が「加入できる」ことを中心に記事が組み立てられることが多いが、問題はその「費用対効果」だ。つまり、いくら「加入できる」とは言っても、肝心な「入院給付金や手術給付金」などをもらえる可能性の保険金額と契約者が支払う保険料総額とのバランスをよくよく考えないと、ただ単に「自分が支払った保険料を入院給付金などの名目でもらっただけ」ということになりかねない。

● つまり、満期までに500万円の保険料を支払い、その間に500万円に相当する入院や手術などの保険金を受け取る可能性があるかどうかを考えないと、経済的な損得の価値は極めて意味がないことになる。
 そのためには「1回当たりの入院日数と入院日額」、またそれをどのような条件で貰えるかをしっかり見定めないと、結局自分の支払った保険料を単に受け取って終わりということになりかねないのだ。

● 実はここに「死亡保障保険と医療保険」の大きな違いがある。つまり、「死亡保障保険」は、亡くなることでその保険の役割は終了し保険料も支払う必要はなくなるが、「医療保険」はそうはいかない。満期まで入院しようがしまいが保険料は払い続ける必要がある。契約と同時に「支払うべき保険料総額は確定」しているのである。

● ここを欠落して加入するとなると、「加入した安心感」だけのために何百万円もの保険料を払うことにもなりかねないから注意が必要だ。結論から言うと、よほど特別な入退院や手術などを繰り返さない限り、支払う保険料総額以上の保険金を手にすることは難しい。


【お知らせ】この記事をテーマに「保険・かわら版」で特集・発行!

★ 既に「アリコジャパン・まもりたい」は「保険・かわら版」で特集したが、(「日本の生保業界の真実」にも再掲載)、他の主要商品についても同じように特集をする。(8月発行予定) 

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7月17日(火)

■「生保格付け」の持つ意味!

● 過日あるシンクタンクの方とあった際「日本の生保業界の真実」について「役に立つ」と褒められた。まあ、最初は私へのヨイショだと聞き流していたが、おもむろに鞄から本誌を取り出し、最後の頁を開けるとそこは真っ赤になるまでいろいろなことが書き殴られていた。実はその頁こそ「生命保険会社格付一覧」だった。
 「生保格付け」というと一応発行時点の最新のものを掲載するのだが、下手をすると発行翌日には、格付け変更となる保険会社もある。つまり、発行後メンテし続けなければ「最新情報」とは言えなくなる。

● 彼は保険会社はサブのサブ的担当のため、できるだけわかりやすい簡便な資料がほしかったという。特に「格付け」は、重要なのだが一目で分かる資料として掲載してある一覧はわかりやすいと言う。もちろん、最新格付け情報は随時手にはいるが、問題はそれを情報管理する手段だという。メイン業界については膨大な資料が手元に用意してあるが、保険業界については、このようにコンパクトなら格付け変更を追加記載するだけで太宗が把握できるというのだ。
 結果、112頁は真っ赤になった、というわけである。しかも隣の裏表紙が白紙であることも良かった、という。企業秘密もあると笑いながらちらっと見せてくれたそこには、かなり乱雑に書き殴りされた文字が塊になって書き込まれていた。強いて言えば「損保の一覧」があると助かるとものたまわれた。

● ついでに加えると裏表紙の「予定利率一覧表」も、氏は門外漢の自分でも実にわかりやすいと褒めちぎる。私の本音としては、そのような枝葉末節より本題について聞きたいのだが、なかなかそこには話題がいかない。少々酒が回ってきたころ、「銀行窓販」のはなしから、本誌の核心に触れたが、「一言でまとめると信じられない。これは本当ですか」というのが彼の評価だった。

● さもありなんである。かつて「損保系生保」が立ち上げのころ「こんな生命保険を売っていたのか」と、驚愕したのが「定期付き終身保険・更新型」だった。ところが、肝心の損保系生保・本社は、的外れな保険料廉売の販売競争に嵌り込み、鳴かず飛ばずの業績に終始している。
 おそらく、今年暮れからの「銀行窓販全面解禁」でも、銀行員は生命保険について聞けば聞くほど「疑問」が山積みになるはずだ。

● さて、「格付け」の問題だが、確かに「朝日生命」などは「ムーディーズ」の格付けが「Baa3」(トリプルBマイナス)に格上げされたことで、「投資適格を回復し銀行窓販に道」となったが、現実はそう甘くはないのが偽らざるところだ。
 朝日生命の藤田譲社長からすると、よくぞここまで持ちこたえてきた、というところだろう。ただ、既に資産運用の「配当金競争」に国内生保群は突入していることを考えると、まだまだ険しい道が続くことだけは確かだ。
(「日本の生保業界の真実」24頁を参照)

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7月16日(月)

■「歴史は繰り返す?7年前と同じ日本を取り巻く環境!

● 平成12年6月20日の「読売新聞」がそのまま出てきた。一瞬最近発行された新聞かと見間違うほど、いくつかの記事見出しには共通点がある。その代表例が6月25日の衆議院選挙に対する「読売新聞の世論調査」の結果だ。
 「内閣支持18.6%」とあり、「不支持は64.1%」とある。森内閣の確か最後となった選挙と記憶している。まだ安倍内閣は30%を割った支持率だから、ここまでは酷くないというところだが、これからの2週間でどう変わるか。

● また前日の株価も16,591円と、当時の高値圏だった。そして経済企画庁が「回復宣言ではない景気底入れ判定」をしている。どうやら99年4月を景気の「底」としたのだが、記事を読んでも実に分かりづらい中身だ。それは篠原三代平座長が「谷を決めたからといって、今後、経済がどんどん伸びていくと受け取ってほしくない。生産活動なども97年のピークまで戻っておらず、第二次平成不況を脱したとは言い切れない」という説明に象徴されている。

● 記事の中のコラムとして「竹中平蔵・慶応大学教授」のコメントがある。曰く「企業の債務・雇用・設備の3つの過剰解消を」というものだ。短絡的にこれを「構造改革」という言葉と直結させたくはないが、これ以降大きな「谷」を経てどうにか現在に至っている。小泉政権の中で日本経済の舵取りの実務に携わった竹中平蔵・慶応大学教授の評価は他に譲るとして、これからの日本の行く先は実に不透明だ。

● 当日の「社説」に「底入れを自律回復に導く条件」として書かれているが、結果的に1300兆円もの個人金融資産が消費に回っていかない大きな理由は、国民が老後の生活に強い不安を抱いていることである、とあり、続けて、政府は年金や医療など社会保障全体について、国民が安心できる将来像を提示し、不安の一掃に努めねばならない、とある。

● さてさて、ではそれからの7年間でどう変わったかとなると、「年金」は、貰えるか貰えないかではなく「社会保険庁の杜撰な保険料管理の実態」がさらけ出され、医療は、じわじわと患者負担が増加傾向にある。とはいえ、まだ他の国に比べると日本の医療制度は良い方だと思うが、但しこの傾向が5年10年と続いたら、完全に医療後進国になるのはまちがいあるまい。

● また「介護」の問題は「コムスン」に見られるように、「いい加減なビジネス目的の企業」が露見したことで、少しはまともな業界になる可能性はあるが、とても目を離して信頼に足るにはやはり、規制緩和だけでは無理だ。

● とかく、先例を「英国」に例えるケースがあるが、既に規制緩和で6割が外資系企業となり、また英国の富裕層は「オーストラリア」などの海外へどんどん移住していると言う。確かに社会補償整備が遅れ、住みにくくなったら海外へ移住という手はあるが、これも金がなければ手も出ない話。
 結局、ほぼ1,000兆円という国の負債を穴埋めさせられるのは、貧乏人ということになる。

(追加) 危うく書き忘れるところだったが、12年6月には「セブンスター」の偽造品が市場に出回っている。新聞では「日本たばこ産業株式会社」が3段抜きで「偽造品への注意」を呼びかけている。もちろんたばこの偽造品を作製したのは何処の誰かは不明だが、奇しくも今は「中国の商品」への疑惑が報じられている。


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7月15日(日)

■「現行5%の『法定利率』引き下げへ!

● 法務省が民法で定める「法定利率5%」を引き下げる方針を固めた、と本日の「読売新聞」が一面トップで扱っている。詳細は記事を読んでもらうとして、この5%の影響は、記事にもあるように「交通事故で亡くなった場合の『逸失利益算出』」に大きく影響している。
 記事例で説明すると、被害者が18歳から49年間働き約1億3800万円を稼ぐとした場合、年5%の利息分を差し引いて3310万円のみを支払うことになる。(最高裁判例)

● わかりやすく言えば3310万円を年5%で運用すると、1億3800万円の価値になるという理屈なのだが、果たして「5%運用」が如何に非現実的な利率かは説明するまでもない。しかし、実際はこの「5%」がこの低金利下堂々とまかり通ってきたのである。
 
● しかし、「早ければ2009年の通常国会で法改正したい考え」とあるが、いかにもこれでは”役所仕事”と言われても致し方あるまい。


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■「日本の生保業界の真実」(「定期付き終身保険」の秘密!)=第45回=■

2007年07月14日 | 保険
7月14日(土)

■「かわら版=第53号=」追加解説!

● 18年度の「個人年金保険・新契約高」の38社一覧(「保険・かわら版=第53号=」)を見ると分かるように、かわら版にも書いたように、生保間の好不調の差が明らかだ。
 
● ところで気になることがある。「第一フロンティア生命保険」(仮称)の動向だ。これは「第一生命」が銀行窓販専用生保として立ち上げると昨年の6月に発表したが、発売開始予定とされた今年の4月になってもなんの動きもない。
 また、「富国生命」は子会社化した「共栄火災しんらい生命」を銀行窓販専用生保に、「アクサ生命」も子会社化した「ウィンタートウル・スイス生命」を同じように銀行窓販専用にする。

● 果たして、今後の見通しとしてこの子会社方式が「銀行窓販のビジネスモデル」になるのかどうか。

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7月13日(金)

■「北九州市」は昨年も”見殺し”にしていた!

● 北九州市の生活保護を打ち切られた(市側は問題ないと記者会見で発表)男性が餓死する事件が起きた。最後の言葉が「おにぎりを食べたい」だった。年間で100人前後が「餓死」で亡くなっているという。
 ところで、この件に対する北九州市側の記者会見を見ると、市側の居丈高な対応が感じられるのは私一人だけではあるまい。そもそも「生活保護打ちきり」の目標があったというから驚きだ。
 文字通り「弱者切り捨て」の冷たい行政の姿がここには潜んでいる。というのも、実はちょうど昨年の今頃同じような”事件”が北九州市では起きていたのである。ちょうど私のこのブログの18年7月18日(火)に書いてあるのでここに再掲載する。

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18年7月18日(火)

● 昨日(7月17日)の「朝日新聞」の社会面で実に腹立たしい記事を読んだので是非紹介したい。まず以下は「朝日新聞のネットニュース」なのだが、事実を広く知って欲しいがためにそのままコピーすることをご容赦願いたい。

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衰弱知りながら給水停止・保護申請断る 障害者が孤独死
2006年07月17日05時55分

 北九州市門司区の市営団地で5月、独り暮らしの身体障害者の男性(当時56)が、ミイラ化した遺体で見つかる事件があった。この事件で、北九州市が、男性が脱水症状で衰弱していたのを昨年9月に把握しながら給水停止を続け、病院に入院させるなどの措置も取っていなかったことが分かった。男性が生活保護を申請しようとしたのに対しても、相談段階で断っていた。

 門司区役所の内部文書や、関係者の証言を総合すると、最初に異変に気づいたのは、団地を管理する市住宅供給公社の職員。家賃滞納が続いたため、昨年9月28日に訪問したところ、男性が床をはって出てきた。水道は9月14日、電気とガスはその前から止められていた。職員は市水道局に「男性が衰弱し、脱水状態にある」と連絡した。

 市水道局は9月30日、男性の状況を区役所に知らせたが、水は止めたままだった。近くの住民は、男性が公園で水をくんでいる姿をたびたび目撃している。

 区役所はその日のうちに、ケースワーカーと保健師を男性宅に派遣。男性は「生活保護を申請したい」と伝えた。だが、区役所は即座に保護を開始できる「職権保護」を適用しなかった。市内に住む次男から食料の差し入れがあるとして、「生死にかかわる状況ではない」と判断したからだ。

 実際には、コンビニエンスストアで働く次男が数日に1回、食パンやおにぎりを持ってくる程度だった。男性は妻と離婚しており、息子たちとの関係は複雑だった。

 男性は12月6日、区役所の保護課を訪問。「次男からの援助も途切れる。体も弱っており、保護をお願いしたい」と話した。しかし保護課は、長男が7月分と8月分の家賃を支払ったことを理由に、長男と話し合うことを求めて帰宅させた。それ以降、男性からの接触は途絶えた。

 男性は5月23日、布団の中でミイラ化している状態で見つかった。司法解剖の結果、1月下旬に死亡したとみられる。

 団地の町内会役員は「男性のやせ衰えた姿を見れば、誰もが生活保護が必要だと思った。しゃくし定規な考えが、男性を死に追いやった」と話している。

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● まず見出しだが「衰弱知りながら給水停止・保護申請断る 障害者が孤独死」となっているが、実際の新聞では「水道局、衰弱でも給水止めたまま/市、保護申請を却下」となっている。さらに大見出しで「障害者の男性 孤独死」とある。

● 実は、ネットニュースの最後は「団地の町内会役員は・・・」となっているが、実際の新聞記事では、このように書かれている。

・市保健福祉局は「水道や電気、ガスの停止だけで(職権保護が必要な)『急迫状態』とは判断できない。区役所の説明に男性は納得して帰った。亡くなったのは残念だが対応は適切だった」、市水道局は「もし区役所の依頼があれば給水回復を検討していた」と説明している。

● なぜ、最後の部分がネットニュースではなかったか気になるところだが、一般的に記者は個人のコメントについては確認したものしか記事には掲載しないことから新聞の最後の方のコメントはちゃんと「北九州市(門司区)・保健福祉局」の確認が取れているものと考えられる。
 
● 問題は、新聞記事にはない、団地の町内会役員が言う「杓子定規な対応」である。電気・ガスが止められ「水道」までも止められて果たして生きていくことができるのかどうか。しかも亡くなったのは1月下旬である。もっとも寒い頃に、ライフラインをすべて止められ、それがどういうことを意味するのか、区役所の担当者に分からないはずはない。しかも今回の56歳の男性は、障害者でもある。
 単に「格差社会の弊害」などと大仰な言い方をする以前の「人間の心」の問題だ。果たして、「(区役所の説明に)男性は納得して帰った」とか「対応は適切だった」と、開き直りとしか捉えられない北九州市/門司区役所の考え方に憤りを禁じ得ない。

● いつから日本は弱者を「見殺し」にする国になってしまったのか。

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● 「(区役所の説明に)男性は納得して帰った」とか「対応は適切だった」というくだりは今回の記者会見と同じである。また今回の男性も健康を害して働ける状態ではなかったという。果たして「生活保護打ち切り」の件数をノルマにする北九州市の非人道的姿勢をマスコミはもっと厳しく糾弾すべきだ。
 でないと、来年の今頃また同じような犠牲者の痛ましい記事が出ることになりかねない。早い話が「手(金)が掛かる高齢の無職者は早くこの世を去れ」という北九州市の考え方が根底にあると思えてならない。


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7月12日(木)

■「損保『自社株買い』」の波紋!

● 損保の自社株買いに対する意見が交錯している。15年度・16年度で急増した「損保の自社株買い」だが、株価が上昇すると手控えるのは当然の動きで、むしろ配当重視にスタンスを変えてきているとみるのが妥当な捉え方だ。
 ところが今月6日に書いたように「日本興亜損保」は、配当重視よりも自社株買いを選択し、株式濃度を高くした。

● もちろん「日本興亜損保」の場合は、外資の大株主のM&Aがちらつくが、既に大概の損保の外国人株主の保有が高いことを考えると、どちらの判断が是か非かは一概には言い切れない。

(参考)「自己株式取得状況」

□ ミレアジャパン  (13年度)0-0-807-1026(16年度)
□ 損保ジャパン   (13年度)5-14-7-4-(16年度)
□ 三井住友海上  (13年度)110-36-260-215(16年度)
□ あいおい      (13年度)0ー24-66-0(16年度)
□ 日本興亜      (13年度)44-44-60-66(16年度)
□ ニッセイ同和   (13年度)6-41-52-23(16年度)

(単位:億円)


 

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7月12日(木)

■「損保『自社株買い』」の波紋!

● 損保の自社株買いに対する意見が交錯している。15年度・16年度で急増した「損保の自社株買い」だが、株価が上昇すると手控えるのは当然の動きで、むしろ配当重視にスタンスを変えてきているとみるのが妥当な捉え方だ。
 ところが今月6日に書いたように「日本興亜損保」は、配当重視よりも自社株買いを選択し、株式濃度を高くした。

● もちろん「日本興亜損保」の場合は、外資の大株主のM&Aがちらつくが、既に大概の損保の外国人株主の保有が高いことを考えると、どちらの判断が是か非かは一概には言い切れない。

(参考)「自己株式取得状況」

□ ミレアジャパン  (13年度)0-0-807-1026(16年度)
□ 損保ジャパン   (13年度)5-14-7-4-(16年度)
□ 三井住友海上  (13年度)110-36-260-215(16年度)
□ あいおい      (13年度)0ー24-66-0(16年度)
□ 日本興亜      (13年度)44-44-60-66(16年度)
□ ニッセイ同和   (13年度)6-41-52-23(16年度)

(単位:億円)


 

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7月11日(水)

■「りそな、第一・日生・T&Dの3社と提携」の波紋!

● 18年度の「個人年金保険」の売り上げを見ても分かるように、銀行(証券)との関係が極めて重要なことが明白だ。その関係の意味は「株式保有」だ。中でも全方位提携とも言えるのは「日本生命」で、その効果もあってか「個人年金保険・新契約高」は全生保で第1位だった。2位が「住友生命」、3位が「東京海上日動フィナンシャル生命」となっている。
 ちなみに「日本生命」のメガバンクの持ち株は「三菱東京UFJ・2.5%(5位)、三井住友F・1.9%(第5位)、みずほF・1.1%(8位)」だった。もっとも「りそなH」の場合は上位10位には「日本生命」の名前はない。(%は19年3月末現在)

(この38社総合順位表は「保険・かわら版=第53号=」7月15日発行)を参照。なお、「保険・かわら版」は「第50号~第53号」を7月15日付けで発行・発送。)
 
● つまり、銀行と生保との関係を考えると、双方にとってメリットがある提携となる。さらに言えば、「りそな銀行」としては、第一生命だけの生保提携となると、やはり第一生命保険商品をメインにするしかなく、顧客の選択肢は狭まられる危険があった。しかし、提携生保となる生保数を増やすことで、この問題は解消することになる。
 特に「保障型保険商品」をもし12月末から販売するとなるとこの危惧の解消は「りそな銀行」にとっては大きな問題となるところだった。


■「金融庁長官に佐藤隆文氏が就任」の波紋!




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7月10日(火)

■「誰でもできる?死亡保障販売!セシール生保参入」の波紋!

● カタログ通販大手の「セシール」が生保事業に参入する。「死亡保障」を訪問販売へが読売新聞の見出しだったが、「富裕層や事業者などに訪問販売を実施している既存の専業保険代理店と提携し、対面販売を希望するセシールの顧客に営業職員を派遣してもらう」という説明で、まだ具体的な手法はわかりにくい。
 果たして「全国に千数百万人の顧客基盤を持ち、定期的に商品を購入する中核的な顧客が350万人に達する」とされるセシール顧客に死亡保障販売がどうなるかは全く未知数だが、そう大きくは望めないと思われる。

● 「セシール」は、経営不振からライブドアの子会社となったが、そのため筆頭株主は「ライブドアHLD・30.6%」だが、経営環境は厳しいがようやく増益予想ができる状態になってきた。
 背景には「医療保険や傷害保険」では薄利であるために、利益率の高い「死亡保障商品」を販売するという魂胆だが、やはり「死亡保障に対する理解度」がないと、逆に「つまらない保険商品に入らせられた」というような苦情につながらないとも限らない。

● 関心は「営業職員の派遣する保険会社」だが、果たして何処の生保に派遣してもらうかだがひょっとすると株主9位の「東京海上日動火災」を窓口にするのかどうか?




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7月9日(月)

■「日本生命、全契約者1,050万人訪問」の波紋!

● 遂に、「不払い防止、日生が全契約者1050万人訪問へ」が発表された。最近の「一流企業のトレンド」は、不祥事を徹底的に追求する姿勢だ。その好例が「松下電器」だという。TVや諸マスコミのCMを不具合品の案内に変え、さらには新聞の折り込みチラシまで入れた。確かに不特定多数が購入した電気器具ならこのような手段しか取りようがないだろう。

● 保険業界を振り返ると、全件訪問のアイデアがなかった。当初の損保業界の「保険金不払い」では、「全体の保険金支払いの内、不払いは○%」という言い回しが気になった。確かに膨大な保険金支払いからすると、「わずか○%は、取るに足らない量」という損保首脳の思い上がりが透けて見えなくもなかった。そもそもこれは損保も生保もだが、「保険金を払わない」ということは、「重大な契約違反」という抜本的な捉え方が不足していたと言い切れる。

● とりわけ損保業界は営業現場である代理店への「保険金不払いをなくするためとした事務処理」は急増したが、本社機構の姿勢は見えにくい。とはいえ、ほとんど損保事業は限られた損害保険会社の独占状態であることを考えると、顧客は嫌でもどこかの損保を選択するしかない実情から、文字通り居直りが有効ということにもなる。

● ただ、今回「日本生命」が打ち出した「全件訪問」は、保険会社の経営姿勢を契約者にアッピールする「踏み絵」になる可能性がある。つまり、「全件訪問」できる保険会社とできない保険会社の差別化だ。
 確かに一部の保険会社では「担当者が辞めても後続担当者をちゃんと引き継ぐ」システムを構築していることから、どの生保が「全件訪問を発表するのか」と密かに覗っていたが、結局「日本生命」に持って行かれてしまった。

● もちろん、この「全件訪問」の背景には、「解約防止や新規契約の期待」も当然のことながらある。単純計算すると1,050万件を5万人のセールスで訪問すると約210件だ。「日本生命」のことだから、これに伴う「セールス話法マニュアル」も作成しての全国展開だろう。ややもすると、「日本生命」の場合は、契約量の減少だけが囃されるが、決算等を見ても既に保有保険資産の温存にかなり比重を置いている、と分析できる。

● ただ、今回の「訪問は8月から始め、来年夏ごろに終わらせる」とする訪問期間には疑問符が付く。もっとよりスピーディーに終わらせることは工夫できないものか。他社がおいそれと追随できないことをやることがリーディーングカンパニーの優位性でもあるのだが。

● さて何処の保険会社が次の時代を担っていけるか、「保険金不払いの対処」が個々の保険会社の試金石になる。



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■「日本の生保業界の真実」(「定期付き終身保険」の秘密!)=第44回=■

2007年07月08日 | 保険
7月8日(日)

■「医療保険・減少」の保険業界への影響!

● 18年度の「医療保険」の新契約件数が約1割減だっと報道された。少子高齢化で「長生きのリスク」を生きているうちの保険商品である「第三分野」保険商品に照準を合わせ一部の保険会社が盛んにPRをしてきた。その甲斐もあって医療保険などの新契約件数などは増加してきたが、やや「頭打ち状態」を示してきた、というところだ。

● 理由はいろいろあろうが、その中の一つに「契約者が少し賢くなった」という点を指摘できる。例えば「通販保険商品=保険料が安い」という固定概念でTY・CMを見る顧客が減りつつあることを指摘できる。
 以前なら、通販保険商品は、高額な固定費用が掛かる保険セールス販売チャネルより費用が少ない分保険料が安い、と考えられていた。ところがアリコの膨大な広告投入で顧客の見る目は変わってきた。

● 確かに医療保険などへの関心は高まったが、当然のことながらあれだけの広告費用はどこから出るのかの素朴な疑問を抱き始めたと言えるのだ。もちろん保険料に転嫁されてくるといえば話は見えやすいが、アリコの大量広告の狙いは「知名度アップ」だったことは業界人なら周知の事実だ。そのもっとも効果が大だったのは「銀行窓販の個人年金保険」だ。
 
● 18年度では、「個人年金保険・新契約高」は、「日本生命・住友生命・東京海上日動フィナンシャル生命」に次いで4位にランクされた。確かに対前年度比マイナス8.8%ということを考えると、決して褒める材料ではないが、しかし他の「ハートフォード生命、アイエヌジー生命、マニュライフ生命」などの外資系生保
が32.2%~46.1%減だったことを比べると、やはり「アリコ」の減少幅は極めて少ない。つまり、この辺にも大量広告の効果があると言えるのだ。

● さて、その一方で一部の生保は「医療保険の切換」を実施してきた。「無告知(あるいは限定告知)医療保険」の販売である。1回でも入院や手術をすると医療保険への加入条件は厳しくなる。病気の内容によっては新規加入は絶望的となる。ところが、一定の条件をクリアーすれば「加入できる」としたことで、話題をさらったが、冷静に「保険料対効果」を計算すると、「支払うであろう保険料総額」を手にすることは極めてレアなケースであることが分かり始めた。
 つまり「医療保険の加入目的」が入院や手術のための経済的補填ではなく「とにかく医療保険に加入しているという安心感」に化けていたのである。

● 基本的に「医療保険」は決められた期間で保険料を支払い続けることになる。つまり1度契約すると「契約者が支払うべき総保険料は確定」しているのである。契約途中で何回入退院をしようが、そこで保険料の支払いがストップされることはない。わかりやすく言えば「支払う保険料総額を超過した分が契約者の経済的メリット」と言える商品なのだ。

● もちろん、そのメリットに浴する契約者がいないとは言わないものの多くが支払う保険料が多いままで満期(あるいは死亡)することになる。しかも健康を害した契約者の場合、当然のことながら「保険料は高く設定」されている。これでは益々契約者の経済的メリットは少なくなる仕組みだ。

● また、あまりにも「目先の保険料競争」に走ったがために契約者はその選択の難解さに気付き始めたとも言える。そのさなかの「保険金不払い」問題だ。例えば「3大成人病になったら以後の保険料は頂きません!」と大々的な広告を流しても肝心な支払条件が難しく、且つ契約者(被保険者)が「申請がなかったら支払う必要はない」として、保険会社が一時金などを支払わないというのでは、契約者は保険のプロになるしかなくなる。
 もっとも某損保役員氏が「保険とは契約者が保険金請求して保険会社が支払う仕組み」と居直る現状では、少なくともこんな損保の医療保険には危険が一杯ということになる。

● さて、「医療保険の減少傾向」は、はっきり言うと「契約者側が辟易してきた」のではないか。先に「契約者が利口になった」ことを指摘したが、「高額療養費制度」やいろいろな社会補償があることを知ると、そう大騒ぎするものでもないことがだんだん分かってきた、というところだ。
 中には「生活補償」が必要と説くケースもあるが、これもサラリーマンと主婦や子供では事情が全く異なる。必要な場合とそうでない場合とを明確に分けて考えないと分厚い医療保険に契約し、保険料負担に辟易することになる。

● あえて「医療保険は不要」とは言わないが、あまりにも保険会社主導で過大なまでのニーズ喚起をしてきたことへの明らかな「過剰な反動」が起こり始めているといえるのだ。
 そもそも、1500万件前後保有契約がある「定期付き終身保険」には、そのほとんどに「医療保険」などが特約として付加されている。80歳までとか条件に不足を感じる契約者もいるだろうが、ともかくも新規に加入するとなると屋上屋を重ねることになる。

● さらに言えば「全労済、都道府県民共済、CO・OP共済」などの好調な共済の存在だ。民間生保(損保)が「保険料の安さ」をいくら強調しても、契約者には種々の選択肢がいろいろと既にあるのである。
 
 とりわけ民間生保の営業現場としては「解約返戻金のある医療保険」に徹していかないと、その存在意義すら疑われかねない事態にならないともかぎらないのだ。




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7月7日(土)

■「生保不払い『失効返戻金』問題!

● 過日も某損保役員氏が「保険金は(契約者が)申請して(保険会社が)支払うもの」と豪語していたが、やはり時代認識の甘さはミートホープレベルだ。そもそも「事故」があったときに、該当する保険金を100%支払うのが「保険の役割」だ。「新特約」と称していろいろな”特約”を付加して実際事故に遭ったら「自分で申請しろ」では、素人の顧客には土台無理な話だ。

● よほどしっかりした代理店が担当なら安心の度合いも違うが、所詮「事故率」が手数料に反映されるシステムでは「(顧客が)分からない方が会社も代理店も得」という悪質な風土があったとしたら、これは大きな根本的問題だ。
 もっとも、私が知りうる代理店の多くは、「契約者本意」の営業をしている方が多いことから、「顧客が分からないところをちゃんと教えるから代理店の存在価値がある」と自負する方がほとんどだ。
 にしても、損害保険会社はあまりにも多種多様な保険商品(特約)を作りすぎた。

● さて、話を今日の「朝日新聞」の『ウォツチ』に移そう。生保の不払い調査で、業界の一部から「金融庁が調査基準を明確に示すべきだ」といった不満が聞こえてくる、とある。その一例として「失効した保険の解約返戻金でもこれまでにも客に十分な案内をしている」と再調査しないで済ませる社と調べ直して不払い件数が膨らんだ社があり、「正直者がバカをみる」という理屈だ、となる。

● しかし、「失効返戻金」については、これまで著書やマスコミ等で契約者に注意を呼びかけるとともに生保のネコババにつながるような現在の仕組みではおかしい、と訴えてきた私としては、果たして「客に十分な説明をしてきた」と本当に言い切れる生保がどれほどあるか極めて疑問だ。

● もちろん、公表される「不払い件数・金額」については「何処まで調査しその対象は何処まで」だったかを明らかにすることで、各生保の「顧客対応の温度差」が分かろうというものだ。
 以前の「生保不払い」については、生保各社のニュースリリースから全社の対応をまとめて「かわら版」で特集して発行したが、状況が許せば企画して見たいところだ。

● ところで「不払いに関してもう一つ」。「ハートフォード生命」が「27件の災害死亡保険金の不払い」を公表していたが、他の生保では「災害死亡保険金関係の保険金不払い」はないか」極めて疑問が残る。詳細は「かわら版」で特集済み。これは1件でも金額が大きくなるため生保の責任は極めて重い!この「災害保険金不払いの可能性」については、追々解説していきたい。
 

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7月6日(金)

■「日本興亜損害保険の自社株買い」の波紋!

● 今日の日本経済新聞の「金融取材メモ」で「日本興亜損害の自社株買い」の件が取り上げられた。ファンドが求めてきたのは「株式価値の向上策と株主還元の強化」というもの。そして日本興亜は「大量の自社株買い」をその回答の一つとした。

● 実は松沢建前会長はファンド首脳とも親しかったことから「M&A」目的ではなく、純投資が目的だと公言してはばからなかった。しかし、記事によるとファンド側は「投資目的」を「純投資から状況により経営陣に助言または重要提案を行う」に3月末変更してきたとある。

● つまり、このままでは何でもありの状況に陥ることになるが、そのファンド側の要望を受け入れる形で「自社株買い」を選択したとすると、果たしてこれで大丈夫かという疑問は禁じ得ない。
 株数の減少でファンドが持つ株式効果はより発揮できるわけで、もし保有する株を売却となると確かに記事にあるように「業界再々編が前倒しで始める可能性もある」ということも否定できない。

● 要は、今や株の取り合いが活発化となり、その過半数を手にしたところが”勝者”となる仕組みだ。詰まるところ、額面通り「純投資」を信じたがためにある時にファンドが豹変し「M&A」目的になる事実をかいま見せたことになる。
 今後の動向に注目が集まるところだが、何もこの手の話に噂される損保は1社や2社に止まらないから、再々編は必至というのが穏当な見方だ。


■ 今後の保険業界再編のカギを握る「SBIHのCEO・北尾吉孝氏」の波紋!

● 最近急に保険業界への接近が囃される北夫吉孝氏に注目が集まっている。果たして何が目的か、あるいは何を仕掛けようとしているのか。


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7月5日(木)

■「日本郵政、4社と提携」の波紋!

● 「変額個人年金保険」の日本郵政の取り扱い生保が決まった。保険金を受け取る時期により、

① 10年以上の据え置き型  「住友生命・アイエヌジー生命」
② 早期受け取り型      「三井住友海上メットライフ生命」
③ 保険料が月掛けの積立型  「アリコジャパン」

 という具合だ。

● また「住友生命」が代理申請会社になることと、「寺阪元之郵便局会社社長」が「住友生命」出身とくると、西川善文社長の「三井住友色」が強く出る結果になった。商品内容からもっともおいしい思いをするのは「住友生命」だが、しかし本音は「金利上昇」による逆ざや解消が悲願であり、あくまでもこの対応はその一里塚というところだ。
 
● 他の生損保からは「かんぽ生命のCEOが東京海上日動出身者」という程度で、文字通り他の生損保は「真っ向勝負」することになるが、かといってまだ流動的な要素が多い現状からは、真っ先に立ちはだかる生損保はあるまい。
 しかし、それを見越してこのような選択を強かに実行するのが「西川流」だとすると、よほど確たる販売戦略を準備しておかないとむやみに混乱の中に叩き込まれることになりかねない。

● ただ、この公表で複数の保険会社は、規模の拡大を余儀なくされたわけで一層水面下の合従連衡の仕掛けは現実味を帯びてくることになる。


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7月4日(水)

■「生保の総代会開催」!

● 相互会社6社の総代定数はこのようになっている。

・日本生命      160人
・第一生命      166人
・明治安田生命   222人
・住友生命      165人
・朝日生命      150人
・富国生命      120人

● いろいろと批判がある総代会だが、今回業界ではじめて立候補した総代20人が参加したやり方を取り入れた「明治安田生命」のやり方は評価されてよい。各社の総代メンバーはディスクロに掲載されているが、どのような人物かは極めてわかりにくい。例えば”主婦”とあっても地元企業の社長夫人というような例もある。
 もちろん中にはしっかり質疑をする総代もいるが、この総代会を一般企業の株主総会と同等に位置づけするのは的外れだ。

● 限定されたしかも生保の息が掛かった総代が、一般企業の不特定多数の株主と同じというのは明らかに異なる話だ。簡単な話が株主総会は、何人の株主が当日くるからすら分からない中で企業は準備をしなければならない。さらには、どのような爆弾発言が飛び出すかも不透明な中での開催となると、自ずと緊張感は違う。
 そこに一般企業の場合、株主総会を仕切る”総会屋”の出番もあったのだが、今はほぼ完全に水面下に没してしまった。

● その意味では「相互会社」というのは、極めて不透明な組織形態となる。むしろ、「日本生命」が160人の総代を200人にするよう定数を変更し、他の生保も人数増を表明してはいるが、果たしてこのようなことだけで「透明性」ははかれるのか、極めて疑問だ。


■「富国生命の業績」に異変?!

● 本日の「日本経済新聞」の生保各社の決算公告を見て奇異に感じた読者は少なくなかったはずだ。要は決算公告のサイズだ。「日本生命と第一生命」が5段通しに対し、「明治安田生命」が5段1/2、「住友生命」が6段1/2のサイズだ。これに比し「富国生命」は5段通しなのだ。
 「総資産」で10倍の「日本生命」や6倍の「第一生命」と肩を並べるサイズである。総資産が4倍前後の「明治安田生命と住友生命」がほぼ富国生命の半分サイズということを考えると、違和感がある。

● つい、仕事柄「背景に何があるか」を疑ってしまう。果たして以前全国紙各紙が記事にした例の件に対する根回しか。あるいは決算内容に問題点があったのか。手短に分かる範囲で決算資料を見ると、確かに「保険料等収入」の落ち込みは国内生保9社の中で対前期比14.7%と最も大きい。 
 さらに「保険金等支払金」は9社の中で唯一対前期を上回った。しかも他8社が「解約返戻金」を対前期より減らす中、「富国生命」だけが対前期よりも多くなっている。

● とかく堅調推移してきたとされる「富国生命」だが、やや気になる材料だ。




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7月2日(月)

「都道府県民共済」生保契約で「日本生命」を抜く!

【解説】


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7月1日(日)

「19年4月の生命保険概況」より=②=

● ややもすると、「個人保険の保有契約」が毎年減少することで「保険離れが止まらない」という表現を目にするが、正確には「小口化」が進捗している、というべきだ。というのも「個人保険・保有契約」のここ数年の業績は「件数は横ばいで金額が3~5%程度毎年減少」しているからである。
 
● つまり、このことは何も極端な「生保離れ」が起きているわけではなく保険契約の小口化が進行していると読めるのである。例えば、主契約に特約をつけるとこの契約は1件カウントだが、付加した特約を単体扱いの保険商品とすると1件カウントが2件、3件カウントというように件数はどんどん増える仕組みだ。

● 一方「金額」は、とりわけ高倍率の「定期付き終身保険」の保険料払済時がどんどん押し寄せることでそれまで付加していた「定期保険特約」は何千万円から一気にゼロとなる仕組みだ。文字通り残る金額は「終身保険」だけとなる。
 これでは、新規加入の金額が大きくならない限り、保有契約の金額が増加することは考えにくい。

● しかも、「定期付き終身保険の保険料払済による金額減」は、既定路線だが、4月の業績とその前の業sけいを見ると、「新契約業績」のマイナスが大きい。さらに言えば、減少傾向だった「解約返戻金」が、4月は対前年比8.5%増の4399億円に増加したことは、やはり「保険金不払い」の影響か。


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■「日本の生保業界の真実」(「定期付き終身保険」の秘密)!=第43回=■

2007年07月01日 | 保険
6月30日(土)

「19年度4月の生保業績概況」から見えるもの!=
 


● 4月単月の「生命保険事業概況」が生命保険協会から発表された。「収入保険料」は、1兆9115億円で対前年比7.1%減。「新規・個人保険契約」は、4兆2284億円で対前年比23.3%減。さらに好調推移してきた「個人年金保険」の新契約も、対前年比11.3%減となった。
 このような業績項目が新聞報道されると、生保の業績は落ち込んだままと捉えられがちだ。しかし、細部を詳しく分析すると、生保の経営体力の評価にこれまでとは異なる視点を取り込む必要がありそうである。

● 例えば「個人年金保険」の「新契約」は減少したが、「保有契約」は86兆3186億円の対前年比7.0%増加しているのである。つまり、「個人年金保険・保有契約」は「年金原資+年金支払い後の責任準備金」であることから、これまで契約した個人年金保険が保険料を支払い終え逆に「年金を受け取る契約者が増大」し始めたことを予測させる。
 それがために「年金の支払額」は、対前年比11.8%増の1581億円だ。これは、高い予定利率の「個人年金保険」が年金を受け取る契約者の急増が今後予想されることから、高い予定利率の個人年金保険を大量保有する生保としては、資産の運用環境の好転に期待するしかない。

● 少し説明を加えると、高い予定利率の個人年金保険のリスク軽減には、「変額個人年金」や「定額個人年金(予定利率の低い)」の大量販売はほとんど役には立たない。詰まるところもっともベターなのは「約束した『予定利率』を上回る運用ができる」ことだが、これは到底及ばない話だ。
 そこで、現在のような「逆ざやを死差益や費差益」で穴埋めすることになるが、それでもこの穴埋め額が少なくなれば、生保間の「配当金競争が本格化」することになる。

● さて、生保業界の現状から垣間見えることは、かつての「新契約競争」から「資産運用競争」に舵を切り替えざるを得ないということだ。もちろんこのことは「銀行窓販の変額個人年金保険」でも同じだ。
 もう一点の業績の注意点を指摘しておくと、「保険料収入」が下がったにもかかわらず「総資産」は203兆8520億円と、対前期比4.2%も増加しているのである。つまり、売り上げは減ったが保有財産は増加している、のが今の生保なのだ。

● もちろん38社がこれに全て当てはまるわけではないが、この傾向の継続は「保有資産を多く持つ生保が有利に働く」ことにつながるのである。




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6月29日(金)


http://www.jafp.or.jp/

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6月28日(木)

「江頭敏明・三井住友海上社長、謝罪要求突っぱねる!」=笑止!百害あって一利なしの”子供”の対応!=
 



● 保険金不払いで三井住友海上社長、謝罪要求突っぱねる

(以下は「読売新聞」のネットニュースで配信されたものだ。ナーバスな問題でもあるのであえてそのまま記載する。)

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 保険金の不払い問題に揺れる大手損害保険各社の株主総会が27日、相次いで開かれた。ほとんどの経営陣が不払い問題に対する謝罪の言葉を口にする中で、三井住友海上火災保険の江頭敏明社長が、謝罪を求める株主の声を突っぱねる一幕があった。

 三井住友海上の総会では、江頭社長が冒頭のあいさつで、不払いの再発防止に向けた体制づくりなどを説明すると、株主の一人が「会社存亡の危機を招いた事態であれば謝罪すべきだ」と声を荒らげた。

 これに対し江頭社長は「昨年の株主総会で十分に謝罪した。処分の反省にたってこの1年間は業務改善に努めてきた」と回答。株主がさらに「株主が大変な思いをしているのに何も謝罪しないのか」と詰め寄ったが、「ご意見として承る」と述べるにとどめた。

 一方、他の大手損保では経営陣が株主に陳謝した。損保ジャパンでは佐藤正敏社長が冒頭「心からおわびいたします」と述べ、全役員が起立して頭を下げた。

(2007年6月27日21時59分 読売新聞)
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● この件については、せいぜい「日本経済新聞」が「三井住友海上火災保険では株主から、不払いについて謝罪してほしい、など不払い関連の質問や意見が目立った」とあるくらいだ。
 ところが「読売新聞」の新聞紙上では黒枠に「昨年、十分謝罪した」と白抜き文字の見出しとなり、さらに顔写真入りである。

● 率直に言えば、これは明らかに、江頭敏明三井住友海上保険社長の失態である。少なくとも「保険金不払い」についてはまだ決着が付いていない。しかも江頭社長が株主(契約者)に対し大きな勘違いをしているところは、「謝罪をしたから再度する必要はない」とした考え方を露呈したことだ。
 つまり、この「居直り」にも似た対応は、「保険金を支払うか支払わないかの決定権は保険会社が持つ」という大前提を考えると、この対応から予測されることは「出ないと言ったものは出ないんだ」という言い方にも共通する点だ。

● そこには「契約者は申請して保険金をもらう立場」というような言い分とがダブる。その結果が膨大な「保険金不払い」につながったのである。果たしてこのような感覚の社長の損害保険会社に契約者は安心して保険を任せられるのか、極めて疑問だ。
 確かに「東京海上日動火災」の石原社長の辞め際は少々紆余曲折があったものの最後は大人の対応をした。今や実績では「損保ジャパン」を抜き2番手の評価が高い「三井住友海上火災」だが、これではだだをこねた「子供の対応」と揶揄されても致し方あるまい。

● 経営トップの感性が重要なのは、これまでに不祥事を起こした企業の経営トップの対応が嫌と言うほど教えている。これでは江頭社長が「保険金不払い」について、腹の中では「不本意であり、居直っている」と株主(契約者)から思われても致し方あるまい。



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6月27日(水)

アリコの「リターンズ」の魅力度は?! 

● アリコの「リターンズ」について昨日書いたところ、早速お二人の方から否定的なご意見を頂戴した。どうやら私がこの保険商品を好意的に捉えてブログを書いたのではという心配だ。
 もちろん、保険商品解説をする際はできるだけ資料を集め、間違いのない分析と解説をしたいと心がけている。その点では資料等が不足しているので「商品の善し悪し」についてはコメントを避けたのだが、あくまでも一般の契約者が知る売る範囲における解説をとりあえずしておきたい。

● まず、契約者ニーズだが「全額戻ってくる」という点に強調されるように、医療保険の保険料を「掛け捨て」にしない点がキーポイントでもあるが、これは裏を返すと「医療保険の保険料の仕組み」をバラすことにもなる。
 つまりかの「まもりたい」は、満期まで保険料を払い続けると約550万円(50歳代例)にもなる保険だ。ところがCMでは「保険料に対する保険金効果」を見えないようにして「健康を害していても医療保険に入れる」という点を強調した。

● ややもすると「生命保険に加入できれば入院や手術の時に安心だ」というイメージを植え付けCMを大量投入した。しかし肝心な「費用対効果」を考えると、極めてマレな入院・手術・死亡をしない限り、支払った保険料以上の保険金を手にすることは難しい仕組みの医療保険(死亡保険付き)なのである。

● ところが「リターンズ」は、この「保険料と保険金との費用対効果」を逆に前面に出して商品設計してきた。簡単にまとめると「保険料総額」を前面に打ち出しその「保険料総額を受け取れる上限」と明記したのである。
 もちろん「上限」とはいえ、それを上回るケースもあるが、これが「リターンズの契約者メリット」ということになる。

● つまり、支払う保険料総額以上の入院や手術などの給付金を受け取った場合である。ところでこの損得も大きく2つに分かれる。一つは「リターンボーナス」をもらう前の入院等である。もちろん「リターンボーナス」は支払った保険料以上にもらえないことから、相当の入退院や手術をしないと費用対効果は難しい。もう一つは「リターンボーナスをもらった後の入院・手術」である。

● もし、「リターンボーナス」をもらう迄に入院や手術もなく「健康ボーナス」だけを手にしていた場合、「リターンボーナス」で計算上支払った保険料は広告のキャッチコピーのように「全額戻った」ことになる。そしてそれ以降入退院や手術をすることになると、それは「リターンズ」に加入した大きなメリットとなる。
 もっとも、「リターンボーナス」を手にした後も入院などすルことがなければ最終的に「死亡保険金」を受け取って終了となる。

● さて問題は「契約者ニーズ」だが、確かに「支払う保険料が戻る」という着想は評価するも、実際の必要性を考えると、かなり限定的顧客層対象商品だ。アリコのHPの商品解説でも30歳女性の例が掲載されているが、果たして40年後からの医療保障のために毎月1万円余りの保険料をかけ続けるかとなると、よほど金融の知識に疎い人でない限りそうたやすく契約はしまい。

● 例えば、30年間かけて支払ってきた保険料総額は392.256万円だがモデルプランは10年据え置きタイプで60歳から70歳までの10年間預け70歳時に「リターンボーナス」をもらうことになる。もちろん貨幣価値の問題もあるが、少なくとも60歳から70歳の10年間に固定金利で運用してもそこそこの利ざやを期待できる。
 いずれにしても、30歳の女性が現在の金利上昇局面を全く知らずに30年間も保険料を払い続ける図は余り賢い選択とは言えまい。

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6月26日(火)

アリコの「リターンズ」登場雑感! 

● アリコが「全額戻ってくる」をキーワードにした「リターンズ」を新発売した。広告文面をみると「1円も保険料がムダにならない」と大書きされている。もちろん細かい条件はあるものの、ここでは「保険商品の善し悪し」を評価するよりも「顧客ニーズを先取りするうまさ」はひときわ光る。

● 昨日も指摘したが「保険料が安ければ支払った保険料総額」には気付かれないような保険募集がまかり通って来た、というよりまだまかり通っている。しかし、資産運用状況がよりよくなると、預かった保険料が「利が利を生む」状態となり、文字通り「支払った保険料が一定年後には丸々戻る保険設計が可能」となる。

● その一例が「日本の生保業界の真実!」の72頁の(図表⑫)だ。もちろんこの例の「予定利率」は『5.5%』である。こう説明すると、「これから当分はそういう予定利率はないから画餅だ」と、一笑に付されがちだが、しかしそうとも言ってはいられないのが「配当金競争」だ。
 あるいは「利率積立終身保険」などの運用結果だ。あくまでも契約時のシミュレーションとして、高い運用パフォーマンスが提示されると、「解約返戻金もないもちろん配当金もないあくまでも死亡保障だけの保険」など、これからは物足りなく見える時代が来る。

● アリコの「リターンズ」についてはまだ現物の資料等が手元にないので商品の評価は避けるが、間違いなく「安い保険料競争」から軸足を先を行く生保は移し替え始めた。
 
● ところで、9月の後半に大阪に来れる銀行関係者、もちろん窓口販売に関係する方でFPの方は、是非私の講演を聞きに来て頂きたい。間違いなく「目から鱗が落ちる内容」であるからだ。もちろん保険会社関係者も大歓迎!詳細は近々発表。


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6月25日(月)

「日本の保険業界の真実」雑感! 

● 「日本の生保業界の真実!」を発行してから2ヶ月が経過した。地味な内容のため爆発的に売れることはないものの文字通りコツコツと注文がある。中でもありがたいのは、読んだ方からの紹介で注文した、というメッセージ入り注文。これは素直に嬉しい。

● いろいろな方からメールを頂戴するが、やはり「今後の保険業界はどうなるか?」に関心が集まる。とりわけ生命保険の営業現場に携わる営業員や代理店の方からはやや悲痛な声も聞こえてくる。
 もちろん損保代理店のほとんどが、かの「保険金不払い」に端を発した事務処理の増大に根を上げているのだが、その一方でこのままの(保険会社が推奨する)販売手法で生き残れるのか、という素朴な疑問だ。

● 似たような内容のメールを何件か頂戴したのでここでまとめて説明すると、とにかく販売できる保険商品の中に「解約返戻金がある保険商品」を確保しておいた方がよい点を力説している。
 とりわけ「損保系生保」が市場参入したのは平成8年からで、要はバブル崩壊後の「生保不況」の中で「保険料が安い保険商品がよい」とする価値観で生保営業に突っ走ってきた。

● ところが、これからは経済のベクトルが全く反転してしまうのだ。「高くても良質の保険商品」が売れる時代になる。つまり「解約返戻金がない”骨粗鬆症”のような保険商品」は、近い将来「攻略の対象」になる。
 しかも経済的に高い保険料が払えない契約者は、「共済(全労済・県民共済・コープ共済)など」にこれまでと同様に流れる。もちろん保険料を払える契約者でもこれらの共済には「保険の保険」として少なくとも1共済は加入しておくべきが私の持論だ。

● つまり、景気が良くなると「安定志向の保険商品」を契約者が好むのは当然の成り行きだ。もちろん欲を言えば「有配当保険商品」だが、現状からはやや困難か。しかし、既に「決算時における配当金」の話題が記事になるように今後益々「配当金報道」は盛んになる。
 さらに「日本の生保業界の真実!」にも書いたように、大手生保の「諸利率」がじわじわと上げられる状況になると、「解約返戻金、配当金なし」の生命保険では太刀打ちできない時がくる。

● かといって「完全武装」しようにもその「知識力」がないのでは、論外だ。もし「日本の生保業界の真実」の73頁の「定期付き終身保険」(「定期保険+終身保険」でも同じ)のようなパンフレットや設計書で保険募集をされたら、これは間違いなく太刀打ちはできない。
 もちろん、「前納率等の高騰」は、12月からの「銀行窓販」にも大きな好影響を与えることになる。但し、銀行関係者がこの「生保の諸利率」を理解し取り込んだ説明ができるようになることが条件だが。

● いずれにしても「勝ち残る条件」は「戦える武器」を先読みして確保しておかないと、契約者ニーズに取り残されてからは挽回は難しい時代に突入するのだけは確かだ。

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6月24日(日)

新作「シッコ」の日本公開は8月の予定・・・!

● 6月23日の「読売新聞」の記事で知ったのですが、ブッシュ大統領を痛烈に批判した「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、今度は米国の医療保険制度を痛烈に批判した「シッコ」が29日から全米公開されるという。
 欠陥制度の実態をあぶり出した作品の評判は上々で連日のように米メディアを賑わしている、と記事にはある。

● 記事によると、米国は日本のような「国民皆保険制度」がないため、無保険者が16%(2005年)もいるとされ、また、民間の保険に加入しても適用除外条件が多い、とある。
 
● 確かに日本の医療保険制度は、国民全員が適切な医療費用で医療を受けられる安心感は大きい。「高額療養費制度」などを考えると、健康でない人も「国民皆保険制度」により、医療保険に加入しているのと同じ効果がある。つまり毎月10万円ほどでほとんどの病気やケガの入院・手術に対応できる仕組みだ。
 
● ところで米国の保険会社の映画というと、1997年の米国映画「レインメーカー」を思い出す。確か2年ほど前に、GYAO(ギャオ)で、公開されることを
HPの「会議室」でお知らせした。

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○ ジョン・グリシャム原作の「原告側弁護人」がそうなのですが、主演の「マット・デーモン」の役柄も嵌っているのですが、ここでの大きな関心は、ストーリーの中で年間11,400件ある、保険金請求をまず「支払拒否する保険会社」と言うストーリーです。何と9,141件を「保険金支払い拒否」するのですが、理由は保険の種類が貧困生活者向けの保険のため、支払拒否の案内をすると、大概諦めてしまう。契約者心理をうまく利用した保険会社のシステムです。
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● ドキュメンタリーとしての映画になっているとのことで、米国の医療保険制度を知る上でも是非見たい映画だ。間違っても「国民皆保険を止めて”規制緩和”による民間医療保険で賄う」というような考え方が跋扈しないためにも、である。  

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6月22日(金)

18年度生保決算=⑫=「有価証券の時価情報」!

● 生保の「有価証券」についての説明は極めて難しい。特に「時価会計」導入により個々の生保について説明をしていくと個々の生保間で価値観が相容れないことが生じる。確かに「有価証券の含み益」があることは生保経営上プラスなのだが、しかし、バブル期に暴騰していく株式を大量保有し逆に株価暴落で含み損を大量保有した生保は苦境に陥った。

● そこで「株式保有は悪」というような生保資産運用の価値観が幅をきかしたが、従前から機関投資家として大量保有していた大手生保にはこの価値観は通用しないことになる。もっとも3月末で約32兆円ある生保の株式保有を手放すべきと言うのは非現実的な話であることは説明するまでもない。

● もちろんこの間「含み益が0になる株価水準」は各社ともかなり下がっており、よほどの大暴落でもない限り「株式保有」が生保経営のネックになる可能性は低いはずだ。

● むしろ、気になるのは「国債」と「外国証券」だ。しかし、各社の保有状況の是非を解説しようにも、果たして結果として現在の保有ポジションが良いか悪いかは誰にも分からない。
 いずれにしても、超長期国債の発行とそれの高い金利が約束されれば、文字通り「逆ざや問題」に一定の目安がつくが、もうしばらくは”忍”の一字と言うところか。

● 18年度末では「日本生命7兆4831億円、第一生命3兆6116億円、明治安田生命3兆3341億円」と、最近は確実に「有価証券の含み益を拡大」してきている。


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