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1日1冊108円・・・・・・最近そうでもない。

機動戦士ガンダム第08MS小隊(下) 原案/矢立肇 著/大河内一桜 1999年7月1日 角川書店(3回目)

2015-10-31 06:58:43 | ガンダム
3回目。20日なんてすぐだから困る。→1回目2回目

3章あらすじ
大切な人を守るため!
愛する女を救うため!!
シロー・アマダ復活!!!



第四章 凶弾

「押し寄せる海を、掌で止めようとしているようなものだ」
 この撤退戦に参加したジオンのディー・ボラック軍曹は、その時の戦いを、そう嘆いたと伝えられている。
司令部壊滅の危機を乗り越えた極東方面軍は、順調にジオンを駆逐中。
戦いは数だよ兄貴!

おかげで忙しくなったのは、補給部隊のジダンじーさん。
そのじーさんの仕事をさらに増やそうとしているのは・・・・・・
「人使いが荒いのは、おまえさんもだな。これだけの激務で、しかも進撃中の軍隊で、そうそう、あんなものが調達できると思うのか」
「それは、その・・・・・・」
 シローは口ごもった。確かに、自分でも無理な頼みだとは思っていた。しかし、今のところそれしか方法が見つからないのだから、ジダンに賭けるしかないのだ。
今度はどんな無茶をやらかすつもりなのか。


「なんだって、また戦う気になった。軍隊は嫌いなんじゃろう。『キャプテン・ジョー』のビデオも、全部、捨てちまったと聞いたぞ」
「捨てたんじゃありません。供養したんです」
開戦後は『単なる戦意高揚ドラマ』と化した『キャプテン・ジョー』、
そして『それに乗せられた形で、軍人になってしまった自分』。
シローは過去の自分にサヨナラしたのです。

「俺は・・・・・・アイナを助けたいんです」
 シローは、うつむいて拳を握った。
「女か」
「いけませんか?」
「いや、立派な理由じゃ。男がことをするのに、それ以上の理由はないくらいじゃ」
「女に現を抜かすなんて!」、だって?
現を賭けるに値する対象のない人生に意味があるかバーロー!
・・・・・・あっ、マタ5等ダヨ



さて、ジオン軍のラサ基地では・・・・・・
「出航の準備は、あと7時間で整います。しかし・・・・・・」
「略式だがな。ちゃんと、取ってある」
 ユーリの後ろにいた秘書官のシンシアが、鞄から手早く一枚の紙を取り出した。それは、ケルゲレンおよびラサ基地の権限委任状だ。右下にはギレン・ザビ総帥のサインが入っている。
「ギニアスはどこだ?」
『総帥のサイン』という印籠を手に入れたユーリ。

これならおもちゃ作りで忙しいわがまま『お坊ちゃん』も、諦めるしかない。
「12時間後、ケルゲレンで我々は脱出する。それまでに資料をまとめておけ、ギニアス。本来なら手荷物は認めないのだが、特別に許可するよ。俺とおまえの・・・・・・」

( ゜д゜)


「秘書官殿も、ご一緒にどうぞ」
(゜д゜)

狂気の一件を知ったアイナは、ギニアスに詰め寄るも・・・・・・
「勝たねば、全ては失われる。勝たなければスペースノイドの独立はない。軍人という職も失う。家族も守れない。かっこわるいし、研究も終わりだ。戦争とは、勝たなければならんのだ。勝つことが、戦争の最大の目的であり、もっとも優先される事項なのだ」
意訳:ボクのアプサラスは最強なんだ!
実際「宇宙でならまだ戦える!」なんてのは緒戦の勝利に縋った幻想だった訳でね。
・・・・・・『おもちゃ』が間に合うかどうかに絞って話せば、説得できたんじゃないか。

すっかり論破されたアイナに、ギニアスはささやきかける。
「アイナ・・・・・・」
 ギニアスは妹の名を呼んだ。
 その口調は静かで、優しささえ感じられた。
「私の手足になってくれ」
 それは、アイナにとって間違いなく神託――救いの声だった。
「私の代わりに、アプサラスに乗ってくれ・・・・・・」
15年にわたる呪縛、そうそう抗えるものではない・・・・・・!




第五章 黒雲

 ラサ基地の上空は、真っ黒な雲に覆われていた。
 まるで夜のように黒い雲だった。
そんなあまりうららかな日和ではないラサ基地にはー

 連邦軍は、ついにジオンをラサ基地に封じ込めていた。いまやラサ基地の周囲には、二十三個大隊――およそ二個師団の連邦軍が待機しているのだ。あとは、司令官――イーサン少将の命令一つで、四方から突撃できる体制になっている。山岳をくりぬいて作られているらしい敵基地を陥とすのは、さすがに骨が折れそうだが、これだけの戦力差だ。半日もあれば方がつくだろう。
しかもラサ基地のジオン兵は脱出待ちだった負傷兵が大半という。

これはもう楽勝っすね!
「我が軍の勝利は確定的だ。地上は完全に包囲したし、宇宙に逃げようとしても、既に砲兵を配備済みだ。飛び上がろうとした瞬間に撃ち墜とされることだろう。だが、あのモビルアーマーだけは問題だ。問題なのだよ、コジマ少佐」
「君の部下からの報告によると、あのモビルアーマーは既に撃墜したということだが、二機目がないとも限らん。だから、君を呼んだのだよ、コジマ少佐。君はあのモビルアーマーの攻撃から、まんまと逃げ延びたのだろう。よろしく、ご教授を願いたいな」
圧倒的優位な状況でも最悪を想定するイーサン少将。
問題児のシローすら『秘密兵器』として配置する『使えるものは使う』主義。
・・・・・・嫌な奴だけど、もっと評価されるべき

その『秘密兵器』の8小隊は、突撃命令を待ちジリジリしていました。
「サンダース、あんたは敵をどう見る? あたしには、ジオンが玉砕覚悟で静まり返ってるようには見えないんだけどね」
「同感です。何か、手を残している・・・・・・そんなふうに見えます」
『経験則』でフラグ立てるのやめてくださいしんでしまいます


 アプサラスⅢのコクピット奥――
 剥き出しの機器に埋もれるようにして、ギニアスは作業を続けていた。
何も知らないユーリの部下たちが時間を稼いでいる間に最終調整。
そして・・・・・・
「出撃しよう、アイナ」
ついに、動き出す。



 ヘッドホンを片耳にあてながら悪態をついていたエレドアの表情が変わった。へらず口をたたいていた口は、ぴっちりと閉ざされ、手は音紋の照合に忙しく動かされている。
「どうやら・・・・・・アイナちゃんのお出ましみたいだぜ」
いよいよか。


 シローはエレドアが言う前から、アプサラスが出てくると確信していたし、エレドアの耳を信じてもいた。だから、エレドアの言葉に、すぐに反応した。
「ミケル、例のやつの用意を」
「ええっ、やっぱり使うんですか?」
「当たり前だ。何のために持ってきたんだと思う」
じーさんに頼んだやつ、だよね。

「俺は必ず生きて帰る。だから、やってくれミケル。ここでやめたら、俺は一生後悔することになる。たとえ生き続けられたとしても、後悔しながら生きるなんて真っ平なんだ」
何しようってんだこの男は・・・・・・


 ミケルはモニターの中のシローを見た。
 この男は、自分には決してできないことをやろうとしている。
 それが賢いことなのか、愚かなことなのかは分からない。だが、ミケルはそれをできるシローがうらやましかった。
 自分にできないことなら、せめて、それができる人間の手助けをしてやろう。
なんだ、何をしようってんだ・・・・・・!



8小隊がそんなやりとりをしている間に・・・・・・
 山岳の直上に浮んだ影――アプサラスの中に、光が生まれた。
アプサラスⅢがログインしました。

 エレドアは、魅入られたようにその光を見ていた。
 その光を、美しいとすら思った。圧倒的な力を持つ存在は、たとえそれが負の存在であろうとも、人を惹きつける。
 やがて、光が爆発した。
ジオン驚異のメカニズム、
ギニアスこだわりのメガ粒子砲のお披露だーい。

「なんだよ、ありゃあ・・・・・・」
 エレドアの口からは、そんな月並みの言葉しか出てこなかった。
言葉が出るだけマシかもしれない。

 全ての兵士の動きが止まっていた。
 恐怖心を麻痺させたはずの兵士たちは、いま新兵と同じ状態に戻っている。
圧倒的じゃないか、我が軍は・・・・・・



「後退だ・・・・・・」
 うめくように、ようやくイーサンが声を発した。
「全軍で、あのモビルアーマーを総攻撃する。その間に、ビッグトレーは後退する」
「兵たちが戦っているのに、我々だけ逃げようと言うのですか」
 コジマ少佐が咎め立てるように言った。
せやかて工藤!

「コジマくん、これは戦争なのだよ。時には非情に徹する必要がある」
「それは非情ではありません。ただの臆病です」
コジマ少佐は現場の人だからなー。
でもビッグトレーだけ逃げるのは「現場の兵は面白くない」だろうけど、
今この場における指示としては間違いではない・・・・・・むしろ最善だよね。
これが「全軍撤退」ならただの『臆病』だけど、
『およそ二個師団』で囲んでいる今攻撃しないでどうするっていう。

静まり返った司令部に、なんと『敵からの通信』が入る。
「こちらは、モビルアーマーのパイロット、アイナ・サハリンです。連邦軍に一時休戦を申し入れます」
へぇ?


「これから、基地の傷病兵が脱出します」
 敵モビルアーマーのパイロット――アイナ・サハリンはさらに続けた。
「お願いします。その間だけ、攻撃をやめてください」
お、おぅ・・・・・・


 アプサラスⅢに乗って、アイナは戦うと決めた。しかしそれは、敵を倒すための戦いではない。人を救うための戦いなのだ。
わーアイナちゃんやさしーなー。


 たとえ兵器であろうとも、使い方によっては人を救うこともできるはずだ。
 アイナは、それをシローに教えてもらった。
 敵を照らし出すための照明弾も、敵機を斬るためのビームサーベルも、シローは人を救うために使ってみせた。今度は自分の番だ。今度は自分が、このアプサラスⅢで人を救ってみせる。
アイナちゃんはやさしーなー・・・・・・

でも、色々とタイミングが悪かった
まず交渉相手が悪過ぎる。
「残念だが・・・・・・」
 先程、名乗った男性――イーサン少将の声が返ってきた。
「休戦は認められない」
「そうではないか、アイナ・サハリン。銃を向けての休戦など・・・・・・応じられるわけがない」
 イーサンの口調は、やけに強気だった。それは、この通信が全軍に聞こえているのを意識したポーズに過ぎなかったが、アイナには分からなかった。
「我が軍は恫喝には屈しない。撃つなら撃て。我々は、最後の一兵まで戦う」
「役者が違う」んだよ・・・・・・
ビッグトレーなんて、コジマ少佐以外そんな覚悟ある奴はいないだろうになぁ。

イーサンの返答に言葉を失うアイナ。
・・・・・・ならば行動で示すのみ!
「何をする、アイナ?」
「見ていて下さい、お兄様。これが、私の戦いです」
「これで、信用していただけますか」
 アイナは、あらためて連邦軍に問いかけた。
 人は信じあえるはずだ。
 信じてほしい。
 アイナは心の中で、そう祈りながら、連邦軍の回答を待った。
 やがて、イーサンから通信が返ってきた。
「・・・・・・いいだろう」
命を張ったパフォーマンスで一時休戦、成立・・・・・・?


(やっぱり、アイナだ・・・・・・)
 アイナとイーサンの通信を聞いて、シローは歓喜していた。
だから言っただろ!
アイナちゃんはやさしくて美人で可愛くてスタイル良くて(以下略)

1人デレデレするシロー(悪意のある表現)に、司令部のイーサンから通信が入る。
「あれが、君らの報告にあったモビルアーマーかね」
「はい。多少、改修が施されているようですが、同系のモビルアーマーと思われます」
「どうすれば、墜とせる?」
えっ

『休戦では』と訝るシローを諭すイーサン。
「そうだ、休戦だ。終戦ではない。だから、いつかは休みが終わり、戦争になる。その時のことを考えて、用意をしておくのだ」
「というわけだ、シロー・アマダ少尉。貴君らの働きに期待しているぞ」
ナンダッテー

そして8小隊とは別に、ジムスナイパー部隊による狙撃の手配をするイーサン。
「閣下、それでは休戦が」
「コジマくん、私は休戦に応じたつもりはないよ。そう聞こえかねない表現だったことは認めるがね」
『詐欺師の笑み』『出世競争』って言ってもなぁ。

だってアイナが求める『一時休戦』、明らかに身勝手な要求だもの。
「傷病兵が脱出したら機体ごと投降する」って言ってる訳じゃないし。

今を逃したら危険な新兵器を仕留めるチャンスは無いとも考えられる以上、
イーサンの指示は正しい。
むしろ連邦の勝利のために
「(実質)休戦協定破り」の汚名も辞さなかった名将として称えられるべき。


イーサンの「もう一手」も知らず、前進する8小隊。
「隊長、この辺りでどうですか?」
 戦闘を走っていたカレン機が、周囲を指し示した。
 平坦な空間が広がっている。上空からは丸見えだが、作業するには丁度いい。
んんー?
なんなんだ、一体・・・・・・

作業』を始めようとしたそのとき、
シローは供養し損ねた『キャプテン・ジョー』のディスクを発見。
(みんな、捨てたと思ってたのにな・・・・・・)
 シローは何の気なしに、それを胸ポケットにしまった。
ディスクが無ければ即死だった」ですね、わかります。




第六章 兄妹

「もう、人を殺めるのはやめましょう、お兄様」
「なんだと?」
「今度は、私たちの手で人を助けるのです。いまの私たちには・・・・・・そしてアプサラスには、それができます」
アイナは今度こそギニアスを説得できるのか。

その間にも連邦のジムスナイパー部隊は準備を進めている訳ですがね・・・・・・!
 連邦軍の人事考課システムによれば、撃破した敵戦力と撃破された自軍戦力の差が、そのまま指揮官の評価となる。その数がプラスであれば優秀な指揮官、マイナスであれば無能な指揮官というわけである。そのため、劣勢な戦場にはなかなか援軍が来ないという、いびつな構造になっている。誰だって自分の評価が下がりそうな場所には行きたくないからだ。
 その代わり、一転、戦局が優勢に転じると、こぞって援軍が集まってくる。優勢な戦場は、ポイントを稼ぎやすいからだ。
うわぁ・・・・・・


 自らの考課と、敵との口約束。どちらが大事かは明白だった。少なくともイーサンと、その配下の幕僚たちにとっては。
『ハイエナ』の出世はどうでもいいとしても、
アプサラスの排除はその場にいる全ての連邦兵にとって願ったりだろう。
「おかげさまで仲間は脱出できましたーじゃあ死ね^^」って可能性があるかぎり。
アイナちゃんカワイイ!なんて言ってられるのはシローと読者だけっス。


「人と人が分かりあえるなどと・・・・・・幻想にすぎんよ」
「そんなことはありません。たとえ、敵味方に分かれていたとしても・・・・・・」
「甘いな、アイナ」
説得を続けていたアイナでしたが・・・・・・

 モニターに映し出されていたモビルスーツが、アプサラスⅢに向けて撃った。
 それ、見たことか。
「攻撃? そんな・・・・・・」
「見たか、アイナ。これが人間だ」
シローがマシンガンを撃ってまで止めようとしたものの、
間に合わずに放たれたジムスナイパーのロングビームライフル。
しかし事前にジムスナイパーの存在を捉えていたギニアスはそれを回避して反撃。
そして殺戮が始まる・・・・・・!


慌てふためく連邦司令部。
シローは司令部の判断を批難するも、イーサンに『駆け引き』と言い切られ言葉に詰まる。
そんなシローの背中を押したのは・・・・・・
「出撃しろ、アマダ少尉」
 不意に、コジマが言った。いつものコジマらしくない、激しい口調だった。
「大隊長の命令だぞ。後のことは考えるな」
「了解ですっ」
今が駆け抜ける時・・・・・・!



シローとアイナはアプサラスⅢ―ギニアスの狂気を止めることができるのか!?
ガンダム版ロミオとジュリエットの結末は・・・・・・!?
「ガンダム」という枠はちょっと忘れて読んでもらいたい作品。



脚なんて飾りですッ!



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