建交労九州ダンプ協議会は、7月21日、社会資本整備の現場で働くダンプや建設労働者の労働条件改善のため、国土交通省九州地方整備局に対して、要請行動に取り組みました。
東日本大震災、熊本地震の復旧・復興をはじめ、社会資本整備のため奮闘されていることに敬意を表します。貴省は建設産業の担い手及び人材確保に向けて5年連続で公共工事設計労務単価を政策的に引き上げ、労働者の待遇改善をすすめてきました。さらに昨年秋の臨時国会においては「建設工事従事者の安全・健康確保推進法」が成立し、同法第10条「一 建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等」を国や都道府県などの発注者に対して必要な施策を講じることが記されています。
しかし、実際にダンプおよび建設労働者には引き上げ分相当の単価が支払われておらず、建設業の担い手であるダンプや建設労働者の賃金・単価の改善に向けた責務を貴省が十分に果たしているとは言えません。また、建設資材の買い叩きが原因となり、各地の生コンプラントでは過積載ダンプによる砕石・砂・骨材の納入が一般化しています。法令違反をなくし、交通安全を徹底するためには、単価たたき等をおこなう荷主・荷受人(元請建設会社、生コンプラント等)の背後責任が徹底して追及されなければ十分な成果を上げることは出来ません。
要請内容は下記の通りです。
1.車持ちダンプ労働者に著しい低単価が押し付けられ、過積載、過労運転、速度超過など違法行為の要因となっています。交通安全を担保し、まともな生活が出来る単価実現のため、下記の具体的な改善策を講じて下さい。
① 公共工事における大型ダンプの工事原価(8時間稼動)は、6万円「直接工事費+間接工事費(福利厚生費含む)+一般管理費(利潤相当額を含まない)」です。しかし、車持ちダンプ労働者には3万円程度しか支払われていません。少なくとも当面は、直工費と福利厚生費(社会保険料相当分)を含めた単価が支払われるよう、請負者と建設業界団体を指導して下さい。
② 不要な重層構造の下で熊本地震の復旧・復興工事に携わる零細下請業者や労働者に対して、契約金や労賃の不払いが多発しております。建設業法第41条に基づく「立替払い」を拒否する建設業者に対し、指導を強化して下さい。
③ 各地で砕石・砂など資材の買いたたきが横行し、ダンプの過積載が復活しています。1994年参院建設委員会では、貴省(旧建設省)の担当者が「過積載行為を防止するために、定量積載を踏まえた実例価格などで発注するなど必要な措置」について検討を約束しています。
資材の納入価格について物価調査会が調査を実施する際に、「ダンプの荷姿を視認」及び伝票確認をするよう指導改善をしてください。
2.設計図書のひとつである「現場説明指導事項」(ダンプ・トラック等による過積載防止について)を遵守するよう、国交省の関係職員はもとより、請負者や建設業界に徹底して下さい。
「ダンプ規制法第12条団体等」に該当する建交労全国ダンプ部会加入者を使用促進するよう請負者ならびに建設業界への指導を徹底して下さい。特に国交省直轄工事の請負者に対する指導を強めて下さい。
3. ダンプの過積載根絶と交通安全の推進について
① 過積載が各地で復活しています。過積載根絶の有効な手段として、重量リミッター(過積載防止装置)の開発・装着義務付けに取り組んで下さい。
② 道路法にもとづく大型車両の違法運行(過積載)の取り締まり・指導強化及び罰則については、荷主・荷受人にあたる企業もその対象に加えて下さい。
③ ダンプ規制法第4条(表示番号の表示)違反や荷台を違法改造して運行するダンプへの取り締まりを強化し、違反車両による直轄工事現場への入場を禁止して下さい。
4.平成29年度より本格化した「社会保険未加入対策」の推進とあいまって、適用対象外のダンプ・建設など1人親方として働く就業者に社保加入等を迫り、現場から排除する下請業者が出てきています。「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」について」の内容を全ての受注者・業界団体等に周知徹底し、不当な排除をなくしてください。
5.直轄工事現場において、1人親方の形態で就労する労働者に「労災保険の特別加入」と「建退共証紙の貼付」を徹底する為、具体的な措置を講じて下さい。
① 土木工事共通仕様書(*下記参照)にもとづき、車持ちダンプ労働者など1人親方の形態で働く人に「1人親方労災保険」の加入促進を図るよう請負者への具体的な指導をおこない、建設工事現場における労災保険未加入者をなくして下さい。
② 「新規入場者アンケート」の中で「建退共加入証明書及び手帳の写し」を提出させ、「建退共証紙の貼付」が二次以降の下請業者まで徹底されるよう指導して下さい。
*「国土交通省土木工事共通仕様書」
1-1-40 保険の付保及び事故の補償
3.請負者は、雇用保険法、労働者災害補償保険法、健康保険法及び中小企業退職金共済法の規定により、雇用者等の雇用形態に応じ、雇用者等を被保険者とするこれらの保険に加入しなければならない。
以上