2007年9月1日
横浜市中区山手 YC&ACグラウンド
YC&AC、百年余を経たクラブの長い伝統の重み。それは、自らが敗れた相手に、必ずリベンジを果たすことだった。この日、ボブルヘッズはそれを、いやというほど思い知らされることになる。『綱島理友のアメリカンスタイル スローピッチソフトボールへの招待』第5回に描かれた、1896年7月の対旧制第一高校戦と同じやり方で、彼らは前回連敗を喫したボブズに立ち向かってきた。
No.205
第一試合
ボブルヘッズ9-13YC&AC
TN1|2|3|4|5|6|7|R
B 2|1|0|0|3|0|3|9
Y 4|2|0|4|1|2|×|13
敗:torao
三塁打:ハッチ
二塁打:西田辺(3)、ハルナ(3)、パンチ
スターティングオーダー
01番・LF・KENDALL
02番・C・EGOIST
03番・RF・西田辺
04番・CF・ハルナ
05番・SF・Pochi
06番・P・torao
07番・SS・ハッチ
08番・3B・パンチ
09番・2B・Hamada
10番・EH・tama
11番・1B・WacKey
ボブズは初回、先頭・KENDALL、EGOISTの連打で、無死一・二塁。ここでWESTから初参戦の西田辺が左翼線に先制の適時二塁打。三塁を狙ったEGOISTが好返球で刺殺されるが、続くハルナが、右翼線に二塁打で2点目。長いタイムリー欠乏症も、主砲の復帰でようやく解消されたかに見えた。しかし、ボブズの攻撃陣には、この日「不運」がつきまとう。
2回にはtamaの左前適時打で3点目を加えるものの、なお満塁でWacKeyの遊ゴロに三走・パンチが本塁封殺。続くKENDALLの痛烈な投直打を好捕され、一走・WacKeyが帰塁できず併殺。4回には、左翼線を破って三塁を蹴ったハッチが、三本間で突然の失速。ベンチがあ然とする中、本塁で憤死するなど、どうしても大量点を奪えない。
先発・toraoは2回までに6失点。ここでボブズベンチは、ハルナの指示で円陣を組む。4人を深く横に並べた外野の守備隊形を、1人をやや前に置く布陣に変える。これが功を奏し、3回裏の相手の攻撃で、遊撃・ハッチが三遊間の難しい当たりを好捕の後、続く打者を左飛、中飛に打ち取り、無得点に抑えた。
5回こそ2死から、一番・KENDALLの四球の後、EGOIST、西田辺、ハルナの3連打で3点を奪うも、前の試合の硬式野球に参加していた4番・ANTONIOの2本塁打などで、6回を終わってビハインドは7点。ふたたびKENDALL以下の上位打線が、西田辺の4打数4安打となる二塁打を含む4連打で3点を返したものの、追い上げはここまで。やや「打ち負け」の感はあったが、野手の正面を突く当たりが多かったことなどもあり、内容的にはほぼ互角に見えた。
しかしそこには見えないワナが潜んでいたのである。
No.206
第二試合
ボブルヘッズ5-32YC&AC
TN1|2|3|4|5|6|7|R
Y 13|6|4|1|1|4|3|32
B 1|1|0|0|0|2|1|5
敗:Ciao
三塁打:ハッチ、パンチ
二塁打:KENDALL、西田辺、ハルナ
スターティングオーダー
01番・LF・KENDALL
02番・2B・torao
03番・RF・西田辺
04番・CF・ハルナ
05番・SF・Pochi
06番・SS・ハッチ
07番・3B・パンチ
08番・1B・NAVE
09番・C・EGOIST
10番・EH・GENSHU
11番・P・Ciao
YC&ACはこの日、第一試合からパワーを見せ付けたANTONIO以外に、T.I.S.L・Aディビジョン所属の助っ人3人と硬式野球チームの選手を、オーダーに潜ませていた。111年前と同じ手を仕掛けていたことなど、知る由もなく、Ciaoが第二試合先発のマウンドに上がる。
先頭打者が四球の後、遊撃・ハッチへの当たりは何でもない正面のゴロ。しかし、これをお手玉し、無死一・二塁。ここから4連打を浴びて満塁のピンチが続き、三ゴロで一死を奪ったものの、8番・何だかわからんジョーク飛ばしの背番号6の遊ゴロを、再びハッチが痛恨のエラー。多摩レクリエーション施設のT.I.S.Lリーグで先ごろ、イレギュラーバウンドを額に受けて負傷した記憶が、荒れたグラウンドへの恐怖心となってハッチの深層心理を縛り、さらに第一試合の本塁憤死激走三塁打による電池切れも重なり、その後も動きに精彩を欠いた。結局Ciaoはこの回、打者18人に2本塁打を含む12安打を浴び13失点。2回には、打球が走者に当たる幸運はあったが、被安打7、2四球で6失点と、試合の行方は序盤で決した。三塁・パンチの動きも全体に鈍く、三遊間への当たりが多く左前へと抜けてしまったのが、Ciaoにとっての不幸だった。
長い守備で疲れたか、ボブズは打線にも力がなかった。1回はハルナの中犠飛、2回にはハッチの三塁打とNAVEの内野安打で1点ずつを奪うのが精一杯。EGOISTの投直、GENSHUの中飛など、いい当たりも野手の正面を突き、5回までで23点の差を付けられた。
終盤は「外野手のフォーメーション練習」(綱島監督・談)。7回には前述の8番打者の飛球を左翼・KENDALLが、それまで3本塁打の1番・細っこいお兄ちゃんの飛球を中堅・ハルナが、それぞれ好捕。内野陣も、ハルナの指示もあって的確な位置へと中継に入る姿勢を再三見せ、多くを単打にとどめるなど、T.I.S.Lリーグ再開に向けて、いい準備にはなった試合だった。
それにしても、打ちも打ったり7イニングで打者7順、39安打。半数が助っ人メンバーだということで、YC&AC打線と呼ぶのもどうかと思うが、・・・百年経っても勝負にこだわる変わらぬ姿勢は、ほとほとたいしたものだと思う。
今回は軽く三倍返しはされたボブルヘッズであった。
http://album.nikon-image.com/nk/default.asp
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関西から参加した西田辺選手。