茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

塩茶

2010年07月20日 | Weblog
暑いです。
体から湯気が立っているようです。
クラクラしながらお煎茶のお稽古場に着きました。
今日は塩茶のお手前です。
熱々のほうじ茶に半茶筅で塩を振ります。
一日暑い中働いて生ビールでもカアーといきたいところですが、
この塩ほうじ茶!
体が、大喜びです。

普通に熱いお湯でほうじ茶を出して、
濡らした半茶筅に塩をつけて
お茶碗に注がれたほうじ茶に振るだけです。
塩加減はお好みで。
汗をかく夏にはもってこい。
喉の渇きも即座に癒えますし、
汗で失った塩分の補給にもなって
体が元気になります。
「暑気払い」は、
体に溜まった熱気を取り除くことですが、
その方法は、冷たいもので冷やすとは限らないわけです。

江戸期から明治にかけては、
枇杷や桃の葉を煎じた「枇杷葉」というものが
利用されていたようです。
夏の果物の葉には
体を冷やす効果があるのですね。
江戸後期の風俗を記した『守貞漫稿(もりさだまんこう)』からは、
担い箱を肩にかついだ枇杷葉湯売りが、
市中を歩き回っていたことがわかるそうです。
「行商人は人の集まる道端でコンロを火にかけ、
 やかんで煎じた枇杷葉湯を試飲させて売りました。
 江戸では、橋のたもとなどで立ち売りをしました。
 また、一般の薬屋の店先でも、
 夏になると道行く人に振る舞うことがありました。
 一包みの値段は蕎麦の3杯分ほどで、
 それほど安いものではなかったようです。」
     (内藤記念くすり博物館 野尻佳与子)

緑茶も陰の飲み物。
体を冷やしますし、カテキンが菌から守ってくれます。
熱い夏、食中毒の夏こそ、
急須でお茶を淹れて体を大事にしましょう。