リハビリテーションは臨床が最も重要です。その中で、EBMやNBMを理解して発信しつづける臨床研究も推進すべきでしょう。
一方で、リハビリテーション基礎医学の研究者の育成も必須と考えています。リハビリテーション基礎医学とは、バイオメカ、神経生理、呼吸循環、筋病理、骨代謝、老化の研究などなど多岐に渡りますが、誰も視野に入れていなかった分野が、この『計算理論』です。(入門書としては、絶版になった『脳の仕組み』がお勧めです。)
この本を表層だけ読むとちんぷんかんぷんかもしれませんが、すでに川人光男先生は脳研究を世界的にリードしています。つまり、脳を理解したい人は、ある程度、計算論が言わんとするところを理解する必要があります。私は、基礎研究として計算理論(計算論的神経科学)を基盤においています。留学先に川人先生の論敵であるMark L Latashの研究室と、ATRの川人さん(当所ではさんづけの習慣)の研究室を選んだのも、脳の理論がリハビリ医療を変革する、という信念からです。
もちろん、スピリチュアルな健康とか、障害の「受容」などの問題まで、計算理論で説明しようなどは考えていませんが、ブラックボックスと思われてきた脳の機能のかなりの部分が、理論的に説明できると考えています。
今はリハビリ医学の中では重視されていないかもしれませんが、「やがて自分の時代が来る」(グスタフ・マーラー)と思いながら、リハビリ分野では日が当たらない研究を地道に続けています。
患者さんの喜ぶ顔が好きな臨床家を大募集するとともに、脳の仕組みの素晴らしさに感嘆する好奇心旺盛な研究者も募集しています。私一人だけで、この大きなテーマをやり遂げられるものではありません。
いやぁ~、脳って本当に面白いですね・・・