今年の8月15日が2時間前に過ぎていきました。
「終戦の日」と言われるこの日まで、
NHKテレビのドキュメンタリー番組で
「“原爆の絵”は語る~ヒロシマ被爆直後の三日間~」
「731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~」
「ドキュメント太平洋戦争 第4集 責任なき戦場 ~ビルマ・インパール~」
などを立て続けに観ました。
歴史の事実がなかったことにされかねない時代にあって、
一部であってもそこに光を当て、
客観的事実であることを示したNHKには敬意を表し、
さらに、歴史の事実を掘り起こす番組を
提供し続けてくれることを期待します。
そして、私たち日本人は、
日本にとって恥ずべき歴史であっても、
その事実を隠蔽したり、否定したりせず、
なぜ、日本はそんなことをしたのかをよくよく考え、
どうしたら二度と同じことを繰り返さないようにできるかを
追求し続けなければならない責任があると私は思います。
歴史を知らない者は、
新たな時代を切り開くこともできないのです。
さて、インタビューもいよいよ最後、
施芳芳さん(江西省上饒市出身)の登場です。
去年から今年の春まで一年間、東京の杏林大学大学院で翻訳を学び、
広州外語外貿大大学院に戻っていった彼女は、
帰国前の2月に、私と一緒に沖縄に行きました。
沖縄で彼女が行きたいところは、まず辺野古だと聞いて、
(ただの観光旅行で行きたいのではないんだな)と嬉しく思ったものです。
施芳芳さんインタビュー 2017.7.21 甘粛省卓尔山の家庭ホテル(民宿)で
Q:大学に入る前、日本についての知識はどこでどのように得ましたか。
テレビの抗日ドラマとか歴史の教科書で学びました。
私自身は日本について好きな気持ちも嫌いな気持ちもありませんでした。
直接、生の日本人に接したこともないし、話したこともないので
判断できないと思っていたのです。
Q:大学で日本語学科を選択した経過・訳を教えてください。
私は外国語を学びたかったんですが、英語は嫌でした。
ですから兄とも相談して、日本語を選びました。
Q:日本語学科で学ぶ中で日本についての考えが変わったり、新たに知ったことはどんなことですか。
大学で出会ったT先生(私のこと)は初めての日本人で、
私は初めて、日本人のよく言われている資質についての実感が湧きました。
先生はまじめで、いつも一生懸命私たちのために考えてくれて、感激しました。
Q:日本留学の感想を言って下さい。
私が留学した大学のクラスはほとんど中国人ばかりで、
大学で日本人と親しくする機会はありませんでした。
ただ、アルバイト(コンビニ)で日本人と知り合いになりました。
スタッフはとても優しくしてくれました。
でも、私以外はみんな日本人ですので、ときどき
(私は彼らの外側にいる。仲間に入れていないなあ)
という気持ちがありました。
でも、留学生活を通じてほとんどの日本人は私に優しく接してくれました。
Q:日本の街の様子や日常生活で、どんなところが中国と違うと感じましたか。
日本の街はとてもきれいで空は青く、
PM2.5の数値は毎日とても低いです。
そして、一戸建ての家屋は、
一軒一軒それぞれ様式が違うのが、私はとても好きです。
電車の中ではみんな静かで、あまり交流をせず、
携帯をいじったり、新聞を読んだりして過ごします。
中国では多くの人が大声で話したり、はしゃいだりしています。
どちらもいいところもあるし、そうでないところもあります。
私は静かな雰囲気が好きですけど、
静かすぎるのはあまり好きではありません。
日本人は細かい規制やルールを守って生活していますが、
それらは時には、あまり重要じゃないこともあると思います。
いつも他人に迷惑をかけないように
外に対して気を使って暮らしていて、
自分の本当の考えは心の中に仕舞っているようです。
Q:日本人との友好を望みますか。
もちろんです。日本人の友達がほしいです。
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施芳芳さんはもの静かで、口数も多い子ではありませんが、
いつもものごとを見るとき、偏見を持たず冷静に観察しています。
以前のブログにも載せましたが、
日本留学を終えての彼女の感想は次のようなもので、
私は(こういう若者が多数派になれば、次の時代が到来するのだろうな)
と感じました。
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一年ぶりに中国に帰った感想はちょっと複雑です。
美味しい果物や料理を存分に食べられるなんて、
今の私にとっては、至高の幸せです。
また、両親や友達に会えるのも嬉しくてたまりません。
現在の中国は、よく財布の中に現金一枚すら残ってなくても、
携帯を持つだけで、食事や買い物もできます。
生活はますます便利になっています。
でも、あまり慣れない状況もあります。
埃だらけの通りや灰色の空、そして列への割り込み現象を見た後、
私は日本に戻りたくなります。
静かな夜に、よく日本で経験したことを思い出しました。
懐かしかったです。
美しい景色をもう一度見たい。
優しくしてくれた人たちにもう一度会いたい。
もっと深く話し合いたい。
この思いはとても強いです。
こうして一人一人が日本を好きになってくれれば、中国と日本はもっと仲良くなれるはずです。
ブルーハートさんの小さく思う力は実は大きな力ですね。
民間草の根交流の力は、実は大きいんですね。
こんな時代にあっても、日本に来てくれる中国の若者がたくさんいるので、その子たちが(ああ、日本に来てよかったなあ)と感じられる日本であってほしいと思います。