にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

永遠の出口

2006年09月29日 | 日々のこと
この人の文章は、言葉が肌にしっくりなじむ。
前に読んだ、『アーモンド入りチョコレートのワルツ』もそうだった。

本屋さんの宣伝文句や解説には、「児童文学からの転向のきっかけとなった作品」と書いてあったけれど、わたしはそうは思わない。

「児童文学」とそうでない文学をわけるのはナンセンスだと思っているし、「○○向け」などというのは、作者が決めることではないと思っている。

森さんの作品で一番好きなのは、毒から目をそらさないところだ。
こころの奥深くに潜む、どろどろしたもの。

そういったものから、目をそらさずにきちんと向き合っていて、その上で希望を捨てていないところ。

一気に読み終えてみると、ここ何日かの心身の不調がすこし快復している事に気がついた。

ほかの作品も読んでみたいなと思う。


***森絵都『永遠の出口』集英社文庫、2006年***