5月に解体した後ほったらかしだった学院最古の寮(1950年代頃の建築)跡地で、
ようやく新寮建設が始まりました。
ある学生に寄れば、
「省政府の役人が見回りに来るので慌てて工事を始めた」
とのことです。本当かどうかは分かりませんが、よくある話です。
この大学の日本語学科の学生たちの傾向は二つに分かれます。
高校時代、先生方から
「大学に入れば全てはばら色、パラダイスだ。だから今は全力で頑張れ!」
と言われ、丸暗記の受験勉強を経て、何とか大学に入ったのですが、
日本語はほとんどの学生たちにとって未知の分野であり、
またゼロからスタートしなければなりません。
そこで、
1:ガーンとショックを受けても、涙を拭いて立ち上がり、
再び丸暗記の日々に入っていく派、
2:もう、授業のことはきれいさっぱり忘れて、
ゲーム・カラオケ・ダンス・バイト・その他の遊びに邁進する派、
どちらかに分かれていきます。
3年のクラスは概ね、1の「涙を拭いて立ち上がる派」なのですが、
3年生ともなれば、
教師の資格試験(11月)、日本語能力試験(12月)、大学英語試験(これも12月)など、
各種資格試験がひしめいており、
「毎日、毎日、単語の丸暗記ばかり。同じことの繰り返しで、
何のために生きているのか分からなくなります。」
などと愚痴を書く学生もいます。
でも、その学生が翌週にこんな文を書いていました。
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「時間の経つのは早いですね。
新しい一週間が始まります。
この一週間の小さい目標は、英語単語を500個暗記することです。
毎週、自分で目標を設定します。
そうすれば毎週達成感があります。」
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(自分を律するのは自分の仕事だ)と覚悟したのでしょうか。
健気感満載です。
ささやかな世界でささやかな体験を繰り返し、深く考えたり、考えなかったりする
モラトリアムの日々を過ごす学生たちの傍にいるのは、
温泉に入っているようなものです。
下は、別の3年生のエッセイです。
(5文エッセイを宿題にしているので、超短いのが特徴です(笑))
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「菏澤学院南第二門の近くにトイレット・ペーパーを売るお爺さんがいる。
天気が好い日にはお爺さんは必ず来る。
お爺さんはもう年寄りだが、自分の両手で自分を生かしている。
毎日、鈍く三輪車を踏んで学校の外に立ち、お客さんを待っている。
お爺さんはお釣りを勘定するとき、遅いですが、
誰も待ちくたびれたりしない。
お爺さんは、ものをもらって生きる人より、
もっと、尊敬されるべきだと思う。」
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この学生が書く「ものをもらって生きる人」は、恐らく「物乞い」という意味でしょう。
でも、私は「ものをもらって生きる人」の中に、
「物乞い」とは別に、
「他人の労働の対価を掠め取って暮らす人」が入ると思っています。
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「最近、急に寒くなって冬のようだ。
まだ秋なのに、冬の服を着始めた。
街頭には薄着の人もいるし、厚着の人もいる。
お互いに相手の服装はちょっと変だと思っている。
本当に気まずい季節だ。」
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ああ、なんと愛らしい感受性であることよ!
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「最近は曇り日ばかりだったが、今日はようやく晴れた。
日光が暖かいから、布団を干すのに最高だ。
布団を干そう!
もうすぐ冬なのでチャンスが少なくなるから、布団を干す人がたくさんいる。
よくよく探して、やっと布団を干すのにいい所を見つけた。
今夜、フワフワした布団をかけると、いい夢を見るかも知れない。」
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お休みなさい。
可愛い学生たち。
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私たち庶民は愚直に生きるしかありません。
でも、お日様はこんな私たちにも平等に暖かさを降り注いでくれます。
先週金曜日の放課後、3年生たちは1年生にアニメ吹き替えを実演してあげました。
下は皆に最も支持されたグループ「猫さんチーム」のものです。
徹底的に練習したそうです。
(タイトルは忘れました。魔界少女の戦い系です)
↑後で思い出しました!『これは〈ゾンビ〉ですか』です。
↓四年生のアニメオタク、袁さんが、どこで聞いたかやってきて、
いちいち「がんばれ!」とか「おお!」とか気合の入った声援を送っていました。
四年生って、今、何の余裕もないはずなんですけど(笑)。
後ろで見ているのは『ハウルの動く城』を演じた「象さんチーム」の3人です。
(キムタクが大好きな人がいるせいでこのアニメを選んだそうです)。
このグループもなかなか好評でした。
↓「ウサギさんチーム」は、『月間少女野崎君』。
登場する時、
「前の二人は緊張して、歩きながら縋るように私を振り返った」
と三人目が証言していました。
「ミスもないし、台詞も忘れなかったのに、誰にも支持されなくて失望した」
と、後で感想を書いていて、
私は(ミスがないとかよく言うわ!)と面白かったです。
どちらが良いとか言えませんけれど、何をしてもその経験はきっといつかどこかで役立つことがあると思います。
多くの経験をして、苦しんで喜んで・・・良いなァ
若さを満喫してほしいものです。