2018年(第29回)なくせじん肺全国キャラバン (10月4日)
3年連続の雨の中、三菱長船本館前(岩瀬道)に12団体から54人が集まり「じん肺キャラバン出陣式」を開催!
2018年(第29回)なくせじん肺全国キャラバン長崎行動は10月4日、朝7時30分から三菱重工㈱三菱長崎造船所本館入口の岩瀬道に13団体から54人が集まり、出陣式を開催しました。雨の中での出陣式となりましたが、目標の50人を超える参加者で大成功でした。
横山巖代表世話人(じん肺弁護団)が主催者あいさつをおこないました。横山氏は「長崎はじん肺やアスベスト被害者が全国でも多いところであり、根絶するためには職場や地域から声を上げることが大事」「三菱長船第3陣訴訟へのご支援をお願いします」と訴えました。
引き続き、長崎地区労の加世田書記長が「じん肺根絶めざし、地域でも支援に力を入れていきたい」と熱く語りました。
じん肺根絶三菱長船の会、三菱長船じん肺患者会などの連帯あいさつが続いた後、トンネルじん肺根絶原告団の松田哲朗団長、西日本石炭じん肺長崎請求団の山口等団長が支援と早期解決への協力を訴えました。
そして、三菱重工㈱裁判をたたかっている三菱長船第3陣訴訟原告団の尾崎豊団長は「早期和解解決を求めて頑張る」と決意を述べました。第3陣訴訟原告団の白木剛事務局長が「三菱長船宮崎正生所長あての「第3陣訴訟の早期解決要請書」を読み上げ、最後に村里正昭キャラバン事務局次長が団結ガンバローをおこない出陣式を終了しました。雨の中、大変お疲れ様でした。
長崎市・長崎県・県医師会要請行動!
じん肺キャラバン長崎実行委員会は10月4日午前11時に長崎市、午後1時に長崎県、午後4時に長崎県医師会に要請をおこいました。県には全国統一要請書と長崎実行委員会の独自要請書、長崎市と県医師会には独自要請書です。各要請先からは、丁寧なご回答をいただきました。
12団体34人が参加 長崎市の丁寧な対応に感謝を表明!
長崎市長要請は、キャラバン実行委員会の12団体から代表34人が参加しました。市側からは「まちづくり部」「商工部」「環境部」「市民健康部」の4部局と6つの担当課・担当室から部長・課長・課長補佐・室長各担当者13名が出席しました。長崎市は、キャラバン実行委員会の6項目の要請に対し、事前に文書で丁寧な回答をしており、横山巖代表世話人が丁寧な応対に感謝の意を表明しました。
中里事務局長が要請の主旨の中で、全国で起きている災害に触れた後、長崎市では昭和57年7月に大水害が起き、大量の犠牲者と倒壊した家屋が処理された。片づけ作業などに携わった方たちが、アスベストにばく露した可能性がある。来年は、あらためてこの問題のご提案をしたいと表明しました。
ハザードマップの公表については、「民間の個人の財産的な権利利益に関することなので公表しない」という回答でしたが、「命に係わる問題なので、公表すべきだ」と求めました。蛇紋岩・角閃石含有アスベスト国道499号線拡幅に伴う飛散対策と市独自の対策については、「周辺6カ所の個人、事業主、などの関係者に送付するとともに、環境白書に掲載するなど、周知を図ってきた」と述べましたが、要請団は「今後も実施していくべきではないか」と求めました。
民間建築物のアスベスト把握は、対策未実施が22棟、吹き付けアスベストの可能性のある建築物は83棟あり、1000㎡未満は52棟あると前年から調査が進んでいることを回答しました。解体実施建築物については「工事現場に立ち入りをおこなっている」と回答しました。長崎最大の製造業である三菱長崎造船所や下請け関連企業への指導要請については、「長崎市政だより」などを使い周知・啓発の記事を予定していると述べました。肺癌や間質性肺炎の患者に対する職歴問診については「引き続き、徹底するよう病院機構に指示を行う」と述べました。
県発注トンネル工事で、時間外労働は月2回と回答!
長崎県要請は、新しい県庁舎3階会議室にておこなわれ、13団体から33名が参加しました。県側は、雇用労政課、建築課、建設企画課、道路建設課、地域環境課、医療政策課の課長・課長補佐など8名が対応しました。
「私たちの提言」に対する理解と実行を求め、じん肺根絶を求める意見書・要望書などの提出を要請した項目に対しては、今回もまた、「労働局に伝える」という回答でした。
トンネル現場での8時間労働問題については「県発注トンネル工事で、時間外労働が月2回程度だったと元請事業者に電話で確認した」述べ、元請は「清水建設と地元ゼネコンの共同企業体」と回答しました。もし、それが事実であるならば、大きな前進です。
アスベスト使用建物の対策のためのハザードマップの公表については「風評被害で資産価値が落ちることが想定されるので公表できない」と述べましたが、横山巖弁護士が「アスベストを使用している建物を公表しないことは資産価値をごまかすことになるのではないか」と県の考えを質しました。
長崎実行委員会独自の要請である、県知事のじん肺根絶賛同署名については「知事は総理と同じ発注者の立場でもあるので、署名できない」「署名をしなくても根絶のためにやるのは当然の立場」と回答しました。要請団からは「長崎はじん肺被災者が多く、今でもじん肺に苦しんでいる人がたくさんいる知事に直接話す場を設けて欲しい」と強く求めました。
蛇紋岩・角閃石含有アスベスト国道499号線拡幅工事では「一部住民から散水状況について連絡があった」と回答しました。「現在は高圧洗浄機を使って散水している」と述べました。新しい県庁舎には初めて来たという人もおり、玄関前で記念撮影をしました。
長崎県医師会では、長谷川宏常任理事(開業医)と懇談!
午後4時から県医師会要請に、中里事務局長をはじめ山口喜久雄長崎民医連事務局長ら5名が参加しました。医師会側からは長谷川宏常任理事(開業医)が出席しました。
長谷川理事は「産業医の研修で、じん肺・アスベストの学習などを行った」「災害復旧工事などでは、ボランティアがたくさん参加するので注意が必要」「問診の際には、患者さんからの訴えが大事になってきますので、キャラバン実行委員会も周知に努めて欲しい」と回答しました。
「インフルエンザ予防接種は、基礎疾患のあるじん肺患者は当然優先的に受けられる」「厚労省は、2650万人分のワクチンを準備している」と回答しました。
要請行動に参加されたみなさん、大変お疲れ様でした。