毎年の今日、おそらく中国のあらゆる町で都市で、
午前10時に一斉にサイレンが鳴ります。
サイレンは断続的に30分ほど鳴り続けるのですが、
それを聞くのは私にはとても辛いことです。
サイレンが慟哭の音色を持つことに、私は中国に来て初めて気がつきました。
1931年9月18日、日本の関東軍が南満州鉄道を爆破し、
それを中国軍のしたことだとでっち上げ、なすりつけ、侵略の理由にしていった、
日本人として世にも情けない、恥ずべき「柳条湖事件」の日です。
毎年、その情けない気持ちを確かめ、確かめ、
二度と日本がそんな恥ずかしいことをしないように国民が気をつけないとアカンと
気を引き締める日です。
ここ菏澤では、前日17日に市民向け広報として
「明日10時から防犯用のサイレンを鳴らしますが、仕事や学業は普通通りです」
と携帯メッセージが入っていました。
(もちろん中国語ですが、漢字なので大体分かるのです)。
南昌では「今日は歴史的な屈辱の日だ」と広報がありましたが、
山東省菏澤市は、日本軍がここに来て、実際に被害があったにもかかわらず、
ずいぶんソフトな書き方をするんだなあと思いました。
3年の授業時だったので、
「私はこのサイレンを聞くと心が痛いです」
と言うと、前列の閻小玲さんが気の毒そうな顔をしました。
そんな顔をしてもらう立場ではないのですが・・・・・・。
キャンパスの木の花が道路を黄色く彩っています。
その音を「辛い」「慟哭の音」と感じ取れるブルーハート様の感性が「私にはあるかしら」と自分に問いかけています。
年齢とともにみずみずしい感性が損なわれいることに気付きました。
あの戦争では、日本の10倍近い犠牲者を出した中国。
お互い忘れてはいけない歴史ですね。
瑞々しさはどこにもないんですけど(笑)、実際にお聞きになれば、こきおばさんもかなり辛いとお感じになるはずです。
聞かなければ、見なければ、次第に薄れ、忘れてしまうのが普通の人間ですので、中国政府もこのようにメモリアル・デイにはサイレンを鳴らしたり、毎日抗日ドラマをテレビで放映するんですね。
日本でも、戦争について8月だけでなく、一年中ドラマやなんやで取り上げたら国民の考えもずいぶん違ってくるのに……と思います。