ホリスティックライフ in 世田谷

都会の中の田舎に住み、ウキウキ、ワクワク楽しく暮らす。
キーワードは、ホリスティックライフ。

曽野綾子『老いの才覚』

2011-03-03 17:29:10 | 最近読んだ本
曽野綾子『老いの才覚』(KKベストセラーズ)

う~ん、いい本です。
「老い」とタイトルに付いているので、
老いを意識した人が手に取ることが多いでしょうが、
年齢に関係なくお勧めしたい本です。
生きている限り、だれもが向かうことですから。

この本、目次を見るだけで、これはいい!
と感じさせてくれます。

*昔の老人には、老いる「才覚」があった
*他人に依存しないで自分の才覚で生きる
*老人が健康に暮らす秘訣は、目的・目標を持つこと
*その時々、その人なりのできることをやればいい
*料理、掃除、洗濯 日常生活の営みを人任せにしない
*分相応、身の丈にあった生活をする
*どんなことにも意味を見出し、人生をおもしろがる
*いくつになっても話の合う人と食事をしたい
*いくつになっても、死の前日でも生き直しができる
*健康を保つことを任務にする
*病気も込みで人生、という心構えを持つ
*死に馴れ親しむ
*一人になったときの予行演習をする
*跡形もなく消えるのが美しい
*引き算の不幸ではなく、足し算の幸福を

かいつまんで書いただけでも、
本の内容が相当伝わっていませんか。
それぞれが重要なキーワードになっていると思いませんか。

高齢者なのだから、なんでもやってもらって当たり前、
席を譲ってもらって当然、という人が増えています。
著者は、どんな状況においても
できる限り自分でこなしています。
足首を骨折したときでも、自分でお風呂に入ったり、
一人で講演旅行に出かけたり。

いかに一人の人間として自立できているか。

老人のグチは、他人も自分もみじめにするだけで
いいことは一つもありません、と著者は言いますが、
これは何も老人に限ったことではなく、
どんな世代の人にも当てはまります。
グチをこぼさず、人生をおもしろがっている老人には
陽の匂いがして(この表現がいいですね)、
人が寄って来る……その通りですよね。
これも老人に限ったことではありません。

高齢者の医療費の問題にも言及していますが、
できるだけ医者にかからなくて済むように心がけて、
健康保険を20年使わなかったら「健康賞」とか
勲章をあげたらいい……あああ~!
これは常々思っていること、そのままです!

死に関しては、死を認識すれば
やりたいことが見えてくると言います。
いつやってくるか分からないにしても、
それまでにやっておきたいことをやる、
途中で時間切れになったとしても。
毎日毎日感謝しながら、
充実したときを楽しく過ごしていれば、
心配はないでしょう。

本当はあれがやりたかった、本当はあそこへも行きたかった、
最後の瞬間にそんなことを言っても始まりません。
そうならないためにも、やりたいことはどんどん済ませ、
行きたいところへは行ける範囲で行き、
気になるものは食べ、気になることには挑戦し、
満足感、達成感、充実感を味わうのも重要ですね。

最初から最後まで、そうそう!と思うことばかりですが、
とくに感動したのは、
三十代後半から、死ぬまでにものを減らさなければいけない、
と著者が思っていたこと。これ、すごいです。
とはいえ、旅に出るとついほしくなるものがあったそうです。
それは当然といえば当然でしょう。

でも、先が短いのだから、
ますますものを減らさなくてはいけないと。
写真の整理もしていて、
「残された者は始末するのが面倒臭くてたまらないでしょう」
とまでおっしゃってくださっています。
すでにかなりの量を焼いた!そうで、
50枚だけ残そうとしているようです。

それと同様に、肉筆原稿もすべて焼いていると。
文学館も句碑も胸像も、残すということに全く興味がない。
自分の葬式も必要ないと思っているほどです。

スバラシイ。

著者のお母さまは亡くなる前までに
「実にみごとな始末をして」亡くなったそうです。
半間の押入れと整理ダンス一つ。
遺品を整理するのに半日しかかからなかったと。

それは理想としたいところですね。

最初から最後まで、充実感あふれる一冊でした。
コメント (6)
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