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Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

シンデレラ、あるいは「アンダークラス」からの脱出

2025年07月02日 06時30分00秒 | Weblog
 「・・・またアンダークラスには、「父アンダークラスまたは不詳」の人が多い。父親が不在だったり、父親が安定した職についていないことは所属階級に影響し、人をアンダークラスへ導く要因になっている可能性がある。さらに、アンダークラスには、親から暴力を受けた経験のある人が多い。」(p215~216)

 いわゆる「アンダークラス」が発生する要因としては、親(特に父)の属性や子への言動が大きいとされるが、デビット・ビントリー版「シンデレラ」においては、冒頭から、シンデレラが「アンダークラス」的な状況にあることが示される。

 「台所に住まわされているシンデレラは、継母と義理の姉たちに虐げられながらも、優しく強く生きていた。ある日、シンデレラはみすぼらしい身なりの老女を助ける。実は老女はシンデレラの母の慈愛の心を持つ仙女だった。仙女はシンデレラに魔法をかけ、お城で催されている王子のお妃選びの舞踏会に彼女を送り出す……。

 このバレエは墓地のシーンから始まる。
 そこには、幼いころに亡くなったシンデレラの実の母と、最近亡くなった実の父の亡霊が登場し、シンデレラに別れを告げる。
 これによって、彼女が孤立無援の状況に陥ったことが示される。
 父の死後、シンデレラは継母と義理の姉たちの虐待を受けながらも、優しい心を失わずに家事にいそしんでいた。
 実は、継母も裕福ではないので、シンデレラを家政婦代わりにこきつかっていた。
 つまり、この一家は、父(夫)の死によって「アンダークラス」へと転落していたのである。
 ある日、シンデレラがみすぼらしい身なりの老女が迷い込んできたので、彼女を助けるべく母の形見である大切な「靴」まで分け与えたのだが、何とこの老女は、シンデレラの母の「慈愛の心」を持った仙女だった。
 この仙女が、シンデレラを助け、”シンデレラ・ストーリー”を進行させていくのであり、影の主役である。
 このように、「慈愛の心」(= animus)と「靴」(= corpus)の合体が、この物語の核心を成していることが分かる。
 この「仙女」は、一見すると、「眠れる森の美女」の「リラの精」に似ている。
 だが、「リラの精」は、「オーロラ姫の幻」(=animus)をデジレ王子に見せるだけで、自身は animus 化しないのに対し、「仙女」は、自ら animus 役を買って出ているのが新鮮である。
  また、「シンデレラ」=「アニー」、「王子」=「ウォーバックス」と見ると、「アニー」(見せていい)との類似性が浮かんでくる。
 但し、「アニー」では「ウォーバックス」、つまり「戦争(War)」と「金(Bucks)」は、 corpus を代表しているのである。
 ・・・というわけで、現在の日本においても、animus と corpus をどう結び付けるかが、「アンダークラス」脱出・解消の鍵を握っていると思う。
 要するに、個人の能力や資質と、それを育み活かすための仕組み(教育、雇用など)がうまく結合しなければならないのだが、1985年頃以降、それが機能していないようだ。
 それに、あのアメリカですら、もはや”階級上昇”は期待しがたい国、「病めるアメリカ」になってしまっている。
 要するに、「シンデレラ」は、もしかすると、世界的に見ても”絶滅危惧種”になっているかもしれないのである。


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