CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

『算定日数上限』の除外疾患をより多く

2006-02-27 21:33:33 | リハビリ
リハビリを発症からの日数だけで区切るタイムレースのような考え方に対する疑問が、全国的に広がっております。患者会も動き始めたとの情報があります。

除外疾患について、現在厚生労働省で調整中のようですが、是非、疾患特異性や偶発的合併症の可能性等を考慮した上で、拙速を避けて頂くように要望します。

人間の身体に起こることは、100%予測できるものではありません。長嶋茂雄さんのような典型的な経過をたどる脳卒中の患者さんの中にも、経過中に肺炎や尿路感染などで、リハビリ病院への転院の時期を逸する場合もあります。今年度までは、回復期リハビリ病院への転院の時期は発症後3か月まで余裕がありましたが、来年度からはこれが2か月に短縮されます。つまり、発症後60日あたりに発熱してしまったら、その後のリハビリ医療を受けるチャンスまで、ほぼ全て奪われてしまいます。

さらに、やむを得ない状況であっても、発症から180日を超えてしまうと、一律にリハビリ医療が打ち切りになってしまいます。

まるで、『GAME OVER』のようなゲーム感覚の制度になっています。

チャンスを逸した患者さんの受け皿を、介護保険としているようですが、これからリハビリ医療を受ければ歩けるかもしれない患者さんが、どうして寝たきりのままで介護されなければならないのか、不思議であります。介護費用が膨張する一方の中で、効果的なリハビリ医療をきちんと行ってから、介護保険にスムーズに移行させることが必要ではないでしょうか?

制度が扱っているのは、ゲームの中のアニメキャラクターではなく、生きた人間であることの想像力を働かせて、制度を作って欲しいと思います。前回まではリハビリ医療に関する診療報酬改訂は、私は85点以上であったと評価していますが、今回だけは0点に限りなく近いものと思います。

無駄を削るために全部削る、という制度であれば、素人でも作れます。無駄を削り、有効な部分は残す制度を作ることができるから、国民は国を信頼できるのです。そういう能力があるはずですから、是非とも発揮して欲しいと思います。

現時点でできることは、『算定日数上限』の除外疾患をより多く認めることです。厚生労働省への問い合わせも日を追って増加しているようですが、切実な患者さんの声を反映した発表がなされることを期待しています。