CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

ヴィラロボス ブラジル風バッハ(バッキアーナス・ブラジレイラス)

2006-02-13 22:37:57 | 音楽

Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras (Complete)
Cynthia Estill, Anthony la Marchina, Heitor Villa-Lobos, Andrew Mogrelia, Kenneth Schermerhorn, Erik Gratton, Nashville Symphony, Jose Feghali, Rosana Lamosa
Naxos

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ブログはホームページとは異なり、個人の日記的な要素が主体になりますので、記事の方も一貫したものにはなりません。そのためにカテゴリ分類の機能がありますが、リハビリだけで70くらいになっていますから、細分類も今後検討します。もちろん気になっている仕事のことは沢山ありますが、不確実な情報から拙速に所感を述べ続けるのもどうかと思います。

そういうわけで、毎日堅い話題になることは敢えて避けまして、ちょっと珍しいクラシック音楽の話題なども混ぜております。この曲も、中学~高校くらいによく聴いていた曲です。

ともかくその名の通り、不思議な曲です。こういう文化の混在、多様性の許容、自由な創造力、構成力のたくましさ・・・から、なぜかブラジルサッカーの強さを連想してしまいます。

iPodとSteve Jobsの時代

2006-02-12 15:17:01 | Macintosh/Steve Jobs
Apple iPod 60GB ブラック [MA147J/A]

アップルコンピュータ

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ついにビルゲイツがiPodに白旗?というわけでもないでしょうが、iPodの素晴らしさを賞賛し、iPodに追い付くべく商品開発を進めるとのコメントを出したそうです。
もともと、マイクロソフトの社員たちもiPodを愛用しているそうですから、いつまでもiPodを否定することはできなかったのでしょう。

CD何百枚がこれに入ってしまう便利さやiTuneとのシンクロナイズの素晴らしさ、そして、iTune Storeの手軽さと安さなど、この分野でのAppleの優位は今後も変わらないと思います。

ユーザーに命令したり、OSを継ぎはぎだらけにさせたり、良質なソフトをマクロソフト以外では動かないようにする戦略ではなく、最初からユーザーフレンドリーに徹すれば良かったわけです。

医師の心得 自信過剰の危うさ

2006-02-12 06:29:00 | リハビリ
医師国家試験当日までには、医学の中で知らない知識は全くない、と思えるくらいに徹底的に勉強すること。

そして、研修医になったら、自分は本当は全く何もわかっていないことに早く気づくこと。そして、医学の中で確実なことは何一つないことにも。(以上は、医学部生時代の某教授の受け売りです。)

さて、優秀な医師は2年目の半ばから、普通の医師でも4年目くらいに陥るのが、自分の力に対する万能感(=自信過剰)。私はこれが最も危険だと思います。

検査データや診察結果から、毎日ビシビシ出される治療方針にスタッフの信頼も厚く、自分自身も酔いしれているのですが、そのような医師の周辺にはなぜか急変が多い。急変にはもちろん的確に対応するので、オーベン(直属の上司)からも信頼され、さらに自信過剰に。

こういう医師は、人間の全パラメータを自分でコントロールできると勘違いしていますから、いじりすぎてしまうんですね。結局、不必要な治療をして自ら悪い結果を招いているわけですが、いつまでも気づかない。不明な状況が発生しているのに、謙虚さがないからわからない。教養はないが知識はあるから、自分の理論で巧妙に説明できてしまう・・・ということです。

これは医師に限らず、療法士にも見受けられますので、注意が必要です。

論理的に決めつけて方針を出す医師よりも、日々、どうすれば良いかを柔軟な頭で悩む医師の方を信頼すべきです。

医学、医療の世界、本当はわからないことだらけです。毎日、患者さんから教わることばかり、毎日が新たな発見、という感覚をもつことができると、ようやく普通の医師になれると思います。

今回の入院の契機となった症状に関連することと、以前からずっと存在していた異常とを分けて考えていますか?いきなり全てのパラメータを「正常化」しようとしすぎていませんか?

余命やQOLを含めた患者さん全体の中で今のあなたの治療の占める部分を客観的に評価できていますか?

「私の経験では」の「経験」が、実は1~2例だけ、とうことはないですか?

昨日読んだばかりの論文を根拠に、決めつけた言い方をしたり、治療方針を決定していませんか?

自分の治療方針だと思っていることが、実は先輩や優秀なスタッフのちょっとした助言に依存していることに気づいていますか?

患者から学ぶこと、謙虚であること、無知の知・・・・そういうことに気づけば良い医療者になれるような記述は、すでに無数にあります。もはや、こういう思考ができない人は、医療者としての資格がない、というくらいに考えるべきではないかと思います。

ショスタコーヴィチ オラトリオ『森の歌』

2006-02-11 17:51:31 | 音楽
もともとは、ショスタコーヴィチがソビエト連邦の政治的宣伝のために書いたような曲で、歌詞も政治色の強い音楽ですが、そういうこととは無関係に『素晴らしい』音楽です。

ソ連崩壊後のロシアでは、この曲が演奏されなくなったとのことですが、芸術的価値と政治を絡めたくないですね。

一生のうちで、あと1度はコンサートで聴きたい曲が何曲かありまあすが、『森の歌』はその1つです。

30年前に外山雄三指揮の九州交響楽団で聴いた体験が忘れられません。1月20日(学会の仕事で東京にいた日)にサントリーホールでこのようなコンサートがあったとは・・・。

年に1回くらい全国のどこかで演奏されているようですから、次の機会を逃さないようにしたいと思います。

原子心母 ピンク・フロイド

2006-02-11 14:30:25 | 音楽
原子心母
ピンク・フロイド
東芝EMI

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なつかしいです。今でもCDを売っているんですね。

クラシックしか聴かないと思われている私も、中学生の頃はプログレッシブロックというジャンルの先駆けと言われるピンクフロイドのAtom Heart Mother(原子心母)を愛聴していました。ロックとクラシックの融合という評価の通りの曲で、マーラーの巨人と同様にすり切れるくらい何百回も聴きました。

早速、iTune Storeで購入!(ごめんなさい。今回はアマゾンではありません。)

4月から外来リハビリがほとんどできなくなります

2006-02-11 05:34:15 | リハビリ
厚生労働省の方針により、2006年4月から、ほとんどの外来リハビリ治療ができなくなります。一部の除外疾患を除き、【発症】後の【日数】で外来リハビリを打ち切ることが(ほぼ)決定されたようです。長期間のリハビリは【無駄】という厚生労働省の認識によるようです。

何とか除外疾患に「外来リハビリが必要な対象疾患」が含まれることを願っていますが、外来リハビリで医学的に介護予防ができていることの理解が不足していますので、あまり期待できません。慢性期は全て介護保険で介護予防できると勘違いしている専門家がいることも問題です。パワーリハビリに通える人ではなく、通えないぎりぎりの人達が切実なのです。

総合病院では、外来リハビリだけ切り離せば赤字部門ですから、経営の視点で反対しているのではありません。このままでは歩けなくなる、寝たきりになる、というタイミングに、外来リハビリを導入できない硬直化した医療を疑問視しているのです。整形外科のクリニックなどでリハビリを実施している場合は、ほとんど全く対象外になってしまうことが予想されます。

公式に国の方針が発表されましたら、掲載致します。

CDでは感動できない?

2006-02-09 18:59:20 | 音楽
音と文明―音の環境学ことはじめ ―

岩波書店

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著者の大橋力と芸能山城組の組頭の山城祥二は同一人物。(今年は25年ぶりに芸能山城組のケチャ祭りに行きたいと思っています。)

大橋力氏は、私も留学していたATR研究所で音楽と脳の研究をプレゼンしていました。そのときの話では、PETなども動員した研究で、22kHz以上の高周波成分を含む音楽を聴くと、聴覚野と大脳基底部の情動を司る部位が同時に刺激され、快感時に発生するアルファ脳波が検出されます(=ハイパーソニック効果)が、可聴域成分のみでは、アルファ波は発生しないそうです。

実は、CDは20kHz以上の高周波成分をカットしてあるので、ハイパーソニック効果が得られないというのです。これが本当だとすると、「どうせ聴こえないから」と耳はだませても、脳はだませなかったということになります。

追試の研究などがあれば良いのですが、賛否両論のようです。でも、LPレコードのアナログ時代の感動が、CDでは得られないのは、個人的には事実です。別の要因は確かにあるでしょうが、無限に天まで続くような倍音は、CDではどうしても聴こえないのです。

関西リハビリテーション病院 諮問会議

2006-02-08 13:07:10 | リハビリ
先週土曜日2月4日に関西リハビリ病院の運営等について、試問委員が意見を述べる会議が開催されました。外部の委員として、私以外に大阪医大リハビリ科の山口淳先生、元和歌山県立医大リハビリ科の前島伸一郎先生、国立国際医療センターの藤谷順子先生、日本福祉大学の近藤克則先生(今回は欠席)がメンバーです。

開院後半年の実績の数字だけでなく、詳細な運営の内容まで踏み込んだ議論がなされました。民間病院ですが、地域においては公的な使命が課せられた病院として、その名に恥じないように発展して欲しいものです。

なお来年度、各療法士とも増員した定員を埋めるため、募集しているそうで、まだ間に合うようです。医師の方は、いよいよリハビリ科医全国最大人数の病院として、4月から再スタートします。

緊急提言 療法士のリストラはやめて!

2006-02-07 12:55:35 | リハビリ
今回の診療報酬改定を踏まえて、来年度からの療法士の待遇を悪化させる動きがあると聞きます。

診療報酬制度が『あるべき』医療を誘導しているわけではありません。

多少でも『水揚げ』が減るような制度になるからと言って、拙速に療法士の給与削減やリストラをする病院経営者の方々は、今すぐ、考えを改めて頂くようにお願い致します。

療法士の働きが、診療報酬上の増収になろうとなるまいと、医療の質の向上や病院の患者さん全体の改善を大局的に『見る眼』が経営者には大切なのではないでしょうか? 質が低下した医療機関には、患者さんは来なくなります。その影響の方が、経営的にはずっと大きいものだと思います。

理学療法、作業療法、言語療法によって、確実に合併症が減り、早く元気になり、平均入院日数は減少します。そのことは、患者さんをしっかり診る現場の医師には、よくわかっていることです。包括医療の中でも、各療法を行うことは必ずプラスに作用します。

直接効果だけでなく、間接効果も是非、勘案して頂くようにお願いします。
医療機関同士の差別化、生き残りは、最終的には『目に見える因子』ではなく『見えにくい因子』で決まるものと思います。

摂食嚥下リハビリテーション講演会

2006-02-06 23:06:09 | リハビリ
2月5日日曜日に私達の主催で『摂食・嚥下リハビリテーション講演会』を開催しました。

嚥下リハビリの世界で誰もが第一人者と認める藤島一郎先生と、私達の副代表であり、急性期病院の嚥下障害に詳しい藤谷順子先生の講演が一度に聞けるとあって、600人の大盛会となりました。(写真の通りホールはほぼ満員でした。こちらにも写真などを掲載しました。)

参加者の熱気もさることながら、本当に臨床的に不可欠の分野になったと実感します。少し前までは、むせていても、誤嚥が疑われても、どの病院でもほとんどアプローチされていなかったのですが、嚥下障害と嚥下リハビリを各病院で実践するリハビリ科医、耳鼻科医、歯科口腔外科医、言語聴覚士、栄養士等々の努力が、ようやく認められて来た感じです。

嚥下リハビリの分野は特にTransdisciplinaryなチーム医療がうまくいっていますので、縄張り意識も希薄です。それだけ、患者さんを中心に真剣に医療を推進することの重要さを実感します。

アンケートの結果も、ほとんどの参加者が満足とのお答えで、主催者としてもほっとしています。
嚥下をテーマにした講演会は今後も実施したい思います。

メディカル朝日取材

2006-02-06 17:58:42 | リハビリ
本日午後は、メディカル朝日という雑誌の取材がありました。
私達のプロジェクトについて、これまでの経緯を詳しくお話させて頂きました。
長時間インタビューでしたが、どのようにまとまるのでしょうね。
3月か4月頃にはわかると思います。
お楽しみに。

巧みさとその発達(ニコライ・ベルンシュタイン)

2006-02-02 04:51:41 | リハビリ
デクステリティ 巧みさとその発達

金子書房

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運動制御・運動学習の講演会でいつも紹介するベルンシュタインが書いた名著です。

もともとロシア語で一般向けに書かれた本ですが、私の恩師のMark L Latashがロシア語から英語に翻訳したものDexterity and Its Developmentの邦訳です。(ロシア人なのでBernsteinと書いてベルンシュタインと読みます。バーンスタインじゃないよ・・・と、よくLatashがアメリカ人に注意していました。)

パブロフとほぼ同時期に活躍したロシアの神経科学者ですが、パブロフがノーベル賞だったのに対し、ベルンシュタインは失職の憂き目に。なぜか? 時の政府ソビエト連邦にとって、人間が反射や条件反射の複合物でできているというパブロフの人間観は都合が良かったわけですが、人間が「自発的」に運動を行う仕組みを解明しようとする随意運動制御の研究は、危険思想と考えられたからです。そんなことで、科学者の評価まで変えてしまう時代だったんですね。

今、パブロフと比較にならないほど偉大だったベルンシュタインの再評価が世界的に盛んになっています。Re-actionの科学(反射学)も重要ですが、Actionの科学(随意運動制御、学習、行動、思考、創造)はさらに奥が深く、脳を知り、人間を知るためには重要なのです。

この本を読めば、半世紀以上前に運動制御の基本的問題をほとんど指摘していたベルンシュタインの洞察力がわかると思います。筋肉が不良品だったからこそ神経系が発達したという考えや、恐竜が絶滅した新説?なども面白いですよ。

リハビリ打ち切りに対する患者さんの怒り

2006-02-01 12:30:05 | リハビリ
「長期間漫然とリハビリをやっている例が多いので日数に上限を設ける」という理由で、診療報酬改定では日数の上限が設けられるようですが、「漫然と」ではなく、明確な目標や治療方針で必要に応じてリハビリ治療を受けている方も大勢います。今回の診療報酬改定では、そのような患者さんも、国は一律に切り捨て、治療を受けられなくしようとしています。

本日の外来から、本年度いっぱいでできなくなるかもしれない、と患者さんや御家族に説明を始めましたところ、「夫くらい重度だと介護保険のリハビリでは悪くなる一方です。しっかりとした医療的リハビリを受けることができて、やっと良くなってきたのに。」と、国に対して怒りをあらわにされていました。私も同感です。

リハビリを実施する時期に、何らかの理由で適切なリハビリを受けられなかった人が、実は大勢います。そんなに全国一律同じようには医療は動いていないのです。机上の空論で医療を動かしてもらっては、患者さんを不幸に陥れます。

専門家の裁量を全く排除してしまうと、いっそう医療の質の低下を招くでしょう。介護保険の「リハビリ」では介護予防できない重症度の患者さんが沢山います。パワーリハビリは、ほとんど元気な方に有効(かもしれない)というだけで、介護予防全体の切り札のように考えるのは、明かに誤りです。特定の業者の機械でないと改善しない、という話にも、多くのリハビリ関係者が首を傾げています。

今回のようなリハビリ切り捨てを行っていると、より重度な方向に介護度が悪化することは目に見えています。真面目に個別プログラムを考えながら、何とか歩けるレベルを保っているリハビリ医療が存在しています。今回、打ち切りの対象になる脳卒中片麻痺であっても、杖への荷重、患側荷重、拘縮、変形性関節症、転倒、心理、筋力、痙縮、合併症、廃用、などさまざまな要因を勘案しながら、リハビリ処方を書き直しています。個別性を奪うことは、患者さんから医療を奪う行為です。

厚生労働省の方もこのブログをお読みだと聞いておりますので、是非、再考をお願いしたいと思います。患者さんも御家族も怒っておられます。