★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
● 「大地一成のオフィシャルHP」 → http://homepage2.nifty.com/i_daichi/
● 「大地一成の・ブログ保険塾」http://daichi-issei.cocolog-nifty.com/blog/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
11月3日(金・祭日)
11月4日(土)
11月5日(日)
■ 損害保険協会会長・石原邦夫東京海上日動火災社長は、NHKの経営委員長を辞すべきだ!■
● どうやら、ことここに至っても「ほとんどの損保がやっていたこと」と、タカを括っている損保首脳があると聞く。言語道断である。もちろん記者会見などでは神妙な謝罪をしているが、果たして腹の中は?
● もちろん、最大の関心事は「金融庁の処分」だが、その前に大きく立ちはだかるのが現在金融庁検査が行われている「損保3社」の「検査結果」だ。自己報告と検査結果に乖離があった場合、厳しい処分は免れまいが、その余波は他の未・検査損保にも大きく影響を及ぼすことになる。
● ところで、問題となるのは「程度」の中身だ。しかし、機械的に判断するのは極めて困難なことから、ここでは「損保ジャパンと三井住友海上」の『不祥事比較』で説明してみる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【保険・かわら版=第45号(抜粋)=】
┌───────────────────────────┐
│「不祥事比較」で”違い”は歴然! │
└───────────────────────────┘
● それでは両社の違いは「保険金不払い」だけだったのか。ここで改めて「損保ジャパンと三井住友海上」の『不祥事比較』をした。
「損保ジャパン」の不祥事
○17年12月 山口支店で不正契約(社員が勝手に押印)52件が発覚。
○18年 2月 生保提携先の第一生命契約を巡り「特別利益の提供」などの違法販売が大量(社員280人・431件)発覚。
○18年 5月
●17年9月~12月に金融庁検査の際、保険金の支払漏れ(1,128件・1億2,050万円)が新たに発覚。自主調査対象外の「自動車保険の搭乗者傷害保険の支払漏れ(206件・2,570万円)も発覚。
●顧客の印鑑大量保有による顧客に確認無しの押印(2,947件・他23件)発覚。
■18年5月25日 ●金融庁は「4項目の業務停止命令」を発令
○ これ以外にも「海外拠点(香港)での賠償責任保険の不正行為」(H11年)が発覚。また、18年2月には「元損保ジャパン代理店」が「死体遺棄容疑で逮捕」というショッキングな事件も起きていた。
● これに対し「三井住友海上の業務停止処分」は6月19日に「日本経済新聞(夕刊)」の報道で突然明らかになった。そして実際金融庁は6月21日に以下のような理由と内容で行政処分を実施した。
「三井住友海上」の不祥事
○ 第三分野保険金の不適切な不払い
不払い件数927件、1.66億円の不適切な不払い。この内終身医療保険は305件、0.61億円と顕著。
○ 付随的な保険金の支払い漏れ
17年9月30日付の21,173件・19.1億円に対する付随的な支払漏れの調査の結果、17,296件・7.2億円の支払漏れが発覚。
○ 不適切な代理店管理
保険料の立替/120件。契約者に重要事項の説明なし/6件、印鑑の不正使用や無断継続契約の処理/36件。
■18年6月21日 ●金融庁は「4項目の業務停止命令」を発令
○ また「海外子会社(英国)での不詳事件」も指摘されたが、「本社海外担当部門の海外拠点に対する管理・監督機能は、極めて不十分であり、経営陣による内部統制は機能していないものと認められる」とまで金融庁に言い切られた。
● このように並べると、両社の違いはわかりにくくなるが、大きなポイントは、「他の損保でも起こりうる不祥事かどうか」という点で、しかも「顧客の不利になるかどうか」だ。
例えば「損保ジャパン」の顧客に内緒で勝手に押印などは、もちろん容認するわけではないが、便宜的に程度の差こそあれどこの損保でも起こりうる不祥事だ。また山口支店での印鑑使用とその隠蔽は支店ぐるみという意味からは極めて特異な不祥事だ。
また、「提携生保の契約ノルマ達成のための違法販売」についても、確かに保険業法に抵触はするものの、顧客の直接的な損失はないかあっても少ない。さらにいえば、金融庁検査で追加不払いが発覚した件数は、約1,334件と総件数とその判断の微妙な契約もあることを考えると、許容範囲内と捉えることができる。
● 損保26社の「保険金不払い」は、保険商品の複雑化などによるシステムや不可抗力が原因とされ、そこに悪意ある「保険金不当不払い」は介在していないものと思われていた。ところが、「三井住友海上」の金融庁検査では、とんでもない「保険金不当不払い」の事実が潜んでいたことが発覚した。
(表③)「三井住友海上」の「付随的な保険金の支払漏れ」
(1)2,406件
● 支払漏れの保険金を受け取ると更改契約の保険料が高くなると誤った説明をし、保険金の受取を辞退させ請求放棄としていた。
(2)9,306件
● 過去、保険料への影響等の説明が不適切なため、顧客が保険金の受取りを辞退し請求放棄となっていた。
(表④)「三井住友海上」の「第三分野保険金」の不適切な不払
(1)618件
● 始期前発病(保険責任開始以前の発病)について、約款上は医師の診断により認定されるべきところを当社社員が自ら判定を行い、免責が不適切に適用。
(2) 16件
● 被保険者等の故意または重過失責任に該当しないにもかかわらず告知義務違反による契約解除を行う等、告知義務違反の認定が不適切に行われた。
(3) 91件
● 告知事項とは因果関係のない保険事故にもかかわらず告知義務違反を適用。
(4) 35件
● 代理店が被保険者からの告知を受けずに契約を行う等会社側に法令違反等があるにもかかわらず告知義務違反が適用された。 │
(5) 167件
● 告知義務違反について、会社側からの契約解除ができる期間である除斥期間が経過した後に解除権を行使。
────────────────────────────
┌───────────────────────────┐
│「三井住友海上」の”不当不払い”! │
└───────────────────────────┘
● まず(表③)だが、これはかなり悪質だ。17年に発覚した「支払漏れ」の契約者に対し「その保険金を受け取ると更改契約の保険料が高くなる」という誤った説明をして「保険金の受取を辞退させ請求放棄とした」ものだ。これなどは、「保険金を払わない」どころか「支払漏れの保険金すら支払わないやり方」で、これでは保険会社としての存在意義すら疑いかねないやり方だ。
● また驚くことは、「第三分野商品の保険金支払いの不適切な不払い」の中身だ。合計で「927件・1.66億円」だが、その内「終身医療保険」に関する不適切な不払いが「305件・0.6億円」もあった。金融庁は5項目に分けて内容を説明しているが、件数が多い「1と2」を見ると、ちゃんと規定に則って実施していれば特に問題となるような中身ではない。
● これまでの内容から断言できることは「三井住友海上」の保険に対する考え方は「かなり不的確でとても安心して契約できる環境にはなかった」ということである。
さてここまでの説明で、金融庁の処分内容が「損保ジャパン」と比べ「三井住友海上」の方がかなり重い理由が理解できたと思われる。この内容となると、むしろ「明治安田生命」に近い不祥事内容だ。
● これらに比べ「損保ジャパン」の場合は、確かに「不払い保険金の発覚」は許されるものではないが、個別支社の不祥事、さらには提携生保(第一生命)との自社ノルマにより社員が追い込まれた結果のやや情状酌量の余地がある不祥事だった。
● 「契約者に大きな不安を与える」という意味では、比較にならないほど「三井住友海上」の不祥事が重い。俗に言う「あってはならないこと」の類だ。そもそも、これらの不祥事を自ら発覚・自己申告したならまだしも金融庁検査で発覚したこともことの重大さに対する経営陣の経営感覚の甘さを露呈してしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【このブログでの解説】
● これは「保険・かわら版=第45号=」(9月10日発行)からの抜粋である。もちろん、このブログでは図表をそのまま取り込めないため、少々見にくくなっているが、要は「三井住友海上」と同様のことが、他の損保でも行われていたかどうかがポイントだ。
<続> 11月4日(土)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
● さてここで各損保の今回の件に関するニュースリリースで解説してみよう。もちろん今回の「不払い」が初めてのことであれば、発生した原因と今後の対策を並べれば表向きは何とか繕える。
しかし、もう慣れっこになるくらい毎回ともなると、「分かりやすい事実」の報告が第一だ。なんだかんだとあれこれを並べ立てても、既にそれらに信用回復する効力はない。
● 契約者や代理店なら自分が絡む損害保険会社のHPを開き、今回の件が掲載されている箇所を見ていただきたい。果たしてその内容から何を読み取るかあるいは感じるかが大事なことだ。
つまり、「損保の誠意」を如何に読み取らせるか、である。中にはことここに至っても「居直り」的なリリースもあるが、これなどはどうしようもない保険業を営むべきではない経営感覚損保だ。
● 敢えて、1点だけ指摘すると「日本興亜損保」を例にとろう。確かに「不当不払い」が生じたことは問題で金融庁の処分も甘んじるしかないが、ここの「資料①」をみると、2001年度から2006年度間の年度別推移が表にまとめられている。03年度をピークに04年度、02年度に「不当不払い」が集中していることが分かる。05年度は「83件」と急減しており、さらに06年度は4月から6月までの実績だが単純比較では対前期比半減だ。
つまり、02年度・03年度・04年度の「不当不払い」から、05年度以降何らかの理由で激減したことが分かるのだ。
● このような表を貼付してある損保は、改善が進行中という見方も可能だ。果たして、他の損保の「年次別推移」はどうだったのか。気になるところだ。もし、ほとんどが「日本興亜」と同じようなステップを踏み、且つ悪質な処理がないようであれば、情状酌量の処分もあって良いのではないのか。
とにもかくにも、外部の契約者にもはっきり分かる情報開示がまず重要だ。ここにいたっての「対応策」等は、何の説得効果も生まない。むしろ逆効果だ。
<続>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<続> 11月5日(日)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
● もし、企業が社会的に問題を生じさせた場合、その企業のトップは何らかの対応をするのが、一流政財界人のたしなみでもある。実は、「2日開かれた自民党通信・放送産業高度化小委員会で、医療保険など第3分野商品の保険金不払い問題を引き起こした東京海上日動火災保険社長の石原邦夫社長がNHKの経営委員長を務めていることに関して、出席した議員から、経営委員長を続けることに疑問の声が上がった。経営委員長はNHKを監督する立場で、問題を起こした企業のトップはふさわしくないとの意見が相次いだ。」とある。「しかし、小委員会に出席した橋本元一NHK会長は「東京海上日動とNHKの経営委員長とは切り離して考えたい」と述べ、石原氏が委員長職を継続することに理解を求めた。」とあるが、これなどは文字通り「居直り擁護」だ。
● そもそも、今回の「不当不払い」について、「保険金のお支払いは、保険会社の基本的かつもっとも重要な機能であるにもかかわらず、不適切な保険金の不払い事案を発生させ、皆様方に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。」と、今回の「第3分野商品の保険金支払いに関する検証結果等について」の中で書いてある。
● もしこれまでの「付随的な不払い」とは異なり、問題の重要性を認識しているなら、むしろ「NHKの経営委員長」は潔く身を辞すべきだ。少なくとも世間は「NHKは損保の不当不払い問題」について、厳しい追及はしまい、というよりできまい、と考えるのは常識的な捉え方だ。
果たしてこれで「NHKは公共放送」という看板を掲げて放送して良いのか大いに疑問だ。
● 今やマスコミの多くが「保険業界の問題点を指摘するより尻尾を振った方が得」という判断から、今回の「不当不払い問題」も「付随的不払い問題」と混同させることで、問題の矮小化を図っている、と見ることができる。特にこの傾向が顕著なのがTVメディアだ。
もちろん、”公共放送”と称するNHKにその役割を期待しようにも「損害保険協会の会長がNHKの経営委員長」では、そこを批判する番組はおろか、ニュース
にも気を使うのは当然だろう。
<続>
(参考)
● これまでに判明した「第三分野不当不払い件数」は、以下の通り。
・三井住友 1,140件
・損保ジャパン 975件
・日本興亜 833件
・東京海上日動 805件
・あいおい 470件
・富士 175件
・アメリカンホーム 158件
・共栄火災 154件
・ニッセイ同和 142件
・AIU 107件
・日新火災 68件
・セゾン自動車 18件
・セコム 12件
・日立 11件
・エース 11件
・明治安田損保 2件
・スミセイ損保 1件
(件数順)
● ちなみに、現在金融庁検査が入っているのが「アメリカンホーム・AIU・日新火災」ですから、この報告数字と違いがあるようだと、ややこしいことになりそうです。
★「ブログ・保険かわら版」支援クリック! → 人気blogランキングへ
★「ブログ村・ランキング」支援クリック!にほんブログ村 経済ブログ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★「保険・かわら版」案内版!=保険プロの中のプロとFPにお薦め=
http://homepage2.nifty.com/i_daichi/life/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
● 「大地一成のオフィシャルHP」 → http://homepage2.nifty.com/i_daichi/
● 「大地一成の・ブログ保険塾」http://daichi-issei.cocolog-nifty.com/blog/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
11月3日(金・祭日)
11月4日(土)
11月5日(日)
■ 損害保険協会会長・石原邦夫東京海上日動火災社長は、NHKの経営委員長を辞すべきだ!■
● どうやら、ことここに至っても「ほとんどの損保がやっていたこと」と、タカを括っている損保首脳があると聞く。言語道断である。もちろん記者会見などでは神妙な謝罪をしているが、果たして腹の中は?
● もちろん、最大の関心事は「金融庁の処分」だが、その前に大きく立ちはだかるのが現在金融庁検査が行われている「損保3社」の「検査結果」だ。自己報告と検査結果に乖離があった場合、厳しい処分は免れまいが、その余波は他の未・検査損保にも大きく影響を及ぼすことになる。
● ところで、問題となるのは「程度」の中身だ。しかし、機械的に判断するのは極めて困難なことから、ここでは「損保ジャパンと三井住友海上」の『不祥事比較』で説明してみる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【保険・かわら版=第45号(抜粋)=】
┌───────────────────────────┐
│「不祥事比較」で”違い”は歴然! │
└───────────────────────────┘
● それでは両社の違いは「保険金不払い」だけだったのか。ここで改めて「損保ジャパンと三井住友海上」の『不祥事比較』をした。
「損保ジャパン」の不祥事
○17年12月 山口支店で不正契約(社員が勝手に押印)52件が発覚。
○18年 2月 生保提携先の第一生命契約を巡り「特別利益の提供」などの違法販売が大量(社員280人・431件)発覚。
○18年 5月
●17年9月~12月に金融庁検査の際、保険金の支払漏れ(1,128件・1億2,050万円)が新たに発覚。自主調査対象外の「自動車保険の搭乗者傷害保険の支払漏れ(206件・2,570万円)も発覚。
●顧客の印鑑大量保有による顧客に確認無しの押印(2,947件・他23件)発覚。
■18年5月25日 ●金融庁は「4項目の業務停止命令」を発令
○ これ以外にも「海外拠点(香港)での賠償責任保険の不正行為」(H11年)が発覚。また、18年2月には「元損保ジャパン代理店」が「死体遺棄容疑で逮捕」というショッキングな事件も起きていた。
● これに対し「三井住友海上の業務停止処分」は6月19日に「日本経済新聞(夕刊)」の報道で突然明らかになった。そして実際金融庁は6月21日に以下のような理由と内容で行政処分を実施した。
「三井住友海上」の不祥事
○ 第三分野保険金の不適切な不払い
不払い件数927件、1.66億円の不適切な不払い。この内終身医療保険は305件、0.61億円と顕著。
○ 付随的な保険金の支払い漏れ
17年9月30日付の21,173件・19.1億円に対する付随的な支払漏れの調査の結果、17,296件・7.2億円の支払漏れが発覚。
○ 不適切な代理店管理
保険料の立替/120件。契約者に重要事項の説明なし/6件、印鑑の不正使用や無断継続契約の処理/36件。
■18年6月21日 ●金融庁は「4項目の業務停止命令」を発令
○ また「海外子会社(英国)での不詳事件」も指摘されたが、「本社海外担当部門の海外拠点に対する管理・監督機能は、極めて不十分であり、経営陣による内部統制は機能していないものと認められる」とまで金融庁に言い切られた。
● このように並べると、両社の違いはわかりにくくなるが、大きなポイントは、「他の損保でも起こりうる不祥事かどうか」という点で、しかも「顧客の不利になるかどうか」だ。
例えば「損保ジャパン」の顧客に内緒で勝手に押印などは、もちろん容認するわけではないが、便宜的に程度の差こそあれどこの損保でも起こりうる不祥事だ。また山口支店での印鑑使用とその隠蔽は支店ぐるみという意味からは極めて特異な不祥事だ。
また、「提携生保の契約ノルマ達成のための違法販売」についても、確かに保険業法に抵触はするものの、顧客の直接的な損失はないかあっても少ない。さらにいえば、金融庁検査で追加不払いが発覚した件数は、約1,334件と総件数とその判断の微妙な契約もあることを考えると、許容範囲内と捉えることができる。
● 損保26社の「保険金不払い」は、保険商品の複雑化などによるシステムや不可抗力が原因とされ、そこに悪意ある「保険金不当不払い」は介在していないものと思われていた。ところが、「三井住友海上」の金融庁検査では、とんでもない「保険金不当不払い」の事実が潜んでいたことが発覚した。
(表③)「三井住友海上」の「付随的な保険金の支払漏れ」
(1)2,406件
● 支払漏れの保険金を受け取ると更改契約の保険料が高くなると誤った説明をし、保険金の受取を辞退させ請求放棄としていた。
(2)9,306件
● 過去、保険料への影響等の説明が不適切なため、顧客が保険金の受取りを辞退し請求放棄となっていた。
(表④)「三井住友海上」の「第三分野保険金」の不適切な不払
(1)618件
● 始期前発病(保険責任開始以前の発病)について、約款上は医師の診断により認定されるべきところを当社社員が自ら判定を行い、免責が不適切に適用。
(2) 16件
● 被保険者等の故意または重過失責任に該当しないにもかかわらず告知義務違反による契約解除を行う等、告知義務違反の認定が不適切に行われた。
(3) 91件
● 告知事項とは因果関係のない保険事故にもかかわらず告知義務違反を適用。
(4) 35件
● 代理店が被保険者からの告知を受けずに契約を行う等会社側に法令違反等があるにもかかわらず告知義務違反が適用された。 │
(5) 167件
● 告知義務違反について、会社側からの契約解除ができる期間である除斥期間が経過した後に解除権を行使。
────────────────────────────
┌───────────────────────────┐
│「三井住友海上」の”不当不払い”! │
└───────────────────────────┘
● まず(表③)だが、これはかなり悪質だ。17年に発覚した「支払漏れ」の契約者に対し「その保険金を受け取ると更改契約の保険料が高くなる」という誤った説明をして「保険金の受取を辞退させ請求放棄とした」ものだ。これなどは、「保険金を払わない」どころか「支払漏れの保険金すら支払わないやり方」で、これでは保険会社としての存在意義すら疑いかねないやり方だ。
● また驚くことは、「第三分野商品の保険金支払いの不適切な不払い」の中身だ。合計で「927件・1.66億円」だが、その内「終身医療保険」に関する不適切な不払いが「305件・0.6億円」もあった。金融庁は5項目に分けて内容を説明しているが、件数が多い「1と2」を見ると、ちゃんと規定に則って実施していれば特に問題となるような中身ではない。
● これまでの内容から断言できることは「三井住友海上」の保険に対する考え方は「かなり不的確でとても安心して契約できる環境にはなかった」ということである。
さてここまでの説明で、金融庁の処分内容が「損保ジャパン」と比べ「三井住友海上」の方がかなり重い理由が理解できたと思われる。この内容となると、むしろ「明治安田生命」に近い不祥事内容だ。
● これらに比べ「損保ジャパン」の場合は、確かに「不払い保険金の発覚」は許されるものではないが、個別支社の不祥事、さらには提携生保(第一生命)との自社ノルマにより社員が追い込まれた結果のやや情状酌量の余地がある不祥事だった。
● 「契約者に大きな不安を与える」という意味では、比較にならないほど「三井住友海上」の不祥事が重い。俗に言う「あってはならないこと」の類だ。そもそも、これらの不祥事を自ら発覚・自己申告したならまだしも金融庁検査で発覚したこともことの重大さに対する経営陣の経営感覚の甘さを露呈してしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【このブログでの解説】
● これは「保険・かわら版=第45号=」(9月10日発行)からの抜粋である。もちろん、このブログでは図表をそのまま取り込めないため、少々見にくくなっているが、要は「三井住友海上」と同様のことが、他の損保でも行われていたかどうかがポイントだ。
<続> 11月4日(土)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
● さてここで各損保の今回の件に関するニュースリリースで解説してみよう。もちろん今回の「不払い」が初めてのことであれば、発生した原因と今後の対策を並べれば表向きは何とか繕える。
しかし、もう慣れっこになるくらい毎回ともなると、「分かりやすい事実」の報告が第一だ。なんだかんだとあれこれを並べ立てても、既にそれらに信用回復する効力はない。
● 契約者や代理店なら自分が絡む損害保険会社のHPを開き、今回の件が掲載されている箇所を見ていただきたい。果たしてその内容から何を読み取るかあるいは感じるかが大事なことだ。
つまり、「損保の誠意」を如何に読み取らせるか、である。中にはことここに至っても「居直り」的なリリースもあるが、これなどはどうしようもない保険業を営むべきではない経営感覚損保だ。
● 敢えて、1点だけ指摘すると「日本興亜損保」を例にとろう。確かに「不当不払い」が生じたことは問題で金融庁の処分も甘んじるしかないが、ここの「資料①」をみると、2001年度から2006年度間の年度別推移が表にまとめられている。03年度をピークに04年度、02年度に「不当不払い」が集中していることが分かる。05年度は「83件」と急減しており、さらに06年度は4月から6月までの実績だが単純比較では対前期比半減だ。
つまり、02年度・03年度・04年度の「不当不払い」から、05年度以降何らかの理由で激減したことが分かるのだ。
● このような表を貼付してある損保は、改善が進行中という見方も可能だ。果たして、他の損保の「年次別推移」はどうだったのか。気になるところだ。もし、ほとんどが「日本興亜」と同じようなステップを踏み、且つ悪質な処理がないようであれば、情状酌量の処分もあって良いのではないのか。
とにもかくにも、外部の契約者にもはっきり分かる情報開示がまず重要だ。ここにいたっての「対応策」等は、何の説得効果も生まない。むしろ逆効果だ。
<続>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<続> 11月5日(日)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
● もし、企業が社会的に問題を生じさせた場合、その企業のトップは何らかの対応をするのが、一流政財界人のたしなみでもある。実は、「2日開かれた自民党通信・放送産業高度化小委員会で、医療保険など第3分野商品の保険金不払い問題を引き起こした東京海上日動火災保険社長の石原邦夫社長がNHKの経営委員長を務めていることに関して、出席した議員から、経営委員長を続けることに疑問の声が上がった。経営委員長はNHKを監督する立場で、問題を起こした企業のトップはふさわしくないとの意見が相次いだ。」とある。「しかし、小委員会に出席した橋本元一NHK会長は「東京海上日動とNHKの経営委員長とは切り離して考えたい」と述べ、石原氏が委員長職を継続することに理解を求めた。」とあるが、これなどは文字通り「居直り擁護」だ。
● そもそも、今回の「不当不払い」について、「保険金のお支払いは、保険会社の基本的かつもっとも重要な機能であるにもかかわらず、不適切な保険金の不払い事案を発生させ、皆様方に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。」と、今回の「第3分野商品の保険金支払いに関する検証結果等について」の中で書いてある。
● もしこれまでの「付随的な不払い」とは異なり、問題の重要性を認識しているなら、むしろ「NHKの経営委員長」は潔く身を辞すべきだ。少なくとも世間は「NHKは損保の不当不払い問題」について、厳しい追及はしまい、というよりできまい、と考えるのは常識的な捉え方だ。
果たしてこれで「NHKは公共放送」という看板を掲げて放送して良いのか大いに疑問だ。
● 今やマスコミの多くが「保険業界の問題点を指摘するより尻尾を振った方が得」という判断から、今回の「不当不払い問題」も「付随的不払い問題」と混同させることで、問題の矮小化を図っている、と見ることができる。特にこの傾向が顕著なのがTVメディアだ。
もちろん、”公共放送”と称するNHKにその役割を期待しようにも「損害保険協会の会長がNHKの経営委員長」では、そこを批判する番組はおろか、ニュース
にも気を使うのは当然だろう。
<続>
(参考)
● これまでに判明した「第三分野不当不払い件数」は、以下の通り。
・三井住友 1,140件
・損保ジャパン 975件
・日本興亜 833件
・東京海上日動 805件
・あいおい 470件
・富士 175件
・アメリカンホーム 158件
・共栄火災 154件
・ニッセイ同和 142件
・AIU 107件
・日新火災 68件
・セゾン自動車 18件
・セコム 12件
・日立 11件
・エース 11件
・明治安田損保 2件
・スミセイ損保 1件
(件数順)
● ちなみに、現在金融庁検査が入っているのが「アメリカンホーム・AIU・日新火災」ですから、この報告数字と違いがあるようだと、ややこしいことになりそうです。
★「ブログ・保険かわら版」支援クリック! → 人気blogランキングへ
★「ブログ村・ランキング」支援クリック!にほんブログ村 経済ブログ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
★「保険・かわら版」案内版!=保険プロの中のプロとFPにお薦め=
http://homepage2.nifty.com/i_daichi/life/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■