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街の散歩…ひとりあるき

17-18 悉逹太子入学 阿私陀仙三十二相を示 Ⅳ…『釋迦尊御一代記圖會』巻之2

2024年08月25日 | 宗教

覧弗(らんふつ)が方へ参らせたまうにぞ、覧佛半途まで出迎え敬(つつしん)で鸞駕(らんが)を拝し我(わが)
館舎へ請し奉り、入学の儀式厳重に執行(とりおこな)い是より太子を別館に留め奉り、
先ず文道の階梯(かいてい)なればとてえ筆道を学ばせ奉るに、本来本覚入来の化身な
れば、初めて筆を執り、書を学びたまう事一旬の日をも経たまわざれども、天性不測の
筆力回鸾(かいらん)麟馬虎頭畫悉曇縣河驪竜の点ことごとく法に合わざる事
なく、覧弗も及ばざること遠ければ、心中大いに驚き恐れ、自ら慚愧に勝(たえ)ず猶も太子の
才を試みんと二百部の世益論百部の誠諦論二部の秘書を採り出して、太子の御前
に置き、君、この二部の書籍のうち御意に学ばんと思し召す書を撰びたまえ、何れにても教授なし
奉らんと申す、悉逹太子二種の書の外題を見たまうに、一つは神遍妙奇集とあり
一つは発心報謝論とあり、太子心中に思いたまうらく、神遍妙奇集は仙家道術医
術の書にて国家に益有る書なるべし、將(はた)、発心報謝論は上求(じょうぐ)菩提の書なること
明(あきら)けし。抑(そもそも)、丸轉輪王の位を践み四天下を威伏するとも、百年の栄花を極ること
能わじ。丸(まろ)が母君已に襁褓(むつき)のうちに逝去たまいて半日の孝をもなさず。鴻恩(おうお
ん)を報ぜんには出家学道をて、一切種智をなし、母君の霊をして永く生死輪廻を離れしめれんこと、

せめての孝道たるべしと胸中に思慮を定めたまい、偖(さて)覧弗に對かい、丸(まろ)は唯(ただ)誠諦論をこ
そ学ばめと仰せある。覧弗、心裡に驚き、この太子、国家有益の書を差置、上求菩提の書を望みた
まう。万乗の帝位を践みたまう御意(こころ)なく出家得道の御望ありと覚えたり。若し我が許に留学
したまう内、出塵(しゅつじん)ましまさば、国王の責めを免るゝこと能(あた)はじ唯早く宮中へかえし奉
るに如かずと、流石(さすが)博才の覧弗、太子の胸の裡を暗に知覚し、其の日はよき程に談論しつ、
其の翌日、早天より館舎を出て王宮へ参り、執奏の官人に就いて奏すらく。皇太子聡明、叡智なる
こと一を聞きて萬を悟りたまう。古今いまだ曽て有らず。後世猶有るまじき、神才にて在(い)ませば、
臣らが教え導き奉るべきにはあらず。仰ぎ願わくば宮中へ召し還したまい、別に良師を擇みてぞ師
範たらしめたまえと申す。淨飯王、不審(いぶかり)たまい太子汝が許に留学することいまだ幾ばくもあ
らず。何の発達せることありてか斯く申しや。覧弗が曰く、皇太子、書を学びたまうに初めて筆を
下したまへば、点畫悉く法(のり)に適い、自然に竜牙虎爪の勢いを具えたまう。亦、書籍を開きたま
えば天文地理礼則算数および諸道の理に通じたまわざることなく、愚臣が及ばざる事遠くそうろう
と申す。淨飯王、亦曰く、然らば誰をか太子の師とすべき。覧弗、肚の裡に念(おもふ)よう、悉逹太
子、已に厭離出塵の望有と雖も、我、この義を奏せば大王、敢て信じたまわじ。但し維那理国

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