CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

2006年が良い年でありますように

2005-12-30 13:27:52 | 日記
2005年はどんな年でしたか?
良いこともありました。そうでないこともありました。
何よりも平凡なことに感謝できると良いですね。
前出の星野富弘さんの詩を紹介しておきます。

      日々草

 今日も一つ悲しいことがあった
 今日もまた一つうれしいことがあった

 笑ったり泣いたり
 望んだり諦めたり
 憎んだり愛したり

 そしてこれらの一つ一つを柔らかく包んでくれた
 数え切れないほどたくさんの平凡なことがあった

         (星野富弘「鈴の鳴る道」より)


2006年が皆様にとって良い年でありますように。

鈴の鳴る道

2005-12-25 07:15:58 | リハビリ
鈴の鳴る道―花の詩画集

偕成社

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メリークリスマス!

星野富弘さんは、ご存知の通り、頚髄損傷による四肢麻痺の方で、口に筆を加えて生き生きとした絵を描かれます。詩画集の作品の中で、次の詩は最も心を打ちます。

「いのちが一番大切だと思っていたころ
 生きるのが苦しかった
 いのちより大切なものがあると知った日
 生きているのが嬉しかった」           (「鈴の鳴る道」星野富弘著より)

障害の意味、人生の意味・・・いろいろと考えさせられます。
「障害受容ができている」などと、リハビリ医療関係者が口にすることの軽々しさも、自戒しなければなりませんね。本当に、患者さんから学ぶこと、障害者の皆さんから教えて頂くことばかりです。
毎日が新しい発見の連続という素晴らしい仕事に従事させて頂いていることを感謝しています。



関西は大雪

2005-12-22 12:56:52 | 日記
関西でこんな大雪が降るとは・・・。
バスも止まり、自動車もあちこちで立ち往生。
私は幸い(?)今年2月に福井に越前蟹を食べに行き、そのときのスタッドレスタイヤをはいていましたので、大丈夫でした。(要するに、夏中はきっぱなしだったというわけです。)

皆様、事故や転倒がありませんように。

リハビリ医療を志す医師がCRASEEDに集結

2005-12-21 05:42:00 | リハビリ
2回のプロジェクト説明会を実施し、超高齢化社会におけるリハビリ医療の重要性、小児科や麻酔科よりも深刻なリハビリ科医の不足、リハビリ医療を学ぶことの楽しさや素晴らしさをお話させて頂きました。すでにメンバーになっている人は、経験が浅くても、新しく参加しようとする人達に、熱弁をふるっていました。そんな姿は、いつ見ても喜ばしく思います。

今すぐにでも100人のリハビリ科医が、地域医療を支えるのに必要だと思っています。

来春は、15人分のポストを準備したところ、現時点で13人の新規参加が内定しています。
この勢いは誰にも止められません。なぜなら、この医療を必要としている数多くの患者さんがいらっしゃるからです。医療を政治的に動かそうという人達が少なくありませんが、私達は一人一人の患者さんのために必要な医療を真剣に考えることのみです。

最も弱い人に寄り添って医療を考えるからこそ、最も強力な求人力、求心力になっているのだと思います。まだまだ未熟なところがあるリハビリ医療かもしれませんが、私達の頭の中にはコンセプトが満載です。高齢者や障害者のためにフリーハンドで全く新しい医療を展開しようとしています。今の教科書も、全部書き換えるつもりで、頑張っています。


結婚祝い

2005-12-20 18:54:32 | リハビリ
プロジェクト・メンバー(昔風に言えば、医局員)の奥野君のご結婚に際し、お祝いをお渡ししました。25日のクリスマスに結婚式を挙げられます。おめでとうございます!

個人としてお祝いの席に出席したい気持ちは山々なのですが、いろいろと考えるところがあって、いわゆる結婚披露宴には出席しない方針です。
そのかわりと言っては何ですが、お祝いの気持ちを表現するために、とっておきのプレゼントを考えました。何だと思いますか?

神戸北野ホテルの招待券(随一のレストラン『アッシュ』のディナーとデラックスダブルの宿泊、そして『世界一の朝食』として名高いレストランイグレックでの朝食)です。(『世界一の朝食』は北野ホテルの宿泊客だけが味わえます。『アッシュ』の予約がなかなか取れないので、まずそこを確保して宿泊の日程を決めましょう。)

北野ホテルという超一流のホテルがありながら、関西に住んでいるとなかなか泊まらないということと、宿泊者専用の朝食、それから、やはり、美しい神戸の街を再発見して、新婚の素晴らしい思い出を作って頂きたい、という気持ちからこのプレゼントに決めました。

どうぞ、お幸せに。

ベートーベン 交響曲第9番「合唱」

2005-12-20 05:30:22 | 音楽
ベートーヴェン : 交響曲第9番ニ短調op.125 「合唱」
シュワルツコップ(エリザベート), ヘンゲン(エリザベート), エーデルマン(オットー), ホップ(ハンス), バイロイト祝祭合唱団, バイロイト祝祭劇場管弦楽団, ベートーヴェン, フルトヴェングラー(ウィルヘルム)
東芝EMI

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年末になると第9。年末でなくても第9はいつも素晴らしいのですが、この風習は、貧しい時代にオーケストラ団員の餅代稼ぎから始まったようです。私は大学時代、なぜか第9の本番だけは回数が多く、初心者のときのザルツブルグ演奏旅行を含めて、5回も経験しています。今でも4楽章のレシュタティーボはウォーミングアップでよく弾きます。
さて、数あるCDの中でどれがお勧めか、というと難しいですね。お気に入りのCDをお持ちの人であれば、3~4枚目くらいに持っていて良いのが、不朽の名演、人類の至宝とも言われるフルトベングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団版。というより、宇野功芳氏の解説が名文なので、それに乗せられて感動してしまう演奏です。「彼はますます興奮し、我を忘れ、オーケストラだけのプレスティッシモではおそるべき速いテンポをとるので、オーケストラは鳴っていないし、最後の音も合っていない。しかしこれで良いのだ。ここは遙か天上に抱き合いつつ昇ってゆく人類の姿を現わす部分だ。めくるめくような嵐に聴く者を巻き込みつつ、上昇を続ける途中で突然消えてしまうユニークな終結。「第9」はまだ終わっていない! ・・・・フルトヴェングラーの表現でこそベートーベンの思想は生き、全人類は遥か星空の下、愛する父に向って連れ去られるのではあるまいか。」のように、演奏批評の中でも名作として有名です。1951年のモノラルのライブ録音なので、音質は当然ながら良くありませんが、SP時代の音がして私は好きです。

下村の本焼あなご

2005-12-19 05:50:12 | ライフ
「あなご」というと子供のときは「うなぎ」のコピー商品のようなイメージでした。すしねたの煮あなごも寿司の中の「はずれくじ」に思えて、大して美味しいと思ったことはありませんでした。
ところが、関西に来て食べた下村の本焼あなごで、偏見が吹き飛びました。あなごはあなごとしての深い味わいがあることを知り、以来、しばしば食べるようになりました。
他にも関東ではあまり食べなかった生蛸、鱧(はも)、いかなごの釘煮、マナガツオ、クエなど、関西の海の味覚の豊かさを堪能しています。

大腿骨頚部骨折の手術が遅れて認知症に

2005-12-16 23:04:44 | リハビリ
『大腿骨頚部骨折の手術が遅れて認知症に』
これほど、一般の方と医療関係者の反応が異なる見出しはないと思います。

一般の方は、『それは大変だ』『どうしてそうなるの?』『それが原因なら早く手術すればいいじゃないか』等の反応を示します。

しかし、医療関係者はほとんどの人が『どこにでもよくあること』『仕方ない』という感想をもつことでしょう。

大腿骨頚部骨折は、高齢者の転倒で頻繁に発生します。多くの場合、入院してすぐに牽引され、『予定手術枠』で1週間とか2週間後に手術が決まります。その間に、麻酔のリスクや全身の検査などが行われ、『慎重に』手術までの待機期間が過ぎてゆきます。

その間に起こる悲惨な状況は、医療関係者の誰もが知っています。記憶力もしっかりしていたおじいちゃんだったのに、夜になるとせん妄状態、自分がどこにいるかもわからなく・・・つまりは、認知症(痴呆)を発症してしまいます。高齢者にとって、下肢を固定され、寝返りもできず、尿道カテーテルを入れっぱなしにされ、天井しか見えない生活をすることは、脳の機能にとっては致命的となる可能性が小さくありません。

そのうちに肺炎を合併したり、褥瘡ができたりして、発熱のため予定手術も中止になることさえあります。何のための「慎重な」待機手術だったのでしょう?

整形外科の先生にはお叱りを受けるかもしれませんが、リスクがよほど高いかどうかだけを緊急検査で除外し、少なくとも受傷の翌日には、手術をすべきだと思います。当日に緊急手術が可能であれば、それがベストです。特に、もともと入院の患者さんで病院で転倒した場合には、検査データも揃っているわけですから、早急の対応が求められます。

手術室の確保ができない、麻酔科医がいない、整形外科医は忙しい、そういうシステムにはなっていない、リスクを評価しないで麻酔事故が起こったらどうする?、などなど、ご批判はあるでしょう。

しかし、高齢者にとって、1日、1日と臥床状態を重ねることにより認知症を含む廃用症候群は、想像以上に早く進行します。待機することによるメリットとデメリットを、よくよく秤にかけて考えるべきです。

これも『全人医療』の考え方と言えるでしょう。

このような医療を推進するためには、良心に頼るだけではなく、診療報酬上の優遇措置が有効です。例えば、大腿骨頚部骨折で緊急入院した場合、24時間以内、72時間以内、7日以内、それ以降くらいで、診療報酬に差をつけると良いと思います。もちろん、理由があって手術が遅れる場合の配慮は必要ですが、素早い対応をした医師に対する加算という意味合いで考えれば良いと思います。

結果的に、患者さんにとっての予後も高まり、廃用症候群による不必要な医療費も減少します。三方一両得の医療ということになります。



嬉野温泉の湯豆腐

2005-12-15 21:50:11 | ライフ
今年は本当に寒いですね。日曜日にかけてさらに寒波が来るそうです。
こういう季節には、湯豆腐や鍋物が良いですね。嬉野温泉大正屋の湯豆腐は、以前贈り物で頂いてから、自宅用に通販で買ったり、お世話になった方に送ったりしています。
本当に美味しいお豆腐です。お試し下さい。(写真は大正屋さんのHPから拝借しています。スミマセン。)

『全人医療』はお題目ではない

2005-12-15 06:40:14 | リハビリ
『全人医療』『全人的医療』・・・昔では考えられないほど多くの病院や診療科で、この言葉が訴えられ、看板やパンフレットに書かれるようになりました。

ようやく、臓器だけでなく人間をみつめる医療が実現する時代到来の前触れとして、喜ばしい限りです。ただし、それが実践される限りにおいて・・・・。

『全人医療』というのは、文字どおりその人全てを見つめる医療で、古くから生活やQOLを重視しているリハビリテーション医療は、『全人医療』の必須条件の一つです。(もちろん、決して十分条件ではありません。)

ただただ『時間をかけて患者さんの話を傾聴し、手を握って優しい言葉をかけること』=『全人医療』と勘違いしている病院も少なくありません。もちろん、そういう医療人の態度は大切なことで、立派だと思いますが、それは『全人医療』ではありません。

十分な傾聴の次に、『少し一緒に歩いてみませんか』とか『今のご病気をもちながら、ご家庭に帰れるように一緒に考えましょう』とか『どういう生活スタイルで病気とお付き合いしたら良いでしょうね。』という内容に到達してはじめて、『全人医療』が少しずつ見えて来ます。

あくまでも『医療』ですから、お題目だけでは駄目。もちろん疾患の予後や治療を忘れては駄目。医療が『全人的』であるために、具体的にプロとして何をするべきか? ---それが重要です。

『1日30分、必ず患者様のお話を傾聴します』という病院は立派ですが、『1日15分お話をお伺いし、それをもとにQOLを高めるために必要なこと、例えばトイレ動作のリハビリなどをして頂いています』という病院の方が、『全人医療』を実践していると言えます。

『痛いならスポーツはもうあきらめなさい』という医療と『痛みをコントロールしながら、何とか来年の大会に参加できるように一緒に考えましょう』という医療・・・・もうおわかりですね。

『全人医療』の看板がある病院を見たら、その病院のリハビリテーションがどうなっているか、その病院に全人的にお話を聞いてくれるリハビリ科医がいるかどうか、是非、調べてみて下さい。


東京証券取引所における株誤発注と医療

2005-12-13 05:35:17 | リハビリ
タイトルを読んで話題のつながりはわかりますか?

1つは、フェイルセーフ。人間は誤りをするもの。どんなに注意をしても、確率をゼロにすることはできない。しかし、ゼロに限りなく近くするためには、誤りをしても修正できるシステム、バックアップシステムを二重三重にすることが大切。1株62万円を、1円で62万円との誤入力。これは、点滴に入れる薬の量の誤りなどとつながるものがあります。

もう1つは、富士通。東京証券取引所の社長も引責辞任するようですが、結局システムの不具合は、富士通の責任だと思います。あちこちの病院でも、富士通のオーダリングや電子カルテシステムにかかわってきましたが、共通していることは、
1)カスタマイズを依頼すると想像を絶する追加料金を要求される。
2)細々した対応を指摘すると、ほとんど関連小会社の責任にされる。
3)突き詰めて行くと、『富士通』といいながら、ほとんどが下請けへの丸投げ。
4)納期が間に合わない。納期前日に必死で仕事をしているのは下請け社員のみ。
5)丸投げなのに、投げた側の富士通の担当者には、全く責任感がない。
・・・そんな経験を、多くの病院でしてきました。

もし、オーダリングシステムの不備によって、医療事故が起った場合、富士通が責任を取ることはなく、主治医や病院長が責任を取ることになります。富士通はあくまでも、病院側との契約における責任だけ、ということになります。

それで良いのでしょうか?

いのちの電話

2005-12-11 16:37:28 | リハビリ
毎年毎年3万人以上が自殺する国とは、いったい豊かな国なんでしょうか?
自殺に追い込まれる人達のケア、そして、残される人達のケア。本当に深刻な問題です。

少しでも死にたいなどと考えている人が、たまたまでもこの記事にたどり着いたら、まず
いのちの電話(http://www.inochinodenwa.or.jp/03-denwa.htm)
に電話してみて下さい。
全国各地にあるボランティア組織で、これまで多くのかけがえのない命を救ってきました。

私の仕事で言えば、障害のために自殺してしまう患者さんの問題、そして、自殺未遂で障害をもった患者さんの治療、などの対応が求められます。心のケア、と一言で言っても簡単ではありません。私の少ない経験では、自殺未遂で障害をもたれた方のほとんどが、あのとき死ななくて良かった、と振り返っています。医師として、患者さんが生きる希望をてるようになるお手伝いができたら、と心から思います。まだまだ課題でもあります。

また、社会一般で言えば、心のケアと同時に、それ以前の「敗者復活が普通の社会」の実現が重要だと思います。米国はどんどん解雇されますが、再雇用の機会も多いと聞きます。しかし、日本は終身雇用をやめて能力主義を採用するようになった中で、「敗者復活」が可能で、「まだまだチャンスがある」社会を作って来たのでしょうか?

そんな中でも、個人のレベルでは、同じようなことを考えている人達は沢山います。また、いのちの電話などの活動もどんどん盛んになっていますので、日本も捨てたものではありません。

政府の対策も大切ですが、敗者復活(やりなおし)が普通の社会を作るためには、広く社会の一人一人の自覚が重要です。私はもっと希望をもてる社会が実現できると信じています。


シスプラチン

2005-12-09 22:54:53 | 日記
これは有機化学美術館にある画像で、シスプラチンがDNAに結合し、二重らせん構造を破壊しているところです。(中央の黄色と紫がシスプラチン)
シスプラチンはプラチナに2つの塩素と2つのアンモニアが結合した極めて単純な分子だそうで、これが抗癌剤として使用されます。実は、我が家の犬が癌を患い、現在、シスプラチンを使って治療中です。3週間に1回使うそうで、当日は嘔吐の副作用が出ましたが、翌日からは元気にしています。これで癌細胞が無くなってくれたら良いのですが・・・。

のだめカンタービレ

2005-12-08 22:49:08 | 音楽
のだめカンタービレ (2)

講談社

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「のだめ」というのは、主人公「野田恵」。カンタービレは、音楽用語で「歌うように」。クラシック音楽は絶対に堅苦しくない、高尚でも何でもない。クラシックをやっている人だってただの人、いえ、逆にハチャメチャな人が多い・・・そんなクラシック界の「常識」が、親しみやすいコミックになりました。クラシック音楽を身近にした功績は大きいと思います。漫画はほとんど読まない私ですが、のだめが知らない曲を演奏していると悔しくて、iTune Storeを探してしまいます。
以下、本書の紹介記事より。
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学内で絶対的なカリスマを持つエリート音大生・千秋真一、恋人に冷たくされ、酔いつぶれた彼が朝目覚めたときにみたもの、それはゴミダメのような部屋の中でピアノを弾く一人の女性の姿だった。 楽譜は読めないがピアノの才能は天才的、そんな不思議少女・「のだめ」こと野田恵に惚れられたことにより、千秋の運命が大きく変わり始める!? 思わずクラシックを聴きたくなる音楽コメディ(ちょっとラブあり)、読めば必ず元気になること間違いないデスよ。