「亡くなった人がインターネット上で保有していた資産や利用していた定額サービスの契約内容がわからず、遺族から手続きに困っているなどの相談が寄せられているとして、国民生活センターが、注意を呼びかけています。」
先日、同業者向けの雑誌を見ていたら、見覚えのある名前の横に「死亡」と書かれていたので目が点になった。
修習時代の同級生(「A君」としておく)の名前であるが、まだ50歳になるかならないかという年齢のはずなのでビックリしたのである。
A君の事務所のホームページにアクセスしてみると、普通に開けるし、そこには、満面に笑みを浮かべた彼の写真がある。
だというのに、信じられないことだが、A君は亡くなっているらしいのだ。
彼の写真を見た瞬間、懐かしい研修所時代の寮生活や最後のクラスコンパでの出来事などが脳裏に蘇って来て、とても仕事どころではなくなる。
A君は、いわゆる「社会人受験生」で、司法書士の資格を持っており、ロースクールには入らず、司法書士事務所で働きながら勉強していた苦労人である(ちなみに、私にはこういう「社会人受験生」を無条件で応援してしまう習性がある)。
地方在住の修習生は、集合修習期間中は「いずみ寮」で寮生活を送るのだが(司法修習ナビゲーション いずみ寮)、クラスが同じ寮生だと土日以外はほぼ一日中一緒にいるため、仲良しになることが多い。
私にとってはA君もその一人なのだが、どういうわけか、前期の時点で起案にはかなり苦しんでいた。
A君は、睡眠時無呼吸症を患っており、夜眠れないため、講義中は眠くてたまらず殆ど内容が頭に入らないというのである。
なので、私や事情を知っているクラスメートたちは傍から心配して見ていたのだが、A君は二回試験に一発では合格することが出来ず、3回目くらいで合格したという記憶である。
ちなみに、この間、合格者だけが集まって何回かクラスコンパが開催されたが、私は参加しなかった。
全員が合格するのを待っていたからだ。
2年後(だったかな?)、クラスの中ではA君が最後に合格したということで、盛大にクラスコンパが開催され、私は彼の横に座って合格を祝った。
だが、これがA君との最後の飲み会となってしまった。
・・・デジタル終活の話に戻ると、亡くなった後も写真や動画がネット上に残っていると、一部の人にとっては、悲しみが増幅されてしまうという問題がある。
やはり、デジタル終活は必須だと思う。
合掌。