久兵衛坂公園の林縁に生育する「ゴンズイ(権萃)」。ミツバウツギ科ゴンズイ属の落葉小高木で、春に淡緑色の目立たない花を咲かせ、秋にド派手な果実を稔らせる。名前は魚のゴンズイが由来とする説があり、役に立たないことを意味している。
植物と魚介類の名前が同じ音のものは、ゴンズイのほかにサワラ(椹と鰆)、ハゼ(櫨と鯊)、ハス(蓮とはす※)、カキ(柿と牡蠣)、オヒョウ(於瓢と大鮃)などが挙げられる。全く同じではないが関連しているものとしては、タコノキ(蛸の木)・タコノアシ(蛸の足)とタコ(蛸)、クリ(栗)とハマグリ(浜栗)、カニクサ(蟹草)とカニ(蟹)、シジミバナ(蜆花)とシジミ(蜆)、タイツリソウ(鯛釣草)とタイ(鯛)などがある。由来を考えると面白い。
※はすの漢字は魚へんに時
長池小学校外周に植栽されている「イイギリ(飯桐)」。ヤナギ科(←イイギリ科)イイギリ属の落葉高木で樹高は5~6メートル。当地では蓮生寺公園などで見ていたが、ここにあるのは知らなかった。果実は液果で直径1.2~1.5センチ。この果実の様子がナンテンに似ることから「ナンテンギリ(南天桐)」とも呼ばれている。雌雄異株で花期は5月。高木になるため花を間近で見られない樹が多いがここは斜面に植えられているので花の接写もできそうだ。但しフェンスのすぐ先には教室があり、カメラを抱えて斜面をよじ登っていると不審者だと思われるかも知れない。
アジサイ科(←ユキノシタ科)アジサイ属の「カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)」。北米原産でカシワのように葉に大きな切れ込みがあるために名付けられている。ここでは綺麗な紅葉を見せていた。花期は6月頃で、円錐状の花序を付け白い花を咲かせる。
裏高尾“小下沢”の林縁に生育する「ヤマコウバシ(山香ばし)」。クスノキ科クロモジ属の落葉低木で雌雄異株。中国原産で日本には雄株が無いが雌株だけで結実する。果実は液果で直径は7~8ミリ。横に見えるのは花芽と葉芽が一緒になった混芽。クロモジ属ではクロモジやアブラチャンなど全て花芽と葉芽が別々に出来るが、ヤマコウバシだけが混芽になる。
シオデ科(←ユリ科)シオデ属の「サルトリイバラ(猿捕茨)」。春に地味な色合いの花を咲かせ秋に真っ赤な果実を稔らせる。果実は液果で中に数個の種子が入っている。写真は種子で直径4~5ミリ。これは清水入緑地のもの。