YouTubeで1978年版古谷金田一の全3話を見ることができました。
出だしは原作を再現していて、いつものように感動します。
原作があるドラマの出だしは原作を再現しないと、原作ファンが見るのを止めてしまうからなんでしょうね。
出ている俳優がすごいせいか、登場人物がだいぶ削られています(ギャラが足りなくなったのかな?)。
原作では真犯人の一人だった人が最初から出てこないので、いったいその人の犯した事件は誰がやったことになるんだろうと思ったら、もう一人の真犯人が全部の事件を引き受けていました。
登場人物が少なくなるということは、それだけ犯人候補が減るので推理ドラマとしてはいかがなものでしょう。
原作では真犯人に同情の余地もなかったのですが、ドラマ化にあたってそんな描き方をしたら主演女優さんの印象が悪くなるためか、ちゃんと動機やら哀しい人生やらを描いていました。
そのあたりは無理やり作った感が強かったです。
このドラマを見たおぼえはなかったのですが、放浪の親子が人柱になった親の遺言で、子が村の主人になったというエピソードが出てきたとたん、そのエピソードを思い出しました。
そんなのありえないと子ども心に思ったのが、記憶の片隅に残っていたのでした。
もしかして、他のドラマでそういうエピソードがあったのかもしれませんが、たぶん私はこのドラマを見ていたのでしょう。
金田一耕助事件ファイル9。
これは岡山ではなく、静岡が舞台のお話でした。
そのせいか、じめじめしていません。
建物が人を殺すとでも言えるような仕掛けだらけのホテルで起こる連続殺人事件。
旧華族の人を人と思わない救いようのない生き様が悲劇の一因となっています。
迷路のような洞窟、行方知れずの殺人犯と八つ墓村と似たモチーフです。
そして、お金で譲り渡される高貴な女。
このお話では真犯人のことはあまり描かれておらず、金田一はその動機を追及しようともしません。
したがって、読んでいるこちらも犯人に同情したり、共感することはありません。
そこが妙にドライに感じました。
金田一耕助は死んでしまった人には冷たいのです。
罪を死者にかぶせることも平気でしてしまいます。
その辺はやはり戦争の影響なのかな?
角川文庫。金田一耕助事件ファイル7。
ネットで見た金田一耕助登場作品のおすすめリストに乗っていたので、まず「夜歩く」を読みました。
おやっ。この小説を書いたのはY先生ではないようです。
屋代寅太という三流探偵小説家が書いたことになっています。ははーん。例の手法か?と思いながら読んでいきました。
なかなか、金田一が出てきません。
物語は謎が続きます。頭の中が混乱してきます。
夢遊病の女八千代がきっかけとなって次々と起こる事件、複雑な人間関係。
兄妹が兄妹じゃないかもしれなくて、兄妹じゃないのに兄妹かもしれないのに、兄にあたる男は妹にあたる八千代に恋慕しています。
首無し死体の謎。犯人と被害者が入れ替わったりします。
前半の舞台は東京で、後半は岡山になってようやく金田一が出てきます。
金田一が出てくるとほっとします。彼だけは絶対に犯人ではないからです。
で、予想どおりのどんでん返し。えー、びっくり。なるほど。納得。最後はやっぱりねで終わりました。
男たちを手玉に取り、引っ掻き回した八千代が実は純情な女だったというところが一番のトリックでした。
それを知って、物語を振り返ると八千代が哀れになってきます。
あー、昔「アクロイド殺し」を読んでいてよかった。
しかし、もっといっぱい推理小説を読んでいたらさらに気づくこともあったのかもしれません。
AXNミステリー放送。名探偵・金田一耕助シリーズ第29話。古谷金田一。
名探偵・金田一耕助シリーズの最終話らしい。
斉藤由貴主演。「人面瘡」を持つ女を演じています。
このお話では「人面瘡」とは双子で産まれるはずだったのが、一人しか産まれず、もう一人が体に埋め込まれていたせいでできるらしいです。
「人面瘡」って子どもの頃の怖い話によく出てきましたっけ。
おできができるとそのうち顔になってしまうのではと恐れたものです。
元は短編で、ドラマを見た後、この前買った文庫本で読みました。買ってよかった。便利なものです。
原作は戦争の影響が多大ですが、ドラマでは戦争のことは出てきません。
やっぱり、金田一ものは戦争の及ぼした犯罪者、被害者への影響を描く必要があります。
ついこの前までは戦争によってたくさんの人々が死んだのに、たった数人の殺人に騒いで、事件の謎を解くことの意味ははたしてあるのだろうか?という裏テーマが金田一ものにはありそうです。
AXNミステリー放送。名探偵・金田一耕助シリーズ。古谷金田一。巴御寮人は山本陽子。
巴さんに太郎丸・次郎丸が生まれず、男女の双子が産まれたらというアナザーストーリー。
片帆は存在せず、真帆と恋人の越智拓郎が出てきます。
別にふつうに双子が産まれたなら、それでいいじゃない。
そんなにゆすられるネタでもないし…、連続殺人する理由がうすいです。
きのうの「獄門島」に続いて、ライトな「悪霊島」です。
古谷金田一。AXNミステリー放送。
秋吉久美子が早苗さん。
映画版の影響を受けて、早苗さんが嘉右衛門の娘だったという設定を引き継いでいます。
そして、嘉右衛門の遺言が「千万太と一(このドラマでは肇)、二人とも死んでいたら、三姉妹を殺せ」となっています。
釣鐘のトリックも変。カバーした大道具の釣鐘は使用後元に戻してありました。
そして、大道具の釣鐘を触っていたのに気づかないのも変。
三姉妹の母、お小夜も死んでいないのも変。
捕まった三人のおじさんもあっけらかんとして、自殺も発狂もしません。
こんなライトな「獄門島」もあるんですね。びっくり。