靉嘔(あいおう)って、本名じゃなくて、あいうえおの中で一番使われる母音を選んで
つけたアーティスト名なんだそうだ。しかも靉嘔の嘔は、嘔吐の嘔をとったそうだ。
展覧会を見ていたら、アーティストトークがあるというので行ってみる。
あきらかに運動不足の生活をおくっているバーバパパのような靉嘔がそこにいた
とても気さくでチャーミングなおじさんで、いろいろな話を話してくれた。
靉嘔がNYに渡ったのは、ジャクソン・ポロックに憧れてのことだそうだ。
NY中の画廊に絵を売り歩くも、当時はポロックのようなアクションペインティングが
ブームで、靉嘔の絵は全く売れず、崖っぷちでポロックさながら
アクションペインティングもどきを始めたら、だんだんと作品が売れるようになったらしい。
当時のアクションペインティング、展覧会にも展示してあったが
かなりいただけないものだった。
彼が到達した虹のペインティング
とにかく、なんでもかんでも虹、虹、虹、
「点や線は過去の遺物、色だけが残った」という判ったような判らないような理屈から
人間の目で見える色=スペクトルの作品を描くようになったという。
ルソーの作品や
浮世絵なんかも虹で置き換える
なんとなく、村上隆の商売っけあふれるビジネスアートを思い出す。
でも、靉嘔は村上と違って、アートに対する純粋な気持ちで、虹に行き着いた気がする。
生まれもっての才能が根底にあってのことだが、
60年代だったから、誰もやらないことをやったから、
そういった環境に自ら飛び込んだから、それをやり抜く精神があったから
今の彼があるのでは
彼の作品は、感動できる何かを超越したものすごさは感じられないけど、
自然が産み出すスペクトル効果で、なぜか安心して見ていられる、安定感がある。
これぞ、虹マジック!
人間、考え抜いて、ぶつかって、やり抜いた先には、答えってあるものなのですね
触感アートはどうもいただけない
靉嘔さん、これからもお元気で長生きしてください!
■靉嘔 ふたたび 虹のかなたに 東京都現代美術館(~5/6)