茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

『吾妻鏡』

2010年07月28日 | Weblog
暑さを逃れて図書館へ。
考えることはみな同じで、
人口密度が高く生暖かい館内でした。
人気のないコーナーへ吸い寄せられると
そこにでーんと異彩を放っていたのが
『吾妻鏡』でした。

鎌倉時代の書物です。
美しい装丁のその書を手にとると、
後ろに烏帽子の君が立っているような~。
筆を手にした烏帽子の君は、
「後の世でこんなにたくさんの人が読んでくれるとは♪」
と喜んでいるようでもあり、
「僕が書いたことと随分違ってるし・・・」
と泣いているようでもあり。

『吾妻鏡』は、
1180年頼朝の時代から1266年六代将軍までの幕府の事績を
編年体で記した歴史書ですが、
成立時期は鎌倉時代末期の1300年、
北条の時代になってから編纂されているので、
史実性にいろいろ解釈があるようです。

江戸時代には、
林羅山などの国学者が『東鑑』として解説を行い
その成果が後に
水戸黄門の着手した『大日本史』に反映されてもいますが、
近代になって、その解釈にも問題が指摘されたりです。

ネットで現代語訳を発表しているサイトがありました。
以下は例の栄西登場の場面です。

 建保二年(1214)二月大四日己亥。晴れ。
 将軍様(実朝)がちょっと具合悪いので皆バタバタとしましたが、
 大した事はありません。二日酔いなのでしょう。
 祈祷に来た栄西がこれを聞いて、
 良い薬ですと云って寿福寺からお茶を取り寄せ進呈しました。
 そして一巻の書物を一緒に差し出したのが、
 茶の効果が書かれた飲茶の進めの本でした。
 將軍様(実朝)はたいそうお喜びになりました。

800年前が昨日のことのようですね~。