TREK&RIDE

山と自転車!

黒部五郎岳・薬師岳/山スキー

2010-05-11 | 山スキー
2010年5月8日~9日 黒部五郎岳・薬師岳

GWが終わってシーズンの終わりが見えてきた…
でも、この時期が天気は安定し日も長く、体力的にも一番動ける時。
黒五日帰りも考えてみたけど、ただ往復するだけで楽しそうではないので、ここは山中一泊。薬師もセットで残雪期の北アをゆっくり楽しむことにした。
結果は…

1日目 黒部五郎岳
出発が遅れて深夜ひるがので撃沈。和佐府の林道には6時に到着。倒木のため飛越トンネルの手前で駐車。
6時40分飛越トンネル。出だし雪は殆どなく夏道を行く。その後も雪汚くツボ足で仙人坂でようやくシールに切り替えた。



北ノ俣避難小屋に宿泊道具をデポしてから北ノ俣岳山頂へ。
ここからシールを外して大トラバース。黒五の斜面は一気に直登して山頂へ。飛越トンネルから6時間の道程だった。



GWには賑わったであろう黒五の山頂も今日はひっそり。黒五の登りに差し掛かった時に先行者の姿を見たが、僕が山頂に立った時には既に三俣方面に滑って行ったあとのようだった。

さて、まずはカールでも滑ってみようか。山頂は凄い雪庇が発達しているので少し南側のポイントから谷を覗きこむが…
イマイチ小さい。雪も固くて滑っても楽しそうではないのでパス。



この日は気温が低かった。前日は雨だったのだろう、GW中のグサグサ雪とは一転、ガチンガチンに締まったアイス。
既に13時だが一向に雪は緩まない。南面はどうだろうかと山頂から下ってゆくと…
そこには2つの大斜面が広がっていた。特に向かって右手はドデカいボウル状の谷。
うひょ~な斜面。これは行くしかないでしょう。
滑りだしは緩~い斜面だが、落ち込みから先は適度や斜度がずーっと続く。
標高差500m。ズドーンと滑ります。低温のおかげで南面なのに下部まで快適ザラメ。
不意に出合えた素晴らしい斜面に独り興奮醒めやらない。



約600mを登り返して黒五山頂に到達したのは15時。
そろそろ避難小屋に向けて帰らないといけない。
当初の計画ではウマ沢に向かって滑り下りるつもりだったが時間が無い。朝2時間出発が遅れたのが悔やまれる…
山頂から北面をウマ沢上部まで滑ったところで諦めるしかない。
相変わらず山頂直下はガチガチアイス。それでも50mほど高度を下げると、雪質がザラメに変わった。
さぁ、ここからスピード上げて斜面を一気に滑り下りる。
極上ザラメに板が切り込んでゆく感じ、めちゃくちゃ気持ちいい。



斜度が緩んだところで滑走をやめて北ノ俣方向へ登り返し始める。
ここから延々登り基調のトラバース。北ノ俣が遠い遠い。

17時過ぎににようやく北ノ俣山頂。
北ノ俣から避難小屋までのバーンをかっ飛ばした。ここも快適ザラメで快適に滑り終えた。
小屋には2名パーティーさんが既に夕餉の時間。
僕も急いで食事を済ませて日没とともに寝袋に入った。

2日目 薬師岳
今日も長丁場なので未明から行動…したい。でも早すぎても薬師山頂がガチガチでは滑走できないので遅めの出発。
っていうか過ごした。朝食済ませて5時40分に避難小屋からハイク。
昨日の疲れか、体動かず。稜線まで1時間20分かかってしまう。







太郎山まで一気に滑走、太郎小屋でシールに変えて薬師岳までひと登り。
今日は風が強い。標高2,600mを越えると西風が猛烈になって体を持っていかれる。
薬師山頂が困難に思えてきた。
南峰直下も雪は繋がっていたが氷化。風て転倒したらスリップしそうなので夏道を歩く。
南峰の避難小屋跡で一旦休憩しながら考える。山頂まで行って今日の目的地、金作谷を滑ろうか、ここから中央カールだけ滑って帰ろうか…
でも、ここまで来たからには、とりあえず薬師山頂まで歩いて金作谷を覗くだけでもやっておこう。
薬師山頂までの稜線西側は雪が繋がっていないので担ぎ(雪庇注意だがカール側は繋がっていた)
歩き始めると風は然程気にならなかったが、岩が多いのを嫌ってアイゼンを装着しなかったため時折氷に足を取られて歩きづらい。
途中、足元の雷鳥カップルに暫し癒されて、山頂の祠へ。
祠の前で手を合わせて気持ちを落ち着かせる。
そして金作谷を覗きこむと…うひょ~、な斜面。あまり大きくないけど、斜度はDルンゼくらいでイケそう。決行!



ところが…ここは東面で既に雪も緩んでいると思われたが、突っ込んでみるとガチコチのアイスバーン。行けんことはないけど、これでは全然面白くない。
もうワンターンしてみるが、やはりガリンガリン。
こりゃだめ、止め!
ここでスキーを脱ぐわけにもいかず、そのまま山頂へ登り返す。残念でした。
で、隣の中央カールへ。
こちらも急斜面はガチガチで滑りにくそう。滑落注意のため北側の緩斜面からエントリーして滑った。



中央カールのど真ん中は、風もなく、音もなく。人影もない孤独な世界。
この下はどうなっているのだろう、とモレーンの先を少し下に下ってみると、黒部川に向かって斜面はまだまだ続いていた。
行ってみたいが…登り返すと2時間はかかる。今日も朝2時間の寝過ごしが悔やまれた。

カールの北側から登り返して南峰に到着し、次は薬師沢右俣の斜面を滑降。
ここは南面。時間も遅いので雪も緩んでいる感じ。最後にこの大斜面をいただきます。

しかし…滑り始めると、ここも固くて全然ダメダメ。
なんとか大回りで下ってゆこうとするがコントロールが難しい。



2,580mまで滑降したところで、これ以上滑っても無駄と考え、薬師峠方向へトラバースする。おかげで沢からの登り返しは省略できた。
薬師峠に下って、シール。ここから北ノ俣山頂までがまた遠い。
ダラダラ登って北ノ俣に着いた頃には、もうヘロヘロ。時間も無くなってきた。
足にも疲れがきているが避難小屋までの斜面をザザッと滑り下りる。ここだけは今日もホント気持ちよく滑れるゲレンデのようなところだった。

14時30分。小屋にデポしていた物を回収して下山へ。
飛越トンネルまでの長く悪い道程を思うと気が滅入る。
このところの高温で一気に雪解けが進んだのだろう、寺地山あたりは笹が出まくっていた。
小さなアップダウンが続いて登りと変わらないしんどさ。
仙人坂でスキーは終了、ここから担ぎで飛越トンネルまで、滅茶苦茶しんどい。
17時ちょうどに飛越トンネル。ここから駐車地点までまだ歩かないといけない。
車道歩きが足に堪える。もう限界、足の痛みに顔を歪めながら20分歩いて駐車地点に無事下山。

ザックを放り投げて車道に大の字になり目を閉じたまま。
暫くして目を開けて空を見たら、なんだか気持がスッキリした
体力ギリギリの限界山行でしたが、やり残し感ナシ。不思議と疲れもすぐ飛んでしまった。今日も無事、山を満喫できたことに感謝。

今回は山中1泊で黒五、薬師をゆっくり遊ぶ、そんなふうに考えたが…総延長53km実際は相当ハードな山行でした。