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昨日あたりからブログのアクセスが増えていましたので、どうしてかなと思っていましたが、どうも9月4日のNHKの番組と関係があるようです。私自身は見逃してしまいましたので、直接の感想ではありませんが、とりいそぎコメントを掲載しますね。
紹介されていたのは、鹿児島大学の川平先生の促通手技(いわゆる川平法)と慶應のHANDS療法だったようです。おそらく上肢麻痺の治療としてのCI療法との関連で多くの方々が訪問されたのだと思います。
結論から申しますと、川平法もHANDSもいずれも素晴らしい治療法だと思います。そして、特にCI療法と競合するものでも相反するものでもありません。昨年のリハビリ医学会でのシンポジウムでも申し上げたのですが、CI療法はすでに30年の歴史があり、エビデンスも確立し、脳卒中治療ガイドラインにも掲載されている「標準的治療」です。川平法、HANDS、経頭蓋磁気刺激、ボトックス療法など、多くのニューロリハビリテーションの手技は、CI療法と併用することによって、その効果がさらに明らかになるものと思います。たとえば、ある治療法で脳の可塑性を促進したとして、そのままで何もしなければ効果はわずかでしょう。しかし、CI療法を併用することによって、その効果が増幅されます。
CI療法自体も現在、運動学習理論を応用してさらに進化させていますが、すでに知られている方法論だけでも上記のようなamplifyする役割を担うことはできています。その最もシンプルな形での証明が、以下の論文です。
Brain. 2010 Nov;133(11):3373-84. Epub 2010 Aug 5.
磁気刺激だけではなく、積極的な随意運動を行うことで、治療効果が得られることを証明した研究です。
慶應のHANDS治療とCI療法との併用は是非とも行ってみたい治療です。また、川平先生の研究室とは作業療法士が交換留学のような形で双方の治療を学び合っています。ボトックス療法とCI療法との併用についてはすでに何例か実施しており、11月のリハビリ医学会で発表の予定です。
脳の可塑性を利用して麻痺自体を改善させるリハビリテーションの選択肢がさらに増えることを期待したいと思います。