CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

NHK『闘うリハビリ』感想 第2回放送分

2008-02-18 17:04:57 | リハビリ
超早期リハビリについて、筆者は大賛成なので、大変気分良く拝見することができました。

もちろん適切なリスク管理のもとにやっていかなければなりませんが、最大の障壁は主科(主治医として受け持っている科)の医師との連携(説得?)や、寝かせておいた方が楽な病棟(看護師)との連携(説得?)です。

結局、リハビリテーション科医師みずからベッドサイドに出向き、その場でセラピストと一緒に動作を行ってもらい、主治医や看護師に納得して頂くしかありません。相澤病院の原先生はとても頑張っておられました。

あれだけ高齢で、意思疎通が難しそうなのに、会話で冗談を言えるのは、リハビリ科医と患者さんのあるべきコミュニケーションだと思いました。

さらに、急性期リハビリや回復期リハビリがいくら充実しても、その後、何もしなければ確実に機能が低下することにも、きちんと言及し、訪問リハビリが展開されていました。

セラピストは手足のリハビリをしているようでいて、しっかりと心理的サポートをしていましたね。あれが大切です。
障害があってもさあ自立、あとは、どこかでお遊戯会でもやって・・・というのではなく、これからどうやって生きて行けば良いか、どのように障害とつきあうか、何が改善できて、どうやったら維持できて、何が悪化する可能性があるのか。そこが人それぞれちがいます。もちろん、家族や介護環境も。そこを必死でチームワークで支えて行く。リハビリスタッフは一生、患者さんの水先案内をしていく。

以上のような専門的なアプローチがよく映像として表現されていたと思います。相澤病院の皆様、原先生、ご苦労様でした。


御礼☆読者数(IP数)2200人

2008-02-17 21:24:00 | リハビリ
こちらのブログはあまり更新しておりませんでしたが、数多くの読者の皆様に感謝致します。

月間IP数でおよそ2200、毎日のIP数がコンスタントに250程度のカウントとなっております。

今後ともよろしくお願い致します。次の記事は、NHK闘うリハビリ第2回の感想の予定です。

NHK『闘うリハビリ』感想(主にCI療法以外の部分について)

2008-02-16 06:38:51 | リハビリ
第1回の前半。光トポの変化をみながらの理学療法のお話。

全ての患者さんで行っている訳ではないと思いますが、客観的指標に基づいた効果的な運動療法の探索は、リハビリ医療の重要なテーマですね。膝を叩く、とか、スタンディングテーブルでの荷重訓練など、その後に光トポのストーリーが、NHKの創作なのか、宮井先生の監修なのかは不明ですが、運動療法としては標準的に実施しているはずの治療です。(膝叩きは??)
というより、宮井先生は光トポのリサーチと脳科学から、ボバース療法を離れようとしているように見えます。ボバース療法の効果の有無の証明、という文脈よりも、高いレベルで頑張っておられるように見えます。

大田仁史先生のコメントには、いつも感動します。また、視聴者にも本当にわかりやすかったと思います。

なお、CI療法の部分で、Taubが第一人者のように出ていましたが、やはり、Steve Wolfが世界的権威とみるべきでしょう。取材班にはEmory大学を推薦したのに、この点は残念でした。Steve Wolfも何で?と思っていることでしょう。

それから、番組の冒頭に出ていた16歳の患者さんですが、脳の可塑性の素晴らしさの例だと思います。ちょっと視点をかえて、予後予測の方からみますと、「学童までの片麻痺は長期的にかなり消失する」「20台までの片麻痺はどんなに重度でも必ず歩ける」という予後予測の範囲内ということになります。ただし、健側の失調症や、両側錐体路障害が見逃されている場合や高次脳機能障害が著しい場合はこの限りではありません。いずれにしても、あきらめてはいけないということです。

NHK『闘うリハビリ』感想(主にCI療法について)

2008-02-12 13:44:02 | リハビリ

今回、CI療法は1日目の脳の可能性を追求するという文脈で、後半に登場しました。当初から取材協力させて頂きましたが、出来上がった内容は、満足できるものであったと思います。NHKスペシャルの特集のタイトルとしても『奇蹟の脳』とか『脳の先端リハビリ』のようなフレーズも考えられたかもしれませんが、『闘うリハビリ』という適切なタイトルでした。

つまり、先端の再生医療を『受ける』のではないということです。CI療法は、患者さん自らの自分との闘いです。しかし、そうすれば、長嶋茂雄さんが言われていた通り、『リハビリはうそつかない』という言葉に象徴されるような結果が得られます。自らの努力で、自らの脳の可塑性を動かす。それは並大抵のことではありませんが、多くのエビデンスにより、治療効果が証明されています。麻痺した手が再び自分の手として(少しではあっても)動かせるようになることから、CI療法終了後の患者さんの多くが、大きな満足感と達成感を得られます。

生活ほっとモーニングでは、兵庫医大病院のCI療法を取材頂きましたが、大学病院だけの先端治療ではなく、一般のどの民間病院でも実施可能な治療ということで、今回、関西リハビリテーション病院に取材をお願いできたことは良かったと思います。

もはやCI療法は、大学だけの研究テーマではなく、より多くの人が全国どこでも受けられる治療になろうとしています。そのことも伝わったのではないでしょうか。何も特別な機器は使っていません。米国のCI療法も同じです。

あとは、論点として、日常生活動作を自立することと、麻痺した手を使うことの2面性が視聴者にも伝わったと思います。この点、大田仁史先生のコメントが適切でした。確かに自立は大切、しかし、麻痺を回復させたい気持ちもないがしろにしてはいけないと思います。

いつも問題になる適応基準については、図が出なかったのは残念でしたが、明確に番組で述べられていましたので、良しとしましょう。

今朝は、ずっと大学の電話がなりっぱなしです。CI療法で検索したり、NHKに問い合わせた結果、私どもの医局に電話を頂いているようです。ご紹介するどの病院も半年以上待機の状況ですが、そうこうするうちに、全国各地の病院でも実施して頂けることを願っています。

CI療法はエビデンスがありすぎて、通常の研究をしても論文はアクセプトされません。一工夫の時代であり、CI療法を普及させることは、研究ではなく、臨床的技術の普及なのです。もちろん、CI療法周辺の研究テーマは沢山あります。光トポのような高価は機器は不要です。どうぞ、CI療法をあなたの病院でも実施してみて下さい。


CRASEEDニューロサイエンスセミナー終了☆

2008-02-10 16:02:03 | リハビリ

リハビリテーション科医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を集めて、<CRASEEDニューロサイエンスセミナー>を開催しました。

ニューラルネットワーク等の基礎理論から、運動制御と運動学習、脳科学について、2日にわたって、みっちりと学ぶ機会でした。講義はもちろん、実習あり、シミュレーションありで、参加者の脳も知識で溢れんばかりになったようです。

来年からは、一般参加者も募集する予定ですので、どうぞお楽しみに。

高次脳機能障害講演会,FIM講習会無事終了!

2008-02-04 12:25:01 | リハビリ

高次脳機能障害講演会,FIM講習会は、無事終了しました。

雪が降りそうな寒い雨の日でしたが、600名近い多くの参加者に恵まれ、滞りなく終了することができました。
来年度は、2月1日日曜日を予定しています。午前中の企画講演会は、現在検討中ですので、こちらもお楽しみに。

とりいそぎ、御報告でした。