毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「授業で映画『犬と猫と人間と』」No.2159

2018-01-07 21:03:32 | 中国事情

昨年は、野良猫を捕まえてきては熱湯をかけたり、

バーナーで焼くなどして9匹を多臓器不全でショック死させ、

4匹にやけどを負わせていた大矢誠(元税理士・52歳)が

虐待死させる様子を動画でネットに投稿していたという事件がありました。

彼は動物愛護法違反の疑いで逮捕されたものの、

結局、実刑判決は受けませんでした。

日本では動物を殺しても「器物損壊」または「動物愛護法違反」の罪で、

最も重いものでも懲役2年もしくは200万円以下の罰金です。

動物の命の何と軽い日本の有様でしょう。


ここの大学のキャンパスには

痩せながらも何とか生き延びている風の野良犬が何匹かいましたが、

最近、見かけなくなりました。

どこかで寒さをやり過ごし、暖かくなったらまた、

どこからともなく現れるのか、

あるいは当局に捕まって殺されたのか・・・・・・。

日本の犬猫殺処分数は欧米に比べて半端じゃないようですが、

中国も状況は日本と似たり寄ったりではないかと推察します。

映画「犬と猫と人間と」(飯田基晴監督)は、

知人でもない愛猫家のおばあさん(写真最上段の右から2つめ)が、

突然、飯田監督のところに来て、

「観た人が動物を大切に思える映画を作ってくれ」と

依頼したことからできた作品です。

今の三年生たちが二年生だった一年ほど前、

アニメ「河童のクウと夏休み」(原恵一監督)を紹介しました。

そのアニメが突きつけた「人間と他の動物、自然との共生」というテーマは、

三年生になってから観たアニメ「もののけ姫」(宮崎駿監督)を経て、

この映画につながるものです。

正直、「河童のクウと夏休み」後の感想文からは

〈動物は保護の対象だ〉という視点しか読み取れませんでした。

なぜ「保護」するべきなのか、

さらに「保護」とは人間の勝手な思い上がりではないのか、

という疑問を持つ学生は皆無でした。

日本的自然観との違いも強く感じました。

一般に中国的価値観では

人間が全ての中心で、自然は征服すべきものなのだなと。

しかし、昨年11月のアニメ「もののけ姫」の感想で、

私は彼女たちの「自然」への見方に幅が広がってきたのを感じました。

今回の「犬と猫と人間と」は、

時間がなくて「崖っぷち犬騒動」のチャプターしか見せられませんでした。

しかも、感想は期末試験の問題として出題したので(笑)、

限られた時間内で書くことだし、通り一遍の内容かなと、

あまり期待できなかったんです。

しかし、捨てたものではありませんでした。

多くの学生たちの文から人間を見つめなおす視点を感じて、

子どもは(人間は)考え、成長する存在だということを

また改めて実感した時でした。

こういうこと(人間は成長するということ)は意外とすぐ忘れてしまいがちで、

何度も、何度も、確認しながら(じゃあ、お前はどうだ?)と

自分自身にも問いかけを繰り返してきたのが

私の教師人生だったように思います。

学生の心の成長は私の成長の糧です。


試験問題は〈ビデオを見てどう思いましたか。問題を改善するにはどうしたらいいと思いますか。〉

というものでした。

改善策は中国の現状ではあまり想像できないのでは?と心配でしたが、

一人ひとりが実現可能な(かも知れない)アイディアを出していました。

「鎮静器」と呼ばれる殺処分器に入れられた犬たち。この先は死しかない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〈どう思ったか〉

・殺処分される犬たちに罪は無い。心が痛い。

・犬の命を救おうと頑張っている獣医さんに敬服した。

・犬の命を助けるべきだ。犬や猫を大切にしなければならない。

・犬は人間の友達なのに殺処分するのは悲しいことだ。

・動物を守る人は少人数だ。多くの人にとって動物の命は大切でない。

 邪魔になったら殺処分すればいいと思っている人が少なくない。

・人間は自然界の動物の一つに過ぎない。私たちは他の動物に関心を持つべきだ。

・世の中の人は犬を殺す。犬は人に忠誠心を持ち親しい人を大切にするのに・・・・・・。

・犬は苦しい顔をして、カメラに助けを求めるような声を出していた。

・せっかく愛護センターに引き取られてもその後殺処分されるとは無情だ。

・他の動物は動物園に入りスターのように愛されているが、このセンターの犬たちは苦しんでいる。

 

〈どうしたらいいか〉

・救助センターを設立する。

・流浪の動物たちのために募金する。

・人の好意を頼りに、捨てられた動物の世話を呼びかける。

・飼い主に動物を捨てないよう呼びかける。

・犬を飼いたい人は、ペットショップではなく野良犬の中から選ぶ。

・野良犬の世話をしている人の手伝いをする。

・動物がいない人に、愛護センターの犬を引き取らせてペットにさせる。

・国民はできるだけ一人当たり犬か猫を一匹引き取る。

・母犬と父犬(メスとオスのこと)は別々にしてむやみに交わらせない。

・手術して子犬の出生数を制御する。

・愛護センターを拡充するために政府が資金を出す。

・センターを動物園のようなところにチェンジし、犬たちに喜びを与える。犬たちが遊べる場所を作り、(このセンターに入ってよかった)と犬が思えるようにして、生きる意味を作る手伝いをする。来客はお金を払い、そのお金で犬の生存条件を改善する。苦しんで死ぬのではなく楽しんで死ぬようにする。

・獣医師の人数を増やす。

・譲渡会をもっとたくさんする(一ヶ月に一回)。

・政府はもっと動物問題を重視すべきだ。

・広告でペットをきちんと守るように宣伝する。

・動物愛護法を強化し、ペットを捨てたら罰金を科す。

・一人の力は限られているが、みんなの力は無限だから一緒に努力すべきだ。

・人々の観念を変えることが一番重要だ。動物は私たちの友達だと子どもの時から教えなければならない。「動物愛護に関心を持ち、動物を愛護する社会をつくろう」と。

 

 

 

 



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1 コメント

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若者 (こきおばさん)
2018-01-08 07:01:43
教師という仕事、特に文化の違う外国での教師は大変なことも山ほどあるのでしょうが、なんだか楽しんでいるように思えるのは、お人柄なのでしょうね。
若者の鋭い感性は、どの国がどうということがないように思えますね。

話は違いますが、1か月ほど前から飼いだした雌猫は明日不妊手術を受けます。
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