ニューロサイエンスセミナーを実施して強く感じたことは、現場の療法士、医師達は、治療医学としてのリハビリ医療を基礎から築き上げたいという強い熱意をもっていることです。
ADLに対するアプローチが大切なことは当然です。しかし、基礎研究と解離したリハビリ医療は大変基盤が弱いものです。私がCI療法に関する講演会で常々強調していることは、リハビリ医療は「ADLの医療」ではなく、「QOLの医療」だということ。ADLとQOLが相関していれば問題はないが、そもそも次元が違う。だから、QOLを高めるための手段として、ADLを高めることが重要であると同じように、あらゆるニューロリハビリテーションを駆使して、機能障害の改善を目指して良いはず。機能障害を改善させながらADLの場面にどう「汎化」させるか、ということも学習理論できちんと検討したらどうか?もちろん、装具や環境整備などリハビリとしてあらゆるresourceを利用すべきことは言うまでもありません。
脳の可塑性(plasticity)とuse-dependent plasticityの応用こそが、ニューロリハビリテーションの本質であると思います。Neuro-rehabilitationやNeuroscience seminarというネーミングも、今後リハビリの世界に浸透していくでしょう。私のアドレスが10年前から......@neuro-reha.orgになっているのは、そのことを予言してのことです。
Mark L Latash先生と川人光男先生という相対立する神経科学の巨人の元に留学して15年。兵庫医大に来てもうすぐ10年。Neurorehabilitationのホームページを立ち上げ、ここまで突っ走ってきましたが、いよいよこれからが本番という気がしてきました。
今回のニューロサイエンスセミナー参加者のアンケートを読みながら、わくわくしてきましたので、この記事をアップします。このような高い志のリハビリ医療提供者がいる限り、リハビリ医療の将来は明るいと信じます。次回のニューロサイエンスセミナーもさらにブラッシュアップして企画中です!