まんじゅうのつぶやき

まんじゅうです。読んだ本の感想や日々のできごとの忘備録です。最近栖が変わりました。

「死神の精度」伊坂幸太郎

2014-05-22 20:45:23 | 読書のすすめ
今日は、涼しかったですね。
でも近日中についに30℃を超えるらしい。
もう来るな、夏・・・^^;

さて 伊坂幸太郎の「死神の精度」を読みました。

死神の精度
伊坂 幸太郎
文藝春秋


通称『千葉』。
まじめに仕事に取り組む性格。
何故だか、彼が仕事に取り組むと必ず雨が降る。
ミュージックをこよなく愛し
CDショップの視聴コーナーに入り浸る。

しかし、もしHMVで彼を見かけても
声をかけるかどうか迷う。
なぜなら、彼は死神だから。

対象者が死ぬ8日前に、彼らは人間の世界にやってくる。
対象者と会って、彼らが死ぬべきかどうか
「可」か「見送り」かを判定して情報部に連絡する。
ただ、たいていの場合、いやほとんどの場合は「可」となる。

死神たちは、人間の喜怒哀楽、美しさや醜さに心を惑わされたりしない。
唯一の例外が、人が作り出すミュージックだ。
死神たちは皆、音楽好きで、視聴コーナーに行けば仲間に会えるほどなのだ。

以前、ご紹介した「死神の浮力」の前に書かれた同シリーズの短編集。
「死神の浮力」も良かったけれどもあれは長編。
テーマもやや重かったし、千葉の目線とつきあうということは
人の死に際8日間と向き合うということなのだ。
結構しんどいので、短編くらいがちょうどいい気がする。

千葉のキャラクターが好きなので
読んでいるとついニヤニヤしてしまい
怪しいおばさんである。

千葉は、今回6人の男女の死を判定する。
もちろん基本は「可」(予定通り決行)である。
どの話も魅かれるが、一番印象深かったのはやはり
最後の「死神対老女」である。
千葉は、海のそばの高台で美容院をやっている老女
新田さん(といっても70歳)の死を
判定することになる。

千葉は感情がない。
彼の受け答えは、オウム返しよりいささかましといった程度だが
時に人を笑わせ、時に人に怒りを沸かせる。
彼は相手の気持ちを考えたりしない。
自分は死なないし痛みも感じない。
だからこそ彼は、やがて死を迎える人たちを映し出す鏡になるのだ。

この作品は短編集だが、最後の話で一気にまとまりを見せ一冊の本となる。
見事な手腕!さすが伊坂幸太郎だ。

読み終わった後、ぽろりと涙がこぼれた。
新田さんは、最後に奇跡を起こす。
そして名言を残す。
「眩しいのと、嬉しいのと、似てるかも。」

そう、私もきっと眩しかったのだと思う。

いがぐりおは 眩しい時涙出てことあるでしょう?
いがぐりおをクリックしていただけると嬉しいです。いつもありがとうございます。^^/
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2 コメント

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Unknown (ブタフィーヌ)
2014-05-23 09:58:18
こちらも明日あさっては、気温が高くなるみたいです^^
死神さんの「可」と「見送り」の判定。
私もいつか判定されるのかしら(笑)
うれしい時も涙を流すけれど・・・
眩しい時も涙が出ちゃうよね。
悲しい涙より、うれしい涙を流したいなあ(*^_^*)
返信する
ブタフィーヌさんへ (まんじゅう)
2014-05-24 00:26:46
死神は自殺や病気の時が来ないんです。
だから不慮の事故とか殺人とかでやってくる。
そう思うと、死神の世話になる人はそれほど多くないのかもしれません。
千葉の愛すべきキャラクターお勧めですよ。^^

そうですね。
悲しいと美しいが似てるのと一緒なんでしょうか。
返信する

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