TREK&RIDE

山と自転車!

鈴鹿8時間ソロ参戦記

2006-10-24 | 自転車
昨日より回復してきたものの、今日もまだ目は薄いピンク色。少し心配です。

先日の鈴鹿8Hエンデューロの参戦記を書いたのでUPします。

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朝6時。ザックとクーラーボックスに荷物を詰め込んでサーキット入り。チーム参加者用のピットを通り抜けてソロ用テントに向かっていると、突然パーンと乾いた音が響いた。なんとも見事に後輪がパンク!いきなりのアクシデントに頭は真っ白になった。兎に角パンク修理をしなければと、サドルバックを探ってみるが、出てきたのは前回パンクして修理済の中古チューブ。これから8耐を走るにはエア漏れが心配なので一緒に参加した仲間に新品を借りて交換した。他にも準備をしていたら試走は出来なくなってしまった。おまけに20分前にトイレに行くと順番待ち…。10分前にスタート地点に行くと既に他の参加者はスタンバイ済。ほぼ最後尾からのスタート位置だが、とりあえず無事スタートラインには立った。

8時00分。後方からのスタートなので接触等の危険もなく、のんびりスタート。前を見ると先頭は既にシケイン手前の坂を登っている。サヨナラ。
シケインを通過してようやく加速開始。今回は8時間完走することが第1目標なので、無理はせずに適当な選手を見つけて引いてもらう作戦を取る。今日のテーマは「ずるいと言われようと金魚の糞に徹する!」なのだ。

スタートして何周目だったか定かではないが、3分遅れでスタートした4時間クラスの先頭集団が後方から襲ってきた。この時点ではまだ僕も余裕があるので集団について行った。自己計測ではラップタイムは8分台から9分強。こんな調子で8時間ついていける筈もないのだが、ここで無理をして集団についてしまった。正確な記憶はないが、ラップタイムを振り返ると12周目にそれまでより1分タイムを落としているので、ここで千切れたのではないかと思う。
一度千切れてしまうと再びペースを取り戻す力は僕にはない。後方から抜いてゆく集団に絡もうと何度かチャレンジするが「これでは潰れてしまう!」と直ぐに諦めてしまった。一人になると気持ちは萎え、腰は痛み、空腹を覚えるようになる。レース前には今日は3時間毎に2回の休憩で済まそうと考えていたが、3時間を前に携行食も消費し尽くしたので一旦テントに戻ることにした。

10時50分。テントに戻ると丁度仲間もピットインしたところだった。お互い慰め合いながらゼリーをチュルチュル吸って暫く横になる。10分休憩したところでトイレに寄ってから出発しようとしたが…またもトイレは行列ぅ~!

再び航続目標を3時間にしてサーキットをグルグル回り始める。再スタート後は1周目こそ体が軽く感じたがタイムは10分台後半。12時前になると4時間クラスの余裕の残っている選手がラストスパートをかけてゆく。しかし「こんなのついてったら潰れちゃうもんねぇ~」と言い訳をして今日のテーマ「金魚の糞」にすらならない。暫く自分のペースで孤独に走り続ける。4時間クラスがゴールした後のコースは広々。なんだかのんびりと午睡の時間の雰囲気だ。もちろん上位選手は必死でもがき続けている。予定より大幅に早く2時間経過した13時にシケイン付近にいる先輩チームの所に立ち寄って休憩。暫く雑談して足を休めた。

13時。さぁ、残り3時間弱。あとひと踏ん張りだ、と言うにはまだ早い。スタートからずっとゼリーだけで補給し続けてきたら急に腹が減ってきた。ヤバイ、ハンガーノックに陥ったらどうしようもない。
14時。1時間しか走っていないのに再びテントに戻る。腹は減っているけどパンやカロリーメイトなどパサパサした固形物は受け付けないので、バナナやミカン、ソーセージを食べる。テントには他に選手は見当たらない。みんな頑張っているようだ。ジャージのポケットにもゼリーを満タンにして再スタート。もうテントには戻って来んからね!
しかし完全にバテていた。次第に天気が崩れてきて海風が入り込むようになってきた。向かい風の影響もあって?ラップタイムは12分台まで落ちてしまう。

15時、残り1時間。暫くゆっくり走っていたおかげか、少し体力が回復してきていた。再びペースの合いそうな選手について走り出す。少しでもペースの速そうな選手がいればそこに「乗り換え」て走る。そこへ1000番台ゼッケンの列車が通過する。おおっ、ソロの選手の列車だぁ!これには最後尾にくっついて試してみる。いける。ソロの選手にくっ付くのは、やはり申し訳なさを感じるが、他の選手も「金魚の糞」を決めているようで先頭を交代する気配はない。僕もじっと最後尾に隠れるように引っ張ってもらった。そのうち先頭の選手がピットに入ってゆき、気がつけば列車は2両編成になっていた。それでも僕は先頭の「機関車」の後ろをついて行くのが精一杯だった。本当にいいペースで引っ張ってもらった。一度先頭を交代してみたが、僕のペースが遅いようで、すぐに交代して引いてもらった。

暫く走っていると「機関車」さんがペースを落として僕を振り返って、「ソロ?」と声をかけてきた。げっ、怒ってらっしゃるの?「すみません、ずっと引っ張ってもらって」と返すと、「そんなのお互い様だよ」との答え。うぉーっ、なって爽やかな!少し並走して言葉を交わし、再び氏は「機関車」に。僕は「貨車」に…。

その後「機関車」さんと離れてスタートラインを通過したのが残り20分。早い選手なら3周目に滑り込みも可能だが、僕はここでギブアップ。残り2周が確定した。この状況で頑張れないのが弱点なのか、最後の2周は11分台後半のタイムに落ちた。

16時00分。カウントダウンを遠くに聞いた。喜びもなければ感動もない。43回目の第1コーナーを回り込んでゴールラインへ。ゴールした瞬間は達成感を感じるではなく開放感に安堵した。

ゴール後はチップを返却し、そのままテントに直行して荷物を片付て会場を後にする。
自転車を車に積み込み駐車場を出ると間もなく雨が降り出した。去年は冷たい雨の中をずぶ濡れになり、テントで震えながら耐えていた。今年は無事、一人で8時間完走することが出来た。目標だった40周も達成できたので不足もない。しかしそんな喜びを感じる余裕も無い。それ程僕にとっては過酷な耐久レースだった。





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6 コメント

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Unknown (TOKKEN)
2006-10-25 07:59:31
長いレポお疲れさま。携帯からアクセスしてます。

楽しさが滲出てる文章やね。



さて質問。

チーム部門に敢えてソ\ロで出場したの?

あと、ソ\ロ用テントって、まさか山用テントじゃないよね。

あと、ラップタイムはオフィシャルの人が計ってくれるの?
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鉄人 (yohdy)
2006-10-25 10:02:03
すごいレポですねー。bunちゃんの苦しみの様子がよく分かりました。それにしても、世の中にはbunちゃん以上の鉄人がたくさんいるのですね。驚き。

チームだと、いろいろと作戦が立てられるのかな?孤独なレース、お疲れさまでした!
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Unknown (bun)
2006-10-26 00:04:18
>TOKKEN君

携帯で長文に付き合ってくれてありがとう。大変そうだ。

では回答。



チームで走る方が仲間多くて楽しいし、順位争いも盛り上がるよね。でも去年ソロで走る人達を見てて何か羨ましかったのね。で、ソロにしました。説明になってない?



ソロ用テント。大会側が設営した運動会風テントです。山テントを持ち込んだ訳ではありません。ソロの選手が一人マイテント張って、休憩の度にテントに引っ込んでたら、それこそストイックな変人です。



ラップタイム。心拍計に付いているストップウォッチ機能を使って自分で計ったタイムです。正確なラップタイムや周回毎の順位の記録を後日購入できるサービスもあるんだね。それだといろいろ分析できて楽しいかも。





>yohdyさん

とても鉄人なんて呼べません。レースはど素人やし。

周りの人見てるとほんま自転車好きなんやなぁ~って関心してしまいます。













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乗り遅れた・・・ (だい)
2006-10-27 00:41:50
参戦記、楽しく読ませてもらいました。コメントにはすっかり乗り遅れてしまったけど。

bunちゃんの状況とレースの様子がすごくリアルに伝わってきたよ。とてもとても参加する勇気はないけど、一度レースは見に行ってみたいなあ。それにしても、引っ張ってもらうというのは、どんな感覚なんだろう。本当に「引っ張ってもらっている」って感じられるのかな? 

今度はぜひ富士山クライムへの参戦記も読ませてね。期待してます。
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テント (TOKKEN)
2006-10-27 23:55:13
やっぱり運動会テントが張ってあるんやね。

アライのエアライズ2にこもって大の字になって休憩する姿を想像してました。

さらにコッヘルで湯を沸かして、しょうがとうなんか飲んだりとか。

テントから出るときはやはりいつものようにファスナーが固かったりとか。

そんな想像をしてしまいました。
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Unknown (bun)
2006-10-28 21:03:48
>だいちゃん

前の人が風除けになってくれる分だけ、自分は漕がなくても前進するんだけど、それが、つーっと引っ張ってもらってるように感じる。大集団の中にいると全く風がないから不思議なほどスピードがでます。しかし、先頭の人はまともに風を受けながらその速度で走ってるんだからもっと不思議。



>TOKKEN君

しょうがとうて、いつの話…

でも雨のコンディションなら有りかも。
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