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WindowsCE FAN/Windows Phone FANのウェブマスター日記 2007年~2011年版です
Windows Phone FAN日記









BOOKSCAN というビジネスと可能性
週末から、BOOKSCAN ばかり取り上げているわけだが、そのくらい面白いなあと興味を惹かれたのだ。ちなみに、この「1冊 100円」は、どの程度割がいいビジネスなのだろうか。この100円で実施しないといけない仕事は下記の通りだ。

【BOOKSCAN の仕事】

1.段ボールを開梱する。
2.中から書籍を取り出す
3.大型のカッターで裁断する
4.ページをばらけさせて、スキャナにセット
5.スキャナのボタンを押してパソコンに取り込み
6.パソコン側で、オプションのOCR変換 (50円) があれば実施。
 なければ、出来上がったファイルを、注文者にメール。
 ※ もしかすると、ここで、全ページ軽くチェックし、
   エラー率をあらかじめ確認する。

さらに、スキャンし終わった祭壇済みの書籍を定期的にまとめて廃品業者に提供する必要があるだろう。

BOOKSCAN では、作業内容を YouTube のビデオで公開しているので、そちらを見てみると、おおよそ、新書本で1冊 3分程度のようだ。複数台のスキャナを使えば、もう少し空いた時間に次の本を仕込んだりもできる気がするのだが、ビデオを見ている限りは、スキャン済みの紙が詰まらないように時々取り出したりしているし、様子を見ているようにも見える。

効率化だけを考えれば、スキャナから出てきたページは、そのまま段ボールあたりに捨ててしまえば効率がよい気もするのだが、エラーが発生して再スキャンするときにページを揃える手間を考えると、たかだか1~2分程度であれば、スタンバイしていた方がよいのかもしれない。

実際同社のホームページ上でも下記のような書き込みがされている。

「Q.100円なんて安すぎませんか?怪しいんですけど。
怪しいのは確かですが、100円なのは事実です。裁断は10秒以内で出来ますし、エラーがなければ1冊2~3分でスキャン完了します。オペレーションから無駄な作業を排除しているのと、エラーの少ない紙に限定しているのでこの価格で対応可能です。 」

なるほど。
一方で、下記のようなリスクもある。

「10.裁断しスキャン後5%以上読み込めない箇所がある書籍は、対象となる書籍の購入金額の全額を返金致します。」

ただし、この書籍の上限額は、5,000円となっている。5% というのは、それなりのページ数なはずだ。実際に 200ページ程度の書籍 (新書では割とポピュラーだ) だとすると、このうち 5% と言えば、10ページ程度。枚数にすると 5枚くらいはクラッシュして読めないかもしれないからごめんねえ、というのとトレードオフな訳だ。もっとも、毎回そうである可能性は、今後の仕事の受注に関わるだろうから、通常はきちんとスキャンできるのだろう。

つまり、ここまでのミクロな観点で言うと、仕事を覚えたてでも、3分に 1冊 = 100円ほど稼げるような雰囲気がある。つまるところ時給 2,000円のビジネスだ。アルバイトとしては悪くはないが、大手が参入してこない程度の稼ぎなような気がする。なかなかうまい。もし、慣れてきて 1冊平均 2分で裁断、スキャン、顧客へのメール送付までできるようになれば、時給 3,000円ほどにアップというわけだ。ざっと見たところでは、これ以上の効率化は、品質を保ったままでは、ちょっと難しそうな印象を受ける。

ちなみに、この「BOOKSCAN」サービスが、さらに面白いのは、「お申し込み後に、個別にご連絡致します。弊社までお送り頂く書籍の送料は各自ご負担ください。」という記述があることだ。100円だけに目がいきがちだが、この記述もよく考えられているように思う。(現時点では想像でしかないが)

この手のサービスを1つのオフィスで手がけるのは、スケーラビリティがない。1時間に 20冊をスキャンし、1日 12時間働いても、せいぜい 240冊。これではなかなか大規模なオフィスを構えて処理するのは難しい。

そこで、考えられるのが受注数が増えてきたら、同じようなパソコンと ScanSnap を完備した SOHO (なんか死後だなあ…) を増やすこと。よりビジネスっぽく言うならば、フランチャイズを増やすこと。そして、仕事を受けられるレベルにあわせて、どんどん拠点を増やしていくことだろう。

ということで、ここまでの記述から「BOOKSCAN」は、いくつかの緩やかなスキャン・グループがあって、それらがベストエフォートな感じで、それぞれ仕事を引き受けて、ScanSnap で、どんどんデジタル化していっているように感じられる。名前的には、これがおそらくベストな命名だろうし、これだけ有名になったからには、競合サービスを押さえて、ここが大半のシェアを抑えられるのではないだろうか。なかなかいい仕組みを考えついたんじゃないか、と思う。

個人的にはパクる気もないので、ビジネスモデル特許とか先に申請しておけばさらに安心だったのではないか、と思ったりするが、そういうのなしに始める気軽さも、これまたありな気がする。

一方で、ライバルもすぐに登場してきそうな気がする。
実際に習熟した結果、1冊100円で処理できるということになれば、10冊 = 900円という値付けもありだろうし、もっとストレートに 1冊 = 90円といってもよい。あるいは、今、BOOKSCAN で実施していない「Amazon.co.jp」からの直受けを行うような付加価値をつけるのも有効だろう。1冊 100円頼むのに、送料が 300円(郵送) ~ 1,000円 (宅配便) かかるのでは、ユーザーにとって敷居も高くなってしまうためだ。

ということで、随分いろいろ想像で書いたが、BOOKSCAN さんには何の取材も調査も行わずに、想像で書いてますので、その点だけはご了承くださいませ。

bookscan(ブックスキャン) 低価格・書籍スキャンサービス - 大和印刷 - 会社概要_1271602745872
[ ニュース ] / 2010-04-20 02:04:37 コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )




     




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