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「学生の故郷の環境変化」 2014年3月17日(月)No.872

2014-03-17 20:11:33 | 中国事情

3年の冬休みの課題レポートを少しずつ読み進めている。

少しずつしか進まないのは、解読するのに非常に時間がかかるからである。

それほど暗号のような文が多い。

しかし、内容は今の中国社会の一端がうかがえて興味深い。

下の文は、

「江西省宜春市奉新県における自然環境の変化について」(周文いく)

の一部である。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

今度の冬休み、私は久しぶりの故郷に帰った。故郷とは、今住んでいるところではなく、育った田舎のことを言う。

生まれてから、ずっとその小さい町で暮らしていた。そこで中学校の終わりまで、ずいぶん楽しい時間を過ごした。高校時代、父の仕事のために県都に引っ越して、もう6年になる。

記憶の中で故郷はきれいな町だった。両親と私は町に住み、祖父母は隣の村に居住していた。村の周囲は山が多く、多くの田と野菜畑もあった。小川の水は澄み、空気はとてもきれいだった。毎週、週末になると必ず祖父母の家に行って、友達と野山で遊んだ。

春はいつも山に入り、ヤマモモや野生の果実を探して摘み取った。山のあちこちに美しいつつじの花が咲く。子どもたちはその花を摘み、洗って食べたものだ。おいしかった。

夏は一番楽しい季節だった。毎日、暑い午後、川で水浴びしたり、泳いだり、遊びたわむれた。

夜、大人たちは屋外で涼む。子どもたちは川の傍で蛍を捕まえる。楽しかった。

秋や冬には、田野で遊ぶ。冬は時々雪が降る。南方の子どもたちにとって、雪が降る日は、まるで祭りだった。このような懐かしい故郷とは、もう永遠に会えない。

 今、故郷は人を失望させるところでしかない。                                     鉱物資源が発見された後、祖父母の村の周りの山は採掘されつつある。今も止まらない。目に映るのは全て黄土と掘削機の残したしるしだけだ。緑は全く見当たらない。山の採掘によって、街と村、すべての道路も泥だらけだ。                                 

そして、幼年時代の小川も枯れた。町も村もひどく汚染されている。田野はもうなくなった。とってかわったのは工場とビルだ。                                                     さらに悲しいことは、小さいときよく泳ぎに行った川は、川底が掘られたせいで、今、とても危険な場所になっている。毎年、溺死する子が二、三人はいる。                                   川底を掘るのは砂の需要のためである。 

幼年期の楽園は、今、ゴミの王国だ。                                                   幼馴染の友達に聞くと、蛍はとっくにいなくなり、もう何年も見かけないそうだ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

周文いくさんはこの文章の後、友人と二人で、

故郷の「白色汚染」(プラスチックごみの投棄等)の実態調査を実施した報告を書いている。

1つのゴミ箱に、1日でどれくらいプラごみが投棄されたかを実際に調べたり、

ファストフードの店長さんに尋ねて、1日約250人前の弁当が売れるとつきとめ、

1人前2パックのプラスチック弁当箱×250人前=500個のプラごみ、

プラス、一人当たり1つのプラ包装袋がゴミとなる、と計算したり、

さらに、商工会議所まで訪ねていき、小さい町に20軒ものファストフード店があると聞いて、

1日に10000個ものプラスチック弁当ごみが出ると算出したりしながら、

彼女は、毎日出されるごみの量に驚き、

環境問題について「初心者の私」は、知らないことが多いが

「また頑張り、地球を守るために力を尽くす」と結んでいる。

こういう実態調査は初めての経験だという学生がほとんどだが、

積極的意義を認めて、熱心に取り組んだ学生も少なくない。

しかし、周さんの結論に一言すれば、

故郷の県の実態調査から急に地球規模に話を飛躍させる前に、

中国国内の現実をさらに、さらに、見つめる必要を感じるブルーはーとである。

それにしても、周文いくさんは現在、二十歳過ぎなので、

彼女の故郷の変化はたった10年弱の間に起こったことだ。

まさに激変する中国が垣間見られる。

 

 

 

 

 

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