第88話 いつかきっと

2005年06月03日 07時33分49秒 | Weblog

人の笑い声ばかりをききすぎたような気もするし、
怒られすぎたような気もする。
大人になって怒られすぎるのはよくない。
叱られるのは子供の頃にしかるべきところでしかるべき方法で行われる方がいいのだろう。
大学時代の4年間、アルバイトの接客業で「申し訳ございません」と謝り過ぎた為か、
私は就職活動で事務職を希望した。

私は入社10年目になるが、新人の頃から変わらず今も課の末っ子。
今まで規則正しくうっていたリズムが、突如、休止した。
そういう時代、にあたってしまったらしい…。
私の職場にはいい女が多い。尊敬できる先輩方の背中を見つめ、学ぶべきこと多く…
できることなら一緒に笑いながら仕事をしたかったのだが…。
何年経っても状況は変わらない。
さみしさの中で期待の持てない未来は暗く、果てしなさに滅入る。

思えば…
入社したての頃、「何かお手伝いできることはありませんか?」
役に立ちたい一心からであったが、領域を侵しすぎたのか注意を受ける。
頃合いがわからず、臆病になった。
最初は「私も一緒に…」と申し出ていたが、聞くたびに「いいから…」という返答に、
横並びの背中を羨ましく眺める。いつの間にか邪魔にならぬよう自分からひいてしまう。
背中を見つめ笑い声をききながら食べるおやつは味気なく喉につまる。
何をしたら?何もできず、何がいけない?自分を責め始めた。
お昼の休憩室で、大勢の中の孤独にたまらなくなってつっぷして泣いたが、
そのくらいで会話が途切れることはなかった。
そのうち体調の異変を感じ始め、すがる思いで相談したが、涙の訴えむなしくご指摘を受けて終わる。
今は以前のように泣かなくなった。泣けなくなっただけなのか…。
求めているのに求めていないかのように平らな気持ちでいることだけを心がけた。
あきらめというより、心を守る為だった。

人間関係も相互作用だと思う。
どちらか一方だけが頑張りすぎてもだめ。双方、歩み寄らなければいけないのだろう。
だから
私と同じようにさみしさを味わっているあなたへ
どうか自分を責め続けないで下さい。
壊れてしまうまで、頑張らないで下さい。
あなたは世界中すべての方から嫌われているわけではない。
それは今あなたの目に映る範囲でしかないということ。
たった一つの世界を見ただけで、その決断を下さないでください。

昨日、友人からメールが届いた。
何か上司の嫌がらせに近い行為で日々疲れています…会社を辞めるつもりです。
頭痛がするという。
私は彼女が頑張り屋さんでとても優しい素敵な女性だと知っている。
物事を丁寧に見、懸命に取り組む。優秀な人材なのに…残念でならない。
彼女のような娘が何人、転職をよぎなくされているのだろう…悔しさすら覚える。つづく。


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