毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「叱咤激励型教師」No.2092

2017-10-26 22:41:21 | 中国事情

自分の教師人生を振り返ってみたら、

私自身の心情とはウラハラに(笑)、

けっこう歯に衣を着せない言い方を学生たちにしているようです。

 

春の校内スピーチコンテストで当時2年生の唐らんさんは、

私とのやりとりを発表しました。

それを聞くと私は、典型的な叱咤激励教師を演じています(笑)。

このスピーチで唐さんは2位に入賞して自信をつけたのか、

今は菏澤学院の1ランクも2ランクも上の青島大学に

交流生として行ってしまいました。

学生にとって教師の一言は、

ときには胸に刺さったり、沁みこんだりしますが、

それを知りつつ、だからこそ言うのが私の流儀です。

 

ーーー「不可能を可能にひっくり返す力」  唐瀾 ---

 

「まだ、始めたばかりじゃないですか。

『私はできない……。』、『無理、自分はだめだ……。』

そんなこと思ってたら、絶対できませんよ。

結果がどうかはともかく、まず、立ち向かえばいいんです。

いつも逃げることばかり考えないで、ベストを尽くしなさい!」

 

スピーチ・コンテストの予選の前、T先生に叱られました。

実は、始める前から私は、このコンテストに全然自信がありませんでした。

多くの人の前でスピーチをするなんて、最も苦手なことです。

私はとても緊張し易いタイプです。

「やればきっとできる。」……こんなことは頭では分かっていますが、

実際にやってみたらミスが多すぎて、どんどん緊張が加速して、

最後は、トボトボと自分の席に戻るのがいつものことでした。

 

小学校から高校まではずっと、頭に知識を詰め込む勉強ばかりしていて、余裕がなく、

スピーチの機会は一度もありませんでした。

だから、クラスメートの前でスピーチをしたのも、大学に入ってから初めてです。

今度の校内スピーチ・コンテストも私には、とても大きい挑戦です。

長い間私は悩んでいましたが、悩めば悩むほど

(だめ、無理、できない)という気持ちになりました。

 

私がそんな消極的な顔でT先生の前に行き、

「コンテストを諦めたいんです。」

と言った時に、先生の厳しい言葉が降ってきたんです。

その後、寮に帰ってベッドに横になると、

心の奥からじわじわ後悔の念が湧いてきました。

(これではまるで、自分が自分の可能性を否定するようなものだ。

自分すら自分を認めないなら、自信など持てるはずないじゃないか。

先生に叱られるのも当然だ……)。

でも、誰も本気で(自分はダメだ)なんて思いたくありません。

人間は自分を認めさえすれば、勇気も、やる気も湧いてきます。

 

その晩、私は決心して先生にメールを送りました。

「先生、今日、私が言ったこと、どうもすみません。

今考えれば本当に悪かったです。

先生の言うとおり、結果はどうでもかまいません。ただ頑張ればいいのです。

頑張ります!」

 

いつだって、畏縮していたら、自分の夢は永遠に実現できません。

たいていのことはできないんじゃなくて、やる勇気がないだけです。

成功するかどうか、やってみないと分かりません。

 

コンテスト予選の翌日、

先生は私たちに実話に基づく映画『ビリギャル』をみせてくれました。

「見ていて!私はきっと慶応に合格するから!」

ヒロイン沙耶香の決心が全ての始まりです。

高校生の紗耶香は不良少女で成績はビリ。

でも、最後は超有名大学に合格しました。

小学校の知識しかない彼女は苦労の連続で、

映画を観ていた私は心底驚きました。

こんな奇跡のようなことが本当に起きるなんて。

でも、よく考えれば沙耶の成功は夢じゃありません。

まず、自分で懸命に努力したこと。

次に、挫けそうになったとき、

側にはいつも先生やお母さん、友だちがいて励ましてくれたこと。

だから、また、勇気を出して、自分自身に立ち向かえたこと。

この結果、多くの人が「無理!」と断言した「慶応大学合格」を達成しました。

実は、沙耶香さんのような人は私たちの周りにも本当にいます。

だから、「不可能」なんて、やり方次第で「可能」にひっくり返るんです。

 

夢は、努力すれば、実現の確率は50%にも60%にもなりますが、

初めから挑戦しなければ0%です。

先生がこの映画を私たちに見せたのは、それを教えるためでした。

 

スピーチ・コンテスト予選当日、私は自分の番を待ちながら、

(大丈夫、私はできる、私はできる)と何度も心で唱えました。

結果、本当に予選を通過してしまいました!

先生から、

「とても堂々としたいいスピーチでしたよ。」

と言われた時、私は本当に嬉しかったです。

自分の努力の成果は、自分に自信が持てたことです。

(そう、やればできる。これからもきっと努力を続ける。

先生がくださったこの勇気も一生忘れない)。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

文中の映画『ビリギャル』は、わざわざ日本から持ってきた甲斐あって、

学生たちの圧倒的な共感を得ていました。

自信のない子どもたちを励ますいい映画だと思います。

 

 次に取り壊されるのはきっとこの寮でしょう。

狭い部屋に8人ひしめいているそうです。

 


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1 コメント

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叱咤激励 (こきおばさん)
2017-10-27 06:40:12
素晴しい! 大きな拍手を送ります。
「やる気」にさせることって難しい、でもそれは大人としての使命でもあると思います。
 自分の子どもや孫にしてきたか?考えさせられました。
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