本日結審!2月22日(火)13:10判決! 本日(11月25日)11時から福岡高等裁判所1002法廷で開かれた「じん肺遺族補償不支給取消訴訟」第1回控訴審弁論で民事第5部の山之内紀行裁判長は、被告国側の新たな意見書追加の主張を退け、本日をもって結審とし2022年2月22日(火曜日)13時10分に判決となりました。 武藤智浩弁護士が原告の思いを意見陳述! 法廷では、被告国の控訴理由に関する陳述と原告の反論陳述を確認したのち、原告側代理人の武藤智浩弁護士が意見陳述を行いました。 武藤弁護士は「控訴審段階で提出された医師意見書は、医学文献や被災者らの診療録と齟齬する点が多々あるほか、ただ一般論を述べるだけのものもあり、控訴審 において殊更吟味すべき、価値のある書証とは言えないもの」「本件被災者らは平成26年(2014年)に亡くなりました。現時点ですでに7年も経過していま す。その間の遺族の補償は滞ったままです。特にIさんは享年58歳、Uさんは享年51歳でした。被災者らの扶養を特に必要としていた若い遺族は補償がないまま 本日に至っています。これ以上訴訟を引き延ばし、補償が滞ることはあってはならないこと」と淡々と心を込めて訴えました。傍聴席もしんと静まり返り、原告の 腹の底からの思いを述べていただきました。 西日本石炭じん肺原告でもあった4人の原告を支援するために、同弁護団長の岩城邦治弁護士、同事務局長の山本一行弁護士も遺族補償弁護団として法廷に入りま した。さらに、二人の司法修習生も原告側代理人席に座りました。 裁判所前で集会・・深堀寿美弁護士が経過を報告 裁判が始まる前に行われた「門前集会」では、深堀寿美弁護士が6年間にわたる裁判の要点と経過について報告しました。その中で深堀弁護士は「50代で亡くな った原告の気持ちや遺族の気持ちを考えると何としても勝たなければならない」と気迫を込めて決意を述べました。 原告を代表してKさんが、傍聴支援者へのお礼を述べながら「夫が亡くなってから7年が経ちました。裁判所には長崎地裁の判決を維持していただきたい」と訴え ました。 支援組織から熱い連帯あいさつ 裁判終了後に福岡県弁護士会館で行われた報告集会では、福岡県建設労働組合の矢野誠顧問(建設アスベスト訴訟全国連絡会議事務局)が「一回で結審となりよか ったです。7年間苦しかったと思います。命を守り人権を守る闘争はとても大切です。長崎の仲間の建設アスベスト裁判への支援に感謝し、ともに勝利まで闘いま しょう」と熱い連帯あいさつをおこないました。 建交労九州支部の高田正矢書記長は「全国でもじん肺患者を直接診ていない医師がいろいろと偏見を持った意見をいう傾向が強まっている。全国の仲間に大きな影 響を与えるこの裁判で必ず勝利しましょう」と激励しました。 小山一郎弁護士は「4人の遺影を見て、まだまだこれから人生を楽しむことができただろうにと思うと本当に胸が痛みます。Iさんの遺した手紙を読んで、相当な苦 しみだったのだろうと改めて感じている」と語りました。 勝利判決めざし全国の皆さんのご支援をお願いします。 福岡高裁宛の要請はがきに取り組みます! 2月22日の判決まで、約3か月という短期決戦です。建交労長崎県本部は、長崎地裁判決を勝ち取った時以上の大きな運動を展開します。 具体的には、福岡高等裁判所宛に「地裁判決を維持してください」の要請はがきを全国から送っていただくようお願いする次第です。 全国の皆さん、どうかよろしくお願いします。
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いよいよ11月25日第1回控訴審弁論が行われます!
全国の皆さん、6月21日の長崎地裁判決に向けての長崎地裁あて要請はがき行動、さらに4人全員勝訴判決後の「国に控訴するな!」の長崎労基署宛ファックス要請では大変お世話になりました。
ご承知のように、国は控訴期限ぎりぎりの7月5日午後、遺族原告の7年にも渡る悲願を踏みにじり控訴しました。北は北海道、南は沖縄まで全国から寄せられたファックスは1,900通を超えました。
あらためて、ご支援いただきました皆さま方に心から感謝申し上げます。
いよいよ第1回控訴審弁論(福岡高等裁判所 民事5部)が11月25日(木)午前11時から開廷されます。皆様方のご支援ご協力を引き続きよろしくお願いいたします。
国側の控訴理由書で新たに4人の医師が登場
さて、国は8月24日付で4人の新たな医師による3通の医学意見書からなる控訴理由書を提出しました。
4人の医師は、〇S大学産業生態学研究所 M医師 〇社会医療法人K医療財団 Kクリニック院長 医師 〇N大学病院副院長 医師 〇N大学病院呼吸器内科 医師です。
4人の医師意見書は、原審(長崎地裁)判決を覆す新たな意見書といえるものはなく、強いて言えば「不整型陰影にすりガラス陰影は含まない」とか、死亡原因は「夏型過敏性肺炎」「慢性過敏性
炎」だとか疑問と言わざるを得ない内容です。
これで10人の医師が登場
原審では、●K医師(H病院名誉院長)、●K・K医師(K大学総合医療センター放射線科部長)、●O医師(O市A病院放射線科)、●Y医師(S大学病院呼吸器内科・呼吸器センター)による意見書
出されました。K・K医師は被告側の証人として法廷で尋問に応じました。
原処分庁である長崎労基署段階では、◎I医師(地方労災医員)の意見書、◎H医師(地方労災医員)の意見書がでています。
4人の主治医以外、実に合計10人の医師意見書が出たことになります。
4人の原告は国がもともとじん肺と認めている
4人の遺族原告の亡夫は、炭鉱坑内作業や造船現場、鉄工所などで長期間(25年以上)の粉じんばく露作業歴があり、長崎労働局長がじん肺管理区分(管理2~3ロ)の決定をし、長崎労基署長が合
症(続発性気管支炎)で労災給付を行っていたのです。
しかし、国は4人の死亡原因は、NSIP(特発性非特異性間質性肺炎 特発性=原因が不明)というじん肺とは関係のない病気が突然起こり亡くなったと主張したのです。NSIPという非常に珍
しい病気が同じ処分庁で相次いで起きるとは通常考えられません。
長崎地裁の判決は理にかなった判決である
長崎地裁は、4人の主治医や原告側の証人である芝診療所の藤井正實医師、木村医師をはじめとする国側医師のそれぞれの意見書と加藤勝也医師の証人尋問を踏まえたうえで、4人の死亡原因は「死因となった間質性肺炎及びその増悪は、じん肺又はその原因たる粉じん曝露に起因するものであったと認められ、死亡との間の業務起因性が認められる」として国の主張を退け、労災不支給決定を取消しました。
原告側弁護団が反論の準備書面提出
原告側弁護団は、11月10日付で国側の控訴理由に対する反論の「準備書面」を裁判所に提出しました。
準備書面では「原審の判断はこれまで多くのじん肺患者が辿ってきた経緯と合致するものであるし、当事者双方が提出した膨大な証拠を丹念に検討した合理的なものである。原判決の判断は正当であ
り、控訴人らの批判は適切ではない」と述べたうえで、個別原告4人に関する国側の控訴理由への反論を行いました。
国も間質性肺炎の実態調査をしていることが判明
なくせじん肺全国キャラバン実行委員会は10月28日に厚生労働省交渉を行いました。後日文書による回答があった中に「労災疾病等医学研究サイトにおいて、肺炎などの呼吸器感染症にかかりやす
く、病状悪化の主な原因になっていることを啓発しているほか、労災疾病等医学研究として、じん肺に見られる間質性肺炎の実態調査を行っていると承知している」と述べています。
控訴審でも必ず勝利しなければなりません
疫学リサーチセンターの故海老原勇医師は「間質性肺炎はじん肺の基本的病態である」と長期間にわたる疫学調査の研究から述べておられました。藤井正實医師も「海老原先生の遺志を引き継ぐ」と
決意されました。全国に大きな影響を与える今回の裁判は必ず勝利しなければなりません。長崎地裁の画期的な判決を控訴審で覆させるわけにはいきません。
全国の皆さん、今後は福岡高裁宛に「原審判決を維持し、被災者遺族を一刻も早く救済を」の要請はがき運動を大規模に展開します。是非、大きなお力添えをお願いいたします。