じいたんばあたん観察記

祖父母の介護を引き受けて気がつけば四年近くになる、30代女性の随筆。
「病も老いも介護も、幸福と両立する」

ばあたんの思いやりに、恥じ入る。

2005-07-11 00:53:44 | じいたんばあたん
今夜から、ばあたんに紙おむつを試してもらうことにした。

今までは、何とか普通のショーツのみで過ごしてきた。
なるべく紙おむつを使いたくなかったのと、
どちらかというと便のコントロールで悩んできたからだ。

便は、とりあえず洗えば済むし、おしゃれにも響かないし、
…実のところ、便のみの失禁の場合、
紙おむつだと却って不経済で、かつ手間が増えたりするからだ。


だが。
「トイレを認知できなくて尿失禁を起こす」
そういう段階に来た以上、
紙おむつを一切使わないで過ごすのは、かなりむつかしくなる。
日中はともかく、
夜間から明け方にかけて、つまり、私のいない時間は。


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紙おむつを着用し、上からパジャマのズボンをはかせると、

「なんだか、もこもこするのよ」と、ばあたん。

中に手を突っ込んでみたり、脇から手をにょきっと出してみたり、
びよーんと引っ張ってみたりしている。

しっかり尿を吸い取れるだけのパッドがついているせいだろう。
確かに、股のところが大きめで、見た目にも違和感がある。



でも、金曜の朝に起こったこと

もしも、あれが夜中に起こっていたら。

それに正直なところ、
治りかけの首で、毎日、カーペットの始末に追われるのは辛い。


パジャマが小さすぎるのかもしれない。
ズボンをLサイズに変えてみる。
それで、ちょっとばあたんも落ち着いてくれた。

そこですかさず、言ってみた。


「ばあたん、これはね、生理用品と一緒でね、
 おしっこを、吸ってくれるように出来た下着なの。
 明け方とかね、トイレがなくなっちゃうことがあるでしょう。
 そういう時、ばあたん、困る場合もあると思うから、
 頑張って慣れようね」


どうだろう。嫌がるだろうか。


ばあたんは、すんなり

「そうなの。じゃあ、おしっこ垂れちゃっても大丈夫なのね。
 おばあちゃん、これ、履かせていただくわ。ありがとう」

笑顔で言った。
そして、私の手を取り、言葉を続けた。


「…たまちゃん、おばあちゃんのために
 これを買いに行ってくれた時、恥ずかしい思いをしなかったかしら?
 本当にごめんね。ありがとう」


…自分のことを、とても恥ずかしく思った。

ばあたん、ごめんね。ありがとう。