なんとなくはじめました(つれづれなるままに)

日々のよしなしごとをそこはかとなく書きつくります。

「T」再訪(第186段)

2009年03月01日 00時01分23秒 | なんとなくのお昼(鮨)
噺家の立川談四楼師匠の書いたエッセイ集「新・大人の粋」(講談社)に、「裏を返す」という一文があります。

ちょいとその一文を拝借しますと・・・、


初めて入った店が気に入り、一日おいてまた出かけました。店も覚えていてくれて笑顔で迎え、私は粋がり「裏を返しにきたよ」と言ったのですが、はあ?と言われてしまいました。

(中略)

初めが初会、二度目が裏、で三回目にして馴染みとなるわけですが、私はこれを落語の廓噺(くるわばなし)で覚えました。

(中略)

楽屋の古老からはこう教わりました。

「店は一回で懲りちゃダメだよ。嫌でももう一度行くんだ。それでもダメな店だったらそこで切りな。裏を返さねえのは客の恥というのはそのことを言うんだ。

気に入ったら間をおかずにジャンジャン通え。一気に馴染みになっちまうんだ。飛び飛びに行ってたらなかなか覚えちゃくれねえぞ。

初期(ハナ)はカネも使え。で、馴染みの扱いを受けるようになったら間隔をあけ、カネのほうも控えりゃいいんだ。そうすりゃ長く通えるよ」


なるほど、「粋」とはこういうことなのでしょうね。


さて、行ったばかりの「T」という鮨屋。

ワタクシも「裏を返す」ため、2日連続で行ってきました。


この日は先客あり。

若い男女がお二人、ですが、昼からお酒を飲み、なかなか場慣れしたお二人、と見受けられます。

そのお二人から、一つ席を置いたところに案内され、握りをおまかせでお願いしました。

前日は、ワタクシ一人でしたが、この日は先客もいたので、あまり余計なことは言わず、お茶をすすりながら、鮨の出るのを待ちます。


ひらめ、

中トロ、

小肌、

小柱、

穴子、

タコ、

海老、

うに、

煮ホタテ、

さより、

(思い出しながら書いているので、順番はこの通りではありません)

巻物(鉄火とかんぴょう)、

玉子、

お椀、


いやあ・・・、きのうもおいしいと思ったのに、今日はさらにおいしい・・・。

初会と違い、裏を返しにきた、ということで、リラックスしていただいたからでしょうか、

まあ、前日とはお値段が違うので、出てきたネタが違っていたせいもあるかもしれません。


すっかり満足して席を立ちました。

「どうも毎度」

ご主人の「毎度」という言葉に、ちと嬉しさを感じながら、お店を出ました。

さて、近いうちにもう一度来て、「馴染み」となるとしましょう。


お金も続かないですからね・・・(苦笑)。



コメント (2)
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