月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アルデバラン・22

2015-09-25 03:54:21 | 詩集・瑠璃の籠

寂しさの奥に
ほんとうのくにがある
つまずきのなかに
たしかな宝がある

暗いところに
いけばいくほど
自らの中の光は強くなる
自らの愛が動き出す

絶望の荒野に落ち
なにもかもを見失った者よ
己自身の光を焚き
墨のような暗闇の中に
たった一粒の真珠を産み
自らゆく道を照らしだせ

死魚の腐臭がつきまとい
がれきの山が立ちふさがる
罵りの風がおまえを翻弄し
天は針の雨を落とす
暗闇は鯨のようにお前を飲み込み
恐怖でおまえの肝をちぎろうとする

顔が剥げ落ち
蛙のように小さな醜いものになろうとも
自らを打ち捨ててはならぬ
自らの光をつかみ
それを信じて己が道をゆけ

シジフォスは徒労と知りつつも
岩を担ぎ上げる
お前もそれに習うのだ
何度失敗しようとも
はじめから無駄だとわかっていても
挑戦することをやめてはならない

見せかけの幸せの中に
ほんとうの愛はどこにもない
いらだちの湯につかりながら
自分を無理やり型にはめようとする痛さの余り
暗がりで浴びるように酒を飲む

おまえはもう
そんなやつらの仲間になってはならない
全てを捨てて 暗闇に落ち
苦い泥と涙を飲みながら
自らの光に従ってまっすぐに進め

それこそがおまえの
真実の幸福なのだ



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