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今日の108円

1日1冊108円・・・・・・最近そうでもない。

ATARU Ⅰ 脚本/櫻井武晴 ノベライズ/百瀬しのぶ 2012年4月25日 角川書店

2016-01-16 05:17:08 | ミステリー
警視庁捜査一課の蛯名舞子は、チョコザイと名乗る青年に出会う。彼は舞子には理解できない行動をとるが、事件の証拠を目にすると、突然難解な、しかし事件解決の重要な手がかりとなる単語をつぶやいた。舞子は上司である沢俊一とともに、チョコザイがつぶやく単語をもとに事件を次々と解決していくが――。謎めいた過去を持つサヴァン症候群の青年と、2人の刑事が難事件を次々と解決していく、新感覚ドラマの完全ノベライズ第1弾。
裏表紙より。
『新感覚ドラマ』・・・・・・スマップの中居君が主演のやつだっけ?
うん。タイトルしか知らない。




 二〇一二年五月一日。
 ラリー井上とチョコザイは成田空港に到着した。チョコザイにとっては久々の日本の地だ。
チョコザイ、日本に到着。
・・・・・・いきなりなんだ?『チョコザイ』が名前て。
小賢しいとか目障りって意味じゃないっけ?



「ここで待ってろ」
 ラリーはチョコザイの目を見て言い、バスのチケット売り場へ向かった。
だが断る



「待ってください! なんで捜査本部が立たないんですが!」
捜査一課の女刑事・蛯名舞子は、
とある工場で起きた爆死の件を事故扱いにされてご不満な様子。


「だから事故かどうかは・・・・・・」
「おまえはウチの単なる広告塔だ。テレビ特番の『警視庁24時』にでも出てろ」
どういう意味だ、野崎?


上司の沢にも不満をぶつけるも・・・・・・
「蛯名、もう終わった事件や。警察は組織で動く。組織はひとつの事件を一生背負うことはできん。ほかの事件のために通り過ぎるのも仕事や」
『広告塔』『美人デカ』と周囲から小馬鹿にされている舞子。
それでも警察としての仕事は誠心誠意やりたい。
しかし・・・・・・というお話でした。


翌日、激おこプンプンな舞子は『退職届』を叩きつけ、
1人で現場の捜査を開始。
「あ、あの・・・・・・この辺の方ですか? お名前は?」
「チョコザイ」
運命の出会いである。



その後、最初は事故死・病死と思われていた事件を、
チョコザイがつぶやく言葉からヒントを得た舞子と沢が鮮やかに解決!
はたしてケチャップとマスタードが大好きな男・チョコザイは何者なのか・・・・・・?


元のドラマの構成がソウなのか、「相棒」みたいに話が区切られてない。
故に・・・・・・
 ――犯人は絞られた。
(『ATARU Ⅱ』へ続く)
3つ目の事件が解決しないで終了。
ええい、やり方がチョコザイだよ!
(1巻しか無かった)


こういうのでは、ろくに調べない「無能な警察」が必須になるんだけど、
そこはもちろんフィクションだよね?」と少し心配になる。

「人間版三毛猫ホームズ」といった印象の作品。
(江戸川コナン?あれは「猫被り」だから違う)
大きな違いはチョコザイの正体が謎なこと。
作品名の『ATARU』は何を意味しているのか?「推理がメッチャATARU」的な?

2巻探すのはメンドイからカチャカチャカチャ・・・ッターン!するお( ^ω^)

坂本龍馬殺人事件 山村美紗 1994年7月20日 光文社

2016-01-02 08:22:34 | ミステリー
 坂本龍馬の命日十一月十五日、その墓前で切腹事件が起きた!京都霊山護国神社の境内で、龍馬研究会の会員・坂本竜が割腹死したのだ。竜には生前、龍馬と同じく複雑な女性関係が・・・・・・。数日後、同会の桂秋子も毒物死。さらに、龍馬の隠れ家「寺田屋」で第三の惨劇が! 名探偵キャサリンが、龍馬暗殺の謎と、彼を取りまく女性群像を追いつつ、意表をつく真犯人に迫る!
裏表紙より。
日本ミステリー界の女王が描く人気作、「キャサリン」シリーズの1つ。
元の本は1991年7月。



第一章 龍馬の墓

 キャサリンは一週間ほど前、東山のマンションに転居していた。
「来年には父も日本に来るというし、荷物も増えてきたから、少し広いマンションに移ろうと思うの」
 と、キャサリンがいってきたのが二週間前で、一週間後には、もう新しいマンションに越してしまったのだ。
速ぇ
シリーズ初見の人にも行動力が伝わってくるであろう始まり。


そんなキャサリンの下へ、恋人の浜口が転居祝いに現れましたドカーン
浜口曰く、この近所に『坂本龍馬の墓石』があるんですって。
アメリカ人のキャサリンは坂本龍馬を知らなかったため、浜口はその生涯を軽く説明。
「ねえ。推理小説だったら、こういうことも考えられるわ。龍馬と中岡さんは、意見が違ってたんでしょう? そして言い争いになり、中岡さんが龍馬を斬ったのでは? 突然に。でも、龍馬も最後の力を振りしぼって、彼に斬りつけた」
その発想は無かったわ(゜д゜)
ググったら、現実にそういう説を支持してる人もいなくはないのねー。

「アメリカ人ならそうかもしれないけど、日本人はそうはいかないんですよ。だから、内部説などはあまり好まれない。彼は、英雄で、彼の志のために敵に殺されたのであってほしいわけですよ」
壮大な理想を持ちその実現のため突き進んでいたものの、志半ばで敵の凶刃に倒れる
・・・・・・「そういうイメージ」がすっかり出来上がってるもんね。
しかしそこは過去の人、「売り物」になるように何者かが・・・・・・
おや、ずいぶん早い宅配便だな。ハンコはどこにやったk


浜口の話を聞いて、キャサリンはすっかり興味津々。
「観光客らしい若い女性がこのマンションの前をよく歩いていくと思ったけど、龍馬のお墓を見に行ってたのね。私も行きたいわ。イチロー、一緒に行ってくれる?」
「ええ、いいですよ。僕も前から、行ってみたいと思っていたんですよ。学生たちもよく話をしていますからね」
「じゃあ、今からでもいい?」
「オーケー」
早速2人は坂本龍馬巡りを始めたのでありますドカーン




第二章 第一の死

 それから数日、浜口はキャサリンと会わずに過ごした。
 キャサリンは、たまに電話してきたが、龍馬に熱中しているらしく、寺田屋へ行ったとか、本を読んだといっていた。
そのまま「龍馬>イチロー」になればいいんですお( ^ω^)

そして十一月十五日――『龍馬祭』の日。
大学の講義を終えて帰宅した浜口を、キャサリンが待っていました。
「今朝、男性が死んだのよ。龍馬さんのお墓のそばで」
「えっ、どうして死んだんですか?」
「切腹したの」
「切腹? あのハラキリですか?」
「そうよ。そばに、『龍馬さん、あなたと同じ生き方をしたい』と書いた石板に名前が書いてあったんですって」
「というと、龍馬の熱烈な信奉者で、彼の死んだ命日に、墓前で自殺したということですか?」
死んだのは弁護士兼小説家の坂本竜(44歳)。
名前が似ていることもあって、昔から坂本龍馬の研究をしていたらしい。
はぁー。
『熱烈な信奉者』、かなんわぁ・・・・・・


「いちおう、そういうふうにみんな見てるわ」
「というと、キャシイは、殺人だと思っているんですか?」
 浜口が、きいた。
「そうなの。私のカンよ」
「やれやれ、カンですか? キャシィにかかったら、死んだ人はみんな殺されたことになる」
「そんなことないわ。今まで私が殺人だといって騒いだのは、みんな殺人だったわ」
浜口・・・・・・京都の、日本の平和を守るために、彼女にはアメリカへお帰り願うんだ。

死体の様子を観察したキャサリンは、浜口に他殺説の根拠を説明。
「傷口が左右に大きくなっているのは、死体だからじゃありませんか? 実際より広がって見えたのでは」
「そんなことないわ。私、山の上から、望遠鏡で、検視官が傷口を計っているのを見てたもの」
「よくやりますねえ、キャシイは」
『望遠鏡で』www
興味持ちすぎだろwww


翌日。
「今日も、警察の人が来て現場検証しているわ。資料館の木村さんが立ち会っていたけれど」
つまり、アナタもそこにいるんですね・・・・・・?
まったく!まったくなー!

「あまり捜査の邪魔をしないほうがいいですよ」
 浜口は、はらはらしながら注意した。
「わかってるわ。でも、狩矢警部も橋口さんも捜査に来ていて、私がこの近くに移ったというと、びっくりしていたわ。帰りにお茶を飲みに寄ってくださいといったのだけど、来てくれなかった」
嫌に決まってるだろwww
事件の関係者でもないのに根掘り葉掘り聞いてくるんだから!


さらに翌日。
 京都は秋が深まり、紅葉が美しい季節になっていた。
紅葉を見に行こう!


「高瀬川を北へ行って三条通に交差するところに、酢屋の跡があるんですって」
「スヤ? ああ酢屋ですか」
「それから、河原町を南へ行くと、坂本龍馬が襲われたという近江屋跡があるというの。イチロー、それをついでに見に行かない?」
「ついでじゃないでしょう? キャシイはそれを見るのが目的なんだ」
 浜口が苦笑した。
ハハハハハ・・・・・・ドカーン


龍馬巡りをしていた2人は、『龍馬の研究グループ』の女性3人とお知り合いに。
グループのリーダーは有名な大学教授・中岡龍太郎で、
なんと例の切腹男・坂本竜もメンバーだったらしい。
「彼女たちと友だちになれてよかったわ。殺された坂本さんと仲間だったのなら、いろいろ話もきけるし・・・・・・」
浜口、この女を止めなさい。これは命令です。




第三章 第二の殺人

 ようやく、仕事が一段落したので、浜口は、大学の帰りに、本屋へ行って坂本龍馬に関する本を何冊か買ってきた。
 キャサリンにきかれたとき、あまり何も知らなくては、恰好がつかないからである。
日本に興味を持ってる外国人の方が、日本人より日本のことを知ってるんだよねぇ。
まぁ足下を気にする「必要」が無いくらい、平和で便利ってコトなんじゃないっスか。

龍馬の勉強をしていたらそのまま眠ってしまった浜口。
キャサリンのモーニングコールは新たな事件の発生をお知らせ。
龍馬巡りで出会った3人の内の1人、桂秋子が毒物死したというのです。
「自殺か他殺かはわからないということだけど、彼女は、坂本龍馬の写真のポスターをしっかりと握りしめて死んでいたというわ」
「というと、また、坂本龍馬にかかわる死ですか・・・・・・」
死んで100年以上たってから、
「お前のせい」みたいに殺人事件と関連付けられるなんて迷惑な話だなー。


「今はまだ、彼女が死んだということだけしか報じられていないの。あとでわかったら、また電話するわ。イチローは、今日は午後から講義でしょう?」
「そうです。帰りは、夕方になると思いますけど」
「オーケー、わかったわ。では」
『では』じゃねーよ!w
首突っ込む気満々か!


そしてその日の夜、2人は橋口から仕入れた情報を検討することに。
この時点でキャサリンの方は大した情報持ってなかったはず。
にも関わらず、引き換えに警察が捜査中の容疑者の話までしてしまうとは・・・・・・
橋口、あとで土下座。
「すてきだわ。イチロー。小説家になれる!」
 キャサリンが冷やかした。
「何いってるんですか。キャシイのために、一生懸命考えたのに」
m9(^Д^)プギャーwwwwww
2ページ分も推理してりゃ冷やかされもする。
3行にまとめろ。


 次の日曜日、浜口とキャサリンは、龍馬研究会のグループや一般人と、幕末維新の史跡めぐりに参加した。
死んだ2人が所属していたということで今最も怪しい『龍馬研究会』。
何か探り出せるでしょうか・・・・・・?




第四章 容疑者たち

「いろいろ面白かったけど、やっぱり団体行動というのは疲れますね」
 テーブルにつくと、浜口がほっとしたようにいった。
「でも、中岡教授や、龍馬研究グループの人に会えたのは、よかったでしょう?」
「ええ。吉村というお医者さんとも、話をしましたよ」
浜口もなかなかどうして油断ならない。
結局キャサリンと同類である。


「私、小野田さんの家のお手伝いさんとお友だちになったの。お手伝いさんは、二人いて、一人は年とった人で、あの家にも古いらしいけど、私のお友だちになったのはミキさんといって、二十歳くらいの可愛い子なの。彼女は、昼間は小野田さんの自宅と事務所を往復して手伝いをし、夜は夜間の大学で法律の勉強をしているのよ。彼女とはいろいろ話をして、小野田さんのアリバイなども、さりげなくきいてみたわ」
馴れ馴れしいアメリカ女に注意!
疑ってます・・・・・・あなたやあなたの周りの人たちを!


翌日。
「僕たちは?」
「もちろん、青春よ」
 キャサリンがキスしようとしたので、あやうく車が歩道に乗り上げそうになり、浜口はあわててハンドルを切った。
ドカーン



「私、実際におこった今度の事件については、狩矢さんに任せることにして、坂本龍馬の死について、真相はどうなのか、いろいろ資料を調べてみたの」
はい、嘘・・・・・・でもない、これがな。




第五章 龍馬をめぐる女

「僕は、いくら美人でも、そういう女性は嫌いですね。龍馬とも何もなかったんでしょう」
確かにイヤな女だなーお徳。
でも「あの龍馬がイヤな女と付き合ってたなんてイヤだ!」っていうのも、
「創られたイメージ」に引っ張られた意見だと思う。


「いや、龍馬も、新婚当時は、彼女に興味を持っていたでしょうが、ずっといれば、興味を失ったと思いますよ。行く先々にお龍をつれていってるくせに、龍馬は結構浮気をしていますからね」
「えっ、そうなの?」
「そういう情報」は誰が記録したんだろうといつも思う。
「花燃ゆ」でやらかした男が自白した場面は吹いた。


「まあ、男ってみんなそうなの?」
 キャサリンが、浜口を見つめたので、彼はあわてていった。
「僕は違いますよ。英雄色を好むというけど、僕は英雄じゃありませんから、キャシイだけを愛しています」
やらかした(てる)奴は、みんなそう言うんですお( ^ω^)




現代の殺人事件より、過去の・・・・・・坂本龍馬の事件の方に力が入っていた印象。
そういう意味で、キャサリンの活躍はあっさりめ。
まぁ内田康夫氏の「浅見光彦シリーズ」に出てくる警察と違って、
こっちはレギュラーの狩谷警部が優秀だから・・・・・・

「推理小説」を期待するとちょっと物足りない感じ。
つまらなくはないんだけど、歴史の勉強のつもりで買ったんじゃないからなー。
浜口の爆発を願う1月2日でしたドカーン

若狭殺人事件 内田康夫 1996年5月20日 光文社

2015-12-26 09:04:49 | ミステリー
 若狭の名勝三方五湖のひとつ日向湖に沈む男の死体。一方、東京で絞殺された広告代理店勤務の細野久男。――細野は死の直前、同人誌に若狭を舞台にした短編小説「死舞」を発表していた。そこに描かれた黒い服の男の謎の行動と暗い過去。・・・・・・浅見光彦は、この小説をもとに、二つの殺人事件をむすぶ接点を求めて、単身若狭へ向かった。そこには、四十年の時間の壁が・・・・・・!?
裏表紙より。
・・・・・・今度こそ異色作じゃありませんね?
元の本は1992年2月。




プロローグ

 こうして、水中綱引きの神事で賑わう、陽気でのどかな日向浦は、殺人事件の現場へと一変したのである。
「日向(ひゅうが)」ではなく、「日向(ひるが)」。
現実にある場所やイベントをネタに使うのって、
「(宣伝になるから)どうぞ何人でも殺してください!」って感じなのかしら。




第一章 ミステリー同人

「あまり仕事、熱心にしないほうがいいんじゃないの。どうせ、あの会社にとって、社員なんか使い捨てみたいなもんなんだから」
ヤな奥さんだなぁ・・・・・・気力下げるのやめてよ(´・ω・)


「そう熱心でもないんだけどね」
 細野は言い訳のようなことを言って、洗面所へ向かった。
「それもそうね」と、菊代は細野に聞こえない程度の声で呟いた。
 仕事熱心にやってくれていれば、いまごろはもっと楽ができたのに――と不満なのだ。
・・・・・・どうしろと(´・ω・)

名前の通り、旦那の方が細野久男(39歳既婚、娘1人)。
今日、死にます


 私はこの人に賭けるわ――と結婚して、それから何年間かは、細野と夢を共有する日々を送った。
『賭ける』から失敗するんじゃよ・・・・・・
幸せを目指すなら「懸ける」必要があるのだ!(`・Д・´)クワッ


今夜は兼業ながらプロ作家として活躍している大学の先輩・樹村のパーティ。
細野と樹村は、同人雑誌『対角線』に参加する作家(志望)仲間でもある。
「十時までには帰ってね」
 菊代は念を押したが、細野は振り返らず、「ああ、わかった」と、右手を軽く振ってみせただけであった。
 それが菊代と清佳が細野の姿を見た最後になった。もし、彼らがそのことを知っていれば、もう少し優しい会話を交わしていたかもしれない。
いつもいつでも「次はないかもしれへん」の精神。
本人の健康状態と無関係に突然死が発生するシステムでもあったら、
人は優しくなれるのかしら。



 日明物産は、実際の内容はともかく、ネームバリューはあるし、経営もしっかりしている会社だから、学生のあいだではかなり評判がいい。ことに女子学生にとっては狭き門だが、江梨香は筆記試験をトップで合格した。面接のとき、試験官が成績表と顔を見比べて、妙に納得したように、「女性は結婚して辞めてしまう人が多いのですが、あなたなら、将来は当社の幹部を目指していただけそうですな」と言った。
日明物産はセクハラ企業・・・・・・っとφ(..)メモメモ
※この物語はフィクションです。

常時社員の子供がいるんなら、会社が「預かり役」を雇うこともできるんだろうけど・・・・・・
いっそのこと、幼稚園を経営しよう(提案)



 まったくの話、江梨香はこれまでの二十数年間、男にもてた経験がない。学校生活を通じて、江梨香は「勉強のひと」というレッテルを貼られつづけてきた。中学でも高校でも、なみいる男子生徒を押し退けて首席を貫いた。大学に入ってからはランクづけがさだかではなくなったけれど、男子学生に一目置かれる状態に変わりはなかった。
しかしこの江梨香、決して男には媚びぬ!

そんな『「智にはたらけば角が立つ」を地でいっているような』彼女ですが、
『対角線』に参加していたため事件に巻き込まれることになるのです。


同人仲間が殺された――
事件を知った「対角線」の会員は『追悼集会』。
なお集まったのは70人中8人の模様。そんなもんだわさ・・・・・・。
『対角線』も創刊当時は、作家を志す者たちが、たがいに自作を持ち寄って、同人誌に発表し、切磋琢磨しあうグループを創設したつもりだった。それがいつのまにか、どの同人誌にもありがちな、他人の作品のアラを探し、徹底的に叩きつぶしあい、足を引っ張りあう場に変容した。
・・・・・・『ありがち』なの?(´・ω・)
「オレの作品が評価されないのはどう考えてもお前らが悪い!」的な?


「それにしたって、あの細野が死ぬの生きるのっていう騒ぎになるかねえ」
結局は素人の集まり、不思議なこともあるもんだねえな空気でお開きかナ・・・・・・
というところで、プロ作家である樹村が「ある男」を連れて登場。


「彼、浅見光彦さんていうんだけど」
 樹村に紹介されて、男はにっこり笑って「浅見です、よろしく」と軽く頭を下げた。
「浅見さんは、内田さんの紹介で来たんだ。まあ、われわれと同業みたいなひとで、おもにルポルタージュを書いているのだが、私立探偵みたいなこともやっているそうだ」
文章で稼いでるんだから「評論家気取り」よりプロだよね。

・・・・・・で、内田さんてのは誰だい?
 樹村が言った「内田」というのは、やはり推理作家で、いつも『対角線』の読書会で槍玉にあげられるような、駄作ばかり書いている男だ。その内田の紹介だというので、会員たちのあいだには「なーんだ」と言いたげな、倦怠感のようなムードが漂った。
なーんだ
じゃーこの『私立探偵』もどきも、たいした男じゃなさそうっスねノ( 。A 。)ヽ 




第二章 死神の幻影

「浅見さんは、表向きはルポライターだが、その実体は名探偵なのだ」
 樹村にそう紹介されても、同人たちは浅見のことを知らなかった。
 内田の小説を読んでいれば、浅見光彦の事件簿のことも、少しは理解していたかもしれないが、何しろ彼らは内田の「駄作」などは歯牙にもかけない、純粋本格ミステリーの担い手を自認する面々なのだ。
『自認する』のは己の未熟さだけにしとけって話だよ\(^o^)/


『名探偵』光彦は、細野と『最後に会った』前田正和、
そして『最後に電話で話した』諏訪江梨香をロックオン!
前田曰く、細野は『「まずいことになった」と言っていた』らしいけど、
『まずいこと』がなんのことかは今のところ不明。

電話の件は、なぜその日「江梨香にだけ」電話したのかをしつこく追及。
ただの同人仲間でしかない江梨香に思い当たる点は無いのだけど・・・・・・
「できるなら、文字どおり言葉の端ばしまでを再現していただければありがたいのですけどね」
無茶言うな(´・ω・`)


「それじゃ、いつかふっと思い出すようなことがあったら、ぜひこの番号に電話してみてください」
新手のナンパだな(確信)
※20年以上前の作品です。

後日思い出したことで連絡をよこす江梨香はとても律儀。


(まったく、女性は魔物だな――)
 スネの痛みに耐えながら、浅見はひそかに感嘆の吐息をついた。
一休さん的なことが出来る人もいるかもしれない。
「あなた方は私ではなくこれをお待ちだったのでしょう」って化粧品だけ置い(以下略)


「ああ、岩間ですか。涸沼の近くですね」
「あ、涸沼、知ってるんですか?」
「知ってますよ、涸沼くらい。いくら無知な僕だって」
「よかった・・・・・・うちの社の連中なんか、誰一人として知らないんです。嬉しいわァ」
ルポライターに学ぶモテ男テク。
男女問わず、相手の地元を「知っている」のはポイント高いですぞー。
・・・・・・リョコー?何それ食えるの?


江梨香が思い出したのは、「対角線」に細野が載せた作品『死舞』を誉めたこと。
会員たちが例の『引っ張りあい』をする中、自分だけは率直に誉めた・・・・・・と。
「じゃあ、細野さんは喜んだでしょう」
「と思いますけど・・・・・・でも、なんだか照れたような顔をして、さっぱり張り合いがありませんでしたよ。むしろ、前田さんのほうが同調してくれたのに」
(´・∀・`)ヘー

その内容は、福井県の若狭を舞台にした、とある老婆の回想。
作品の良し悪しはよくわからないものの、描写に『リアリティを感じ』、
光彦は細野と若狭の繋がりを調べ始め・・・・・・





第三章 北の岬

「へえー、未亡人と共同捜査か。そいつは願ったり叶ったりだね」
 内田は無邪気に喜んだ。この男にとっては殺人事件の被害者やその遺族の不運よりも、それが自分の書く小説のネタになるか否かが重大関心事なのだ。
うわー、サイテーのクズじゃないですかーやーねー(´・ω・)(・ω・`)ネー


「そうか、若狭ねえ・・・・・・行ったことはないが、ムードはあるんじゃないの。まあ、せいぜい頑張って、いい事件簿をまとめてきてよ。ちょうどカッパ・ノベルスの締切りが迫って、困っていたところだから、それに使わせてもらうかな・・・・・・うん、『若狭殺人事件』なんて、タイトルも悪くない。そのためには高島平じゃなくて、若狭で事件が起きてくれないと困るのだが・・・・・・若狭へ行ったついでに、何か事件をみつくろってきてよ」
なんてトンデモナイ作家だ!
こんな奴の小説、たとえ中古であっても買う奴は頭がおかしい!!



「あ、やっぱり気分を害したでしょう。殺人事件に関わるのに、趣味だなんて言うのは、なんとも不謹慎だと思うでしょう? しかし、正直な気持ちを言えば、やっぱり趣味としか言いようがないのですよ。謎が複雑だったりすると、ワクワクするし、事件が解決する瞬間なんて、パチンコでオール7を出したときみたいに興奮したりして・・・・・・こんなのが世のため人のためだなんて、とても言えたものじゃありませんね。でも、うまいこと事件が解決したりすれば、結果的には多少、世の中のためにはなると言えるかもしれません。その点、パチンコやファミコンゲームにうつつを抜かすよりは、いくらかましかな――と思っています」
ルポライター・浅見光彦が、私立探偵・浅見光彦になる理由でした。



俺がネットゲームのがちゃを回すことで□_ヾ(^ω^ )カタカタ

だれか一人、生活が潤う□_ヾ(^ω^ )カタカタターン

□_ヾ(^ω^#)

俺はそういうことに幸せを感じるんだ(ノ^ω^)ノミ◇/




「なるほど・・・・・・」
 浅見はポツリと呟いた。いろいろな意味を込めた「なるほど」であった。これなら、未亡人が『対角線』の同人である諏訪江梨香の来訪を拒んだわけも納得できる。
細野の遺作となった『死舞』の秘密。
事件の謎を解くため、光彦は若狭へと向かったのであります。




第四章 三方五湖

「いや、ご謙遜でしょうが、しかし、本当のところ、大多数の一般市民が、いま浅見さんの言われたような状況なのです。エネルギー問題を真剣に考えている人間なんて、国民のうちの何パーセントか、とにかくほんのわずかです。それ以外のほとんどの人は、漠然と、原発は危険なもの、恐ろしいものと感じている。感じているだけで、ではどうすればいいのか――という問題意識を持つまでには至らないのです」
「事故った危ない廃止しろ」だけで終わるのは確かに頭悪い。
「原発廃止」を訴えるなら、「その分の電力はどうするか」もセットで主張するべき。
参考→なぜ水力・太陽光・風力発電などの自然エネルギーだけでは日本の電力をまかなえないのですか? よくあるご質問[関西電力]
「エアコン点かねー、今日は朝から雨だもんなー」と流せるかどうかじゃよ。
・・・・・・はっきり言って、現代人には無理だろ。
時の流れは不可逆なればなREYYYYYY!!!



「へえー、あの先生も大したものなのですねえ。私は一冊も読んだことはないけど」
 山本が感嘆の声を発したところを見ると、知り合いとはいっても、内心では、あまり評価は高くなかったにちがいない。その点では浅見も同じだ。
内田センセ、知り合いに舐められすぎだろwww



「殺人事件?・・・・・・」
 浅見はギョッとした。内田が「何か事件を見つくろって・・・・・・」と冗談のように言っていたことが、頭の中で稲妻のように光った。
東京で小説家志望の男が死んだ事件と、
1年以上前、若狭で祭りの最中に『死体が流れてきた』事件。
2つの事件のまさかの接点、小説を鍵に鋭く見抜く!
見た目はイケメン!暮らしはフラフラ!
その名は!名探偵・光彦!



事件の真相は・・・・・・コレハヒドイ・・・・・・
浅見光彦「らしい」というか、浅見光彦「だから許される」(?)終わり方も含めて、
『パチンコのオール7』よろしくスッキリ爽快!・・・・・・とは言い難い。

浅見光彦シリーズにはよくあるパターンだけど、
推理小説として考えるとこのシリーズ自体が「異色作」かな。
推理小説を読むならとりあえず1冊は欲しい。

坊っちゃん殺人事件 内田康夫 1997年6月3日 中央公論社

2015-12-14 06:34:27 | ミステリー
居候のルポライター、浅見家の「坊っちゃん」光彦は、四国松山に漱石、子規、山頭火の足跡をたどる取材に出た。途中、瀬戸大橋で出会った美女から痴漢に間違われるが、数日後、彼女は絞殺体で発見される。さらに、好奇心で覗いた句会では、主宰の老俳人が毒死した。連続殺人の渦中に立たされた浅見光彦は、事件の鍵は「俳句」にあるとにらむのだが・・・・・・。浅見光彦自身が記した危険な事件簿!
裏表紙より。
『浅見光彦自身が記した』・・・・・・
何も考えずに取ったけど、また「シリーズ異色作」の予感。
元の本は1992年11月。



プロローグ

「しかし浅見ちゃんも次から次、いろいろと考えつくもんだねえ。窮すれば通じるっていうやつかな。うちの連中にも発想のコツを教えてやってもらいたいもんだ」
うるせぇよwww
そして光彦は、四国松山へ取材に向ったのです。




第一章 松山文学散歩

 小粒とはいえサザエはサザエ。まあまあ不味くはなかったけれど、なんだか騙されたような気分になって外に出た。
いきなり現地の商人のあくどい部分を見せつけるスタイル。
※この物語はフィクションです。



 美人であることにももちろんだが、それよりもむしろ、ああいう遊覧船にたった独りで乗る女性客の心理に、ぼくは興味をおぼえ、彼女が目の前を通り過ぎてゆくのをずっと見送った。はた目には、ずいぶん間抜け面に見えたかもしれない。
こういうことをやってるから、後で困ったことになる。



 ホテルに戻ると、駐車場にあのジャガーがあった。このホテルのどこかにマドンナがいるのだ。連れの「男」とは遭遇できたのだろうか。いまごろは二人で――と、あらぬ想像をしながら毛布をひっかぶって、寝た。
浅見光彦(33歳独身)。
ここまで(15ページ)で既に情けなさがフルスロットル。
嘘みたいだろ?これ、名探偵なんだぜ?



 まあしかし、そうは言ってもスピードは出さないほうがいい。ぼくは制限速度をわずか10キロだけオーバーして、ゆっくり走ることにした。
『ネズミ捕りぐらい不愉快なものはない』――
気持ちはわからなくもないけど、偉そうに言えることじゃないからな!w
実際制限速度で走るのも危ないけど。無茶な追い越しかけるバカがいるから。



「まあ、いいでしょう。気をつけて行ってください」とそっぽを向いた。
 何がいいでしょうだ――と文句をつけたいところだったが、もとより警察相手に喧嘩を売るつもりはないから、ぼくも「ご苦労さんでした」といやみな挨拶をして車をスタートさせた。
偶然昨日の美人と向かう方向が同じで、
付け回されたと感じたらしいあちらさんが交差点にいた警察官に相談。
無駄な足止めをくらった光彦でありました。
・・・・・・他人様をじろじろ見てっからこうなる。反省しなさい。



 まったく、日本中を車で走り回っているけれど、その割に大きな事故に遭遇せずにすんでいるのは不思議なくらいだ。近頃は、こっちが安全運転していても、中央分離帯を乗り越えて突っ込んでくる威勢のいい車があるからたまったものではない。くれぐれもスピード違反など、しないようにしよう。
おまえwww
10ページ前読み返せ!w


翌日。
近くで首を絞められた女性の死体が発見されたニュースを見た光彦。
俳人の取材を進めるも、どうしても気になるらしく、警察署の様子を窺う。
(さて、どうしようかな――)
どうもしなくていい。
仕事しなさい・・・・・・ところが。




第二章 悲劇のマドンナ

 ぼくは呆然として、しばらく動くことも忘れていた。
 死んだのはどうやら、ぼくを睨みつけて「その人は何ですかな?」と言った、あの老人らしい。
『どうしようかな』のあと「句会」を見学した光彦でしたが、
なんと光彦が句会を立ち去ってすぐ、その句会で人が死んだというのです!


ニュースを見て驚いていた光彦の下には、予想外お約束の来客が。
「えっ、それじゃ、あのジャガーの彼女、殺されたのですか?」
【衝撃】昨日の絞殺死体は、光彦を痴漢と間違えた女だった!


「ほほう、自分から言うてくれるとは思わんかったなあ。それなら話が早くてわれわれも大いに助かる。そしたら、とにかく署まで来てもらいましょうか」
哀れ光彦は、『トンカツ』に連れられて警察署へ・・・・・・。


トラブルはそれだけで終わらない。
 間の悪いことというのは、往々にして重なるものである。しかし、ふんどしかつぎがぼくを指さしたことの意味を、ぼくは不覚にも一瞬、摑みかねた。
「句会」で死んだ老人に、大きな声を出したことで睨まれていた光彦は、
そちらの事件でも容疑者として扱われる羽目に。
日頃の行いって大切ですね(´・ω・)



 それはともかく、警察にあらぬ疑いをかけられたのは面白くないが、思いがけなく捜査当局の真っ只中に入り込めたのは望外であった。多少の不愉快さえ我慢すれば、尋問を通じて、いろいろなことが分かってくる。先方もぼくについて分かったことが多いだろうけど、ぼくのほうも、それ以上に状況が飲み込めた。
『兄の名誉を守るため』『愚弟なりに』『気を遣っている』と言ってすぐこれ
反省の色無し・・・・・・有罪(ギルティ)!ドギューン

しかしまぁ、毎度のことながらどっちが尋問してんだかって話だよ!



「トンカツ!」
※この物語はフィクションです。




第三章 山嵐対赤シャツ

 しかしまあ、そういう浮かれムードが冷え冷えと消えて、シャネルもジバンシーもグッチもサッチもいかなくなって、世の中が少し落ちついてきたのは何よりだ。
バカ言ってる場合か!w
◎今の状況
取り調べを受けた翌日、光彦の意見に耳を傾けた刑事『山嵐』と共に、
句会で死んだ老人の遺体を調べようとした結果・・・・・・
遺族に迷惑行為として通報されて、またも警察の厄介に。

「浅見さんにお願いしたのは、あくまでも自分であります。心ならずもあのような結果を招きまして、ご迷惑をおかけしましたが、それはすべて自分の責任でありまして、浅見さんには何の罪もありません」
『山嵐』・・・・・・(´;ω;`)ブワッ
そんな『侠気』を、『あほやな』で片づけた『赤シャツ』はくたばれ。


事件の『重要証拠品』が遺体に残っているはずだったのに――
このままでは遺体は出棺、おまけに協力してくれた『山嵐』は処分・・・・・・
しょんぼりしていた光彦の下に、救いの女神が!
「ありました。浅見さんがおっしゃった場所かどうか、ちょっと違うかもしれませんが、この辺りのところに・・・・・・」
 真理子は「お尻」とは言えずに、臀部を大事そうにそっと触った。いや、誰だって彼女のお尻なら大事に扱いたくなるだろう。
サイテーだな光彦・・・・・・。
33歳は、もう十分「オッサン」なんだなぁ。



 やはりぼくにはマドンナよりナデシコのほうが相応しい――と勝手に決めた。大和撫子というと何だか強そうだが、ナデシコは可憐な花である。花言葉は――そんなものは知らないけれど、きっと「優しい愛」だとか「あなたのおそばに」なんていうやつだと思う。いや、そうに違いない。
黙れ!そしてしね!




第四章 バッタと撫子

 水沼真理子はスーツの上だけを白いセーターに着替えていた。唇にわずかに差した紅の色がまさにナデシコの可憐さを思わせる。痩せ型の彼女には、セーターも良く似合う。細い首や腰の辺りのくびれが強調されて、思わず支えてあげたくなるほどだ。いいなあ、いいなあ――と胸がときめいたが、十三も年齢差のあるおじさんを、彼女がどう見ているか考えたとたん、気分が萎えた。
愛に年齢差は関係無いんじゃよ?
まぁ・・・・・・おまえは・・・・・・ダメだけど(´・ω・)(・ω・`)ネー

警察が見逃していた証拠を発見した光彦オッサンのことを、
被害者の孫娘である水沼真理子・・・・・・『ナデシコ』はスッカリ信用した模様。
「捜査のメドがつくまでは、松山に滞在できると思いますよ」
「ほんとですか」
 たちまち喜色がナデシコの頬を薄紅色に染め上げた。これを見たいばっかりに、ぼくはまたしても泥沼に足を踏み入れることになる。
「身の破滅 呼ぶは己の 下心」なんつって。



「それはあなた、人は見かけによらんというでしょうが」
「いえ、人は見かけによりますよ。うわべだけの笑顔や、おいしい言葉なんかに誤魔化されなければ、どこかにその人物の資質は表れるものです。逆に、どんな粗末な身なりをしていても、豊かな精神の持ち主からは、魅力が発散するものではないでしょうか」
現場の状況やら動機やらで犯人を特定した「つもり」の警察を後目に、
光彦が解き明かす事件の真相とは・・・・・・?



なんだか他の作品より光彦がオッサン臭い気がする。
それと同時にワガママ坊っちゃん感もする。
『自作解説』で著者が『特筆すべき異色作』と言うだけあ・・・・・・
あれっ、これシリーズに「問題作」と「異色作」しかないみたいじゃない?
今度は「普通の浅見光彦」について書こう。

自作解説

 こんな風に自分の作品を「面白い」とベタ褒めすると、アホじゃないかと顰蹙を買うかもしれませんが、作家は誰でも本心ではそう思っているものなのです。そう思わずに小説を書き、売っているとしたら、それは読者を欺瞞するにひとしい。ただし、それをこんな具合に吹聴するのは、正直で単純でお人好しな僕ぐらいなものであることはたしかです。
やかましいわ!w

影踏み 横山秀夫 2007年2月20日 祥伝社

2015-12-09 06:59:38 | ミステリー
深夜の稲村家。女は夫に火を放とうとしている。忍び込みのプロ・真壁修一は侵入した夫婦の寝室で殺意を感じた――。直後に逮捕された真壁は、二年後、刑務所を出所してすぐ、稲村家の秘密を調べ始めた。だが、夫婦は離婚、事件は何も起こっていなかった。思い過ごしだったのか? 母に焼き殺された弟の無念を重ね、真壁は女の行方を執拗に追った・・・・・・。(「消息」より)
裏表紙より。
『忍び込みのプロ』『刑務所を出所』・・・・・・
そう、ドロボウが主人公の探偵小説です。
元の本は2003年11月。



消息

 三月二十五日早朝――。
 三寒四温で言うなら、真壁修一の出所は寒の日にあたった。高塀の外に出迎えの人影はなく、だが内耳の奥には耳骨をつんつんと突いてくるいつもの合図があって、啓二の晴々とした声が頭蓋全体に響いた。
≪修兄ィ、おめでとさん! えーと、まずは保護司さんのとこ?≫
<いや>
≪ねえねえ、それじゃあ例の件、ホントに調べる気?≫
<そうだ>
(。´・ω・)?
『人影はなく』なのに・・・・・・
『修兄ィ』ってことは、啓二ってのは弟だよね?


なお、〝ノビカベ〟――住民が寝ている家に忍び込む「ノビ師」で、
取り調べに口を割らないしたたかさと名字をかけた綽名――真壁の調べ物は、
<自分がパクられた時のことは正確に知っておきたい>
だそうで。

最後に忍び込んだ家の夫婦を見て、妻から夫に対する殺意を感じた云々。
刑務所にいた2年の間のニュースを調べ、幼馴染の刑事・吉川にも話を聞くと
・・・・・・別に何も起こってない模様。

それでも今度は『同業者』相手に聞き込みを始める真壁。
啓二は『妄想』とまで言って真壁の行動を理解できず・・・・・・
≪最近多いもんなあ・・・・・・。前は聞かなくったってなんでもわかったのに・・・・・・≫
 無理もなかった。啓二が死んで間もなく十五年になる。実の母親に焼き殺された魂はどこへも行き場がなかったのだろう、他にどうすることもできずに、もともと一つだった命に還ってきた・・・・・・。
なん・・・だと・・・?
まさかの「幽霊係」系。
双子の弟(真壁は今34歳だけど、啓二は死亡時の19歳)じゃ、あんまり嬉しく・・・・・・
柏木爆発しろ。


記憶力抜群の啓二と共に調査を進める真壁。
2人が辿り着いた真相は・・・・・・
「じゃあな。悪いが行くぜ」
うわぁ、しねばいいのに。





刻印

 十五年前のあの日、真壁は法を捨てた。
『規則』『法律』・・・・・・
うーん。

知人が死んであらぬ疑いをかけられた真壁。
『強行犯の刑事にまでマークされ』続けたら『仕事』に影響が出るため、
犯人探しを開始するの巻。
≪でもさ、一回も同じ番号って見なかったなあ。世の中って広いんだよねきっと。一度手放したものは二度と戻ってこないんだ≫
「失くしたもの」はいつか見つかる・・・・・・
「捨てたもの」は見つからない。



「死ねよ! 死んでくれよオ!」
だが断る。
・・・・・・「救いの手」は、時に人を道から引っ張る。





抱擁

≪今出るとヤバイんじゃない?≫
<気掛かりは早めに潰しておいたほうがいいだろう>
まともな仕事に就いたら蝶・出世しそうな男なのに。


恋人?・安西久子の『ピンチ』――職場でのドロボウ疑惑――を知った真壁は、
彼女の無実を証明するため行動開始。
(ひどい!)
また1つ我々は真実を知る・・・・・・
あえて言おう!(そういうのは)幻想であると!


≪戻ってよオ、修兄ィ! お願いだから戻ってよオ! 俺、消えるから。俺、どこかに行くから。父さんと母さんのとこに行くからア! 修兄ィ! 修兄ィ! 修兄ィってばあ! 馬鹿ア! 馬鹿ア!≫
修兄ィー!!
・・・・・・(´-ω-)ウーン





業火

「盗人狩りの話だよ。耳にしてるかい?」
 今夜の旅舎検のことを言っているのではなさそうだった。
「初耳だ」
「半月前から同業者が襲われてるんだ。立て続けに三人もだぜ」
同業者から物騒な話を聞かされた真壁。
『消息』にて真壁が接触した同業者・黛も襲われ、もう『きっと助からねえ』レベル。


「やられた三人は、みんなこの界隈で仕事をしてる連中なんだ」
「・・・・・・・・・」
「おい、聞いてるのか? 次は、俺かあんたかもしれねえって話なんだぜ」
おい、そういうのやめr


「コソ泥ふぜいが手間かけさせやがって」
\(^o^)/

幸い命は助かった真壁。
負傷した体に鞭打って、襲われた原因を知るため行動開始。
 ニコチンの禁断症状に感謝すべきだろう。パンチパーマがロビーのソファーにいたら終わりだった。いや、五階で看護婦に見られた。真壁が病室を抜け出したことはすぐにでも奴の耳に入る。
見張りの最中タバコ吸いに行ってターゲット(真壁)を逃がす。
仕事に悪い影響が出ていることを自覚しないのが1番の問題。


どうやら「敵」は『バリバリのヤクザ』らしい・・・・・・!
啓二は調査を続けることの危険性を訴えるも・・・・・・
<何も知らないでいるってことが、何より危険なんだ>
修兄ィ、ドロボウやめよう。
アンタ絶対、蝶・仕事できる人だ。

はたして、『盗人狩り』の黒幕の正体は?
 不意に答えが浮上した。
鋭い(確信)





使徒

 サンタクロースをやってくれ――。
刑務所で同業者から頼まれた、
「ノビ師」にしかできないこと・・・・・・『サンタクロース』。


<そういうことだ>
≪嘘だ≫
<だったらそう思ってろ>
『勝手気ままにやりたい』・・・・・・
それだけなのか?


「いつまでも子供じゃない」
(´;ω;`)ブワッ





遺言

「この男が俺の名前を呼んでいたと聞いた」
『業火』にて『盗人狩り』にあった黛、やはり回復ならず。
・・・・・・意識を失う前に、真壁を呼んでいたらしい。
1回会っただけなのになー?
実力と人柄を感じて、なのかね。

 真壁は手帳に目を落とした。
 アイチャン――ドウカツ――ナカヌキ――ウキス――ナミヒキ――ハコシ――バンカハズシ――ハボク――スギモト――。
全部わかったあなた、自首しよう

黛が遺した言葉はもう1つ・・・・・・
≪父ちゃん、行っちゃやだよ、父ちゃん――泣かせるよなあ、黛の奴≫
<・・・・・・・・・>
≪うん、伝えてやろうよ。遺言みたいなものだもんね。けどさ、うわ言の内容からして、おそらく黛の親父もカタギじゃないね、たぶん――≫
いやー修兄ィは優しいなあー。


<何がだ>
修兄ィ・・・・・・(´・ω・)
でも俺も修兄ィ派かな。





行方

「・・・・・・そうよね。何もかも同じものを分け合っているんだもの。平気なのよね」
あ・・・ありのまま今起こったことを話すぜ!
「デートに出かけたら相手が双子の兄と入れ替わっていた」
な・・・何を言っているのか(以下略)

いやー、そんな男はエロ漫画の見過ぎじゃないっスかね。
いくらなんでもそれはねーよ・・・・・・ないよね?



 世話焼きの母の友人は、すべてを語ったわけではなかったということだ。
あの手の連中は「数」しか気にしないから・・・・・・
後でどうなろうが知ったこっちゃない。

バカな双子の弟(兄は確かにクズだけど、これは何が何でも断れよ・・・・・・)を
フったら兄の方がストーカー化。
困った久子が真壁に相談しに来たところ、
勘違い(でもないけど)したバカストーカーは2人がいた宿に火を放つ。
幸い2人は助かったものの、死者まで出る騒ぎに。

そんな事態でも、警察が「ノビカベの女」久子を助けるとは思えず・・・・・・
こうなったら真壁がストーカーをとっ捕まえるしかないッ!

<啓二、おふくろが憎くないのか。たったの十九だったんだぞ。あんなおふくろじゃなけりゃあ、お前は今だって好き勝手に手や足を動かせたんだ>
≪・・・・・・違うんだよ≫
 啓二の声がひどく沈んだ。
(。´・ω・)?



「覚えておけ――俺はいつだってお前の寝室に忍び込めるんだ」
※エロくない意味で。



 啓二は答えを知っていた。
あー・・・・・・。




「ドロボウが主人公」ってことで、受け付けない人は受け付けないかもしれない。
カッコよさげに見せたところで、「ドロボウはドロボウ」と言ったらそれまでだし。
久子も現実にいたら「バカ女」で片づけるレベル。
いわゆる不幸になりたくて不幸になるタイプ。
好きにしろ、こっちには関わんなって感じ。

真壁に感情移入させるためか、警察の人間がことごとくクズなのも気になる。
クズというと語弊があるかなぁ・・・・・・
なんていうか、クリーンな、正義のヒーロー感のする刑事が1人もいない。
探偵小説を読む時は「カッコイイ刑事」を望む気持ちが少なからずあると思う訳です。

真壁がカッコイイかどうか・・・・・・
カッコイイとは思うけど、真壁の生き方を肯定できるかは別問題。
なんとなく「オッサン判定本」な感じがした。