長電話

~自費出版のススメ~

つらい現場の外で思うこと

2011-03-14 | メディア
政府発の情報をしきる枝野官房長官のしっかりとした口調、滑舌、声質。下から上げられる情報を理解し、事態を掌握した上で発表すべき事柄を腑分けしていると思わせる、原稿を見ずに質問に淀みなく答える彼の態度には非常に感服させられます。

人材に乏しい政界にあって、情報の正確さ・スピードとは別に、司令塔として彼のような過剰に神経質ではない福耳の、安心感を与える公私の区別のない、政府広報という立場を理解しているキャラがこの非常時にその任に当たっていることの幸運さを感じ入ります。

こういったカタストロフ的状況下で、情報の一端に過ぎないとはいえ、政府発表にある程度信頼がおけるということはとても大きなことです。言質をとられまいと「慎重さ」が「用心深さ」につながる官僚・議員が多いなか、この誰も経験したことのない状況下での現官房長官の仕事振りは十分なものでしょう。

混乱は犯罪の温床となる可能性を大いに孕み、今もチェーンメールの類が善意を刺激しています。東京電力などの遅くみえる対応や連絡の不徹底に憤る向きもおられるかもしれませんが、オフィシャルでない情報は確認が必要です。なにより被災地の外にいて、被災地のために個人でできることは、今は何もないことをまず自覚し、あせらず事態に対応したいものです。

金曜日の夜の歩いて家路を急ぐ整然とした人達、中国メディアに「中国人には50年たってもできない」と言わしめた交通整理なき道の譲り合い、略奪はおろか買占めすら起きない(買い留めはありましたが)静かな生活、強い地震にもケロッとしている高層ビルをはじめとする日本の建築技術など、情けない政治や経済とは別のところで日本が立国していることに気づくと共に、凶悪犯罪が強調され続け、失われたと思われていた昨今の日本のゲマインシャフト(友情に基づく有機的共同体)の意外なしたたかさに驚きます。

ことこれに関してはは、中東で流行する革命にも良い影響を与えるかもしれません。