CRASEED Rehablog ニューロリハビリテーションとリハビリ医療の真髄に迫るDr. Domenのブログ

ニューロリハビリテーションの臨床応用を実践するリハビリ科専門医・道免和久の日記【CRASEED Rehablog】

脳卒中治療ガイドライン2009における恣意性

2010-02-23 11:08:25 | リハビリ
保険適応外で限定された施設でしか実施できないボツリヌス療法がグレードA
通常の作業療法としてどこの施設でもすぐに実施できるCI療法がグレードB


全国規模で行えることがガイドラインの基準であれば、先端の治療は全く普及しません。この点はまずおかしい。それから、私は保険適応外のボツリヌス療法がグレードAであることには全く異議はありません。しかし、CI療法をグレードBにする理由となった、1)対象が限定的、2)全国規模で行われていない、3)教育が必要、の3つの条件を考えたとき、矛盾しませんか?いずれも、ボツリヌス療法にも当てはまるからです。判断が恣意的と言われても仕方ないと思います。

反論が届きましたら、また掲載します。

CI療法のグレード降格問題に日本リハビリ医学会担当者より回答

2010-02-22 10:57:26 | リハビリ
CI療法は対象者が『限定的』と誤解。
全国10施設以上で確認していても『全国規模では行われていない』と断定。


回答の主旨は1)対象者が限定(的?)である、2)全国規模で行われていない、3)教育を受けた者が行う必要がある。よってBと判断したそうです。

CI療法の適応はリンクの通りであり、Wolfは脳卒中全体の20%程度と言っています。軽症例のみという誤解は、どこかの施設で実施していた先入観であり、集団伸展のみの場合でも適応になります。集団伸展レベル以上の対象者を、限定的である、とか、軽症例である、という見解には無理があります。

では、全員にできないではないか、というようなことを主張する人もまれにいますが、医療には『適応』があるのは当然であり、万能薬ほど怪しいものはありません。集団伸展が可能、等の適応基準をもっているため、適応外にはCI療法はできませんが、そのことをもって、限定的と断じるのはいかがなものでしょうか。

また、欧米で何百というエビデンスがあっても、なくても、日本全国で行われていなければグレードAにはならない、というガイドライン委員会の方針は初めて知りました。これが、内科治療、脳外科治療を含めて、脳卒中治療ガイドラインの方針であるのかどうか、委員長に問い合わせ中です。CI療法は、兵庫医大だけでなく、作業療法学会などで発表されているだけで10施設程度はあり、それ以外にも相当に広まっております。ガイドラインの委員の施設でたまたま実施されていないということでの印象であれば、これも認識不足ではないかと思います。全国規模という閾値を100施設など高いレベルかどうかは不明ですが、欧米で普通に実施されている高いエビデンスの治療を、むしろガイドラインがきちんと推奨して、日本全国に広まるように編集する見識があって良いと思います。編集委員長レベルの先生方はそのようなことを理解されていると思います。

以上、ずいぶんと偏見があるようで、困っております。また、ご報告します。

ニューロリハビリテーションに関する国際ワークショップ開催

2010-02-17 19:38:57 | リハビリ
ニューロリハビリテーションに関する国際ワークショップ開催
International workshop on Neuro-Rehabilitation
Tokyo Institute of Technology, Feb. 15-16, 2010

Organizer;Prof. Yasuharu Koike Tokyo Institute of Technology
Program Feb. 15th-16th
Organized Secretary: Assistant Prof. Hiroyuki Kambara

●Welcome and introduction to the workshop
 Y. Koike

●Is it possible to recover from agrahia ? Reacquisition of cursive handwriting by a simple saggital plane hand movement
 Dr. Kazuyoshi Fukuzawa (Waseda Univ.)

●The role of cutaneous afferents in speech motor learning and perception
 Dr. Takayuki Ito (Haskins Laboratories)

●Dr. Ganesh Gowrishankar (ATR)

●Dr. Etienne Burdet (Imperial College London)

●Optimal robot assistance for motor skill learning and rehabilitation
 Dr. Vittorio Sanguineti (University of Genova)

●脳科学とリハビリテーションが出会うとき
 大須理英子(ATR脳情報研究所)Dr. Rieko Osu

●fNIRSによる運動学習過程の脳活動計測
 和田安弘(長岡技術科学大学)Dr. Yasuhiro Wada

●Neuro-rehabilitationの展開としてのCI療法とその実際
 道免和久(兵庫医科大学)Dr. Kazuhisa Domen

●計算論からリハビリテーションへ
 小池康晴(東京工業大学)Dr. Yasuharu Koike

●Closing Remarks


私の発表の中で、<Neuro-rehabilitationとは、「ニューロサイエンスとその関連の研究によって明らかになった脳の理論等の知見を、リハビリテーション医療に応用した概念、評価方法、治療法など」>であり、単なるNeurological Disease Rehabilitationではないという主張を申し上げました。小池先生も、Neuroscience-based Rehabilitation、あるいは、Nicolas Schweighoferが主張する、Computational Neuro-rehabilitationという定義を支持されました。新たなCollaborationにより、先端のリハビリテーション治療を患者さんに届けられるようにしたいと思います。