イザベラ・バード著 時岡敬子訳 講談社学術文庫 2008年
1878年(明治11年、西南戦争の翌年)の日本をイギリス人女性が旅をするって、今考えてもすごい設定です。
当時は治外法権の世の中でしたので、女性であってもイギリス人に日本人は手が出せなかったという時代背景があります。
描かれる日本のいなかは想像を絶する世界です。朝鮮紀行の朝鮮よりちょっとましなくらいです。
ノミと蚊がうじゃうじゃいて、野次馬は見たこともない外国人女性を見ようと押し寄せる。
道なき道を行き、橋は流されて浅瀬を渡らなければなりません。
バードさんが東京を出て初めて泊まるのが粕壁です。
「かすかべ」今の春日部です。あれっなんで春日部は「日本紀行」の舞台だと宣伝しないんだろうと思いながら読んでいくと納得。
初めての田舎の宿屋の印象は最低だったらしく、ものすごくこき下ろしています。
しかも、原注には「粕壁の有害な水のせいで具合の悪くなったグッドリッジ夫人が数週間で亡くなった」という表記もあります。
これでは全世界で粕壁バッシングが起こったことでしょう。
上巻でバードさんはようやく函館に到着します。
下巻はこれからのお楽しみです。