CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

慶應FIM講習会視察旅行☆

2008-11-24 07:41:55 | リハビリ
FIMを翻訳したのが1990年、第1回講習会を苦労して企画運営したのが(確か)1993年。慶應の方は、あれから回を重ねてもう第20回になります。兵庫医大でも公式講習会を実施していますので、内容を合せるために慶應の講習会を視察してきました。よりわかりやすい講習会にするアイデアが沢山うかびました。
(打ち上げ宴会では、久しぶりに慶應の面々と飲みました。といってもほとんどは知らない顔になっていましたが、都リハの医長時代の研修医が立派に講習会で講師をやっているのが、頼もしいのと印象的でありました。)

さて、羽田着陸前に上空から亀田メディカルセンターが見えました。ここにCRASEED理事の宮越先生がいます。2006年に亀田で実施した医学生セミナーの記事はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/craseedblog/e/21e56a5450be9562308564304ee39b7d

裁判員のPTSDが問題に

2008-11-23 18:52:17 | その他
リハビリとは無関係の記事です。

私はPTSDの専門ではありませんが、裁判員が事件の証拠写真を目にすることで、二次的にPTSDになる可能性はないか、心配しています。

たとえば、病理医ではない医療関係者が病理解剖を見学する場合、病理解剖がどのようなものかを知っているので、問題はありません。ところが、普通の解剖の経験もない素人の方が、病理解剖を見ると、相当のショックになることが考えられます。

ところが、刑事事件の裁判員は、場合によってはこうした病理解剖よりもショッキングな写真や解剖の所見を、提出された証拠として見聞きする可能性があります。少なくとも苦しんで死んだ被害者の姿は見るでしょう。これを、『一般国民が全て』見て、判断しなければなりません。

私達は、見知らぬ人のことであっても、悲惨な事件の報道を見聞きすると、ストレス症状(動悸、血圧の上昇、息苦しさ等)を感じ、何日もその事件のことが頭から離れなかったり、急に自分や身近な人の安全に不安を感じるようになったりすることがあります。こうした事件が、身近な人におこったりすれば、私達は被害者が体験したと同じようなPTSD症状を体験することになり、それは二次的外傷性ストレスと呼ばれています。このようなトラウマ的なストレスが生じるということは、まだ日本ではあまり知られていませんが、裁判員制度ではまさにこのトラウマ的な傷つきが心配されるのです。

裁判員をやったばかりに、証拠写真等でみたショッキングな写真を見たりすることでPTSDになり、仕事ができなくなった場合、労災として補償されるのでしょうか?

経済的なことにも増して、こうしたトラウマを負った場合、精神科を訪れて医師に内容を相談すると、守秘義務違反で処罰の対象になるため、治療を受ける事さえできないのでは?という心配もあります。

誰にも相談できないどころが、相談すると罰せられるわけですから、より重度のPTSDになってしまうかもしれません。

このような論点はないものかと思って調べたら結構あります。『裁判員 PTSD』や『裁判員 二次的外傷性ストレス』で検索してみて下さい。

裁判員制度で、公正な裁判ができるのだろうか、ということについては、様々な議論がなされているようですが、裁判員のメンタルヘルスについては何の考慮もなされていないことが心配です。

日本神経回路学会 オータムスクール(ASCONE 2008)

2008-11-03 22:43:29 | リハビリ
10月31日~11月3日、伊豆高原でASCONE 2008(Autumn School for Computational Neuroscience 日本神経回路学会 オータムスクール)が開催され、私は6つのLectureのうちの1つ「脳科学とリハビリテーション医療」の講義を担当させて頂きました。最終日は、理化学研究所脳科学総合研究センターの伊藤正男先生の特別講演でした。運動学習や脳の可塑性の研究者からみると神様のような存在です。

http://spike.eng.tamagawa.ac.jp/ASCONE/

受講生のほとんどは、基礎研究の修士や博士の学生で、MatlabをPCにインストールし、数理計算をやりたくてウズウズしているような意欲的な学生でした。

リハビリ医療の臨床やCI療法も、すぐに脳の数理に結びつけられるものではありませんが、運動制御や運動学習の理論をしっかりと知らなければ、運動障害の病態を語ることは難しいはずです。ましてや、運動障害の治療を基礎研究に裏付けされた理論やデータもなしに、実施することはできないと思います。

今回の受講生は、応募者多数のため事前審査で選択しただけあって、恐ろしいほどモチベーションが高く、演習時間がで1時間もあれば、データ収集、データ解析、グループディスカッション、発表用パワーポイントの作成まで、やってのけました。私の講義で準備したミニ実験についても、道具も計測機器もない環境で、見事にデータを出して、結果をプレゼンテーションしてくれました。(写真上:講義、写真中:ミニ実験風景、写真下:プレゼン風景)

知力と体力の勝負でしたが、何とか頑張りました。基礎の脳科学の人材がこれだけ育っているのですから、臨床側も、もっともっとで人材育成しないといけないと強く感じました。